2009/05/24(日) - 08:22
最大勾配16%の山頂ゴールが設定されたジロ・デ・イタリア第14ステージは、ステージ序盤、12km地点で形成された14名の先頭グループの中からサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム)が逃げ切ってステージ優勝。デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)は危なげなくマリアローザを守った。
カンピ・ビゼンツィオからボローニャまでの172kmで行われたジロ・デ・イタリア第14ステージ。序盤こそ平坦だが、カテゴリー2級の山岳が3つとカテゴリー3級の山岳が立て続けに姿を現し、ラストは平均勾配9.7%、最大勾配16%の激坂の山頂ゴールが待ち構える厳しいステージだ。
この日、前日の第13ステージで勝利し、ジロ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)と勝利の立役者マーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア)がスタートしなかった。また、第11ステージで落車し、膝を負傷したフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)、そしてストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・スリップストリーム)もDNSとなった。
レースは序盤から動きがあった。
12km地点で大人数の逃げが決まる。
メンバーはクリス・フルーム(イギリス、バルロワールド)、ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、バルロワールド)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、ISD)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)、フィリップ・ダイグナン(アイルランド、サーヴェロ・テストチーム)、サイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)、エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)、ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、ディキジョヴァンニ)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ)、フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)、ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)、マルティン・ミュラー(スイス、ミルラム)の14名で、集団とのタイム差は最大4分50秒にまで開いた。
メイン集団をコントロールするのは、マリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)を抱えるラボバンクではなくLPRブレークスだった。
このステージの最後に登場するサンルーカの上りを使用するワンデーレース、ジロ・デル・エミリアの昨年の覇者、そして短い急坂の上りを得意とするダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)が勝利を狙ってくることは明らかだった。
そしてデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)がディルーカをぴったりマークしてくることも。
先頭グループからは3つ目の山岳の上りでミュラーが、4つ目の山岳の上りでケウラとヴィスコンティが遅れ、人数は11名に。バルロワールド、ISD、サーヴェロ・テストチームがそれぞれ逃げのグループに2名ずつを送り込んでいたが、ここで2名の選手が残っているのがサーヴェロ・テストチームのみとなった。
先頭11名は協力して逃げ続けた。
メイン集団の先頭にラボバンク、リクイガスといったチームも上がってきた。しかし、先頭グループとのタイム差はなかなか詰まらない。
先頭グループは2分弱のタイム差を持ってサンルーカの上りに臨むこととなった。
最初に仕掛けたのはグリブコだった。グリブコは、第1、第2、第3の山岳ポイントをトップ通過したグリブコは累計の山岳ポイントを31ポイントまで伸ばし、この時点で山岳賞争いにおいてステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)に次ぐ2位に上がってきている。
山頂ゴールを制してさらにポイントを狙う意図だったのだろうが、急坂に入り、ペースが落ちた。
代わって仕掛けたのがベルトリアーティだ。フルーム、ジェランスがこれを追う。
そしてフルームがベルトリアーティをかわす。
2人はしばらく並走していたが、ペースを上げるジェランスにフルームは付いていけない。バイクを大きく左右に振り、蛇行しながら上るフルームの姿が勾配のきつさを物語る。
ジェランスは単独のまま快調に上り続けた。
ジェランスは背後を確認し、逃げ切りを確信。
両手を高々と上げ、歓喜の表情でゴールした。
一方、やはり急坂を上りはじめたメイン集団ではディルーカがペースを上げた。
ガルゼッリ、メンショフ、フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)はぴったりとマーク。しかし、リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は付いていかれない。
その後、上りが緩やかになる箇所で一度は追いついたライプハイマー、バッソらだったが、残り250m地点で仕掛けたペッリツォッティに再び置き去りにされた。
ディルーカ、メンショフ、ガルゼッリ、サストレ、マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ランプレ)は10位フィニッシュのペッリツォッティと同タイムでゴール。
他方、バッソ、ライプハイマーは3秒差、ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)は6秒差でゴールしている。
昨年のツール・ド・フランス第15ステージでグランツール初優勝を飾ったジェランスは、自身2度目になるグランツールでのステージ優勝について「ツールのときみたいだった。素晴らしいよ。ジロで勝ったんだ。ジロでの勝利は初めての経験だよ」と喜びを語る。
この日、ジェランスとダイグナンが逃げに乗ることは、チームとしての戦略だった。エースのサストレにアシストが必要なときに備え、前で待機していたというジェランス。残り25km地点で約2分のタイム差があるのを知ったときに逃げ切りのチャンスを意識したという。「フィル(フィリップ・ダイグナン)が僕のステージ優勝のために走ってくれた。おかげで最後まで脚を温存できた。逃げの中にチームメイトがいるというのは重要だよ」と語った。
個人総合争いという観点では、ライプハイマー、バッソ、アローヨ、ロジャースがそれぞれタイム差を広げられる形になった。この3秒、6秒というタイム差が、後々どのように影響することになるのだろうか。
