2012年3月6日、パリ〜ニース(UCIワールドツアー)第3ステージ、頂上ゴールで再びサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が激突。僅差の闘いをバルベルデが制した。新城幸也(ユーロップカー)は26位に入り、調子の良さを見せている。

逃げたロイ・カーヴァス(オランダ、プロジェクト1t4i)ら3名逃げたロイ・カーヴァス(オランダ、プロジェクト1t4i)ら3名 photo:Cor Vosパリ〜ニースは引き続き南下を続ける。第3ステージはヴィエルゾンからル・ラック・ド・ヴァシビエールまでの194km。

ステージ後半は起伏に富んだ山岳地帯で、ゴール27km手前で3級山岳ボルガヌフ峠をクリア。スプリントポイントを経て、平均勾配3.9%・登坂距離5.2kmの3級山岳ル・ラック・ド・ヴァシビエールに挑む。難易度が低いとは言え、今大会最初の頂上ゴールだ。

寒空のフランス中部を南下する寒空のフランス中部を南下する photo:Cor Vosここまでのステージで精彩を欠いていたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)は胃腸炎によりスタートせず。

気温5度に満たない寒空の下、ミカエル・モルコフ(デンマーク、チームサクソバンク)、ジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)、ロイ・カーヴァス(オランダ、プロジェクト1t4i)の3名がスタート直後にアタックを決める。

チームスカイがコントロールするメイン集団チームスカイがコントロールするメイン集団 photo:Cor Vos先頭3名のリードは46km地点で4分50秒をマーク。マイヨジョーヌのブラドレー・ウィギンズ(イギリス)擁するチームスカイは、落ち着いて集団をコントロール。ゴールに向けてタイム差を詰めて行く。

ゴールまで14kmを残し、タイム差が30秒を割り込むと、先頭からアングルヴァンが飛び出して独走。しかしチームスカイに代わってオメガファーマ・クイックステップが牽引するメイン集団が、最後の3級山岳ル・ラック・ド・ヴァシビエールを前に逃げを全て飲み込む。

チームメイトに守られて走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)チームメイトに守られて走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vosゴールに至る登りが始まると、総合2位のリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)擁するオメガファーマ・クイックステップがペースアップ。前日の第2ステージで落車に見舞われたイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は力無く遅れて行く。

ラスト4kmに差し掛かるとセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)が勢いのあるアタックを決めたが、ラスト1kmアーチを前に、モビスターが率いる集団に吸収される。

スプリントで競り合うサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スプリントで競り合うサイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vos決定的なアタックが生まれないまま、60名ほどに絞られた集団がゴールへ。好位置からタイミングよく飛び出したバルベルデが先頭に立ち、その後ろからジェランスが勢いよく追い上げる。バルベルデとジェランスは、いずれも勝利を確信することなく、ハンドルを投げ込んでゴール。写真判定の結果、先頭を守りきったバルベルデが勝利した。

バルベルデとジェランスの対決は、1月のツアー・ダウンアンダー第5ステージ・ウィランガヒル頂上ゴールの再現。当時はジェランスが先に仕掛け、追い上げたバルベルデが僅差で勝利している。

ドーピング疑惑による出場停止から古巣モビスターで復帰したバルベルデは、これがシーズン4勝目。2月のブエルタ・ア・アンダルシアでは頂上ゴールを制し、総合優勝に輝いた。

「レース序盤から終盤までずっと抜群の仕事をしてくれたチームメイトにまず感謝の言葉を述べたい。熱いバトルに競り勝ったことを嬉しく思う。昨日も先頭集団に残ることができ、そして今日もスタートから調子の良さを感じていたんだ」と、バルベルデ。ボーナスタイムにより総合6位にジャンプアップし、ウィギンズを20秒差で追うバルベルデは「(総合争いについて)これから様子を見ていきたい」と語っている。

敗れたジェランスは「ゴールに向けて激しい位置取り争いが繰り広げられ、かなり後ろからスプリントを開始した。調子はかなり良いので、位置取りの失敗でチャンスを失った。今日よりも厳しいコースが設定された明日も勝負に絡みたい」と悔しさを滲ませる。

ハイスピードな頂上ゴールで最後まで集団に残ったユキヤは26位でゴール。ユーロップカーの中ではトマ・ヴォクレール(フランス)に次ぐ成績で、総合では38位までジャンプアップ。調子の良さを感じさせる走りを見せた。

マイヨジョーヌを守ったウィギンズは「今日も気温が低くて、苦しんでいる選手も多かった。リーヴァイ(ライプハイマー)らを視界に捉えながら、安全を優先して走った。これからも最善を尽くしてこのジャージをキープしたいが、ステージ優勝したアレハンドロ(バルベルデ)は総合タイム差を詰めた。総合リードは6秒しかなく、いつボーナスタイムでジャージを失ってもおかしくない状態だ」と冷静なコメントを残している。

選手コメントはレース公式リリースならびにグリーンエッジ公式サイトより。

ステージ優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ステージ優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vosマイヨジョーヌに袖を通すブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌに袖を通すブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos


パリ〜ニース2012第3ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)           4h36'19"
2位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)
5位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、カチューシャ)
6位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
8位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)
9位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
10位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
26位 新城幸也(日本、ユーロップカー)

個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)           9h09'51"
2位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ) +06"
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)     +11"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)  +14"
5位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)      +18"
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +20"
7位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)         +22"
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)               +29"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、アスタナ)               +33"
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)             +36"
38位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                    +3'20"

ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)

新人賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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