セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・王滝クロスマウンテンバイク120kmの部で昨年に続く連覇と4度目の勝利を挙げた松本駿(TREK)による参戦レポート。

CP1付近を走る松本駿(TREK)CP1付近を走る松本駿(TREK) photo:Akihiro.NAKAO

連覇なるか松本駿(TREK)連覇なるか松本駿(TREK) photo:Akihiro.NAKAO1500名のMTB愛好者が集い、オフロード100キロクラスと42キロ、20キロ、そして9月しか開催されない120キロクラスが開催された。
昨年の同様に雨の心配はなく曇りのち晴れという状況。夜が明ける前から準備を始め、スタートに備えた。

スタート前に恒例のお払いにより身を清め、明るく見えてくる青空を眺めながらスタートした。パレード走行で身体を目覚めさせてゆく。いきなり斜度がきつくなったりすると、呼吸も苦しいが次第に走れるようになってくる。まだまだウォームアップもしてないし、早朝だから仕方がない。

パレード走行から本コースへ、レーススピードへと一気に加速し始まった。ペダリングする足はまだ準備段階。少しずつ焦らず踏み出してゆくが、思いのほか身体の調子も良くいつの間にか先頭を引くだけではとどまらず、ペースを引き上げてゆく。

シマノカーが先導シマノカーが先導 photo:Akihiro.NAKAO

以前なら出来なかった早いペースで進んでいった。御岳山が立派に見え、山間から開けた川沿いの道へと続く。

しばらくの舗装区間で数回集団でのリラックスした会話。千田、藤本、後続から竹谷選手が加わり、再びペースは上がった。
失敗な事に、そこで一度集中力を切らしてしまう。一番ハードな区間ともいうべき岩が並び、がけ崩れが起きている区間ではパンクのリスクを避けたいという気持ちが強くなり、ブレーキをかけて減速。あっという間にトップから遅れ、致命的にボトルを1本手放してしまった。

王滝村林道を走る王滝村林道を走る photo:Akihiro.NAKAO


第1チェックポイントまでの長い登りを何とか登り終え、空になったボトルに水と黄色い粉を作り、再び走りだす。5番手まで後退し、切れかけた集中力が更に加速させツーリングモードへと導いて来ていた。

時間的には2時間を過ぎたばかり。途中経過で知らされたタイムも5分も離れていた。いつも練習で使うパワータップも、ポラールの心拍計すら付けていない。走行時間だけが目安だが、何度と走った王滝レースコースの工程は脳裏に鮮明に焼き付いている!

過去何度となく挫けそうになった坂道。これで終わるのか? とも思ったが、明日のXCを意識して余力を意識、妥協していた自分が情けなく、とにかく今現在のレースを勝たなくては!! と次第に集中力に切り替えた。

山深い林道を走る山深い林道を走る photo:Akihiro.NAKAO

100kmコースの中間となる松原湖まではタイムは変わっていない。過去の自分の作った記録を区間ごとに区切り、残り時間を算出して行った。今走る身体能力は過去の自分を超えている。一気にギア比を、信じられないトルクで駆け抜けだしていた。

42kmのコースと合流し、王滝ラインが出来ていた。走りやすく、パンクのリスクが少ない。今までの何倍も走りやすくなり、スピードが上がる。山の中腹に見える道を時折見ては、前を行く選手を確認するが見えてこない。

第2チェックポイントすぎには、山中、千田両選手を抜き去り3位。まだ2時間ほどは残っている。

42kmを走る選手を交わし、先を進む2名を探すが見える気配すらない。そのうち、竹谷選手をあっという間に抜き、残るは藤本弥之助選手のみとなった。先日のマラソン世界選手権メンバーで知れた仲間なので、走り自体ペースもそれほど離れているはずはない。
とにかくこのペースを守り切れば、きっと優勝できる!!そう信じながら、バイクで進んでいた。

松本駿(TREK)松本駿(TREK) photo:Akihiro.NAKAO藤本弥之助(Fujimoto farm)藤本弥之助(Fujimoto farm) photo:Akihiro.NAKAO


最終の第3チェックポイントを過ぎ、依然2位で進む。「30秒ほど」という情報も、行けども見えてこない。最後の強烈な20kmループが勝負だという事を意識し、峠を下る手前でやっと藤本選手をとらえる事が出来た。

つづらを下り、最終の決選場へと進んだ。すぐさま登りに差しかかると、一位に上り詰め加速する。そこまで頑張っていた藤本選手も気力で走る姿は、過去の自分を見ているようだった。しかし、勝負はそう甘くは無い。

強烈に斜度がきつく、ここが一番の耐え所になるのだ。残り約40分!ボトルにある水もほぼなくなり、ポケットにあるジェルで何とか食いつなぐ。後ろには必死で追ってきているし!

何とか頂上まで登り切り、下りで何度と後ろを確認する。視界には入ってこず、勝負はほぼ確定していた。本コースにもどり、パンクに気をつけながら進む。ロングストレートで後方を確認しながらペースを緩め、ゆっくりとゴールをくぐり、4度目の優勝、昨年に続き2連勝を決めた。

クロスマウンテンバイク120kmの部で優勝を飾った松本駿(TREK)クロスマウンテンバイク120kmの部で優勝を飾った松本駿(TREK) photo:Akihiro.NAKAO

2位・藤本弥之助(Fujimoto farm)2位・藤本弥之助(Fujimoto farm) photo:Akihiro.NAKAO今年の世界選MTBマラソン出場者同士で健闘を称え合う今年の世界選MTBマラソン出場者同士で健闘を称え合う photo:Akihiro.NAKAO



一時はあきらめそうになったが、自分の過去の経験が大逆転を生み出してくれた結果でとてもうれしい。応援ありがとうございました!  



120km男子表彰120km男子表彰 photo:Akihiro.NAKAOレースデータ
天候:晴れ 気温23度 コース:ドライ 距離:120㎞(ワンウエイ)
優勝タイム 6時間10分40秒

使用機材
Bike:トレックTop Fuel 9.9SSL Weels:Bontreger RaceXXX TLR DISC(carbonweel)
Suspension:(Front)Fox Racing Shox F100RLC(90psl) (Rear) Fox Racing Shox (130psl)
Tires:Bontrager /Revolt Super X(F&R) 26×2.2(1.8psl)
Helmet:TREK CIRCUIT HELMET
Grass:OAKLEY /Jawbone Custom ,Lens/ Jade Iridium Vended
Shoues:Shimano/SH-M300E,CustomFit  Hate:POLAR/S725X
Hydlations: Hydrapak/Streamline,Softflask x3
honCare:Grico/Powerproduction レース前:BCAA STx1EXSTRA BOOSTERx6
                レース中:CCDx3/クエン酸&BCAAx1
                レース後:EXTRA AMINO ACHID x4/BCAA CT x5/CARBO SUPPLY & H.Px
Powerber Banana x1(レース前)
PowerGel Ume&T.F x3 (レース中)
Sportsbalm/Yellow2




text:松本駿(TREK)
photo:中尾亮弘