「この先もっとも重要なステージはモンテ・ペトラノ(第16ステージ)とブロックハウス(第17ステージ)だと思う。そこで誰が総合優勝できるコンディションにあるかはっきりするだろう。明日の第15ステージもかなりハードで重要だろう。でも戦術的にはその2ステージに比べたらそれ以下だろうと思う」とメンショフ。
また、ディルーカも「明日も厳しいステージだけど、今日と同じようなものじゃない。月曜に取り返すよ。ジロの大部分は月曜に決まるだろうね」と揃って月曜に行われる第16ステージの重要性を語る。
第15ステージは中盤に山岳が連続する厳しい山岳ステージだが、ラストは平坦基調となっている。マリアローザを巡る争いは第16ステージへと持ち越されることだろう。
ジロ・デ・イタリア2009第14ステージ結果
1位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム) 4h16'48"
2位 ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、ディキジョヴァンニ) +12"
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +18"
4位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +24"
5位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、サーヴェロ・テストチーム) +27"
6位 クリス・フルーム(イギリス、バルロワールド) +36"
7位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ) +41"
8位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ) +1'01"
9位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、ISD) +1'04"
10位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +1'04"
個人総合成績
1位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) 58h33'53"
2位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) +34"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +43"
4位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +2'00"
5位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +2'52"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +3'03"
7位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +3'05"
8位 ジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ) +5'17"
9位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ランプレ) +5'26"
10位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ) +6'01"
ポイント賞 マリアチクラミーノ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
山岳賞 マリアヴェルデ
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
新人賞 マリアビアンカ
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
チーム総合成績
アスタナ
カンピ・ビゼンツィオからボローニャまでの172kmで行われたジロ・デ・イタリア第14ステージ。序盤こそ平坦だが、カテゴリー2級の山岳が3つとカテゴリー3級の山岳が立て続けに姿を現し、ラストは平均勾配9.7%、最大勾配16%の激坂の山頂ゴールが待ち構える厳しいステージだ。
この日、前日の第13ステージで勝利し、ジロ3勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)と勝利の立役者マーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア)がスタートしなかった。また、第11ステージで落車し、膝を負傷したフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)、そしてストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・スリップストリーム)もDNSとなった。
レースは序盤から動きがあった。
12km地点で大人数の逃げが決まる。
メンバーはクリス・フルーム(イギリス、バルロワールド)、ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、バルロワールド)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、ISD)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)、フィリップ・ダイグナン(アイルランド、サーヴェロ・テストチーム)、サイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)、エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)、ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、ディキジョヴァンニ)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ)、フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)、ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)、マルティン・ミュラー(スイス、ミルラム)の14名で、集団とのタイム差は最大4分50秒にまで開いた。
メイン集団をコントロールするのは、マリアローザのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)を抱えるラボバンクではなくLPRブレークスだった。
このステージの最後に登場するサンルーカの上りを使用するワンデーレース、ジロ・デル・エミリアの昨年の覇者、そして短い急坂の上りを得意とするダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)が勝利を狙ってくることは明らかだった。
そしてデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)がディルーカをぴったりマークしてくることも。
先頭グループからは3つ目の山岳の上りでミュラーが、4つ目の山岳の上りでケウラとヴィスコンティが遅れ、人数は11名に。バルロワールド、ISD、サーヴェロ・テストチームがそれぞれ逃げのグループに2名ずつを送り込んでいたが、ここで2名の選手が残っているのがサーヴェロ・テストチームのみとなった。
