2011/09/11(日) - 08:48
第20ステージは、バスクのビルバオからビトリアまでの185km。翌日が最終日マドリッドのステージのため、逃げ狙いの選手にとっては実質最後のチャンス。13秒差で総合2位につけるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)にとっても、逆転マイヨロホ獲得の最後のチャンスだ。
4つのカテゴリー山岳が設定されており、その締めくくりが登坂距離5.5km・高低差505mの1級山岳ウルキオラ峠を越えて47kmの平坦路を走りゴールする。逃げにうってつけのアップダウンに富むコースで、この日もスタート直後からアタックが連発。
逃げ集団が形成されたのは、25km地点。カルロス・バレード(スペイン、ラボバンク)やアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)、ロバート・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)ら27名が前に出た。ステージ優勝狙いの選手から、総合順位を上げたい選手までその顔ぶれと思惑は様々。
100km地点を過ぎて逃げ集団とメイン集団の差は2分30秒。マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)がこの日3つの山岳ポイントを連続して獲得する中、レディオシャックが集団のスピードを上げ最後の1分までウルキオラ峠を1分差まで追い込んでいく。
ゴールまで残り55km地点から始まるこの登りで、バレードがアタック。これについていけたのはチュルカやロッシュ、キセロフスキー、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)、ステフェン・クルイシュヴィック(オランダ、ラボバンク)ら。
再びバレードがアタックで抜け出し、追走グループまで45秒差、迫り来る集団は1分45秒差でこの山頂を通過する。ここからの平坦路で集団をコントロールするのはレオパード・トレック。逃げにのって登りをこなしたエーススプリンター、ベンナーティでの勝利を狙うこの動きは、残り30km地点で追走グループを吸収。
残り20kmを手前に、集団からフルームがアタック。すでに中間スプリントポイントもない地点でのこの動きだが、119km地点の中間スプリントポイントが169km地点に変更になったことを受けてのアタックだった。しかしこれは先頭を走るバレード、集団から飛び出していたカルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC)、そして集団からはブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が通過したため、フルームのボーナスタイム獲得はならず。
追走に回ったサストレはバレードに合流し、2名で先頭をひた走る。残り10km地点で、レオパード・トレックの引く集団まで30秒差。残り7kmで単独先頭に躍り出たサストレだったが、アスタナも牽引に加わった集団には抗えず、残り2kmで吸収される。
集団スプリントに向けて完璧なトレインを形成したのはレオパード・トレック。登りで生き残った選手たちによる列車が、ベンナーティを発射するとやはりいい位置につけていたエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)も後ろにつくのが精一杯。
これまでグランツールで優勝を飾ってきたベンナーティだが、これがブエルタでの通算5勝目となる勝利。2007年に3勝、2008年い1勝している。今大会は序盤から上位に食い込み、マイヨロホも着たベンナーティは、最後にようやく区間優勝を収めた。総合上位陣は集団でゴールしたため、総合成績には変動無し。コーボが13秒差でマイヨロホを着て、最終日のマドリッドステージに臨むことになった。
前半から積極的に動いた土井雪広(日本、スキル・シマノ)は、10分23秒遅れの107位でゴール。逃げることは叶わなかったが、無事にマドリッドまでたどり着いた。日本人初のブエルタ完走はもう目の前だ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第20ステージ
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック) 4h39'20"
2位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
3位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 セップ・ファンマルケ(ベルギー、)ガーミン・サーヴェロ
5位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
6位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、クイックステップ)
8位 クリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
107位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +10'23"
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 82h38'32"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13"
3位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +1'39"
4位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +2'03"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC) +3'48"
6位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +4'13"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +4'31"
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +4'45"
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +5'20"
10位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +5'33"
11位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +5'50"
12位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) +7'04"
13位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ) +7'22"
14位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター) +8'52"
15位 セルゲイ・ラグディン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ) +8'57"
16位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +10'25"
17位 ワウテル・ポーエルズ(オランダ、ヴァカンソレイユ) +11'42"
18位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ) +13'27"
19位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +14'31"
20位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC) +19'47"
150位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +4h29'51"
ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 115pts
2位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) 115pts
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 92pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) 63pts
2位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル) 56pts
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 42pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 7pts
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 14pts
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) 18pts
チーム総合成績
1位 ジェオックスTMC 247h29'31"
2位 レオパード・トレック +10'19"
