先日フルモデルチェンジを発表したDURA-ACEホイール。カーボンスポークやリムデザインの刷新による大幅な性能向上が施され、最新世代のレーシングホイールに相応しい一作へと進化した。今回はそのラインアップの中で、もっともオールラウンドな50mmハイトモデルをインプレッション。

シマノ WH-R9370-C50 photo:Naoki Yasuoka
先日、センセーショナルなデビューを果たした新型DURA-ACEホイール(WH-R9370)。期待されるコンポーネンツに先んじてR9300シリーズの品番を与えられ、一足先に新世代DURA-ACEの性能をお披露目する先鋒となった。
その性能は、ツール最終日に劇的な逃げ切りをシャンゼリゼで成し遂げたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が証明済み。高い評価を得てきた前作をベースとしながら、ここ数年で激変したレーシングホイール環境に適応し、再び最前線へと躍り出るアップデートが施されている。

VONOA製のカーボンスポークを採用する photo:Naoki Yasuoka

上から従来のステンレススポーク、ロードモデルに採用されるエアロスポーク、C99に採用されるスーパーエアロスポーク photo:Naoki Yasuoka 
厚みもそれぞれ異なっている photo:Naoki Yasuoka
最も注目を集めている変更点がスポークだろう。ついにシマノ初となるカーボンスポークを採用することで、ホイール全体の性能を一気に底上げしている。カーボンスポークのリーディングカンパニーであるVONOA社と協業し、DURA-ACE専用設計となる2つのスポークを製作。ロード用3モデル(C36,C50、C60)に採用される4.0mm幅×1.1mm厚のエアロスポーク、TTやトライアスロン用に新たに用意されるC99に用いられる5.2mm幅×0.8mm厚のスーパーエアロスポークを用意した。
カーボンスポークの採用に合わせ、スポークパターンも各ホイールに対して最適化された。C36がF18本/R21本、C50がF21本/R21本、C60がF21本/R24本、C99がF16本と、軽量性を求めるホイールほど少なく、駆動効率を求めるリアは多く、とそれぞれの要求性能に合わせた設計となっている。この設計もアルペシンの選手達からのフィードバックを元に決定されており、ペダリングだけでなく、コーナーやブレーキング時のフィーリングにおいてもレースプルーフ。

リムの形状も一新 前後異形のリムプロファイルを採用する photo:Naoki Yasuoka
リムの形状も一新されており、タイヤのワイド化に対応するため、リム内幅を23mmに拡大。28Cから30Cのタイヤを前提としたリムプロファイルが与えられている。
更にフロントとリアのリム形状を異なるものに。ライダーが乗車することによって、前後のホイールは大きく異なる空気の流れの中に置かれている。それぞれの最適なリム形状もまた異なっており、シマノは膨大なシミュレーションによってその解を導き出した。

前後で異なるリム形状が与えられている photo:Naoki Yasuoka

リムベッド周辺だけでもかなり異なるデザインとされている photo:Naoki Yasuoka 
重ねてみるとその違いは明確だ photo:Naoki Yasuoka

ニップルを受ける部分は強化されている。直接接触するエリアだけでなく、リム断面全周に渡る層も追加されている photo:Naoki Yasuoka
ホイールの心臓部とも言えるハブも大きなアップデートが加えられている。シマノの伝統でもあるカップアンドコーンベアリングは、一般的なカートリッジベアリングに対し、軸方向への荷重に対して強い。スルーアクスルの締め付けやコーナーリング時に横方向への負荷が掛かってもスムーズな回転を保つことが出来るとされてきた。
今回のDURA-ACEホイール開発にあたり、シマノは改めてその性能を数値化するための試験を実施。実使用に近い環境を整えたテストにおいて、カップアンドコーンベアリングは一般的なカートリッジベアリングに対し回転トルクを3割減少させることが証明されたという。

ハブも全ての設計を刷新した photo:Naoki Yasuoka
カップアンドコーンベアリングのメリットの一つでもあるメンテナンス性も向上している。これまで交換可能であったベアリングのボール、そして玉押し(コーン)に加え、新型DURA-ACEハブではベアリングの玉受け(カップ)も交換可能な構造へと進化した。防水性や耐久性も更に向上しており、優れた回転性能を長期に渡って維持できるシマノらしい一品だ。
ハブボディはよりスリムなデザインとなっており、空力的にも有利な設計に。ノンドライブサイド側のスポークフランジ周辺をラビリンス化することで、万が一の事故の際もスポークの脱落を防ぐセーフティな設計となっているとも。

