2011/07/23(土) - 13:59
アルプス最終日を迎えたツール・ド・フランス第19ステージ。コンタドールが序盤から積極的に動いたが、アルプデュエズを制したのはフランス期待の新星ロラン。マイヨジョーヌ、山岳賞、新人賞の各賞も大きく動いた。
ステージ優勝と新人賞を獲得したピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
トマ(ヴォクレール)のマイヨジョーヌを守るために、できることはなんでもやりたかった。だけど、ガリビエの登りでトマが僕に言ったんだ。「チャンスをつかめ。僕のことは気にするな」と。このときあらためて彼が偉大なチャンピオンだとわかった。僕に「ベストなタイミングで行け」と言えるくらいなんだよ。僕はすぐに谷でのアタックに備えることにした。それにここは去年何度も走っていて、よく知っている登りなんだ。
ふたりのスペイン人(コンタドールとサムエル・サンチェス)と一緒になったとき、ふたりともお互いをよく知っていることに気づいた。だから、自分にこう言い聞かせたんだ。「2位では終わらない。勝たなければ価値がない」って。最初のコーナーのことは知っていたから、登りの最初の段階でフロントギアをアウターにして、あのペースで踏んでいけたんだ。というのも、トレーニングで何度も走っていたからなんだ。このステージは、僕が何度もビデオで見たところだった。アームストロングやパンターニが出ていて……僕は彼らからケイデンスを学んだんだよ。そして、今日勝ったのは僕なんだ! もう少し時間が経つと、実感が沸いてくるだろうね。
ツール・ド・フランスで総合優勝する可能性……そうだね、僕がまだ24歳なのは忘れないでほしい。あと10年の猶予があるってことだからね。トレーニングして最高レベルに到達するつもりだよ。キャリアの終わりに後悔しないためにね。
マイヨジョーヌを獲得したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
カデル(エヴァンス)と話をして、牽かない理由を訊いたんだけど、反応がなかった。それで少しイラっときて「僕は前にいる逃げ集団とは関係ない。アルベルト(コンタドール)はここにはいないし、彼はもう総合成績を脅かす存在じゃない」と言ったんだ。僕はこれ以上がんばって牽きたくなかったんだ。エヴァンスがアタックするだろうと思っていたからね……実際、彼はアタックしたけど、僕を引き離せなかった。
多くの選手たちはマイヨジョーヌが翼をくれると語っている。明日がそうなってくれることを願うよ。
僕が作家にお願いして「ツール・ド・フランスをもっとおもしろくしてください」と言ったところで意味がない。ツールはこれがすべて——サスペンスも充分ある。(エヴァンスとの差が)「たった1分しかない」とも言えるし「1分ある!」とも言える。ちょっとおもしろいことに、僕は自分のタイムトライアルに期待しているんだ。マイヨジョーヌもキープできると考えている。僕はマイヨジョーヌをずっと追いかけてきたからね。
1秒1秒が貴重になる。タイムトライアルの練習は多くこなしてきた。それに明日は体力も充分あるはず。それで充分だと思う。
ここまでツールの優勝に近づいたことは今までなかった。今日の日を迎えることができたし、調子もすごくいい。自分の願いがすべて実現している——アルプスでマイヨジョーヌを獲るということが今起きている。もちろん明日はかなりハードになるだろう。でも、自信はある。今までずっと調子のよさを証明してきたし、明日もまた証明するつもりだ。
山岳賞・ステージ2位のサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ラルプ・デュエズの登りでは、アルベルト(コンタドール)が最初に行った。その少し後に僕が続いて、ピエール・ロランがついてきた。でも、僕はステージ優勝を手にしようとは思ってなかった。今朝、最初に僕が確認したかったのは、自分が昨日のステージからしっかり回復できているかだった。昨日は僕にとって最悪だったからね。
パリで表彰台に立つことは、昔から続くプライドに関わる問題なんだ。今、僕はかなり栄誉のあるジャージを着ている——これは僕とチームにとっての勝利だ。僕はこのジャージを今回のツールで果たした全業績の報酬として受け取った。今はそう思い返している。そして、明日のタイムトライアルに向けて、再び自分の状態と目的を確認したい。
現状を考えると、まったく悪くない。リュザルディダンの美しいステージで勝利し、山岳賞を獲得した。そしてツール・ド・フランスでトップ10に入っている。イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)はガリビエの登りで苦労していたけど、彼はこれから数年のうちに恐れるべき有力選手になるだろう。
敢闘賞でステージ3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
