2012/01/13(金) - 08:57
近代ツール・ド・フランスに日本人として初出場した今中大介氏の理想を具現化するインターマックスブランドのバイク。国内外で今中氏が体験したすべての要素を注ぎ込んだブランドとして成長を重ね、はっきりとした目的をもって造られるバイクが高い評価を得ているのは周知の事実だ。
INTERMAX X-LIGHT (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
そして2012年モデルとして、ミドルグレードの軽量オールラウンダーとして位置づけられるX-LIGHT(エックスライト)がフルモデルチェンジを果たした。
前作はフレーム重量950gのオールラウンドバイクとして登場。軽さと剛性の巧みなバランスにより、優れたクライミング性能を誇るカーボンモノコックフレームとして多くのライダーに支持された。ハイエンドに肉薄する性能をもたせながら、若手のレーサーにも受け入れられやすい価格も人気のポイントで、2011年シーズンは105仕様の完成車を約21万円でリリースし、大好評を得た。
エンド部ギリギリまで強化されたフロントフォーク
下ワンを1-1/4に大径化したヘッドを採用する
ハイボリュームの三角断面を採用したダウンチューブ
フルモデルチェンジを果たした2012年モデルでは、スタイリングを一新。洗練されたグラフィックを纏って生まれ変わった。ヘッドチューブの下ワンを1-1/2"と大径化して、コーナリングの安定感を向上させた。さらにフォーク剛性も高めたことによりクライミング性能も向上。レースでの戦闘力をさらに増した。
細部にも徹底的な改良が行われていることも見逃せない。前作ではラウンド形状を多用したフレームであったのに対して、新生エックスライトではそれぞれのチューブが剛性の確保や振動吸収など、期待される役割を的確に受け持つかのように、複雑なチューブ形状が採用されている。さらにワイヤーのフレーム内蔵処理も行われ、高級感も演出されている。
モノコックフレームの利点を生かして複雑なチューブ形状を実現した
高出力のペダリングにも対応するチェーンステー
フレーム単体重量は1000g。最近の超軽量バイクから比べると標準的なスペックであることは否めない。しかし105完成車で215,000円の据え置き価格を考えると十分な軽さであることも事実だ。前作と比べた重量増をわずか50gにとどめたなかで、上下異径ヘッドの採用をはじめとしたスペックアップがなされたことは十分評価できる。
なによりバイクの軽さはフレームだけで達成するものではなく、アッセンブルするパーツで大きく変わってくるのだ。この新作フレームでもパーツ構成次第ではUCI規定の6.8kgを下回ることは十分可能であるし、軽量バイクの優位性は信頼のおけるフレームを核としたときに初めて活きてくるのだ。
シフトやブレーキケーブルはフレームに内蔵処理される
モノコックフレームの利点を生かして複雑なチューブ形状を実現した
剛性を生み出すツインステーを採用する
強化されたハンガー部。汎用性の高いスタンダードBBを使用する
新生エックスライトには3種類の完成車がラインナップされる。そのなかでも注目なのがアルテグラDi2をアッセンブルしたモデルだ。40万円を下回る389,000円という価格は、各社がこぞってリリースしたアルテグラDi2完成車の中でも十分に戦略的な価格であり、ユーザーに計り知れない恩恵をもたらせてくれる。
ちなみにDi2電動コンポーネントの優位性はすでに誰もが知るとおり。ピュアレーサーはもちろんのこと、一般のユーザーにとってもストレスフリーな走りを実現してくれるものだ。そして「電動コンポーネントはまだ必要ない」という中級ユーザーにはメカ式アルテグラ完成車がオススメだ。
デュラエースにも投入されるテクノロジーを多く盛り込んだアルテグラであれば、レースにおいても十分な戦闘力を発揮してくれる。
そしてはじめてカーボンフレームを手にする初級者には105完成車が最適だろう。上級モデルと同じ操作感の10スピードコンポーネントをアッセンブルしながらリーズナブル価格で実現されたパッケージングは秀逸といって過言ではない。
内蔵されたケーブルはBB下より姿を現す
内側にベンドさせることで振動吸収性も両立したシートステー
マヴィック・アクシウムホイールを標準でアッセンブル。さらに高性能ホイールを使用すれば戦闘力の向上も期待できる
予算的に余裕があれば、アルテグラDi2やアルテグラの選択肢も見えてくるが、徐々にパーツを交換して自分好みに仕上げる余地の大きい105完成車がもつ魅力はやはり大きい。
コストパフォーマンス溢れるこの車体を、テスター両氏はどう評するのだろうか?早速、インプレッションをお届けしよう。
―インプレッション
「コンセプトが明確に打ち出せているエントリーバイク」 鈴木祐一(RiseRide)
ロードバイクのすべての性能を1台に盛り込むというのは、不可能に近いところがあって、それをしようと思うと非常に予算がかかってしまう。限られた予算の中で、エックスライトはコンセプトが明確に打ち出せている。そのコンセプトとはロードバイクを初めて買われる方に向けられていて、その位置づけにあるカーボンバイクなのかなと思う。
インターマックスブランドとしては他に究極のレーシングをリリースするなど、いろいろなバイクをリリースしているなかで、X-LIGHTは安心して乗れる落ちついたバイクに仕上がっている。デザインが一新されて、それとともに乗り手のコンセプトを考えてプロデュースしていて、ターゲットは明確だ。
