2011/10/10(月) - 01:43
2011年10月9日、フランスで第105回パリ〜トゥール(UCI 1.HC)が開催され、横風によって細分化したメイン集団が失速する中、21名の逃げグループから飛び出したフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が勝利した。
フランスを代表する伝統の一戦、パリ〜トゥール。フランス中部の平野部を駆ける230.5kmのワンデークラシックだ。
2008年にUCIプロツアーからHC(超級)クラスの格下げされたものの、格式の高さは変わらない。主催者はツール・ド・フランスと同じASO(アモリー・スポール・オルガニザシオン)。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)のアルカンシェル初披露に注目が集まったこの日、レースはスタート直後からダヴィ・ブシェー(フランス、オメガファーマ・ロット)ら7名が逃げる。メイン集団とのタイム差は47km地点で11分05秒まで広がった。
メイン集団は連覇を狙うラボバンクや、カヴのレインボーウィンを狙うHTC・ハイロードがコントロール。しかしゴールまで110kmを残した横風区間でBMCレーシングチームがペースアップを図ると、中切れによってメイン集団は細分化。カヴを始めとするスプリンターたちは、アシストを失いながらもメイン集団に残った。
やがてゴールまで70kmを残して次なる動きが生まれる。スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)やファンアフェルマートを含む14名がメイン集団から飛び出し、追走の末に先頭7名に合流。先頭グループは21名まで膨れ上がった。
1分30秒後方のメイン集団は、積極的にコントロールするチームを欠き、ペースが下がる一方。優勝候補のフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)らがアタックを仕掛けるも失敗に終わる。
大人数の逃げグループが先行しながらもメイン集団のペースが上がらない状況を嫌って、新城幸也(ユーロップカー)がラスト55km地点でアタック。しかしこれらのアタックは功を奏さず、逃げとメイン集団のタイム差は1分30秒を推移する。
HTC・ハイロードやFDJ、サクソバンク・サンガードの集団牽引は長続きしない。ゴールまで25kmを切ると、ジルベールやジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)が断続的にアタックを仕掛けたが、最後まで先頭グループとのタイム差は縮まらず。結局21名の先頭グループが逃げ切る結果となった。
21名の逃げ切りが濃厚になると、逃げグループの中からラスト15km地点でアルノー・ジェラール(フランス、FDJ)がアタック。ジェラールは独走で終盤のアップダウン区間に入った。
ラスト10km地点の「ボーソレイユ」の登りで飛び出したマルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)とファンアフェルマートが、ラスト7km地点の「コート・ド・レパン」で先頭ジェラールを抜きさって行く。
先頭に立ったマルカートとファンアフェルマートの2人は、ローテーションを回して後続を突き放す。トラム工事によって600mに短縮されたトゥールのグラモン大通りに、マルカートとファンアフェルマートが牽制しながら入って来た。
マルカート前、ファンアフェルマート後ろの牽制状態。ラスト200mでスプリントを開始したファンアフェルマートが、スプリンターならではの加速力で先頭へ。酷使して悲鳴を上げる脚を押さえて失速するマルカートを振り切り、ファンアフェルマートが先頭でゴールした。
ファンアフェルマートは26歳のスプリンター。2006年のパリ〜トゥール・エスポワール(U23レース)で2位。2008年のブエルタ・ア・エスパーニャではステージ1勝を飾り、最終的にポイント賞に輝いている。ベルギー人選手と相性が良いと言われるパリ〜トゥールで、第105代チャンピオンに輝いた。ベルギー人による優勝は40回目。
「逃げグループに入ったBMCレーシングチームの選手は自分一人だけ。戦況は決して良好とは言えなかった。登りでのマルカートのアタックに反応できたかどうかが、勝負の分かれ道だったと思う。格式の高いクラシックであるパリ〜トゥールで勝つことができて嬉しい。キャリア最大の勝利だ。来シーズンはジルベール、フースホフト、エヴァンスがチームに揃う。でも、クラシックレースでは、自分もエースの器であることをこの勝利で証明できたと思う。」
最後まで逃げを追いきれなかったメイン集団は1分23秒遅れでゴール。ユキヤはこのメイン集団内でレースを終えている。ユキヤは10月13日のジロ・デル・ピエモンテ(1.HC)と10月15日のジロ・ディ・ロンバルディア(UCIワールドツアー)を走る予定。その後帰国し、日本ナショナルチームのメンバーとしてジャパンカップを走る。
選手コメントはベルギーのSPORT.BEより。
パリ〜トゥール2011結果
1位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 5h21'43"
2位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +02"
3位 キャスパー・クロステルガード(デンマーク、サクソバンク・サンガード) +15"
4位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
5位 ラスロ・ボドロギ(フランス、チームタイプ1)
6位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ) +22"
7位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック)
8位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)
9位 ロイ・カーヴァス(オランダ、スキル・シマノ)
10位 アルノー・ジェラール(フランス、FDJ) +26"