ステージ優勝できなかったのは残念だ。アタックが早すぎたのかも知れない。
昨日ゴールに着いたときは大きなショックを受けていた。でも、フィニッシュラインを越えた直後から、すべてを分析しはじめたんだ。そして今日は全力を尽くす必要があると思った。昨日の出来事は好きじゃない。ツール全体を通して、僕には運が欠け続けている。だから今日も神様が望むことをするだけだった。僕には総合で5位になろうが24位になろうが関係ないんだ。
正直に言うと、僕にとって総合優勝以外は意味がない。総合優勝のことを考えてツールにやってきたんだ。でも、ジロとツールのふたつを制するのは難しいとことも知っていた。総合優勝の可能性がなくなったから、僕は賭けに出たんだ。
総合3位・ステージ5位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
(第20ステージのタイムトライアルでは)できるだけ速くスタートして、できるだけ速くゴールする。速く走れたらいい。もちろん望みはタイムトライアルで5分差をつけてマイヨジョーヌを着ることだ。
(ステージ序盤での)コンタドールのアタックは容認したけど、普段通りの感触だった。その後でバイクの後輪に違和感があって、少しスローダウンした。だからバイクを交換したんだ。集団がかなり速かったのと、3度も止まる必要があったので、自力で集団に復帰するには限界だった。だけど、チームメイトたちが戻ってきて、ガリビエの険しい登りでずっと最高の走りをしてくれた。
総合5位・ステージ7位のダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
このハードなステージで一緒にゴールした選手たちを見ると、総合成績がわかってくる。チームも自分自身も、ツール・ド・フランスでかなりいい成績を出していると思う。
今日のステージはとても危険だったし、実際に大きなアタックを試みた選手もいた。僕は今までと同じように走りたかったし、今日の結果にも満足している。残り10kmでペースが落ちたけれど、すぐに補給で回復して、シュレク兄弟やエヴァンスと一緒に走れた。最後の登りではアタックもしてみようと思ったんだ。余力を充分に感じていたからね。明日のタイムトライアルには、最高の気力で臨むつもりだ。最善を尽くすよ。
ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation&text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI
ステージ優勝と新人賞を獲得したピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
トマ(ヴォクレール)のマイヨジョーヌを守るために、できることはなんでもやりたかった。だけど、ガリビエの登りでトマが僕に言ったんだ。「チャンスをつかめ。僕のことは気にするな」と。このときあらためて彼が偉大なチャンピオンだとわかった。僕に「ベストなタイミングで行け」と言えるくらいなんだよ。僕はすぐに谷でのアタックに備えることにした。それにここは去年何度も走っていて、よく知っている登りなんだ。
ふたりのスペイン人(コンタドールとサムエル・サンチェス)と一緒になったとき、ふたりともお互いをよく知っていることに気づいた。だから、自分にこう言い聞かせたんだ。「2位では終わらない。勝たなければ価値がない」って。最初のコーナーのことは知っていたから、登りの最初の段階でフロントギアをアウターにして、あのペースで踏んでいけたんだ。というのも、トレーニングで何度も走っていたからなんだ。このステージは、僕が何度もビデオで見たところだった。アームストロングやパンターニが出ていて……僕は彼らからケイデンスを学んだんだよ。そして、今日勝ったのは僕なんだ! もう少し時間が経つと、実感が沸いてくるだろうね。
ツール・ド・フランスで総合優勝する可能性……そうだね、僕がまだ24歳なのは忘れないでほしい。あと10年の猶予があるってことだからね。トレーニングして最高レベルに到達するつもりだよ。キャリアの終わりに後悔しないためにね。
マイヨジョーヌを獲得したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
カデル(エヴァンス)と話をして、牽かない理由を訊いたんだけど、反応がなかった。それで少しイラっときて「僕は前にいる逃げ集団とは関係ない。アルベルト(コンタドール)はここにはいないし、彼はもう総合成績を脅かす存在じゃない」と言ったんだ。僕はこれ以上がんばって牽きたくなかったんだ。エヴァンスがアタックするだろうと思っていたからね……実際、彼はアタックしたけど、僕を引き離せなかった。
多くの選手たちはマイヨジョーヌが翼をくれると語っている。明日がそうなってくれることを願うよ。
