1級山岳ペニャス・ブランカスを駆け上がる山頂フィニッシュで、エディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング)が逃げ切り勝利。総合上位勢にタイム差はつかず、マスがマイヨロホのまま総合争いは翌日に持ち越された。



9月11日(金)第19ステージ
ベレス=マラガ〜ペニャス・ブランカス(エステポナ) 210.8km(丘陵)


2015年の総合優勝者で大会に帯同するファビオ・アル photo:CorVos
疲れを表情で表現する(?)ヘスス・エラダ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH) photo:CorVos


2日連続の山頂フィニッシュの初日に臨むマイヨロホのエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos

第19ステージ ベレス=マラガ〜ペニャス・ブランカス image:A.S.O.
ここからブエルタ・ア・エスパーニャは2日連続の山頂フィニッシュとなり、マイヨロホ争いはいよいよ最終局面へ。その初日である第19ステージの分類は丘陵だが、2つの2級山岳を立て続けに越えたのち、ラストに1級山岳ペニャス・ブランカス(距離18.8km/平均6.5%)を駆け上がるタフなコースだ。海抜ほぼ0mから一気に1,264mまで駆け上がり、特に勾配が厳しいのは序盤の2.5kmで、最大勾配は15%にまで達する。

逃げ切りの可能性も高いステージのため、スタート直後から激しいアタック合戦が始まった。そのため最初の1時間の平均時速は52km/hに達し、まずはUAEチームエミレーツXRGのケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ)とイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル)ら7名が先行。しかしレースは落ち着くことなく、後続から選手たちが合流して一時は先頭が20名ほどまで膨れ上がる。最終的に逃げが固まるまでには3時間近くを要した。

この日2つ目の2級山岳では、人数の減ったメイン集団がこの先頭グループを引き戻す。総合11位とトップ10から落ちたセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)がアタックする場面もありながら、エディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング)が飛び出した。背後では総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が仕掛けるものの、総合3位のフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)をはじめ、総合上位勢のライバルたちが即座に反応した。

アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)ら7名による先頭集団 photo:A.S.O.

レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが先導するプロトンで走るエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.

ダンバーは単独で山頂を越え、下りでヴェルマークや7日目勝者であるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)らが合流。先頭は16名となったものの、後方では再びカラパスがアタックしたため、先頭集団にいたダレン・ラファーティー(アイルランド)が脚を止め、そのアシストに向かう。元アイルランド王者の23歳は懸命にカラパスの前を牽いたものの、チェーンが外れ、カラパスのアタックはここでも不発に終わってしまった。

その後レースはようやく落ち着き、マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)もいる17名の逃げ集団は順調にタイム差を広げていく。そして先頭が1級山岳ペニャス・ブランカス(距離18.8km/平均6.5%)に突入する頃に、その差は7分19秒まで拡大。逃げ切りが濃厚となった先頭集団では、まず36歳のベテランであるリュディ・モラール(フランス、グルパマFDJユナイテッド)が飛び出した。

最終1級山岳で先頭はエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング)ら4名に絞られる photo:A.S.O.

しかしその独走は長く続かず、後続に引き戻されると今度はブイトラゴが仕掛け、ダンバーだけが反応。さらにダンバーのチームメイトであるトーマス・グローグ(イギリス)とウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)も追いつき、ステージ優勝を争うレース先頭は4名となる。そしてラスト2kmを示すゲートの直前でブイトラゴが再び仕掛け、単独先頭に立った。

ここまで獲得標高差4,000mを越える山岳ステージの終盤とは思えないほど切れ味鋭いブイトラゴのアタックは、後続との差を一気に広げていく。しかしダンバーはここから驚異的な粘りを見せ、淡々としたペースで追走。残り350m地点でようやくブイトラゴを捉えると、そのまま間髪入れずに抜き去った。

残り350mでブイトラゴに追いつき、抜き去ったエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

怪我からの復活勝利を飾ったエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

自らの仕掛けによって逃げ集団を形成し、圧倒的な登坂スピードで自身3度目のブエルタ区間優勝を挙げたダンバー。「今年は事故の後、3ヶ月間まったく自転車に乗れない時期があった。だから、こうしてここにいられることも、ステージ優勝を争えていることさえも、本当に想像していなかった。信じられないよ」と語るように、今年3月の交通事故で足首を骨折し、7月にようやく実戦へ復帰。そして「自分には全力を出せるチャンスが1回しか残っていないと分かっていたし、その一発をステージ優勝のために使いたかった。最後の1kmは本当にあっという間だった。正直、何が起きたのかほとんど覚えていないよ」と、勝利を振り返った。

一方、総合を争うプロトンでは総合2位であるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のため、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエがハイペースで牽引を始める。その後EFエデュケーション・イージーポストも高速牽引でカラパスをアシスト。しかしいずれもマイヨロホを着るエンリク・マス(スペイン、モビスター)を遅らせることにはつながらず、ログリッチによる終盤の加速も決まらない。さらに総合6位のヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)によるアタックも不発に終わり、ダンバーから5分11秒遅れで総合勢はフィニッシュ。上位勢の間にタイム差は生まれなかった。

ライバルのアタックに反応するエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.

マイヨロホを保持したエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.
ブエルタ・ア・エスパーニャ2026第19ステージ結果
1位 エディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) 5:00:54
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:14
3位 トーマス・グローグ(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +0:23
4位 ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) +0:44
5位 マルセル・カンプルビ(スペイン、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +1:44
6位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +2:01
7位 ギヨーム・マルタンギヨネ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +2:11
8位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、ピクニック・ポストNL) +2:39
9位 ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +3:03
10位 セルヒオ・サミティエル(スペイン、コフィディス) +3:17
16位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +5:11
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 65:52:03
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:37
3位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +3:01
4位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +5:17
5位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) +6:03
6位 ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +7:06
7位 クレマン・ベルテ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +7:57
8位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、XDSアスタナ) +8:21
9位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +9:06
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +10:27
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) 306pts
2位 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) 239pts
3位 アレッサンドロ・ロメレ(イタリア、XDSアスタナ) 171pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 78pts
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) 40pts
3位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 29pts
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) 65:58:06
2位 ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:03
3位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +13:14
チーム総合成績
1位 デカトロンCMA CGM 198:00:20
2位 XDSアスタナ +58:06
3位 グルパマFDJユナイテッド +1:09:36
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

最新ニュース(全ジャンル)