先頭11名は協力して逃げ続けた。
メイン集団の先頭にラボバンク、リクイガスといったチームも上がってきた。しかし、先頭グループとのタイム差はなかなか詰まらない。
先頭グループは2分弱のタイム差を持ってサンルーカの上りに臨むこととなった。
最初に仕掛けたのはグリブコだった。グリブコは、第1、第2、第3の山岳ポイントをトップ通過したグリブコは累計の山岳ポイントを31ポイントまで伸ばし、この時点で山岳賞争いにおいてステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)に次ぐ2位に上がってきている。
山頂ゴールを制してさらにポイントを狙う意図だったのだろうが、急坂に入り、ペースが落ちた。
代わって仕掛けたのがベルトリアーティだ。フルーム、ジェランスがこれを追う。
そしてフルームがベルトリアーティをかわす。
2人はしばらく並走していたが、ペースを上げるジェランスにフルームは付いていけない。バイクを大きく左右に振り、蛇行しながら上るフルームの姿が勾配のきつさを物語る。
ジェランスは単独のまま快調に上り続けた。
ジェランスは背後を確認し、逃げ切りを確信。
両手を高々と上げ、歓喜の表情でゴールした。
一方、やはり急坂を上りはじめたメイン集団ではディルーカがペースを上げた。
ガルゼッリ、メンショフ、フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)はぴったりとマーク。しかし、リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は付いていかれない。
その後、上りが緩やかになる箇所で一度は追いついたライプハイマー、バッソらだったが、残り250m地点で仕掛けたペッリツォッティに再び置き去りにされた。
ディルーカ、メンショフ、ガルゼッリ、サストレ、マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ランプレ)は10位フィニッシュのペッリツォッティと同タイムでゴール。
他方、バッソ、ライプハイマーは3秒差、ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)は6秒差でゴールしている。
昨年のツール・ド・フランス第15ステージでグランツール初優勝を飾ったジェランスは、自身2度目になるグランツールでのステージ優勝について「ツールのときみたいだった。素晴らしいよ。ジロで勝ったんだ。ジロでの勝利は初めての経験だよ」と喜びを語る。
この日、ジェランスとダイグナンが逃げに乗ることは、チームとしての戦略だった。エースのサストレにアシストが必要なときに備え、前で待機していたというジェランス。残り25km地点で約2分のタイム差があるのを知ったときに逃げ切りのチャンスを意識したという。「フィル(フィリップ・ダイグナン)が僕のステージ優勝のために走ってくれた。おかげで最後まで脚を温存できた。逃げの中にチームメイトがいるというのは重要だよ」と語った。
個人総合争いという観点では、ライプハイマー、バッソ、アローヨ、ロジャースがそれぞれタイム差を広げられる形になった。この3秒、6秒というタイム差が、後々どのように影響することになるのだろうか。
「この先もっとも重要なステージはモンテ・ペトラノ(第16ステージ)とブロックハウス(第17ステージ)だと思う。そこで誰が総合優勝できるコンディションにあるかはっきりするだろう。明日の第15ステージもかなりハードで重要だろう。でも戦術的にはその2ステージに比べたらそれ以下だろうと思う」とメンショフ。
また、ディルーカも「明日も厳しいステージだけど、今日と同じようなものじゃない。月曜に取り返すよ。ジロの大部分は月曜に決まるだろうね」と揃って月曜に行われる第16ステージの重要性を語る。
第15ステージは中盤に山岳が連続する厳しい山岳ステージだが、ラストは平坦基調となっている。マリアローザを巡る争いは第16ステージへと持ち越されることだろう。
ジロ・デ・イタリア2009第14ステージ結果
1位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ・テストチーム) 4h16'48"
2位 ルーベンス・ベルトリアーティ(スイス、ディキジョヴァンニ) +12"
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +18"
4位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ) +24"
5位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、サーヴェロ・テストチーム) +27"
6位 クリス・フルーム(イギリス、バルロワールド) +36"
7位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ) +41"
8位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ) +1'01"
9位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、ISD) +1'04"
10位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +1'04"
個人総合成績
1位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) 58h33'53"
2位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) +34"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +43"
4位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +2'00"
5位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +2'52"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +3'03"
7位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +3'05"
8位 ジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ) +5'17"
9位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ランプレ) +5'26"
10位 ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ) +6'01"
ポイント賞 マリアチクラミーノ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
山岳賞 マリアヴェルデ
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
新人賞 マリアビアンカ
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
チーム総合成績
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