11月30日、ルクセンブルク・プロサイクリングプロジェクトはプレスリリースを出し、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)と契約を結んだことを発表した。契約は3年間。スイスが生んだタイムトライアル世界王者は、来シーズンもシュレク兄弟(ルクセンブルク)とともに走る。

ルクセンブルクチームへの移籍が決定したファビアン・カンチェラーラ(スイス)ルクセンブルクチームへの移籍が決定したファビアン・カンチェラーラ(スイス) photo:Kei Tsujiかねてから噂されていたカンチェラーラの、ルクセンブルク・プロサイクリングプロジェクト(以下ルクセンブルクチーム)移籍が正式に発表された。

今年の世界選手権タイムトライアルで4度目の世界一に輝いた男は、来シーズンもシュレク兄弟やイェンス・フォイクト(ドイツ)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)らと同じチームで走る。総勢8名がサクソバンクから新チームに移籍する。

世界選手権TTで4勝目をアピールするファビアン・カンチェラーラ(スイス)世界選手権TTで4勝目をアピールするファビアン・カンチェラーラ(スイス) photo:Kei Tsujiルクセンブルクチームは、2011年に発足する新チーム。その名の通りルクセンブルクに拠点を置き、今年ツール・ド・フランス総合2位のアンディ・シュレクと兄フランク・シュレクを中心に始動。かつてサクソバンクでチームスタッフを務めていたブライアン・ニガード氏とキム・アンデルセン氏が指揮を執る。

チームマネージャーを務めるニガード氏はプレスリリースの中で「我々は最高のチーム作りを目指してこのプロジェクトをスタートさせた。言うまでもなく、カンチェラーラは世界の中でも突出した素晴らしいアスリートだ。彼の合流は、チームに驚くべき深みとクオリティーを与えてくれる。彼を迎え入れることが出来て光栄に思う」と語っている。

来シーズンもシュレク兄弟をサポートするファビアン・カンチェラーラ(スイス)来シーズンもシュレク兄弟をサポートするファビアン・カンチェラーラ(スイス) photo:Kei Tsujiカンチェラーラの加入により、プロトン内でのチームの存在感や戦力が大幅にアップする。事実、UCI(国際自転車競技連合)が発表した2011年度チームランキングでは、発足前のルクセンブルクチームが首位に立っている。

違約金を払い、1年前倒しでサクソバンクを離脱することを決めたカンチェラーラには、ルクセンブルクチームの他にも、チームスカイやBMCレーシングチームが接触していた。しかしカンチェラーラはシュレク兄弟のチームに終着。チームを決めた秘訣について以下のように語っている。

「興味深いオプションが他にも沢山有った。でもルクセンブルクで動き始めたこのプロジェクトこそが、これからも継続的に成長したいという自分の望みに合致したんだ」。

これまでタイムトライアル世界チャンピオンに4度輝き、北京五輪タイムトライアル金メダル獲得、ツール・ド・フランス区間7勝、ブエルタ・ア・エスパーニャ区間3勝、パリ〜ルーベ2勝、ロンド・ファン・フラーンデレン1勝、ミラノ〜サンレモ1勝という輝かしい戦歴を残すカンチェラーラ。新天地での目標について以下のように語る。

「これからの目標は、より多くのモニュメントレース(5大クラシックレース)で優勝すること。目標を達成するために、チームと体制を築き、取り組んで行きたい。グランツールで活躍出来る戦力を擁しているチームを誇りに思う。最も重要なのは、チームとしてシャンゼリゼの表彰台の頂点に選手を送り込むこと。ツール・ド・フランス優勝チームの一員になるのは、プロ選手全員が望んでいることだ」。

カンチェラーラとルクセンブルクチームの契約は2013年末までの3年間。所属選手たちは12月6日から12日までスイスで行なわれるトレーニングギャンプで顔合わせを行なう。

「我々には自信がある。だがしっかりと地に脚をつけて歩んで行きたい。これからが正念場だ」。ニガード氏の新チームは、順風満帆のスタートを切る。

text&photo:Kei Tsuji

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