2010/08/24(火) - 10:32
2010年8月23日、エネコ・ツアー(UCIプロツアー)第6ステージが行なわれ、続発するアタックを抑え込んだ集団によるゴールスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が2勝目をマーク。チームメイトのトニ・マルティン(ドイツ)が総合首位の座を守った。
エネコ・ツアー第6ステージはベルギーのビルゼンからヘールスまでの205.6km。所謂アルデンヌ・クラシックと呼ばれる起伏あるワンデーレースと同じ地域で行なわれ、レース後半にかけて断続的に急坂が7カ所登場。フレーシュ・ワロンヌでお馴染みの「ユイの壁」も登場した。
レースはマリオ・アールツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)とセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ)の2人がエスケープ。しかし2人は大きなリードを築くことが許されず、常にタイム差はメイン集団の射程圏内に抑え込まれた。
レースが動いたのはゴール48km手前の「ユイの壁」。最大勾配が26%に達するとも言われるこの激坂でリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)やリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)がアタックを仕掛けると、メイン集団は大きく縮小した。
更にここからステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)、ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)が飛び出して先頭グループに合流。ラグティンを除く4名はゴールに向けてペースを上げたが、やがてはメイン集団に吸収されてしまう。
フレデリク・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ)の単独アタックも功を奏さず、チームスカイとチームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団が落ち着いて封じ込める。
ゴール7km手前の石畳区間でヘルト・ステーグマン(ベルギー、レディオシャック)とラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)がアタックを仕掛けたが失敗。最終的に60名ほどの集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。
主導権を握ったのはチームスカイ。集団先頭でペースを上げた前々日のステージ優勝者グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)にラスト150mでエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が発射される。しかしその後方から飛び出したグライペルが一枚上を行く加速力で先頭へ。グライペルが力強いスプリントで優勝を飾った。
グライペルは第2ステージに続くステージ2勝目。今シーズンの勝利数を18勝にまで伸ばした。チームHTC・コロンビアにとっては今シーズン52勝目にあたる。
「これは非常に意味のある勝利だ。今日は決してスプリンター向きとは言えない厳しいコースだった。チームはマルティンの総合リードを守ることを目標に掲げていて、自分はひたすら集団に食らいついた。ラスト10kmの時点でスプリントで勝負することが決まったんだ。疲れ切っていたけど、幸い少し力が残っていた(チームHTC・コロンビア公式サイト)」
グライペルは10月3日にオーストラリア・メルボルンで開催されるロード世界選手権にドイツ代表メンバーとして出場することが決まっている。この日の勝利で起伏のあるコースへの自信がついたことだろう。
チームメイトのマルティンは総合首位の座をキープ。総合優勝に向けて、残すは最終個人タイムトライアルのみとなった。
総合下位にはディフェンディングチャンピオンのボアッソンを始め、スヴェイン・タフト(カナダ、ガーミン・トランジションズ)やラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)と言った強豪TTスペシャリストが揃っている。しかし今年ツール・ド・フランスの2つの個人タイムトライアル(プロローグと第19ステージ)で2度に渡ってファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)に次ぐタイムをマークしたマルティンのリーダージャージは安泰か。マルティンは大会制覇に王手をかけた。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチームHTC・コロンビア公式サイトより。
エネコ・ツアー2010第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) 5h12'25"
2位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)
5位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
6位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
7位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)
9位 マキシム・ファントム(ベルギー、カチューシャ)
10位 イニャキ・イサーシ(スペイン、エウスカルテル)
個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア) 28h30'33"
2位 コース・ムーレンハウト(オランダ、ラボバンク) +11"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +1'22"
4位 スヴェイン・タフト(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +1'28"
5位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) +1'31"
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +1'37"
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +1'38"
8位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ) +1'41"
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +1'45"
10位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
スプリント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
エネコ・ツアー第6ステージはベルギーのビルゼンからヘールスまでの205.6km。所謂アルデンヌ・クラシックと呼ばれる起伏あるワンデーレースと同じ地域で行なわれ、レース後半にかけて断続的に急坂が7カ所登場。フレーシュ・ワロンヌでお馴染みの「ユイの壁」も登場した。
レースはマリオ・アールツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)とセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ)の2人がエスケープ。しかし2人は大きなリードを築くことが許されず、常にタイム差はメイン集団の射程圏内に抑え込まれた。
レースが動いたのはゴール48km手前の「ユイの壁」。最大勾配が26%に達するとも言われるこの激坂でリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)やリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)がアタックを仕掛けると、メイン集団は大きく縮小した。
更にここからステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)、ロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)が飛び出して先頭グループに合流。ラグティンを除く4名はゴールに向けてペースを上げたが、やがてはメイン集団に吸収されてしまう。
フレデリク・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ)の単独アタックも功を奏さず、チームスカイとチームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団が落ち着いて封じ込める。
ゴール7km手前の石畳区間でヘルト・ステーグマン(ベルギー、レディオシャック)とラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)がアタックを仕掛けたが失敗。最終的に60名ほどの集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。
主導権を握ったのはチームスカイ。集団先頭でペースを上げた前々日のステージ優勝者グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)にラスト150mでエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が発射される。しかしその後方から飛び出したグライペルが一枚上を行く加速力で先頭へ。グライペルが力強いスプリントで優勝を飾った。
グライペルは第2ステージに続くステージ2勝目。今シーズンの勝利数を18勝にまで伸ばした。チームHTC・コロンビアにとっては今シーズン52勝目にあたる。
「これは非常に意味のある勝利だ。今日は決してスプリンター向きとは言えない厳しいコースだった。チームはマルティンの総合リードを守ることを目標に掲げていて、自分はひたすら集団に食らいついた。ラスト10kmの時点でスプリントで勝負することが決まったんだ。疲れ切っていたけど、幸い少し力が残っていた(チームHTC・コロンビア公式サイト)」
グライペルは10月3日にオーストラリア・メルボルンで開催されるロード世界選手権にドイツ代表メンバーとして出場することが決まっている。この日の勝利で起伏のあるコースへの自信がついたことだろう。
チームメイトのマルティンは総合首位の座をキープ。総合優勝に向けて、残すは最終個人タイムトライアルのみとなった。
総合下位にはディフェンディングチャンピオンのボアッソンを始め、スヴェイン・タフト(カナダ、ガーミン・トランジションズ)やラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)と言った強豪TTスペシャリストが揃っている。しかし今年ツール・ド・フランスの2つの個人タイムトライアル(プロローグと第19ステージ)で2度に渡ってファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)に次ぐタイムをマークしたマルティンのリーダージャージは安泰か。マルティンは大会制覇に王手をかけた。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチームHTC・コロンビア公式サイトより。
エネコ・ツアー2010第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) 5h12'25"
2位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)
5位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
6位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
7位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)
9位 マキシム・ファントム(ベルギー、カチューシャ)
10位 イニャキ・イサーシ(スペイン、エウスカルテル)
個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア) 28h30'33"
2位 コース・ムーレンハウト(オランダ、ラボバンク) +11"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +1'22"
4位 スヴェイン・タフト(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +1'28"
5位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) +1'31"
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +1'37"
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +1'38"
8位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ) +1'41"
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +1'45"
10位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
スプリント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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