2011/02/28(月) - 10:53
2011年2月26日、ベルギー・フランドル地方で開催された第66回オンループ・ヘットニュースブラッド(UCI1.HC)。石畳や急坂を含む203kmのコース終盤にアタックしたセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)が、遅れて合流したフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)をスプリントで沈めた。
オンループ・ヘットニュースブラッドは、かつて「オンループ・ヘットフォルク」として開催されていた伝統の一戦。2009年のスポンサー変更に伴い、現在の名称に変更された。
このセミクラシック初戦オンループを皮切りに、ベルギーのクラシックシーズンが始動。4月3日に開催されるロンド・ファン・フラーンデレンに向け、ベルギー国内は盛り上がりを見せていく。
レースの舞台は、石畳を含むクラシックの代名詞ベルギー・フランドル地方。ヘントを発着する203kmのコースには、クルイスベルグやレベルグ、モーレンベルグなどの急坂9カ所と多くの石畳区間が詰め込まれている。
レース当日は生憎の、そして激しいクラシックシーズンの幕開けを予感させるような雨模様。レース前半はマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)やセバスティアン・シャヴァネル(フランス、ユーロップカー)ら8名の逃げが決まり、タイム差は最大8分まで開いた。
コース中盤から始まる急坂と石畳区間に差し掛かると、クイックステップとチームスカイがメイン集団のペースアップを開始。5つ目の急坂ターインベルグ(石畳・登坂距離530m・最大勾配15.8%)でトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が動くと、メイン集団はすぐさま縮小した。
序盤から逃げていた選手たちが吸収されると、ゴールまで53kmを残した6つ目の急坂エイケンベルグ(石畳・登坂距離1200m・最大勾配10%)でラングヴェルトがアタックして独走に持ち込む。昨年覇者のフレチャやボーネンを含むメイン集団からは、マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)らがアタックを仕掛け、追走グループを形成した先頭ラングヴェルトを追った。
しかし1分のリードを築いたラングヴェルトは独走をキープ。複数の追走グループは引き戻され、ここからフレチャがアタック。降りしきる雨の中、ディフェンディングチャンピオンのフレチャはラスト15km地点で先頭ラングヴェルトを捉えた。
後方ではヨアン・オフルド(フランス、FDJ)らがカウンターアタックを仕掛けたものの、フレチャのチームメイトであるマシュー・ヘイマン(オーストラリア)が抑え込む。タイム差が2分まで広がり、ゴールまで5kmを切ると先頭2名の中での優勝争いが始まった。
フレチャが強力なアタックを仕掛け、ラングヴェルトが反応。結局最後までフレチャはラングヴェルトを引き離せない。ラスト1kmを切ると2人をスピードを落として牽制状態に。付き位置をキープしたラングヴェルトがラスト200mで先に仕掛け、フレチャがスプリントで応戦。しかしフレチャのスプリントは伸びず、ラングヴェルトが僅差で先着した。
ラングヴェルトは1985年生まれの26歳。2006年にスキル・シマノでプロデビューし、翌年ラボバンクに移籍した。間違いなくこれがキャリア最大の勝利だ。
ゴール53km手前で独走に持ち込み、追いついた元チームメイトフレチャを下したラングヴェルトは、ラボバンク公式サイトの中でレースを振り返る。「あんな早くから独走に持ち込む予定ではなかったけど、チャンスだと思って飛び出した。すると独走になってタイム差が広がったんだ。追い風だったとは言え、いつか集団に追いつかれると思っていた。でも集団は追いついてこなかった。」
「フレチャを待ったわけじゃない。でも先頭が2人になった時点で、フレチャは力を使い果たしているように見えた。彼がアタックするのは分かっていたので、それを封じ込めることができればチャンスが回ってくると思った。」
本格クラシックシーズンに向けて、ラボバンクは最高の滑り出し。チームメイトのラース・ボーム(オランダ)は10位でレースを終えた。
一方、僅差で大会連覇を逃したフレチャは悔しさを隠せない。「こんなに長くてハードなレースで、セバスティアン(ラングヴェルト)に10cm差で負けてしまった!ゴールラインを過ぎてすぐに彼は手を挙げたけど、自分はどちらが勝ったか確証を得ていなかった。それぐらい僅差だった。」
今シーズン初勝利を逃したフレチャ。しかしクラシックシーズンに向けて調子の良さを証明する結果でもある。シーズン最大の目標レースに掲げるロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベではもちろん初優勝を狙う。
ライバルのチェックに徹したヘイマンが3位に入り、チームスカイが表彰台でラングヴェルトを挟み込む形に。フレチャはチームスカイの力に満足している。「チームとしては良いレース運びだった。近々勝利を手にすることが出来るだろう。」
レース展開はレース公式サイトならびにライブストリーミング映像より。
オンループ・ヘットニュースブラッド2011
1位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク) 5h18'03"
2位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
3位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ) +1'01"
4位 ヨアン・オフルド(フランス、FDJ) +1'04"
5位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) +1'21"
6位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ) +1'24"
7位 マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・サーヴェロ) +1'30"