37位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +1'23"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
フランスを代表する伝統の一戦、パリ〜トゥール。フランス中部の平野部を駆ける230.5kmのワンデークラシックだ。
2008年にUCIプロツアーからHC(超級)クラスの格下げされたものの、格式の高さは変わらない。主催者はツール・ド・フランスと同じASO(アモリー・スポール・オルガニザシオン)。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)のアルカンシェル初披露に注目が集まったこの日、レースはスタート直後からダヴィ・ブシェー(フランス、オメガファーマ・ロット)ら7名が逃げる。メイン集団とのタイム差は47km地点で11分05秒まで広がった。
メイン集団は連覇を狙うラボバンクや、カヴのレインボーウィンを狙うHTC・ハイロードがコントロール。しかしゴールまで110kmを残した横風区間でBMCレーシングチームがペースアップを図ると、中切れによってメイン集団は細分化。カヴを始めとするスプリンターたちは、アシストを失いながらもメイン集団に残った。
やがてゴールまで70kmを残して次なる動きが生まれる。スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)やファンアフェルマートを含む14名がメイン集団から飛び出し、追走の末に先頭7名に合流。先頭グループは21名まで膨れ上がった。
1分30秒後方のメイン集団は、積極的にコントロールするチームを欠き、ペースが下がる一方。優勝候補のフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)らがアタックを仕掛けるも失敗に終わる。
大人数の逃げグループが先行しながらもメイン集団のペースが上がらない状況を嫌って、新城幸也(ユーロップカー)がラスト55km地点でアタック。しかしこれらのアタックは功を奏さず、逃げとメイン集団のタイム差は1分30秒を推移する。
HTC・ハイロードやFDJ、サクソバンク・サンガードの集団牽引は長続きしない。ゴールまで25kmを切ると、ジルベールやジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)が断続的にアタックを仕掛けたが、最後まで先頭グループとのタイム差は縮まらず。結局21名の先頭グループが逃げ切る結果となった。
21名の逃げ切りが濃厚になると、逃げグループの中からラスト15km地点でアルノー・ジェラール(フランス、FDJ)がアタック。ジェラールは独走で終盤のアップダウン区間に入った。
ラスト10km地点の「ボーソレイユ」の登りで飛び出したマルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)とファンアフェルマートが、ラスト7km地点の「コート・ド・レパン」で先頭ジェラールを抜きさって行く。
先頭に立ったマルカートとファンアフェルマートの2人は、ローテーションを回して後続を突き放す。トラム工事によって600mに短縮されたトゥールのグラモン大通りに、マルカートとファンアフェルマートが牽制しながら入って来た。
マルカート前、ファンアフェルマート後ろの牽制状態。ラスト200mでスプリントを開始したファンアフェルマートが、スプリンターならではの加速力で先頭へ。酷使して悲鳴を上げる脚を押さえて失速するマルカートを振り切り、ファンアフェルマートが先頭でゴールした。
ファンアフェルマートは26歳のスプリンター。2006年のパリ〜トゥール・エスポワール(U23レース)で2位。2008年のブエルタ・ア・エスパーニャではステージ1勝を飾り、最終的にポイント賞に輝いている。ベルギー人選手と相性が良いと言われるパリ〜トゥールで、第105代チャンピオンに輝いた。ベルギー人による優勝は40回目。
「逃げグループに入ったBMCレーシングチームの選手は自分一人だけ。戦況は決して良好とは言えなかった。登りでのマルカートのアタックに反応できたかどうかが、勝負の分かれ道だったと思う。格式の高いクラシックであるパリ〜トゥールで勝つことができて嬉しい。キャリア最大の勝利だ。来シーズンはジルベール、フースホフト、エヴァンスがチームに揃う。でも、クラシックレースでは、自分もエースの器であることをこの勝利で証明できたと思う。」
最後まで逃げを追いきれなかったメイン集団は1分23秒遅れでゴール。ユキヤはこのメイン集団内でレースを終えている。ユキヤは10月13日のジロ・デル・ピエモンテ(1.HC)と10月15日のジロ・ディ・ロンバルディア(UCIワールドツアー)を走る予定。その後帰国し、日本ナショナルチームのメンバーとしてジャパンカップを走る。
選手コメントはベルギーのSPORT.BEより。
パリ〜トゥール2011結果
1位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 5h21'43"
2位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +02"
3位 キャスパー・クロステルガード(デンマーク、サクソバンク・サンガード) +15"
4位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
5位 ラスロ・ボドロギ(フランス、チームタイプ1)
6位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ) +22"
7位 ジョフロワ・ルカトル(フランス、レディオシャック)
8位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)
9位 ロイ・カーヴァス(オランダ、スキル・シマノ)
10位 アルノー・ジェラール(フランス、FDJ) +26"
37位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +1'23"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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