2011年1月28日から30日までの3日間、南イタリアで第64回ジロ・ディ・レッジョカラブリア(UCI2.1)が開催され、初日のスプリントを制したダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)が最終日まで総合首位を守り抜いた。このレッジョカラブリアを皮切りに、ヨーロッパではロードレースシーズンが徐々に動き出す。

第1ステージ メリート・ポルト・サルヴォ〜カタンツァーロ 164.1km

第1ステージ 上りスプリントを制したダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)第1ステージ 上りスプリントを制したダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Cor Vosイタリア半島の南端、ちょうどつま先にあたるレッジョ・カラブリア州がレースの舞台。第1ステージは終盤に登りが設定されており、ラスト10km地点から約300mを駆け上がる。序盤からの逃げがラスト5kmで吸収され、そこからレオナルド・ベルタニョッリ(イタリア、ランプレ・ISD)らがカウンターアタックを仕掛ける展開。

最後は登りでばらけた10名ほどのグループによるスプリント勝負に持ち込まれ、フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)に発射されたピエトロポッリが優勝した。今シーズン初勝利を飾ったピエトロポッリは同時に総合首位に立っている。

イタリアのガゼッタ紙の中でピエトロポッリは「アルゼンチンやオーストラリアから帰国した調子の良い選手に警戒していた。でも今日のゴールは自分向きだと思っていたんだ。ジャージを守りたい」と語る。ランプレ・ISDはダミアーノ・クネゴ(イタリア)を含む強力なメンバーで総合優勝を狙う。

第1ステージ結果
1位 ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)         4h02'08"
2位 ファビオ・タボーレ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
3位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
4位 フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、ダンジェロアンテヌッティ・NIPPO)
5位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

第2ステージ ソヴェラート〜ヴィーボ・ヴァレンティア 195.1km

第2ステージ 集団スプリントを制したオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)第2ステージ 集団スプリントを制したオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Riccardo Scanferla第2ステージのコースは、シーズン序盤のステージにしては長めの195.1km。ゴール18km手前に標高614mのKOM(山岳ポイント)が設定されている。終日降り続いた雨の影響でタフなレースが展開された。

序盤から逃げたフェデリコ・ロチェッティ(イタリア、デローザ・チェラミカフラミニア)とステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)は、ゴールまで距離を残して吸収。登りでのアタックと冷たい雨により人数が減り、最終的に集団は27名に絞られた状態でゴールへ。

ロングスプリントを仕掛け、そのまま先行逃げ切ったのは、現在ツール・ド・ランカウイで快調に勝利数を伸ばしているファルネーゼヴィーニ・ネーリのオスカル・ガット(イタリア)。リーダージャージを着るピエトロポッリは4位に入り、総合首位を守っている。

2007年にゲロルシュタイナーでプロデビューし、2009年からISD・ネーリ(現ファルネーゼヴィーニ)に所属するガット。プロ5年目で3勝目を飾った。「今日のような厳しい展開での集団スプリントが得意。今年は飛躍的な一年になればいいと思う。成長したし、チーム内の責任感も感じている。」ファルネーゼヴィーニ・ネーリは現在シーズン通算勝利数で世界トップ(5勝)だ。

第2ステージ結果
1位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)      5h21'14"
2位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)
5位 ラファイ・シュティウィ(チュニジア、アックア・エ・サポーネ)

第3ステージ ピッツォ・カラブロ〜レッジョ・カラブリア 171.9km

第3ステージ 平坦スプリントバトルを制したマヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)第3ステージ 平坦スプリントバトルを制したマヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) photo:Cor Vos後半の30kmに渡って平坦路が続く最終ステージは、スプリンターに絶好のチャンス。クリスティアン・ベネナーティ(イタリア、デローザ・チェラミカフラミニア)とノルベルト・ウィルチェス(コロンビア、メリディアーナカメン)の逃げは失敗に終わり、その後もアタックを飲み込んだ集団によるスプリントに持ち込まれた。

ロングスプリントで飛び出したのはマヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)。後方から追い上げるダニーロ・ナポリターノ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)を振り切ったベレッティが余裕のガッツポーズでゴールを駆け抜けた。

第3ステージ リーダージャージのダニエーレ・ピエトロポッリとダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)第3ステージ リーダージャージのダニエーレ・ピエトロポッリとダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Cor Vos「今日はモードロと自分の2人で臨機応変にスプリントに挑む予定だった。ラスト100mで後ろを見たらスペースが開いていたからそのまま踏んだんだ。」ベレッティは昨年のジロ・デ・イタリア第13ステージで優勝。8月のコッパ・ベルノッキではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を下して優勝している。これが今シーズン初勝利だ。

スプリントに敗れたナポリターノは2位。2009年に14回、2010年に8回も2位を経験しているナポリターノは「万年2位」の汚名を返上できずにいる。

リーダージャージを着るピエトロポッリはステージ7位。安定した走りで総合優勝に輝いた。新体制で2011年シーズンを闘うランプレ・ISDは好スタートを切ったと言える。

シーズン初戦のジロ・ディ・レッジョカラブリアの閉幕とともに、イタリア国内ではロードレースシーズンが静かに動き出す。2月5日にGPコスタ・デッリ・エトルスキ(UCI1.1)、2月19日にトロフェオ・ライグエリア(UCI1.1)、2月22日から26日までジロ・ディ・サルデーニャ(UCI2.1)が開催される。

レース展開や選手コメントはガゼッタ・デッロ・スポルト紙より。

第3ステージ結果
1位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)      4h29'42"
2位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
4位 ジャンルーカ・マッジョーレ(イタリア、デローザ・チェラミカフラミニア)
5位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)

個人総合成績
1位 ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・ISD)         13h52'54"
2位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)             +06"
3位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)            +09"
4位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)        +10"
5位 フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、ダンジェロアンテヌッティ・NIPPO)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Riccardo Scanferla