今回乗ったのはシマノ・アルテグラの仕様だけど、予算を抑えた105仕様もある。あるいは注目の電動コンポーネント、アルテグラDi2仕様をアッセンブルすることでシフトコントロールの難しさをクリアし、よりロードバイクが親しみやすい存在になる。このパーツアッセンブルも含めた上でコンセプトがしっかりと成立している。
エックスライトはコンセプトが明確に打ち出せている。
ロードの特長的な部分はドロッップハンドルで、これが不安定さを感じたり、ハンドル幅も通常よりも狭く、コントロールしにくいように感じる。たしかに安定性や安心感はMTBやクロスバイクの方が優れているだろう。そういった背景もあり、エックスライトから感じる高い安定性は、かなり意識して設計したのだろうと思う。
インターマックスのラインナップはイタリアンバイクのコンセプトに近いというか、直進安定性が強い作りをしてくる。そのライディングフィールを受け継いでいる。これのおかげで初心者でも乗りやすく感じられるだろう。レースに出場しているようなレーサーが乗るとハンドリングがもたつくフィーリングと感じるかもしれないが、例えばステアリングダンパーがついているような切れ込まないステアリング特性はうまくまとまっていて、ビギナーにはむしろ安心・快適に感じられたりするものだ。
安定感があるフレーム設計になっていると思う。バイク全体にしても低重心設計で、高いスタビリティを実現している。重心が高いと不安定になるものだが、低く抑えることでペダリングのリズムを取りやすくなる。良い意味で重さを活かし、ペダルの上に体重を載せて走ることができる。例えるなら足場、あるいは土台がしっかりしているイメージだ。
安定感から生み出される快適さもある。ロングライドでもそのパフォーマンスを発揮できそうだ。長く乗ることで、さらに良さがにじみ出てくるだろう。また、パーツアッセンブルはデダなど信頼のブランドで構成されていて、バイク全体のデザインが整って美しいのも特長だ。また、レースイベントなどへの出場を考えるならホイールの交換は有効だ。ホイールをグレードアップして乗り味の変化を楽しむのもよいだろう。
「角が取れ、乗りこなしやすくリ・デザインされて生まれ変わった」 山本健一(ロードバイクジャーナリスト)
ナチュラルな挙動によって誰でも受け入れやすくなっている。 エックスライトといえば大口径肉薄のカーボンチューブを組み合わせ、当時では市販モデルとしては画期的なフレーム単体重量1000g以下というスペックに衝撃を受けたものだ。価格も20万円前後と高性能軽量カーボンフレームとしては破格で、乗る機会があるたびにそのハイパフォーマンスに感激したものだ。
その後、エックスライトはマイナーチェンジを重ねて、パフォーマンスを改善してきた。現在は、ニューモデルの登場によってカーボンフレームのエントリーもしくはミドルグレードモデルとしてトッブダウンし、多くのエントリーユーザーの走りを支えている。
そして2012年モデルのエックスライトは、フルモデルチェンジを果たし、次の段階へシフトしていった。しかしながらその名の由来である軽さについては、フレーム重量1000g 前後とその名のとおりブレはない。
その走りは、かつての尖ったストイックなまでの運動性能から、やや丸くなった印象こそ感じられるが、ナチュラルな挙動によって誰でも受け入れやすくなっている。また、フォークやフレームの重心バランスが良好で、実に乗りこなしやすく設計されている。
とはいえ、インターマックスらしくレースを視野にいれた性能を継承し、ペダリングパワーに対して、踏んだだけ応えるレスポンスの良さがある。さらに高い剛性感をもつバイクながらも、トゲトゲとした印象がなく、踏み心地はマイルド傾向にある。低速の踏み出しから高速にかけては剛性とバランスがミックスされ、極上の安定感を生み出している。
快適性能は、レーシング性能を追求するのならこれで十分なレベルだろう。ロードインフォメーションを的確に伝えることができ、路面状況に対し即座に対処ができる。アッセンブルしているパーツは、コストを抑えながらもできるだけフレーム性能を引き出すようセレクトしている。足回りのマヴィック・アクシウムもこの価格帯では万能に使えるといえる。
コンポーネントもシマノ105、アルテグラ、そしてアルテグラDi2に対応する。電動コンポーネントを載せてレースをするもよし、ラグジュアリーな走りを目指すのもよいだろう。スペック的にもセーフティマージンを高めているだろう。
フレームはおそらく、より軽くできる技術があっても対象ユーザーなどのことを考慮して、幾ばくかのセーフティマージンを優先してキープしたのだと推測できる。現にステアリングの安定性の高さや、ダウンヒル性能、上り返しなど、バイク性能が顔を出す場面での余裕ある挙動から、十分なポテンシャルを秘めるバイクだと伺える。
レース出場を目指す競技用バイクとしてもよいだろうし、サイクリングを楽しむ高級車として優雅に乗るのもよいだろう。さらに日本ブランドであり、ジオメトリーも日本人を対象としたものだろう。スペックとして重要なジオメトリーに不安がないというだけで、誰にでも受け入れやすい1台だといえそうだ。
INTERMAX X-LIGHT (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
