2011/05/11(水) - 14:28
ニュートラリゼーションでワウテル・ウェイラントへの追悼ライドとなったジロ・デ・イタリア第4ステージ。選手たちはジェノヴァ~リヴォルノの216kmを喪章をつけて走り、レオパード・トレックはチーム全員が横一列となってゴール。その中にはウェイラントの親友タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)の姿があった。
集団がひとつの家族であることを印象づけるステージを終えたが、このステージを最後にレオパード・トレックはジロからの撤退を発表した。
スタート前、そしてゴール後の選手や関係者のコメントから。
ウェイラントの親友タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
いまはワウテルを失って耐えられないほど悲しい。多くの人が知るように、彼はぼくの友人であり、トレーニング・パートナーであり、あらゆる意味でもうひとりの兄弟だった。彼の死は心に刻まれ、ぼくの人生で取り返しのつかない変化が起きるだろう。しかし、彼の遺族と彼が愛した人々の人生にとっては、もっと重大な変化になるはずだ。
ワウテルは、ぼくが知り合う機会のあった人々の中でも、最大級に信義に厚く、ユーモアがあり、尊敬できる人物だった。彼の死は、彼の家族や友人、そして競技全体にとっての悲劇だ。ぼくと同じくらい彼を大事に思う人々、とくに彼の家族や友人、チーム、そしてファンのみんなに心から哀悼の意を表する。ぼくたちは彼の生を祝福し、そして等しく、その死を悲しもう。
ワウテルは、過去も今も、ぼくたち全員が愛するこの競技の魂だ。そして、数多くのすぐれたものに自らを捧げたアスリートだ。彼の家族やチーム、友人やファンから、その勝利を祝福されるチャンピオンだ。
ぼくはいつも彼のことを心にとどめ、つねに彼を誇りに思いたい。彼がつねにこの競技と彼が愛した人々に接してくれたのと同じように。
レオパード・トレック撤退のプレスリリース
レオパード・トレックの選手たちは、チームメイトでもある友人でもあるワウテル・ウェイラントの悲劇的な事故により、今夜でジロ・デ・イタリアを離れることをお伝えします。レオパード・トレックの監督とスタッフ一同は、選手たちのこの選択を支持します。
ブライアン・ニガードGM「決定するのは選手たちでなければならなかった。レースに参加しているのは彼らなのだから。我々はいつでも、その選択を支持する立場にある」「他のすべてのチーム、オーガナイザーのRCS、イタリア当局、そして今日のジェノヴァ~リヴォルノ間の沿道のファンに、ワウテル・ウェイラントを追悼してくれたことを感謝したい」
ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、レオパード・トレック)「ジロ・デ・イタリアと自転車競技に敬意を払いたい。でも、この状況でぼくたちがレースを続けるのは無理だ。ぼくたちはプロのアスリートだけれど、こうするべきだと思っている」
第4ステージスタート前のブライアン・ニガードGM
我々の仕事は、選手たちに寄り添って、このつらい状況で最適な判断を下すことだ。我々の見解では、スタートすることが重要だ。遺族の要望もあるし、チームにとっても重要なことだから。我々の人生がここにあるんだ。
つらい状況だった。遺族は昨夜と今朝、チームと一緒にいて、とても悲痛な時を過ごした。この時遺族を支えた選手たちを誇らしく思う。なかなかできることじゃない。
つらい時には共にいて、悲しみや感情をチームメイトや他チームの仲間たちやファンと分かち合うことも重要だ。
今日のような日には、抱えている問題をすべて脇に置き、自転車競技界は1つの家族のようにふるまう。友人や仲間と共にいることが必要だ。ひとりでいるべき日ではない。同じ道に一緒にいる、それを示すことが、選手たちにできる一番のサポートだ。
(事故について尋ねられて)
来る日も来る日も選手たちは、とても危険な仕事をこなしている。時には恐ろしいことが起きる。自転車競技においても、一般的な世界においても。
(レースディレクターのゾメニャン氏が10日朝、レオパード・トレックのチームバスを訪れたことについて)
サポートしてくれたことと、マスコミが敬意を払ってくれたことについて、RCSに感謝したい。今日は人生で重要なことを思い出し、ワウテルに思いを馳せる日となった。今日はレースをすることはないだろう。
トム・スタムスニデル(オランダ、レオパード・トレック)
(スタート前のコメント)
明日の朝、ぼくたちチームはジロでスタートしないことにした。友人でもあり、チームメイトでもある彼にあんなことが起こったのだから! 悲しすぎてレースできない!
レオパード・トレックの広報ツイート
(第4ステージのゴール直後)
悲しいステージの心ゆさぶるゴールだった。他のすべてのチームに、支えてくれてありがとう!
