2011/05/27(金) - 18:23
アルベルト・コンタドール(スペイン)は、サンペッレグリーノ・テルメでジロ・デ・イタリア第18ステージを41位で終えた。しかしこの順位も、マリアローザを維持しているという事実も、ささいなことだ。現在進行中のドーピング問題がより重大になってきたからだ。CASが事情聴取の先延ばしを発表した。ジロのプレスセンターからグレゴー・ブラウンが伝える。
サンペッレグリーノ・テルメは、温泉と炭酸水で世界的に有名な街だ。ベルガモのすぐ北に位置し、サイクルウェアのブランド「サンティーニ」の本部があり、多くの有名サイクリストも家をかまえる。ジロ・デ・イタリアでは、サン・マルコ峠に向かう途中によく通り過ぎる街だが、今日はステージのゴールとなった。
昨日のステージのゴールであるティラーノではひとつの噂が広まっていた。CAS(スポーツ仲裁裁判所)は、コンタドールの事情聴取を延期するという。選手たちがコモ湖の沿岸をまわり、ベルガモ経由でサンペッレグリーノ・テルメまでレースしているあいだに、CASはこの件を正式に発表した。
CASのプレスリリースは次の通りだ。「上訴人と被上訴人との合意に基づき、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、この件に関する事情聴取の延期を受諾した。これは、すべての関係者に充分な時間を与え、今回の聴取への準備を促すとともに、目撃者および専門家が本人自ら参加することを保証するための措置である」
当初、先にお伝えした記事のとおり、CASはコンタドールの事情聴取を6月6日から8日、つまりジロ・デ・イタリア終了から約1週間後に予定していた。
この裁定は、UCI(国際自転車競技連合)からの要求によって行なわれた可能性が高い。
コンタドールから禁止薬物であるクレンブテロールの陽性反応が検出されたのは、昨年のツール・ド・フランスで2度目の休養日となる、ポーでの出来事であった。彼はレースを続けてアンディ・シュレクに勝利したが、9月末になって、UCIがドーピング検査で陽性だったことを明かした。
コンタドールの母国では、RFEC(スペイン自転車競技連盟)が2月15日に無罪の裁定を下した。だがUCIとWADA(世界アンチ・ドーピング機関)がスペインの決定をCASに上訴した。コンタドールは潔白を主張し、陽性反応は汚染された肉の飲食に由来すると訴えている。
クレンブテロールは減量や呼吸の改善のために意図的に使用される可能性のある薬剤だ。輸血を通じてコンタドールの体内に入った可能性があるという報告もある。
CASが審理を遅らせる決定をしたのは、コンタドールの弁護団に起因するようだ。このささやかな勝利によって、コンタドールはもうひとつのグランツール「ツール・ド・フランス」に出場できるようになる。しかし、後にドーピングによる出場停止処分が科された場合、3度目のツール・ド・フランスの総合優勝が剥奪される可能性もある。
「このニュースについてはよくわからない。詳細は弁護士が知っている。ぼくは細部までこと細かにわかっているわけじゃない」と、コンタドールは第18ステージの後、サンペッレグリーノで記者たちに言った。
「楽観的に考えている。事情聴取が行なわれれば、真実が明らかになる。そういう意味で、とても楽観的だ」
「CASの決定や、グランツールをもうひとつ戦えるかといった点はあまり気にしていない」と、彼はつけ加えた。
「ぼくは今ジロ・デ・イタリアで走っている。とても大切なレースだし、すべての注意を向けている。ジロに100%集中したいんだ。他のことは何も考えていない。考えているのはマリアローザのことだけだ。ミラノでマリアローザを着ていたいからね」
コンタドールはこれ以上はなにも語らなかった。ここでレースできているだけでも幸運なのがわかっているからだ。同じクレンブテロールが検出されたケースでは、出場停止になった選手もいる。たとえば、アレッサンドロ・コロ(イタリア)は、1年間の出場停止処分を受けている。
ジロ・デ・イタリアの開幕前に、別のドーピング問題への関与を理由に、選手を出場させなかったチームもある。アメリカのBMCレーシングチームはアレッサンドロ・バッランとマウロ・サンタンブロジオをジロのスタートリストからはずした。モビスターチームのマルツィオ・ブルセギンやファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリのディエゴ・カッチャも同様だ。
