2010/11/15(月) - 17:47
国内最長距離を誇る公道レース、ツール・ド・おきなわ。コース変更によって新しくなった210kmのコースで争われた最高峰のチャンピオンレースは、4人の先頭集団のゴールスプリントに持ち込まれ、福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)が優勝。2日間の合計による総合優勝も獲得した。
前日の第1ステージは激しい雨に見舞われた。そしてその後沖縄本島は大雨洪水警報が発令されるほどの荒天となる。翌日の天気が心配されたが、雨は夜半におさまり、朝は曇り空で迎えることができた。
近年のテーマを「まちなか開催」に掲げるツール・ド・おきなわ。今年からメイン会場も名護市の中心部に設けられ、商店街のメインストリートがスタート・ゴール地点に設定された。
チャンピオンレースは6時45分のスタートで、集団はまだ暗い中をスタートしていく。名護市街をパレード走行し、本部半島を経て一路北部のヤンバル地方を目指す。
序盤から逃げたのはこのレースで引退を決めている飯野嘉則(シマノレーシング)、長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)、ノリス・ラクラン(ドラパック・ポルシェ)の3人。一時は集団に7分の差をつけて2回目の普久川ダムの登りへと入る。
今年からコースが10km伸び、後半にアップダウンが追加されたコースは例年以上に厳しい闘いを強いられることが予想されていた。後半勝負に備えようとするメイン集団のペースは例年よりも控えめだ。
2度目の普久川ダムの登りでチュウ・ファン・シン(ジャイアントアジア)と奈良基(クムサン・ジンセン・アジア)が前の3人を追って飛び出す。メイン集団は登りが終わるまで動きを見せない。
安波~高江のアップダウンに入ってからは主に清水都貴(ブリヂストンアンカー)が集団先頭に立ち、ペースを上げ始める。アンカーは月曜日から沖縄入りして調整。昨年伊丹健治で優勝したおきなわの連覇をチームで勝ちとる考えだ。
対抗するのは宮澤崇史擁するNIPPO、そして畑中勇介擁するシマノレーシング。佐野淳也(TEAM NIPPO)や村上純平(シマノレーシング)が清水に協力するようにペースメイクに加わり、メイン集団は残り60kmから徐々にペースを上げ始める。
昨日のタイムトライアルでトップタイムをマークしてリーダージャージを着るトーマス・パルマー(ドラパック・ポルシェ)は有力選手のアタックをことごとく封じる動きで、総合優勝への意欲を見せる。
残り50kmの時点で前を行く3人と、間で泳いだ2人は集団に吸収される。それからは宮澤崇史、伊丹健治、そして福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)らも交互にアタックをかけて集団の人数を減らすが、20人ほどが残ったまま後半の新しく延長されたコースへと入っていく。
平良関門から海岸線では狩野智也(ブリヂストンアンカー)、中島康晴(TEAM NIPPO)、内間康平(チーム沖縄)、中村誠(宇都宮ブリッツェン)、五十嵐丈士(クムサン・ジンセン・アジア)、山下貴宏(マトリックスパワータグ)、別府匠(愛三工業レーシング)ら6人の逃げができるも、後方集団は逃がしてくれない。
しかし安部からカヌチャベイリゾートまでのアップダウンで集団は分断。大浦湾入り口へかけて福島晋一と清水都貴が2人抜け出す。それに続くのは伊丹健治、佐野淳也、井上和郎、村上純平、別府匠の5人。そのまま最後の勝負どころ、羽地ダムへの登りにさしかかる。
登りだしてから7人がいったんはひとまとまりになるが、登りで強力にペースを上げたのは福島晋一。そのスピードに別府、村上がたまらず遅れる。佐野もアタックを繰り出し、闘いは激しさを増す。
トンネルを越えてさらにアップダウンの続くダム湖への道へ。伊丹と福島の波状的なアタックによって井上が遅れ、勝負は4人に絞られた。ダム湖のトンネルからゴールまでは下って10km。最終的な先頭グループはこの4人のまま、名護市街の中心部へと向かう。
勝負は4人のゴールスプリントへ。伸びのあるスプリントを見せたのは福島晋一。ゴールを突っ切ると雄叫びを上げた。清水が伊丹をリードアウトするが、伊丹は伸びず。ブリヂストンアンカーが2、3位を獲得した。
2日間の合計で争われる個人総合では福島晋一が5時間32分12秒で総合優勝。2位は3秒差で伊丹健治、3位には佐野淳哉(TEAM NIPPO)が8秒で入った。
福島晋一のおきなわ優勝は初めて。親の転勤の関係でおきなわに住んだこともある福島は、地元のチームおきなわでの出場も経験している。今までに出場した回数はじつに18回。10位以内の順位は1位以外すべて経験済みだ。おきなわでは新城幸也(Bboxブイグテレコム)の自転車選手としての育ての親として地元のファンも多い。
福島晋一のコメント
"おきなわ"は勝ちたかったレース。今まで18回も出てきて、今回結果を出せたことでようやく自分の場ができました。4人になったときは、そのまま最後までいけば総合優勝できることは分かっていましたが、ゴールスプリントで勝てるとは思えなかった。でも調子が良かったので、もしかしたら勝てるという思いはありました。
距離が伸びて厳しくなったけれど、僕はその区間で勝負しようと最初から思っていたので、その作戦は決まりました。
― 年齢を重ねてますます強くなっているように思えますが、その秘訣は何ですか?
