2012/05/12(土) - 10:27
開幕から1週間を経て登場した中級山岳コースは無数の細かいアップダウンが連続する厳しいステージ。スタートから逃げに乗り、ゴールまで残り34kmを独走したコロンビア人クライマー、ルビアーノがキャリア最大の勝利を収めた。
ジロは南下を続ける。5月11日に開催されたジロ・デ・イタリア第6ステージは、ウルビーノからをスタートし、アドリア海沿いの街ポルト・サンテルピディオにかけての210kmで行われた。
今大会最初となる中級山岳ステージは、全行程に渡って細かいアップダウンがひたすら連続する。未舗装路を含む2級と3級のカテゴリー山岳を合計4つ通過し、最高地点は772mと長く険しい1級以上の峠は無いが選手たちの脚を徐々に削りっていく厳しいコースだ。快晴に恵まれた天気のもとレースはスタートした。
この日は0km地点で早くもアタックがかかり、初の山岳コースを待ちわびていた選手たちが早々にエスケープを決めた。逃げを成功させたのは、ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)、アルフレード・バッローニ( イタリア、ファルネーゼヴィーニ)ら計15名。逃げグループの中で最も総合成績が良いのは、41秒遅れの25位につけるルーク・ロバーツ(オーストラリア、サクソバンク)だ。
最終的に総合を脅かす選手が入っていなかったためメイン集団はこの動きを容認。タイム差は急速に広がりをみせたが、イヴァン・バッソ(イタリア)擁するリクイガス・キャノンデール勢がコントロールを開始した。以降レース中盤までタイム差を5~6分程度で推移させる。
この日のコースはコースプロフィールに描かれた以上に細かいアップダウンが連続するタフなステージ。調子の上がらないトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)やロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)らは本格的な上りが始まると苦しみだし、やがてバイクを降りリタイアした。
先頭を行く15名でもアップダウンを経るにつれて徐々にメンバーが脱落し、118kmに控える最大勾配15%の2級山岳カッペッラ峠入り口では8名にまで人数が縮小。その中上りで1人余裕を見せるルビアーノが整った未舗装路の登坂を先頭でクリアし、山岳ポイントを獲得した。
5分差のタイム差をもって登りはじめたメイン集団の後方ではマリア・ローザを着用するラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)が徐々に遅れていく。はるか後方では、前日勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が1人遅れる苦しい展開となる。テクニカルなこの下りではパブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)が落車リタイアとなってしまう。
レースはカッペッラ峠を通過し、32kmに渡る下り区間を経てマルケ州へ。前半に増してこまかい急勾配が現れる丘陵地帯を走る先頭集団の中、圧倒的な登坂力を披露したのはやはりルビアーノ。
続く3級山岳モンテルポーネ頂上もトップ通過したルビアーノは、残り34kmから始まる3級モンデグラナーロの上りで5名まで人数を減らしていた先頭グループから単独アタックを決める。他の選手達を一気に置き去りにし、1分以上の差をつけて独走体勢に入った。
先頭で大きな動きがあるその頃、メイン集団後方で苦しんでいたのはナヴァルダスカス。上りの度に遅れ、下りで追いつく粘りを見せていたが、急勾配区間で遂に力尽きる。カメラにアピールすると、マリア・ローザは後方へと下がっていった。
スピードが上がりつつあったメイン集団からはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)がアタックするもいずれも失敗。アタックと吸収を繰り返したことでタイム差は詰まりきらず、これが前を行くルビアーノと追走4名に味方した。
低い姿勢で踏み続けるルビアーノの勢いは衰えず、残り5km地点で追走4名とは1分半、スピードを増す大集団に大しては3分台のタイム差をキープして逃げ切りを確定させる。そのままのペースを維持し、最後までペダルを踏み続けたコロンビア人クライマーが34kmに渡る独走を成功させ、ガッツポーズでゴールラインへと飛び込んだ。
続く4名の追走は、逃げメンバーだったロバーツが遅れたことでマリア・ローザ獲得のチャンスが訪れ、ペースを維持し続けたマローリを先頭にゴール。結果集団に対して41秒の差をつけたことで嬉しいマリア・ローザ獲得を成功せた。
ステージ優勝を遂げたルビアーノは、昨年ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPOに所属し、ツール・ド・北海道を制した選手。最終ステージの個人TTで逆転総合優勝を遂げるなど、クライマーでありながら独走力も持ち合わせ、それが今回活きる形に。山岳ポイントを荒稼ぎしたことで山岳賞も手に入れた。
「最初は山岳ジャージを狙う動きで抜けだしたんだけど、後ろが離れていることを聞いてアタックすることにしたんだ。そうしたら全てが上手く入った。とても嬉しいよ」と喜びを語った。
ジロ・デ・イタリア2012第6ステージ結果
1位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) 5h38'730"
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD) +01′10″
3位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)
5位 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、チームネットアップ)
6位 ダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +01′51″
7位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
8位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
個人総合成績
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD) 20h25'28"
2位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +15″
3位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +17″
4位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +30″
5位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +32″
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +36″
7位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +37″
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +39″
9位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
10位 ルーク・ロバーツ(オーストラリア、チームサクソバンク) +41″
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞 マリアアッズーラ
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
新人賞 マリアビアンカ
アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)
チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ
text:So.Isobe