だがコンタドールの所属するサクソバンク・サンガードは、彼の出場を認めた。
「彼の状況がどうなっているかは知っている。ジロへの出走しなかった選手たちとは事情が異なる。彼らの状況を把握しているわけではないが、まったく別の話だということはわかる」とサクソバンク・サンガードのビャルヌ・リース監督は、ジロの前に語った。
「上訴について、誰もがその意味を知っている。だが、その結果は誰にもわかっていないんだ」(リース)。
リース監督は、7月のツール・ド・フランスの開幕前に、ジロのときと同じ質問をされ、同じ議論をすることになりそうだ。ランス・アームストロングがテレビ番組「60 Minutes」で、かつてのチームメイトに告発された。自転車競技界が自らを浄化しようと試みているときだからこそ、トップチームのあるべき姿や、クリーンであろうとするトップチームの姿を見せることが、さらに活力を与えるはずだ。
サクソバンクは、最終的な上訴の判決が出るまでは、一時的にコンタドールの出場を保留すべきだ。また、コンタドールが単に休養をとる決断を下してもいいはずだ、と私(グレゴー・ブラウン)は思う。
驚きを隠せないツール・ド・フランス主催者プリュドム氏
この発表を受けて、ツール・ド・フランス主催者A.S.O(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)のクリスティアン・プリュドム氏は驚きを隠せないでいる。
「我々はその決定がツール・ド・フランスのスタート前になされることを信じている。CASは、今まで何度も"スタート前までには決定する"と繰り返し言ってきた。非常に驚いている。我々としては秋から繰り返してきたとおり、『ツールの前に決定されることを望む』と繰り返し言うしかない」。
By Gregor Brown in San Pellegrino Terme
translation : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
サンペッレグリーノ・テルメは、温泉と炭酸水で世界的に有名な街だ。ベルガモのすぐ北に位置し、サイクルウェアのブランド「サンティーニ」の本部があり、多くの有名サイクリストも家をかまえる。ジロ・デ・イタリアでは、サン・マルコ峠に向かう途中によく通り過ぎる街だが、今日はステージのゴールとなった。
昨日のステージのゴールであるティラーノではひとつの噂が広まっていた。CAS(スポーツ仲裁裁判所)は、コンタドールの事情聴取を延期するという。選手たちがコモ湖の沿岸をまわり、ベルガモ経由でサンペッレグリーノ・テルメまでレースしているあいだに、CASはこの件を正式に発表した。
CASのプレスリリースは次の通りだ。「上訴人と被上訴人との合意に基づき、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、この件に関する事情聴取の延期を受諾した。これは、すべての関係者に充分な時間を与え、今回の聴取への準備を促すとともに、目撃者および専門家が本人自ら参加することを保証するための措置である」
当初、先にお伝えした記事のとおり、CASはコンタドールの事情聴取を6月6日から8日、つまりジロ・デ・イタリア終了から約1週間後に予定していた。
この裁定は、UCI(国際自転車競技連合)からの要求によって行なわれた可能性が高い。
コンタドールから禁止薬物であるクレンブテロールの陽性反応が検出されたのは、昨年のツール・ド・フランスで2度目の休養日となる、ポーでの出来事であった。彼はレースを続けてアンディ・シュレクに勝利したが、9月末になって、UCIがドーピング検査で陽性だったことを明かした。
コンタドールの母国では、RFEC(スペイン自転車競技連盟)が2月15日に無罪の裁定を下した。だがUCIとWADA(世界アンチ・ドーピング機関)がスペインの決定をCASに上訴した。コンタドールは潔白を主張し、陽性反応は汚染された肉の飲食に由来すると訴えている。