僕が作家にお願いして「ツール・ド・フランスをもっとおもしろくしてください」と言ったところで意味がない。ツールはこれがすべて——サスペンスも充分ある。(エヴァンスとの差が)「たった1分しかない」とも言えるし「1分ある!」とも言える。ちょっとおもしろいことに、僕は自分のタイムトライアルに期待しているんだ。マイヨジョーヌもキープできると考えている。僕はマイヨジョーヌをずっと追いかけてきたからね。
1秒1秒が貴重になる。タイムトライアルの練習は多くこなしてきた。それに明日は体力も充分あるはず。それで充分だと思う。
ここまでツールの優勝に近づいたことは今までなかった。今日の日を迎えることができたし、調子もすごくいい。自分の願いがすべて実現している——アルプスでマイヨジョーヌを獲るということが今起きている。もちろん明日はかなりハードになるだろう。でも、自信はある。今までずっと調子のよさを証明してきたし、明日もまた証明するつもりだ。
山岳賞・ステージ2位のサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ラルプ・デュエズの登りでは、アルベルト(コンタドール)が最初に行った。その少し後に僕が続いて、ピエール・ロランがついてきた。でも、僕はステージ優勝を手にしようとは思ってなかった。今朝、最初に僕が確認したかったのは、自分が昨日のステージからしっかり回復できているかだった。昨日は僕にとって最悪だったからね。
パリで表彰台に立つことは、昔から続くプライドに関わる問題なんだ。今、僕はかなり栄誉のあるジャージを着ている——これは僕とチームにとっての勝利だ。僕はこのジャージを今回のツールで果たした全業績の報酬として受け取った。今はそう思い返している。そして、明日のタイムトライアルに向けて、再び自分の状態と目的を確認したい。
現状を考えると、まったく悪くない。リュザルディダンの美しいステージで勝利し、山岳賞を獲得した。そしてツール・ド・フランスでトップ10に入っている。イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)はガリビエの登りで苦労していたけど、彼はこれから数年のうちに恐れるべき有力選手になるだろう。
敢闘賞でステージ3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
ステージ優勝できなかったのは残念だ。アタックが早すぎたのかも知れない。
昨日ゴールに着いたときは大きなショックを受けていた。でも、フィニッシュラインを越えた直後から、すべてを分析しはじめたんだ。そして今日は全力を尽くす必要があると思った。昨日の出来事は好きじゃない。ツール全体を通して、僕には運が欠け続けている。だから今日も神様が望むことをするだけだった。僕には総合で5位になろうが24位になろうが関係ないんだ。
正直に言うと、僕にとって総合優勝以外は意味がない。総合優勝のことを考えてツールにやってきたんだ。でも、ジロとツールのふたつを制するのは難しいとことも知っていた。総合優勝の可能性がなくなったから、僕は賭けに出たんだ。
総合3位・ステージ5位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
(第20ステージのタイムトライアルでは)できるだけ速くスタートして、できるだけ速くゴールする。速く走れたらいい。もちろん望みはタイムトライアルで5分差をつけてマイヨジョーヌを着ることだ。
(ステージ序盤での)コンタドールのアタックは容認したけど、普段通りの感触だった。その後でバイクの後輪に違和感があって、少しスローダウンした。だからバイクを交換したんだ。集団がかなり速かったのと、3度も止まる必要があったので、自力で集団に復帰するには限界だった。だけど、チームメイトたちが戻ってきて、ガリビエの険しい登りでずっと最高の走りをしてくれた。
総合5位・ステージ7位のダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
このハードなステージで一緒にゴールした選手たちを見ると、総合成績がわかってくる。チームも自分自身も、ツール・ド・フランスでかなりいい成績を出していると思う。
今日のステージはとても危険だったし、実際に大きなアタックを試みた選手もいた。僕は今までと同じように走りたかったし、今日の結果にも満足している。残り10kmでペースが落ちたけれど、すぐに補給で回復して、シュレク兄弟やエヴァンスと一緒に走れた。最後の登りではアタックもしてみようと思ったんだ。余力を充分に感じていたからね。明日のタイムトライアルには、最高の気力で臨むつもりだ。最善を尽くすよ。
ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation&text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI
Amazon.co.jp