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla
ジロは南下を続ける。5月11日に開催されたジロ・デ・イタリア第6ステージは、ウルビーノからをスタートし、アドリア海沿いの街ポルト・サンテルピディオにかけての210kmで行われた。
今大会最初となる中級山岳ステージは、全行程に渡って細かいアップダウンがひたすら連続する。未舗装路を含む2級と3級のカテゴリー山岳を合計4つ通過し、最高地点は772mと長く険しい1級以上の峠は無いが選手たちの脚を徐々に削りっていく厳しいコースだ。快晴に恵まれた天気のもとレースはスタートした。
この日は0km地点で早くもアタックがかかり、初の山岳コースを待ちわびていた選手たちが早々にエスケープを決めた。逃げを成功させたのは、ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)、アルフレード・バッローニ( イタリア、ファルネーゼヴィーニ)ら計15名。逃げグループの中で最も総合成績が良いのは、41秒遅れの25位につけるルーク・ロバーツ(オーストラリア、サクソバンク)だ。
最終的に総合を脅かす選手が入っていなかったためメイン集団はこの動きを容認。タイム差は急速に広がりをみせたが、イヴァン・バッソ(イタリア)擁するリクイガス・キャノンデール勢がコントロールを開始した。以降レース中盤までタイム差を5~6分程度で推移させる。
この日のコースはコースプロフィールに描かれた以上に細かいアップダウンが連続するタフなステージ。調子の上がらないトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)やロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)らは本格的な上りが始まると苦しみだし、やがてバイクを降りリタイアした。
先頭を行く15名でもアップダウンを経るにつれて徐々にメンバーが脱落し、118kmに控える最大勾配15%の2級山岳カッペッラ峠入り口では8名にまで人数が縮小。その中上りで1人余裕を見せるルビアーノが整った未舗装路の登坂を先頭でクリアし、山岳ポイントを獲得した。
5分差のタイム差をもって登りはじめたメイン集団の後方ではマリア・ローザを着用するラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)が徐々に遅れていく。はるか後方では、前日勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が1人遅れる苦しい展開となる。テクニカルなこの下りではパブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)が落車リタイアとなってしまう。
レースはカッペッラ峠を通過し、32kmに渡る下り区間を経てマルケ州へ。前半に増してこまかい急勾配が現れる丘陵地帯を走る先頭集団の中、圧倒的な登坂力を披露したのはやはりルビアーノ。
続く3級山岳モンテルポーネ頂上もトップ通過したルビアーノは、残り34kmから始まる3級モンデグラナーロの上りで5名まで人数を減らしていた先頭グループから単独アタックを決める。他の選手達を一気に置き去りにし、1分以上の差をつけて独走体勢に入った。
先頭で大きな動きがあるその頃、メイン集団後方で苦しんでいたのはナヴァルダスカス。上りの度に遅れ、下りで追いつく粘りを見せていたが、急勾配区間で遂に力尽きる。カメラにアピールすると、マリア・ローザは後方へと下がっていった。
スピードが上がりつつあったメイン集団からはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)がアタックするもいずれも失敗。アタックと吸収を繰り返したことでタイム差は詰まりきらず、これが前を行くルビアーノと追走4名に味方した。
低い姿勢で踏み続けるルビアーノの勢いは衰えず、残り5km地点で追走4名とは1分半、スピードを増す大集団に大しては3分台のタイム差をキープして逃げ切りを確定させる。そのままのペースを維持し、最後までペダルを踏み続けたコロンビア人クライマーが34kmに渡る独走を成功させ、ガッツポーズでゴールラインへと飛び込んだ。
続く4名の追走は、逃げメンバーだったロバーツが遅れたことでマリア・ローザ獲得のチャンスが訪れ、ペースを維持し続けたマローリを先頭にゴール。結果集団に対して41秒の差をつけたことで嬉しいマリア・ローザ獲得を成功せた。
ステージ優勝を遂げたルビアーノは、昨年ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPOに所属し、ツール・ド・北海道を制した選手。最終ステージの個人TTで逆転総合優勝を遂げるなど、クライマーでありながら独走力も持ち合わせ、それが今回活きる形に。山岳ポイントを荒稼ぎしたことで山岳賞も手に入れた。
「最初は山岳ジャージを狙う動きで抜けだしたんだけど、後ろが離れていることを聞いてアタックすることにしたんだ。そうしたら全てが上手く入った。とても嬉しいよ」と喜びを語った。
ジロ・デ・イタリア2012第6ステージ結果
1位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) 5h38'730"
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD) +01′10″
3位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)
5位 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、チームネットアップ)
6位 ダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ) +01′51″
7位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
8位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
個人総合成績
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD) 20h25'28"
2位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +15″
3位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +17″
4位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +30″
5位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +32″
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +36″
7位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +37″
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +39″
9位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
10位 ルーク・ロバーツ(オーストラリア、チームサクソバンク) +41″
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞 マリアアッズーラ
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
新人賞 マリアビアンカ
アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)
チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ
text:So.Isobe
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla
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