INTERMAX X-LIGHT
カラー:ホワイト×ブラック、ブラック×ホワイト、マットグレー×マットブルー
チューブ:ハイモジュラスカーボン
サイズ:XS(470)、S(500)、M(530)、L(550)
重量:990g(フレーム単体)
価格:389,000 円(税込み)/アルテグラDI2完成車
275,000円(税込み)/アルテグラ完成車
215,000円(税込み)/105完成車
インプレライダーのプロフィール
鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
山本健一(バイクジャーナリスト) 山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
ウェア協力:ビエンメB+(フォーチュン)
text:Kenichi.YAMAMOTO
photo:Makoto AYANO
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そして2012年モデルとして、ミドルグレードの軽量オールラウンダーとして位置づけられるX-LIGHT(エックスライト)がフルモデルチェンジを果たした。
前作はフレーム重量950gのオールラウンドバイクとして登場。軽さと剛性の巧みなバランスにより、優れたクライミング性能を誇るカーボンモノコックフレームとして多くのライダーに支持された。ハイエンドに肉薄する性能をもたせながら、若手のレーサーにも受け入れられやすい価格も人気のポイントで、2011年シーズンは105仕様の完成車を約21万円でリリースし、大好評を得た。
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細部にも徹底的な改良が行われていることも見逃せない。前作ではラウンド形状を多用したフレームであったのに対して、新生エックスライトではそれぞれのチューブが剛性の確保や振動吸収など、期待される役割を的確に受け持つかのように、複雑なチューブ形状が採用されている。さらにワイヤーのフレーム内蔵処理も行われ、高級感も演出されている。
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フレーム単体重量は1000g。最近の超軽量バイクから比べると標準的なスペックであることは否めない。しかし105完成車で215,000円の据え置き価格を考えると十分な軽さであることも事実だ。前作と比べた重量増をわずか50gにとどめたなかで、上下異径ヘッドの採用をはじめとしたスペックアップがなされたことは十分評価できる。
なによりバイクの軽さはフレームだけで達成するものではなく、アッセンブルするパーツで大きく変わってくるのだ。この新作フレームでもパーツ構成次第ではUCI規定の6.8kgを下回ることは十分可能であるし、軽量バイクの優位性は信頼のおけるフレームを核としたときに初めて活きてくるのだ。
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新生エックスライトには3種類の完成車がラインナップされる。そのなかでも注目なのがアルテグラDi2をアッセンブルしたモデルだ。40万円を下回る389,000円という価格は、各社がこぞってリリースしたアルテグラDi2完成車の中でも十分に戦略的な価格であり、ユーザーに計り知れない恩恵をもたらせてくれる。
ちなみにDi2電動コンポーネントの優位性はすでに誰もが知るとおり。ピュアレーサーはもちろんのこと、一般のユーザーにとってもストレスフリーな走りを実現してくれるものだ。そして「電動コンポーネントはまだ必要ない」という中級ユーザーにはメカ式アルテグラ完成車がオススメだ。
デュラエースにも投入されるテクノロジーを多く盛り込んだアルテグラであれば、レースにおいても十分な戦闘力を発揮してくれる。
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コストパフォーマンス溢れるこの車体を、テスター両氏はどう評するのだろうか?早速、インプレッションをお届けしよう。
―インプレッション
「コンセプトが明確に打ち出せているエントリーバイク」 鈴木祐一(RiseRide)
ロードバイクのすべての性能を1台に盛り込むというのは、不可能に近いところがあって、それをしようと思うと非常に予算がかかってしまう。限られた予算の中で、エックスライトはコンセプトが明確に打ち出せている。そのコンセプトとはロードバイクを初めて買われる方に向けられていて、その位置づけにあるカーボンバイクなのかなと思う。
インターマックスブランドとしては他に究極のレーシングをリリースするなど、いろいろなバイクをリリースしているなかで、X-LIGHTは安心して乗れる落ちついたバイクに仕上がっている。デザインが一新されて、それとともに乗り手のコンセプトを考えてプロデュースしていて、ターゲットは明確だ。
今回乗ったのはシマノ・アルテグラの仕様だけど、予算を抑えた105仕様もある。あるいは注目の電動コンポーネント、アルテグラDi2仕様をアッセンブルすることでシフトコントロールの難しさをクリアし、よりロードバイクが親しみやすい存在になる。このパーツアッセンブルも含めた上でコンセプトがしっかりと成立している。