クレンブテロールは減量や呼吸の改善のために意図的に使用される可能性のある薬剤だ。輸血を通じてコンタドールの体内に入った可能性があるという報告もある。
CASが審理を遅らせる決定をしたのは、コンタドールの弁護団に起因するようだ。このささやかな勝利によって、コンタドールはもうひとつのグランツール「ツール・ド・フランス」に出場できるようになる。しかし、後にドーピングによる出場停止処分が科された場合、3度目のツール・ド・フランスの総合優勝が剥奪される可能性もある。
「このニュースについてはよくわからない。詳細は弁護士が知っている。ぼくは細部までこと細かにわかっているわけじゃない」と、コンタドールは第18ステージの後、サンペッレグリーノで記者たちに言った。
「楽観的に考えている。事情聴取が行なわれれば、真実が明らかになる。そういう意味で、とても楽観的だ」
「CASの決定や、グランツールをもうひとつ戦えるかといった点はあまり気にしていない」と、彼はつけ加えた。
「ぼくは今ジロ・デ・イタリアで走っている。とても大切なレースだし、すべての注意を向けている。ジロに100%集中したいんだ。他のことは何も考えていない。考えているのはマリアローザのことだけだ。ミラノでマリアローザを着ていたいからね」
コンタドールはこれ以上はなにも語らなかった。ここでレースできているだけでも幸運なのがわかっているからだ。同じクレンブテロールが検出されたケースでは、出場停止になった選手もいる。たとえば、アレッサンドロ・コロ(イタリア)は、1年間の出場停止処分を受けている。
ジロ・デ・イタリアの開幕前に、別のドーピング問題への関与を理由に、選手を出場させなかったチームもある。アメリカのBMCレーシングチームはアレッサンドロ・バッランとマウロ・サンタンブロジオをジロのスタートリストからはずした。モビスターチームのマルツィオ・ブルセギンやファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリのディエゴ・カッチャも同様だ。
だがコンタドールの所属するサクソバンク・サンガードは、彼の出場を認めた。
「彼の状況がどうなっているかは知っている。ジロへの出走しなかった選手たちとは事情が異なる。彼らの状況を把握しているわけではないが、まったく別の話だということはわかる」とサクソバンク・サンガードのビャルヌ・リース監督は、ジロの前に語った。
「上訴について、誰もがその意味を知っている。だが、その結果は誰にもわかっていないんだ」(リース)。
リース監督は、7月のツール・ド・フランスの開幕前に、ジロのときと同じ質問をされ、同じ議論をすることになりそうだ。ランス・アームストロングがテレビ番組「60 Minutes」で、かつてのチームメイトに告発された。自転車競技界が自らを浄化しようと試みているときだからこそ、トップチームのあるべき姿や、クリーンであろうとするトップチームの姿を見せることが、さらに活力を与えるはずだ。
サクソバンクは、最終的な上訴の判決が出るまでは、一時的にコンタドールの出場を保留すべきだ。また、コンタドールが単に休養をとる決断を下してもいいはずだ、と私(グレゴー・ブラウン)は思う。
驚きを隠せないツール・ド・フランス主催者プリュドム氏
この発表を受けて、ツール・ド・フランス主催者A.S.O(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)のクリスティアン・プリュドム氏は驚きを隠せないでいる。
「我々はその決定がツール・ド・フランスのスタート前になされることを信じている。CASは、今まで何度も"スタート前までには決定する"と繰り返し言ってきた。非常に驚いている。我々としては秋から繰り返してきたとおり、『ツールの前に決定されることを望む』と繰り返し言うしかない」。
By Gregor Brown in San Pellegrino Terme
translation : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
Amazon.co.jp
Perrier(ペリエ) ライム 瓶 750ml×12本 [直輸入品] [並行輸入品]
ネスレウォーターズ (Grocery)