オンとオフをしっかり分けてとって、練習は集中力を持って行うことでしょうか。
― ツール・ド・おきなわはたくさんのホビーレーサーの方が目標にしているレースです。何かメッセージやアドバイスをいただけますか?
このやんばる路を舞台にした厳しい・素晴らしいレースは一年間の目標にするには本当にふさわしいと思います。しっかりとした準備と、当日はしっかり補給を取ることが大切でしょうね。最後までスタミナが要求されるので補給は摂り過ぎなくらい摂って走っていいと思います。あとは練習さえ積んでおけば問題ないですよ!
第2ステージ 210km 結果
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)5時間30分43秒
2位 伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)
3位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)
4位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)
5位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)+17秒
6位 畑中勇介(シマノレーシング)
7位 品川真寛(愛三工業レーシングチーム)
8位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)
9位 チュウ・ファン・シン(ジャイアントアジア)
10位 真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)
個人総合
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)5時間32分12秒
2位 伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)+03秒
3位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+08秒
4位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)+10秒
5位 品川真寛(愛三工業レーシングチーム)+16秒
6位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+18秒
7位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)+19秒
8位 畑中勇介(シマノレーシング)+20秒
9位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+21秒
10位 真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)+25秒
個人総合山岳賞
1位 長沼隆行(宇都宮ブリッツェン) 10点
2位 飯野嘉則(シマノレーシング) 4点
団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 16時間32分26秒
2位 TEAM NIPPO +23秒
3位 愛三工業レーシングチーム +1分50秒
U23総合優勝
伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)
text:Makoto.AYANO
photo:Makoto.AYANO,Hideaki.TAKAGI
前日の第1ステージは激しい雨に見舞われた。そしてその後沖縄本島は大雨洪水警報が発令されるほどの荒天となる。翌日の天気が心配されたが、雨は夜半におさまり、朝は曇り空で迎えることができた。
近年のテーマを「まちなか開催」に掲げるツール・ド・おきなわ。今年からメイン会場も名護市の中心部に設けられ、商店街のメインストリートがスタート・ゴール地点に設定された。
チャンピオンレースは6時45分のスタートで、集団はまだ暗い中をスタートしていく。名護市街をパレード走行し、本部半島を経て一路北部のヤンバル地方を目指す。
序盤から逃げたのはこのレースで引退を決めている飯野嘉則(シマノレーシング)、長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)、ノリス・ラクラン(ドラパック・ポルシェ)の3人。一時は集団に7分の差をつけて2回目の普久川ダムの登りへと入る。
今年からコースが10km伸び、後半にアップダウンが追加されたコースは例年以上に厳しい闘いを強いられることが予想されていた。後半勝負に備えようとするメイン集団のペースは例年よりも控えめだ。
2度目の普久川ダムの登りでチュウ・ファン・シン(ジャイアントアジア)と奈良基(クムサン・ジンセン・アジア)が前の3人を追って飛び出す。メイン集団は登りが終わるまで動きを見せない。
安波~高江のアップダウンに入ってからは主に清水都貴(ブリヂストンアンカー)が集団先頭に立ち、ペースを上げ始める。アンカーは月曜日から沖縄入りして調整。昨年伊丹健治で優勝したおきなわの連覇をチームで勝ちとる考えだ。
対抗するのは宮澤崇史擁するNIPPO、そして畑中勇介擁するシマノレーシング。佐野淳也(TEAM NIPPO)や村上純平(シマノレーシング)が清水に協力するようにペースメイクに加わり、メイン集団は残り60kmから徐々にペースを上げ始める。
昨日のタイムトライアルでトップタイムをマークしてリーダージャージを着るトーマス・パルマー(ドラパック・ポルシェ)は有力選手のアタックをことごとく封じる動きで、総合優勝への意欲を見せる。
残り50kmの時点で前を行く3人と、間で泳いだ2人は集団に吸収される。それからは宮澤崇史、伊丹健治、そして福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)らも交互にアタックをかけて集団の人数を減らすが、20人ほどが残ったまま後半の新しく延長されたコースへと入っていく。
