昨年好評だったみとよ”うどん”ロード。今年は四国地域ロードも兼ねて開催。シマノレーシングが参加、県知事や国会議員も来訪した2日間を振り返る。

瀬戸内海に面する香川県はほぼ毎夏水不足に見舞われる。香川県三豊市山本町の宝山湖は、これを解消しようと09年に水資源機構が建設した香川用水の調整池だ。
この周辺は公園になっており、管理用道路も含めた1周3.5kmがレースのコースだ。堰堤までの上り区間が一番の難所。上ってからも平坦で休みどころがない。

スラロームTTスタートスラロームTTスタート photo:Hideaki.TAKAGI1日目はサイクルスポーツ教室

初日の10月29日(土)は、地元在住の真鍋和幸(マトリックスパワータグ)、シマノレーシングからは畑中勇介、鈴木譲、阿部嵩之、平塚吉光、青柳憲輝の5名そして会場近くに住む星川恵利奈(湘南ベルマーレ)が参加してのウィーラースクールだ。
とにかく子供たちが元気。一言かければ10倍で返してくる。楽しみながら自転車のルールを学んでいく。こうした取り組みが、左側通行や車道走行の徹底に確実に一役買う。

屋外では実際に走って覚えていく。締めは個人タイムトライアル。昨年も来た子どもたちはもちろん選手のことを覚えている。その中でも一番人気は阿部。昨年と同じく、今年も圧倒的なスピードを披露。子どもだけでなく大人からも喝采を浴びていた。
第2回はこんなにたくさん集まりました第2回はこんなにたくさん集まりました photo:Hideaki.TAKAGI

壮年 永井博之(TRAP)が優勝壮年 永井博之(TRAP)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI四国地域+チャンピオン 6周目の先頭。招待選手がハイペースを維持する四国地域+チャンピオン 6周目の先頭。招待選手がハイペースを維持する photo:Hideaki.TAKAGI四国地域+チャンピオン 青柳憲輝(シマノレーシング)がオープン優勝四国地域+チャンピオン 青柳憲輝(シマノレーシング)がオープン優勝 photo:Hideaki.TAKAGI四国地域+チャンピオン 藤岡克磨(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)が優勝四国地域+チャンピオン 藤岡克磨(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI四国地域大会も同時開催のロードレース

2日目の10月30日(日)はロードレース。朝から雨が終始降り続く天候だったが、各クラスで熱戦が繰り広げられた。
真鍋やシマノレーシングの選手が、各クラスで安全に走れるようリードする。参加者のほとんどが四国在住者。憧れのトップ選手とともに走った後はサインをもらう姿も。

今年の四国地域ロードは当初別の場所で行われる予定だったが、災害のためこのみとよロードのチャンピオンクラスで同時に行われることになった。四国のナンバーワンを決めるレースに、シマノレーシングや真鍋が出るとあって注目が集まる。
シマノレーシングや真鍋は招待のオープン扱いで順位は付くが、四国地域ロードしては対象外だ。彼らはこのクラスに限ってはガチンコ勝負。活性化させることで高いレベルのレースにすることが一番。

2分半遅れでスタートしたシマノレーシングの5名は前を行く選手たちを追う。そしてわずか4周目にはその先頭に追いつく。ここで真鍋とともにシマノレーシングはハイペースを維持する。たまらず集団は一列棒状になり小さくなっていく。シマノレーシングの時々のアタックに付いていく選手も。

先頭集団から一人ずつのアタックで5人全員が抜け出したシマノレーシングが先にゴール。青柳が渾身のガッツポーズでゴール。手を抜かない気迫を感じさせた。

四国チャンピオンは20歳の藤岡克磨

四国地域クラスでは、終盤に抜け出した藤岡克磨(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)が優勝。藤岡は途中でアタックするなど、常に積極的に展開。
藤岡は昨年にパールイズミのプログラムでヨーロッパで走った。今年のツール・ド・北海道も完走した徳島県在住の20歳。
藤岡は「優勝は今年初めてで3年ぶりくらいなので嬉しいです。シマノレーシングや真鍋さんはやっぱり速いです。一度、青柳さんに付いて逃げましたが、そこでかなり苦しくなって、吸収後も回復しないままで後半は我慢の走りでした。普段は徳島で一人で練習しています。今年の全日本もエリートで出ましたが、これからも上を目指します」と語る。

県知事、国会議員など豪華な来賓

アトランタオリンピックに出場した真鍋は、地元では抜群の知名度と人気だ。その真鍋が「支援してくれた地元への恩返し」として中心的存在で開催したのが昨年度。
その真鍋の声かけにシマノレーシングが賛同して参加。さらに支援者達のつながりで当日は豪華な来賓も。朝から木村義雄元厚生労働副大臣と山下昭史香川県議が来訪。昼には浜田恵造香川県知事そしてさぬきクロスでもおなじみの植松恵美子参議院議員が来訪。代理でなくいずれも本人だ。この大会を根付かせたい地元とそして来賓の熱意を感じる。
浜田恵造香川県知事がかけつける。スターターも浜田恵造香川県知事がかけつける。スターターも photo:Hideaki.TAKAGI四国地域+チャンピオン 植松恵美子参議院議員がスターター四国地域+チャンピオン 植松恵美子参議院議員がスターター photo:Hideaki.TAKAGI


「いつかは全日本クラスを」香川県自転車競技連盟 高畑氏

運営の中心は香川県自転車競技連盟の高畑氏だ。その高畑氏にこれからの考えを聞いてみた。
「2年目でそれぞれができる役割をこなすことができた。嬉しいことに、地元からはもっと大きな大会にして欲しいとも言われている。いつかはここを発着点にして1周十数キロのコースで全日本クラスの大会を開きたい」
「観音寺でトライアスロン、善通寺はシクロクロスで先行、三豊はロード、それからMTBの計画もある。観音寺競輪場でアマチュアの大会など、香川西部で自転車を盛んにさせたい。種目を横断的に楽しむこともできる」
「ここでレースをすることは、四国の人にとっては本州への橋を渡らず経済的にも嬉しいこと。真鍋選手など地元関係の選手や役員の関係を最大限に生かせたらと思う」
「今回は公的資金は使っていない。行政からは人材を出してもらっている。民間が主導できればと考えている」
地元の熱意で2回目の開催となったこの大会。数年後には香川西部でロード、シクロクロス、トラック、MTB、トライアスロンのすべてが行われているはずだ。

四国地域+チャンピオン オープン優勝のシマノレーシングにはたくさんの米が四国地域+チャンピオン オープン優勝のシマノレーシングにはたくさんの米が photo:Hideaki.TAKAGI会場で振舞われるのは、こがね製麺所の讃岐うどん。がらぱさん、何杯目?会場で振舞われるのは、こがね製麺所の讃岐うどん。がらぱさん、何杯目? photo:Hideaki.TAKAGI



photo&text:高木秀彰