ベアリングの玉受けも交換可能な構造となった photo:Naoki Yasuoka

ベアリングの玉受けも交換可能な構造となった photo:Naoki Yasuoka 
玉受けとベアリングを装着した状態 photo:Naoki Yasuoka
これらの改良によって、新型ホイールは様々な面において大きな進化を果たしている。空力性能についても、30Cタイヤ装着・時速48kmという条件の試験において、前モデル比で最大2.7Wの空気抵抗低減を達成。重量面においても大きな軽量化を果たしており、前モデルとの比較では、C36が1,350gから1,170g (−180g)に、C50が1,461gから1,302g (−159g)に、C60が1,609gから1,389g (−220g)と長足の進化を遂げている。
そして、目に見えづらい部分となるが、耐久性やメンテナンス性といった実使用において非常に重要となる性能もしっかりと改良されており、DURA-ACEの名に相応しい全方位に隙の無いホイールとして送り出されている。価格はC36、C50、C60のロード用モデルはフロント198,847円、リア232,866円。C99(フロントのみ)は276,396円、ディスクホイールは526,216円(全て税込)となる。
今回、そのラインアップの中でも最もオールラウンドで中心的な存在となる50mmハイトのWH-R9370 C50を編集部員の高木がインプレッション。前作のDURA-ACEホイールをレースホイールとして愛用しつつ、数多くのカーボンスポークモデルをテストした経験を持つライダーの目に、新世代はどう映るのか。
ー編集部インプレッション by 高木三千成

DURA-ACEの名を冠するに相応しい、レーシングホイールの新基準 photo:Naoki Yasuoka
これはもう、文句無しに買いの一本。
前作をデビュー時に手に入れて、それ以来レース用としてずっと使ってきたが、この新型DURA-ACEホイールはあらゆる面において前作を上回っている。レースを走るのであれば、新型に更新しない理由が思いつかない。

これまで歴代のDURA-ACEホイールを使用してきた経験を持つ高木がテストを担当する photo:Naoki Yasuoka
カーボンスポークの登場によって、ホイールの性能が一段階引き上げられた昨今。登場時には一線級の性能を誇っていた前作も、ライバルの進化が激しく最近は少し限界を感じる面も出てきた。
それでも、これまで前作を使い続けてきたのは、DURA-ACEホイールらしいバランスの良さが扱いやすく、どんなレースにでも対応できる万能性があったから。レーダーチャートで表すと綺麗に大きな円を描くようなホイールで、どんなバイクに組み合わせてもそのパフォーマンスを引き出してくれるという信頼感はDURA-ACEホイールならでは。

登りでもリズミカルに加速していく。前作のC36を超える軽快感だ photo:Naoki Yasuoka
新型はその特性を受け継ぎつつ、更にそのパフォーマンスを全方位に広げる正統進化を遂げている。歴代のDURA-ACEホイールの中でも、間違いなく最速の一本だ。
今回テストしたのはC50だったが、初速の軽さはC36を履いているのかと勘違いするほど。そこから、40km/h前後の高速巡航域までは、カーボンスポーク独特のたわみを活かしたリズミカルな感覚で加速してくれる。

シマノ WH-R9370-C50 photo:Naoki Yasuoka
踏み込んだ力に、スポークのしなりが加わるような加速感で、とにかくスピードを乗せやすい。そして巡航においても、空力性能の向上のおかげか、スピードを維持するのに必要な出力が明らかに少なく、とにかく楽に走れる。
しばらくこのホイールを履いて2週間ほど走る中で、その違いが一番分かりやすかったのがアクティブリカバリーの日だ。今日は踏まないぞ、と思って流していたつもりが、気づくとサイコンには40km/h近い数字が表示されていて驚かされた。

下りのスピードの伸びとコーナーでの安定感、どちらも高次元でまとまっている photo:Naoki Yasuoka
下りでも一段階スピード域が上がっているが、ワイドリム化によってコントロール性も向上しているので、コーナーにも安心して突っ込める。
カーボンスポーク採用ホイールらしいしなり感のある踏み心地ながら、過剰にしなるような感覚は一切無いのも新型DURA-ACEホイールの特長だ。カーボンスポークのしなり量が大きすぎて反応が遅れるようなモデルもある中で、このホイールはそういったストレスとは無縁。

遂にDURA-ACEがカーボンスポークを手に入れた photo:Naoki Yasuoka
しなり戻りが速く、ペダリングに対して機敏に反応してくれるので、まるでターボが掛かったような加速に感じるのだろう。カーボンスポーク採用ホイールの中でも、トップレベルのパフォーマンスを実現している。
更に、シマノらしい堅牢さも兼ね備えているのだから、なかなか非の打ち所がない。こだわりのカップアンドコーンベアリングも更にメンテナンス性を向上させているという。実際、私も前作を4年以上使い続けているので、高い性能を長期間にわたって維持しやすくなっているのは嬉しいポイントだ。
一つ、どうにか欠点を挙げるとするならば、50km/hを超えるようなスプリント時のトップスピードでの伸び感がわずかに薄まるように感じた。ただ、ここを重視するのであればC60という選択も用意されている。