平良関門から海岸線では狩野智也(ブリヂストンアンカー)、中島康晴(TEAM NIPPO)、内間康平(チーム沖縄)、中村誠(宇都宮ブリッツェン)、五十嵐丈士(クムサン・ジンセン・アジア)、山下貴宏(マトリックスパワータグ)、別府匠(愛三工業レーシング)ら6人の逃げができるも、後方集団は逃がしてくれない。
しかし安部からカヌチャベイリゾートまでのアップダウンで集団は分断。大浦湾入り口へかけて福島晋一と清水都貴が2人抜け出す。それに続くのは伊丹健治、佐野淳也、井上和郎、村上純平、別府匠の5人。そのまま最後の勝負どころ、羽地ダムへの登りにさしかかる。
登りだしてから7人がいったんはひとまとまりになるが、登りで強力にペースを上げたのは福島晋一。そのスピードに別府、村上がたまらず遅れる。佐野もアタックを繰り出し、闘いは激しさを増す。
トンネルを越えてさらにアップダウンの続くダム湖への道へ。伊丹と福島の波状的なアタックによって井上が遅れ、勝負は4人に絞られた。ダム湖のトンネルからゴールまでは下って10km。最終的な先頭グループはこの4人のまま、名護市街の中心部へと向かう。
勝負は4人のゴールスプリントへ。伸びのあるスプリントを見せたのは福島晋一。ゴールを突っ切ると雄叫びを上げた。清水が伊丹をリードアウトするが、伊丹は伸びず。ブリヂストンアンカーが2、3位を獲得した。
2日間の合計で争われる個人総合では福島晋一が5時間32分12秒で総合優勝。2位は3秒差で伊丹健治、3位には佐野淳哉(TEAM NIPPO)が8秒で入った。
福島晋一のおきなわ優勝は初めて。親の転勤の関係でおきなわに住んだこともある福島は、地元のチームおきなわでの出場も経験している。今までに出場した回数はじつに18回。10位以内の順位は1位以外すべて経験済みだ。おきなわでは新城幸也(Bboxブイグテレコム)の自転車選手としての育ての親として地元のファンも多い。
福島晋一のコメント
"おきなわ"は勝ちたかったレース。今まで18回も出てきて、今回結果を出せたことでようやく自分の場ができました。4人になったときは、そのまま最後までいけば総合優勝できることは分かっていましたが、ゴールスプリントで勝てるとは思えなかった。でも調子が良かったので、もしかしたら勝てるという思いはありました。
距離が伸びて厳しくなったけれど、僕はその区間で勝負しようと最初から思っていたので、その作戦は決まりました。
― 年齢を重ねてますます強くなっているように思えますが、その秘訣は何ですか?
オンとオフをしっかり分けてとって、練習は集中力を持って行うことでしょうか。
― ツール・ド・おきなわはたくさんのホビーレーサーの方が目標にしているレースです。何かメッセージやアドバイスをいただけますか?
このやんばる路を舞台にした厳しい・素晴らしいレースは一年間の目標にするには本当にふさわしいと思います。しっかりとした準備と、当日はしっかり補給を取ることが大切でしょうね。最後までスタミナが要求されるので補給は摂り過ぎなくらい摂って走っていいと思います。あとは練習さえ積んでおけば問題ないですよ!
第2ステージ 210km 結果
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)5時間30分43秒
2位 伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)
3位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)
4位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)
5位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)+17秒
6位 畑中勇介(シマノレーシング)
7位 品川真寛(愛三工業レーシングチーム)
8位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)
9位 チュウ・ファン・シン(ジャイアントアジア)
10位 真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)
個人総合
1位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)5時間32分12秒
2位 伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)+03秒
3位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+08秒
4位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)+10秒
5位 品川真寛(愛三工業レーシングチーム)+16秒
6位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+18秒
7位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)+19秒
8位 畑中勇介(シマノレーシング)+20秒
9位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+21秒
10位 真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)+25秒
個人総合山岳賞
1位 長沼隆行(宇都宮ブリッツェン) 10点
2位 飯野嘉則(シマノレーシング) 4点
団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 16時間32分26秒
2位 TEAM NIPPO +23秒
3位 愛三工業レーシングチーム +1分50秒
U23総合優勝
伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)
text:Makoto.AYANO
photo:Makoto.AYANO,Hideaki.TAKAGI
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