2012/06/13(水) - 17:41
降りしきる雨の中、登りで60名に絞られた集団がトリンバッハのゴールに到着した。ゴール前のコースレイアウトは前日ほどテクニカルではなく、力と力がぶつかり合うスプリント勝負に。ポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の勢いを止める者は現れなかった。
アーベルグからトリンバッハまでの189kmで行なわれたツール・ド・スイス第4ステージ。レース中盤に標高1051mの1級山岳シェルテンパスを越え、終盤にかけてカテゴリー3級と2級の山岳を連続して越える。
小集団もしくは少人数のスプリントに持ち込まれる可能性が高く、登りをこなせるスプリンターにチャンスがある。つまり、サガンのようなスプリンター。22歳のスロバキアンスプリンターはこのチャンスを逃さなかった。
この日のアタックが決まったのは、81km地点に佇む1級山岳シェルテンパスの登り。マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)やマシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)を含む強力な逃げが形成されたが、総合で1分15秒遅れのダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が入ったため、モビスターが警戒心を解くことなく集団を牽引する。
やがて終盤の3級山岳でメイン集団からラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)が飛び出し、それまで逃げていたカタルドらを抜いて一躍先頭に立つ。雨で完全に濡れたコースで、ノルダーグは30秒のリードを握ったまま独走した。
続いてメイン集団を抜け出したマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)とフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が、ゴールまで6kmを残して先頭ノルダーグに合流。
ノルダーグ、エルミガー、ファンアフェルマートのリードは40秒。逃げ切りの可能性がジワリと濃くなるも、リクイガス・キャノンデール、アスタナ、ガーミン・バラクーダの集団牽引によってタイム差は縮小傾向に。結局ゴールまで2.5kmを残して先頭3名は吸収。60名ほどの集団がゴールに突入した。
ロングスパートでウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)らが揺さぶりをかけたが、モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がこれを封じていく。
モゼールのサポートを得て好位置につけたサガンが、自分のタイミングでスプリントをスタートした。
同じく「登れるスプリンター」に分類されるホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)やハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、そしてすでに総合成績を諦めたミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が応戦したが、サガンとの距離は広がるばかり。サガンが軽くVサインでゴールを駆け抜けた。
レース後、サガンはモゼールへの感謝の言葉を述べる。「今日の勝利はモレーノ(モゼール)のスーパーアシスト無しには語れない。彼はレース終盤のアタックをことごとく封じ込め、思うようなポジションをキープしてくれた。とても感謝している。この恩を早く彼に違った形で返したい」。
フランチェスコ・モゼールの甥にあたるモレーノ・モゼールは、サガンと同じ1990年生まれ。初日の個人タイムトライアルでも3位に入り、周囲を驚かせた。この日は1990年生まれコンビがレースを掌握した。
ここまでの4ステージ中、実に3ステージで勝っているサガン。他を寄せ付けない走りでシーズン11勝目をマークした22歳は「今日は小集団のスプリントに持ち込まれることを望みながら、ひたすらエネルギーをセーブして走った。この(ツール前の)時期に、理想のコンディションに達していることを嬉しく思う。いつでも勝てるわけじゃない。でもチャンスがある日は勝ちにいく」とコメント。ツール・ド・フランスでの活躍が待ち遠しい。
選手コメントはリクイガス・キャノンデール公式リリースより。
ツール・ド・スイス2012第4ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4h36'55"
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
5位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
6位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
10位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 15h43'52"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
アーベルグからトリンバッハまでの189kmで行なわれたツール・ド・スイス第4ステージ。レース中盤に標高1051mの1級山岳シェルテンパスを越え、終盤にかけてカテゴリー3級と2級の山岳を連続して越える。
小集団もしくは少人数のスプリントに持ち込まれる可能性が高く、登りをこなせるスプリンターにチャンスがある。つまり、サガンのようなスプリンター。22歳のスロバキアンスプリンターはこのチャンスを逃さなかった。
この日のアタックが決まったのは、81km地点に佇む1級山岳シェルテンパスの登り。マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)やマシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)を含む強力な逃げが形成されたが、総合で1分15秒遅れのダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が入ったため、モビスターが警戒心を解くことなく集団を牽引する。
やがて終盤の3級山岳でメイン集団からラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)が飛び出し、それまで逃げていたカタルドらを抜いて一躍先頭に立つ。雨で完全に濡れたコースで、ノルダーグは30秒のリードを握ったまま独走した。
続いてメイン集団を抜け出したマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)とフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が、ゴールまで6kmを残して先頭ノルダーグに合流。
ノルダーグ、エルミガー、ファンアフェルマートのリードは40秒。逃げ切りの可能性がジワリと濃くなるも、リクイガス・キャノンデール、アスタナ、ガーミン・バラクーダの集団牽引によってタイム差は縮小傾向に。結局ゴールまで2.5kmを残して先頭3名は吸収。60名ほどの集団がゴールに突入した。
ロングスパートでウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)らが揺さぶりをかけたが、モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がこれを封じていく。
モゼールのサポートを得て好位置につけたサガンが、自分のタイミングでスプリントをスタートした。
同じく「登れるスプリンター」に分類されるホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)やハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、そしてすでに総合成績を諦めたミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が応戦したが、サガンとの距離は広がるばかり。サガンが軽くVサインでゴールを駆け抜けた。
レース後、サガンはモゼールへの感謝の言葉を述べる。「今日の勝利はモレーノ(モゼール)のスーパーアシスト無しには語れない。彼はレース終盤のアタックをことごとく封じ込め、思うようなポジションをキープしてくれた。とても感謝している。この恩を早く彼に違った形で返したい」。
フランチェスコ・モゼールの甥にあたるモレーノ・モゼールは、サガンと同じ1990年生まれ。初日の個人タイムトライアルでも3位に入り、周囲を驚かせた。この日は1990年生まれコンビがレースを掌握した。
ここまでの4ステージ中、実に3ステージで勝っているサガン。他を寄せ付けない走りでシーズン11勝目をマークした22歳は「今日は小集団のスプリントに持ち込まれることを望みながら、ひたすらエネルギーをセーブして走った。この(ツール前の)時期に、理想のコンディションに達していることを嬉しく思う。いつでも勝てるわけじゃない。でもチャンスがある日は勝ちにいく」とコメント。ツール・ド・フランスでの活躍が待ち遠しい。
選手コメントはリクイガス・キャノンデール公式リリースより。
ツール・ド・スイス2012第4ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4h36'55"
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
3位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
5位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
6位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
10位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)
個人総合成績
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 15h43'52"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15"
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ・ビッグマット) +19"
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +21"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +23"
8位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル) +24"
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +26"
10位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +29"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
山岳賞
フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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