大きく、視認性が上がったDURA-ACEロゴが映える photo:Naoki Yasuoka
今年のツールの最終ステージで、新型DURA-ACEホイールを履いたマチューが劇的な逃げ切り勝利を果たしたが、もし旧モデルを使っていたら集団に飲み込まれていたのではないだろうか。
そう考えてしまうほどの圧倒的なパフォーマンスアップを新型DURA-ACEホイールは実現している。
シマノ WH-R9370-C50-TL
フロントホイール
リム内幅:23mm
リム外幅:31mm
スポーク:21本 エアロカーボンスポーク
リアホイール
リム内幅:23mm
リム外幅:32mm
スポーク:21本 エアロカーボンスポーク
セット重量:1,302g
価格:フロント198,847円(税込)、リア232,866円(税込)

先日、センセーショナルなデビューを果たした新型DURA-ACEホイール(WH-R9370)。期待されるコンポーネンツに先んじてR9300シリーズの品番を与えられ、一足先に新世代DURA-ACEの性能をお披露目する先鋒となった。
その性能は、ツール最終日に劇的な逃げ切りをシャンゼリゼで成し遂げたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が証明済み。高い評価を得てきた前作をベースとしながら、ここ数年で激変したレーシングホイール環境に適応し、再び最前線へと躍り出るアップデートが施されている。



最も注目を集めている変更点がスポークだろう。ついにシマノ初となるカーボンスポークを採用することで、ホイール全体の性能を一気に底上げしている。カーボンスポークのリーディングカンパニーであるVONOA社と協業し、DURA-ACE専用設計となる2つのスポークを製作。ロード用3モデル(C36,C50、C60)に採用される4.0mm幅×1.1mm厚のエアロスポーク、TTやトライアスロン用に新たに用意されるC99に用いられる5.2mm幅×0.8mm厚のスーパーエアロスポークを用意した。
カーボンスポークの採用に合わせ、スポークパターンも各ホイールに対して最適化された。C36がF18本/R21本、C50がF21本/R21本、C60がF21本/R24本、C99がF16本と、軽量性を求めるホイールほど少なく、駆動効率を求めるリアは多く、とそれぞれの要求性能に合わせた設計となっている。この設計もアルペシンの選手達からのフィードバックを元に決定されており、ペダリングだけでなく、コーナーやブレーキング時のフィーリングにおいてもレースプルーフ。

リムの形状も一新されており、タイヤのワイド化に対応するため、リム内幅を23mmに拡大。28Cから30Cのタイヤを前提としたリムプロファイルが与えられている。
更にフロントとリアのリム形状を異なるものに。ライダーが乗車することによって、前後のホイールは大きく異なる空気の流れの中に置かれている。それぞれの最適なリム形状もまた異なっており、シマノは膨大なシミュレーションによってその解を導き出した。




ホイールの心臓部とも言えるハブも大きなアップデートが加えられている。シマノの伝統でもあるカップアンドコーンベアリングは、一般的なカートリッジベアリングに対し、軸方向への荷重に対して強い。スルーアクスルの締め付けやコーナーリング時に横方向への負荷が掛かってもスムーズな回転を保つことが出来るとされてきた。
今回のDURA-ACEホイール開発にあたり、シマノは改めてその性能を数値化するための試験を実施。実使用に近い環境を整えたテストにおいて、カップアンドコーンベアリングは一般的なカートリッジベアリングに対し回転トルクを3割減少させることが証明されたという。

カップアンドコーンベアリングのメリットの一つでもあるメンテナンス性も向上している。これまで交換可能であったベアリングのボール、そして玉押し(コーン)に加え、新型DURA-ACEハブではベアリングの玉受け(カップ)も交換可能な構造へと進化した。防水性や耐久性も更に向上しており、優れた回転性能を長期に渡って維持できるシマノらしい一品だ。
ハブボディはよりスリムなデザインとなっており、空力的にも有利な設計に。ノンドライブサイド側のスポークフランジ周辺をラビリンス化することで、万が一の事故の際もスポークの脱落を防ぐセーフティな設計となっているとも。