8位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)
9位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
オンループ・ヘットニュースブラッドは、かつて「オンループ・ヘットフォルク」として開催されていた伝統の一戦。2009年のスポンサー変更に伴い、現在の名称に変更された。
このセミクラシック初戦オンループを皮切りに、ベルギーのクラシックシーズンが始動。4月3日に開催されるロンド・ファン・フラーンデレンに向け、ベルギー国内は盛り上がりを見せていく。
レースの舞台は、石畳を含むクラシックの代名詞ベルギー・フランドル地方。ヘントを発着する203kmのコースには、クルイスベルグやレベルグ、モーレンベルグなどの急坂9カ所と多くの石畳区間が詰め込まれている。
レース当日は生憎の、そして激しいクラシックシーズンの幕開けを予感させるような雨模様。レース前半はマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)やセバスティアン・シャヴァネル(フランス、ユーロップカー)ら8名の逃げが決まり、タイム差は最大8分まで開いた。
コース中盤から始まる急坂と石畳区間に差し掛かると、クイックステップとチームスカイがメイン集団のペースアップを開始。5つ目の急坂ターインベルグ(石畳・登坂距離530m・最大勾配15.8%)でトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が動くと、メイン集団はすぐさま縮小した。
序盤から逃げていた選手たちが吸収されると、ゴールまで53kmを残した6つ目の急坂エイケンベルグ(石畳・登坂距離1200m・最大勾配10%)でラングヴェルトがアタックして独走に持ち込む。昨年覇者のフレチャやボーネンを含むメイン集団からは、マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)らがアタックを仕掛け、追走グループを形成した先頭ラングヴェルトを追った。
しかし1分のリードを築いたラングヴェルトは独走をキープ。複数の追走グループは引き戻され、ここからフレチャがアタック。降りしきる雨の中、ディフェンディングチャンピオンのフレチャはラスト15km地点で先頭ラングヴェルトを捉えた。
後方ではヨアン・オフルド(フランス、FDJ)らがカウンターアタックを仕掛けたものの、フレチャのチームメイトであるマシュー・ヘイマン(オーストラリア)が抑え込む。タイム差が2分まで広がり、ゴールまで5kmを切ると先頭2名の中での優勝争いが始まった。
フレチャが強力なアタックを仕掛け、ラングヴェルトが反応。結局最後までフレチャはラングヴェルトを引き離せない。ラスト1kmを切ると2人をスピードを落として牽制状態に。付き位置をキープしたラングヴェルトがラスト200mで先に仕掛け、フレチャがスプリントで応戦。しかしフレチャのスプリントは伸びず、ラングヴェルトが僅差で先着した。
ラングヴェルトは1985年生まれの26歳。2006年にスキル・シマノでプロデビューし、翌年ラボバンクに移籍した。間違いなくこれがキャリア最大の勝利だ。
ゴール53km手前で独走に持ち込み、追いついた元チームメイトフレチャを下したラングヴェルトは、ラボバンク公式サイトの中でレースを振り返る。「あんな早くから独走に持ち込む予定ではなかったけど、チャンスだと思って飛び出した。すると独走になってタイム差が広がったんだ。追い風だったとは言え、いつか集団に追いつかれると思っていた。でも集団は追いついてこなかった。」
「フレチャを待ったわけじゃない。でも先頭が2人になった時点で、フレチャは力を使い果たしているように見えた。彼がアタックするのは分かっていたので、それを封じ込めることができればチャンスが回ってくると思った。」
本格クラシックシーズンに向けて、ラボバンクは最高の滑り出し。チームメイトのラース・ボーム(オランダ)は10位でレースを終えた。
一方、僅差で大会連覇を逃したフレチャは悔しさを隠せない。「こんなに長くてハードなレースで、セバスティアン(ラングヴェルト)に10cm差で負けてしまった!ゴールラインを過ぎてすぐに彼は手を挙げたけど、自分はどちらが勝ったか確証を得ていなかった。それぐらい僅差だった。」
今シーズン初勝利を逃したフレチャ。しかしクラシックシーズンに向けて調子の良さを証明する結果でもある。シーズン最大の目標レースに掲げるロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベではもちろん初優勝を狙う。
ライバルのチェックに徹したヘイマンが3位に入り、チームスカイが表彰台でラングヴェルトを挟み込む形に。フレチャはチームスカイの力に満足している。「チームとしては良いレース運びだった。近々勝利を手にすることが出来るだろう。」
レース展開はレース公式サイトならびにライブストリーミング映像より。
オンループ・ヘットニュースブラッド2011
1位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク) 5h18'03"
2位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
3位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ) +1'01"
4位 ヨアン・オフルド(フランス、FDJ) +1'04"
5位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) +1'21"
6位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ) +1'24"
7位 マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・サーヴェロ) +1'30"
8位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)
9位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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