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インターマックスのラインナップはイタリアンバイクのコンセプトに近いというか、直進安定性が強い作りをしてくる。そのライディングフィールを受け継いでいる。これのおかげで初心者でも乗りやすく感じられるだろう。レースに出場しているようなレーサーが乗るとハンドリングがもたつくフィーリングと感じるかもしれないが、例えばステアリングダンパーがついているような切れ込まないステアリング特性はうまくまとまっていて、ビギナーにはむしろ安心・快適に感じられたりするものだ。
安定感があるフレーム設計になっていると思う。バイク全体にしても低重心設計で、高いスタビリティを実現している。重心が高いと不安定になるものだが、低く抑えることでペダリングのリズムを取りやすくなる。良い意味で重さを活かし、ペダルの上に体重を載せて走ることができる。例えるなら足場、あるいは土台がしっかりしているイメージだ。
安定感から生み出される快適さもある。ロングライドでもそのパフォーマンスを発揮できそうだ。長く乗ることで、さらに良さがにじみ出てくるだろう。また、パーツアッセンブルはデダなど信頼のブランドで構成されていて、バイク全体のデザインが整って美しいのも特長だ。また、レースイベントなどへの出場を考えるならホイールの交換は有効だ。ホイールをグレードアップして乗り味の変化を楽しむのもよいだろう。
「角が取れ、乗りこなしやすくリ・デザインされて生まれ変わった」 山本健一(ロードバイクジャーナリスト)
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そして2012年モデルのエックスライトは、フルモデルチェンジを果たし、次の段階へシフトしていった。しかしながらその名の由来である軽さについては、フレーム重量1000g 前後とその名のとおりブレはない。
その走りは、かつての尖ったストイックなまでの運動性能から、やや丸くなった印象こそ感じられるが、ナチュラルな挙動によって誰でも受け入れやすくなっている。また、フォークやフレームの重心バランスが良好で、実に乗りこなしやすく設計されている。
とはいえ、インターマックスらしくレースを視野にいれた性能を継承し、ペダリングパワーに対して、踏んだだけ応えるレスポンスの良さがある。さらに高い剛性感をもつバイクながらも、トゲトゲとした印象がなく、踏み心地はマイルド傾向にある。低速の踏み出しから高速にかけては剛性とバランスがミックスされ、極上の安定感を生み出している。
快適性能は、レーシング性能を追求するのならこれで十分なレベルだろう。ロードインフォメーションを的確に伝えることができ、路面状況に対し即座に対処ができる。アッセンブルしているパーツは、コストを抑えながらもできるだけフレーム性能を引き出すようセレクトしている。足回りのマヴィック・アクシウムもこの価格帯では万能に使えるといえる。
コンポーネントもシマノ105、アルテグラ、そしてアルテグラDi2に対応する。電動コンポーネントを載せてレースをするもよし、ラグジュアリーな走りを目指すのもよいだろう。スペック的にもセーフティマージンを高めているだろう。
フレームはおそらく、より軽くできる技術があっても対象ユーザーなどのことを考慮して、幾ばくかのセーフティマージンを優先してキープしたのだと推測できる。現にステアリングの安定性の高さや、ダウンヒル性能、上り返しなど、バイク性能が顔を出す場面での余裕ある挙動から、十分なポテンシャルを秘めるバイクだと伺える。
レース出場を目指す競技用バイクとしてもよいだろうし、サイクリングを楽しむ高級車として優雅に乗るのもよいだろう。さらに日本ブランドであり、ジオメトリーも日本人を対象としたものだろう。スペックとして重要なジオメトリーに不安がないというだけで、誰にでも受け入れやすい1台だといえそうだ。
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INTERMAX X-LIGHT
カラー:ホワイト×ブラック、ブラック×ホワイト、マットグレー×マットブルー
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重量:990g(フレーム単体)
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275,000円(税込み)/アルテグラ完成車
215,000円(税込み)/105完成車
インプレライダーのプロフィール
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サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
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身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
ウェア協力:ビエンメB+(フォーチュン)
text:Kenichi.YAMAMOTO
photo:Makoto AYANO
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