これらの改良によって、新型ホイールは様々な面において大きな進化を果たしている。空力性能についても、30Cタイヤ装着・時速48kmという条件の試験において、前モデル比で最大2.7Wの空気抵抗低減を達成。重量面においても大きな軽量化を果たしており、前モデルとの比較では、C36が1,350gから1,170g (−180g)に、C50が1,461gから1,302g (−159g)に、C60が1,609gから1,389g (−220g)と長足の進化を遂げている。
そして、目に見えづらい部分となるが、耐久性やメンテナンス性といった実使用において非常に重要となる性能もしっかりと改良されており、DURA-ACEの名に相応しい全方位に隙の無いホイールとして送り出されている。価格はC36、C50、C60のロード用モデルはフロント198,847円、リア232,866円。C99(フロントのみ)は276,396円、ディスクホイールは526,216円(全て税込)となる。
今回、そのラインアップの中でも最もオールラウンドで中心的な存在となる50mmハイトのWH-R9370 C50を編集部員の高木がインプレッション。前作のDURA-ACEホイールをレースホイールとして愛用しつつ、数多くのカーボンスポークモデルをテストした経験を持つライダーの目に、新世代はどう映るのか。
ー編集部インプレッション by 高木三千成

これはもう、文句無しに買いの一本。
前作をデビュー時に手に入れて、それ以来レース用としてずっと使ってきたが、この新型DURA-ACEホイールはあらゆる面において前作を上回っている。レースを走るのであれば、新型に更新しない理由が思いつかない。

カーボンスポークの登場によって、ホイールの性能が一段階引き上げられた昨今。登場時には一線級の性能を誇っていた前作も、ライバルの進化が激しく最近は少し限界を感じる面も出てきた。
それでも、これまで前作を使い続けてきたのは、DURA-ACEホイールらしいバランスの良さが扱いやすく、どんなレースにでも対応できる万能性があったから。レーダーチャートで表すと綺麗に大きな円を描くようなホイールで、どんなバイクに組み合わせてもそのパフォーマンスを引き出してくれるという信頼感はDURA-ACEホイールならでは。

新型はその特性を受け継ぎつつ、更にそのパフォーマンスを全方位に広げる正統進化を遂げている。歴代のDURA-ACEホイールの中でも、間違いなく最速の一本だ。
今回テストしたのはC50だったが、初速の軽さはC36を履いているのかと勘違いするほど。そこから、40km/h前後の高速巡航域までは、カーボンスポーク独特のたわみを活かしたリズミカルな感覚で加速してくれる。

踏み込んだ力に、スポークのしなりが加わるような加速感で、とにかくスピードを乗せやすい。そして巡航においても、空力性能の向上のおかげか、スピードを維持するのに必要な出力が明らかに少なく、とにかく楽に走れる。
しばらくこのホイールを履いて2週間ほど走る中で、その違いが一番分かりやすかったのがアクティブリカバリーの日だ。今日は踏まないぞ、と思って流していたつもりが、気づくとサイコンには40km/h近い数字が表示されていて驚かされた。

下りでも一段階スピード域が上がっているが、ワイドリム化によってコントロール性も向上しているので、コーナーにも安心して突っ込める。
カーボンスポーク採用ホイールらしいしなり感のある踏み心地ながら、過剰にしなるような感覚は一切無いのも新型DURA-ACEホイールの特長だ。カーボンスポークのしなり量が大きすぎて反応が遅れるようなモデルもある中で、このホイールはそういったストレスとは無縁。

しなり戻りが速く、ペダリングに対して機敏に反応してくれるので、まるでターボが掛かったような加速に感じるのだろう。カーボンスポーク採用ホイールの中でも、トップレベルのパフォーマンスを実現している。
更に、シマノらしい堅牢さも兼ね備えているのだから、なかなか非の打ち所がない。こだわりのカップアンドコーンベアリングも更にメンテナンス性を向上させているという。実際、私も前作を4年以上使い続けているので、高い性能を長期間にわたって維持しやすくなっているのは嬉しいポイントだ。
一つ、どうにか欠点を挙げるとするならば、50km/hを超えるようなスプリント時のトップスピードでの伸び感がわずかに薄まるように感じた。ただ、ここを重視するのであればC60という選択も用意されている。

今年のツールの最終ステージで、新型DURA-ACEホイールを履いたマチューが劇的な逃げ切り勝利を果たしたが、もし旧モデルを使っていたら集団に飲み込まれていたのではないだろうか。
そう考えてしまうほどの圧倒的なパフォーマンスアップを新型DURA-ACEホイールは実現している。
シマノ WH-R9370-C50-TL
フロントホイール
リム内幅:23mm
リム外幅:31mm
スポーク:21本 エアロカーボンスポーク
リアホイール
リム内幅:23mm
リム外幅:32mm
スポーク:21本 エアロカーボンスポーク
セット重量:1,302g
価格:フロント198,847円(税込)、リア232,866円(税込)
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