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
ワウテルをあまりよく知らない選手たちも多いけれど、選手たちはひとつの大きな家族だ。彼のような人物を失うのは本当につらいことだ。彼のパートナーに子どもが生まれそうだと知っていれば、なおさらだ。今日ぼくたちは、プロ選手としてワウテルと家族に敬意を払い、それを態度で示したんだ。
ロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)
自転車の上にいるのが最大級につらい一日だった。今日はイタリアのファンに感心するばかりだ。しっかり応援してくれたし、ウェイラントのためにたくさんのシンボルを掲げてくれた。
チームスカイのスポーツディレクター、ショーン・イェーツ
厳粛な1日だった。我々はひとつの集団として、ワウテルに最大限の敬意を表した。
自転車競技は危険なスポーツだが、人生もまた危険だ。選手たちはリスクを承知しているし、こうした不運なアクシデントが起こりうるのだということを日々痛感している。それでも人生は続いていく。そうしなければならないし、同じようにジロも続いていく。
明日は通常通りのレースが再開されるだろうし、みなレースに集中するだろう。我々はプロなのだし、この事態に立ち向かうには、そうするのが最善の方法なのだから。
第5ステージは厳しい1日になるに違いないが、混乱した状況でもトーマス(ロヴクヴィスト)にトラブルが起こらないようにするのが目標だ。(ストラーデ・ビアンケは)昨年は雨でひどく困難なものになったが、今年はいい天気になるという予報だ。選手たちには吉報だろう。
別府史之(日本、レディオシャック)
昨日のステージで亡くなってしまったウィラント選手の追悼ライドが行われた。集団はいつになく静かで穏やかだった。今日走っていて感じたことは、「多くの観客たちが僕らが来るのを楽しみに待っていた」ということだ。僕らはこれからも走らなきゃいけないんだ。
ラッセル・ダウニング(イギリス、チームスカイ)
沈痛で悲しい1日だったが、この競技のすべてが凝縮された1日だった。最後まで集団がひとつにまとまってこの状況に立ち向かうことができて、救われた気持だ。
ぞっとするような日々だったけれど、レースは続いていかなければならないし、明日もきっとそうだ。
(第5ステージは)舗装区間とダートが入り交じったコースを走ることになる。コースを通じて、ずっとアップダウンが続くことで、まさしく脚が試される1日になりそうだ。
今のところ、チーム戦略については話していない。折にふれて状況を確認しているだけだ。でも明日の朝バスに集合したら、戦略について話し合うつもりだ。
レディオシャックのヨハン・ブリュイネール監督
ワウテルとは親しかったわけじゃない。ホテルで会ったら会釈する程度の関係だった。でも、そんな関係は問題じゃないんだ。タイラー・ファラーだろうと、ウェイラントのルームメイトだったレオパード・トレックの選手だろうと、私のような間柄だろうと、単なる自転車ファンだろうと。どんな間柄であろうと、今日は沈痛な悲しみでいっぱいだ。自転車競技のコミュニティ、ワウテルの家族、それに友人―誰もが喪に服している。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
report:GregorBrown
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla、CorVos
集団がひとつの家族であることを印象づけるステージを終えたが、このステージを最後にレオパード・トレックはジロからの撤退を発表した。
スタート前、そしてゴール後の選手や関係者のコメントから。
ウェイラントの親友タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
いまはワウテルを失って耐えられないほど悲しい。多くの人が知るように、彼はぼくの友人であり、トレーニング・パートナーであり、あらゆる意味でもうひとりの兄弟だった。彼の死は心に刻まれ、ぼくの人生で取り返しのつかない変化が起きるだろう。しかし、彼の遺族と彼が愛した人々の人生にとっては、もっと重大な変化になるはずだ。
ワウテルは、ぼくが知り合う機会のあった人々の中でも、最大級に信義に厚く、ユーモアがあり、尊敬できる人物だった。彼の死は、彼の家族や友人、そして競技全体にとっての悲劇だ。ぼくと同じくらい彼を大事に思う人々、とくに彼の家族や友人、チーム、そしてファンのみんなに心から哀悼の意を表する。ぼくたちは彼の生を祝福し、そして等しく、その死を悲しもう。
ワウテルは、過去も今も、ぼくたち全員が愛するこの競技の魂だ。そして、数多くのすぐれたものに自らを捧げたアスリートだ。彼の家族やチーム、友人やファンから、その勝利を祝福されるチャンピオンだ。
ぼくはいつも彼のことを心にとどめ、つねに彼を誇りに思いたい。彼がつねにこの競技と彼が愛した人々に接してくれたのと同じように。
レオパード・トレック撤退のプレスリリース
レオパード・トレックの選手たちは、チームメイトでもある友人でもあるワウテル・ウェイラントの悲劇的な事故により、今夜でジロ・デ・イタリアを離れることをお伝えします。レオパード・トレックの監督とスタッフ一同は、選手たちのこの選択を支持します。
ブライアン・ニガードGM「決定するのは選手たちでなければならなかった。レースに参加しているのは彼らなのだから。我々はいつでも、その選択を支持する立場にある」「他のすべてのチーム、オーガナイザーのRCS、イタリア当局、そして今日のジェノヴァ~リヴォルノ間の沿道のファンに、ワウテル・ウェイラントを追悼してくれたことを感謝したい」
ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、レオパード・トレック)「ジロ・デ・イタリアと自転車競技に敬意を払いたい。でも、この状況でぼくたちがレースを続けるのは無理だ。ぼくたちはプロのアスリートだけれど、こうするべきだと思っている」
第4ステージスタート前のブライアン・ニガードGM
我々の仕事は、選手たちに寄り添って、このつらい状況で最適な判断を下すことだ。我々の見解では、スタートすることが重要だ。遺族の要望もあるし、チームにとっても重要なことだから。我々の人生がここにあるんだ。
つらい状況だった。遺族は昨夜と今朝、チームと一緒にいて、とても悲痛な時を過ごした。この時遺族を支えた選手たちを誇らしく思う。なかなかできることじゃない。
つらい時には共にいて、悲しみや感情をチームメイトや他チームの仲間たちやファンと分かち合うことも重要だ。
今日のような日には、抱えている問題をすべて脇に置き、自転車競技界は1つの家族のようにふるまう。友人や仲間と共にいることが必要だ。ひとりでいるべき日ではない。同じ道に一緒にいる、それを示すことが、選手たちにできる一番のサポートだ。
(事故について尋ねられて)
来る日も来る日も選手たちは、とても危険な仕事をこなしている。時には恐ろしいことが起きる。自転車競技においても、一般的な世界においても。
(レースディレクターのゾメニャン氏が10日朝、レオパード・トレックのチームバスを訪れたことについて)
サポートしてくれたことと、マスコミが敬意を払ってくれたことについて、RCSに感謝したい。今日は人生で重要なことを思い出し、ワウテルに思いを馳せる日となった。今日はレースをすることはないだろう。
トム・スタムスニデル(オランダ、レオパード・トレック)
(スタート前のコメント)
明日の朝、ぼくたちチームはジロでスタートしないことにした。友人でもあり、チームメイトでもある彼にあんなことが起こったのだから! 悲しすぎてレースできない!
レオパード・トレックの広報ツイート
(第4ステージのゴール直後)
悲しいステージの心ゆさぶるゴールだった。他のすべてのチームに、支えてくれてありがとう!
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
ワウテルをあまりよく知らない選手たちも多いけれど、選手たちはひとつの大きな家族だ。彼のような人物を失うのは本当につらいことだ。彼のパートナーに子どもが生まれそうだと知っていれば、なおさらだ。今日ぼくたちは、プロ選手としてワウテルと家族に敬意を払い、それを態度で示したんだ。
ロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)
自転車の上にいるのが最大級につらい一日だった。今日はイタリアのファンに感心するばかりだ。しっかり応援してくれたし、ウェイラントのためにたくさんのシンボルを掲げてくれた。
チームスカイのスポーツディレクター、ショーン・イェーツ
厳粛な1日だった。我々はひとつの集団として、ワウテルに最大限の敬意を表した。
自転車競技は危険なスポーツだが、人生もまた危険だ。選手たちはリスクを承知しているし、こうした不運なアクシデントが起こりうるのだということを日々痛感している。それでも人生は続いていく。そうしなければならないし、同じようにジロも続いていく。
明日は通常通りのレースが再開されるだろうし、みなレースに集中するだろう。我々はプロなのだし、この事態に立ち向かうには、そうするのが最善の方法なのだから。
第5ステージは厳しい1日になるに違いないが、混乱した状況でもトーマス(ロヴクヴィスト)にトラブルが起こらないようにするのが目標だ。(ストラーデ・ビアンケは)昨年は雨でひどく困難なものになったが、今年はいい天気になるという予報だ。選手たちには吉報だろう。
別府史之(日本、レディオシャック)
昨日のステージで亡くなってしまったウィラント選手の追悼ライドが行われた。集団はいつになく静かで穏やかだった。今日走っていて感じたことは、「多くの観客たちが僕らが来るのを楽しみに待っていた」ということだ。僕らはこれからも走らなきゃいけないんだ。
ラッセル・ダウニング(イギリス、チームスカイ)
沈痛で悲しい1日だったが、この競技のすべてが凝縮された1日だった。最後まで集団がひとつにまとまってこの状況に立ち向かうことができて、救われた気持だ。
ぞっとするような日々だったけれど、レースは続いていかなければならないし、明日もきっとそうだ。
(第5ステージは)舗装区間とダートが入り交じったコースを走ることになる。コースを通じて、ずっとアップダウンが続くことで、まさしく脚が試される1日になりそうだ。
今のところ、チーム戦略については話していない。折にふれて状況を確認しているだけだ。でも明日の朝バスに集合したら、戦略について話し合うつもりだ。
レディオシャックのヨハン・ブリュイネール監督
ワウテルとは親しかったわけじゃない。ホテルで会ったら会釈する程度の関係だった。でも、そんな関係は問題じゃないんだ。タイラー・ファラーだろうと、ウェイラントのルームメイトだったレオパード・トレックの選手だろうと、私のような間柄だろうと、単なる自転車ファンだろうと。どんな間柄であろうと、今日は沈痛な悲しみでいっぱいだ。自転車競技のコミュニティ、ワウテルの家族、それに友人―誰もが喪に服している。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
report:GregorBrown
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla、CorVos
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