3位 エウスカルテル +16'23"
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
4つのカテゴリー山岳が設定されており、その締めくくりが登坂距離5.5km・高低差505mの1級山岳ウルキオラ峠を越えて47kmの平坦路を走りゴールする。逃げにうってつけのアップダウンに富むコースで、この日もスタート直後からアタックが連発。
逃げ集団が形成されたのは、25km地点。カルロス・バレード(スペイン、ラボバンク)やアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)、ロバート・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)ら27名が前に出た。ステージ優勝狙いの選手から、総合順位を上げたい選手までその顔ぶれと思惑は様々。
100km地点を過ぎて逃げ集団とメイン集団の差は2分30秒。マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)がこの日3つの山岳ポイントを連続して獲得する中、レディオシャックが集団のスピードを上げ最後の1分までウルキオラ峠を1分差まで追い込んでいく。
ゴールまで残り55km地点から始まるこの登りで、バレードがアタック。これについていけたのはチュルカやロッシュ、キセロフスキー、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)、ステフェン・クルイシュヴィック(オランダ、ラボバンク)ら。
再びバレードがアタックで抜け出し、追走グループまで45秒差、迫り来る集団は1分45秒差でこの山頂を通過する。ここからの平坦路で集団をコントロールするのはレオパード・トレック。逃げにのって登りをこなしたエーススプリンター、ベンナーティでの勝利を狙うこの動きは、残り30km地点で追走グループを吸収。
残り20kmを手前に、集団からフルームがアタック。すでに中間スプリントポイントもない地点でのこの動きだが、119km地点の中間スプリントポイントが169km地点に変更になったことを受けてのアタックだった。しかしこれは先頭を走るバレード、集団から飛び出していたカルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC)、そして集団からはブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が通過したため、フルームのボーナスタイム獲得はならず。
追走に回ったサストレはバレードに合流し、2名で先頭をひた走る。残り10km地点で、レオパード・トレックの引く集団まで30秒差。残り7kmで単独先頭に躍り出たサストレだったが、アスタナも牽引に加わった集団には抗えず、残り2kmで吸収される。
集団スプリントに向けて完璧なトレインを形成したのはレオパード・トレック。登りで生き残った選手たちによる列車が、ベンナーティを発射するとやはりいい位置につけていたエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)も後ろにつくのが精一杯。
これまでグランツールで優勝を飾ってきたベンナーティだが、これがブエルタでの通算5勝目となる勝利。2007年に3勝、2008年い1勝している。今大会は序盤から上位に食い込み、マイヨロホも着たベンナーティは、最後にようやく区間優勝を収めた。総合上位陣は集団でゴールしたため、総合成績には変動無し。コーボが13秒差でマイヨロホを着て、最終日のマドリッドステージに臨むことになった。
前半から積極的に動いた土井雪広(日本、スキル・シマノ)は、10分23秒遅れの107位でゴール。逃げることは叶わなかったが、無事にマドリッドまでたどり着いた。日本人初のブエルタ完走はもう目の前だ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第20ステージ
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック) 4h39'20"
2位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
3位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
4位 セップ・ファンマルケ(ベルギー、)ガーミン・サーヴェロ
5位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
6位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、クイックステップ)
8位 クリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
107位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +10'23"
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 82h38'32"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13"
3位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +1'39"
4位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +2'03"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC) +3'48"
6位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +4'13"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +4'31"
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +4'45"
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +5'20"
10位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル) +5'33"
11位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +5'50"
12位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) +7'04"
13位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ) +7'22"
14位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター) +8'52"
15位 セルゲイ・ラグディン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ) +8'57"
16位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +10'25"
17位 ワウテル・ポーエルズ(オランダ、ヴァカンソレイユ) +11'42"
18位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ) +13'27"
19位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +14'31"
20位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC) +19'47"
150位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +4h29'51"
ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 115pts
2位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) 115pts
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 92pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) 63pts
2位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル) 56pts
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 42pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) 7pts
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 14pts
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) 18pts
チーム総合成績
1位 ジェオックスTMC 247h29'31"
2位 レオパード・トレック +10'19"
3位 エウスカルテル +16'23"
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
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