初日のチームタイムトライアルはもちろん、6日目には超級山岳トゥールマレーを越えるなど、1週目から総合争いが繰り広げられる今年のツール。栄光のマイヨジョーヌを掴むのは5勝目を狙うポガチャルか、ジロとの連覇を目指すヴィンゲゴーか。エヴェネプールやセクサスなど、有力候補をプレビューします。



総合リーダーの証であるマイヨジョーヌ photo:A.S.O.

ツール・ド・フランスを象徴するのは、時に王者を表わす金色に輝き、夏を彩るひまわりの黄色にも重なるマイヨジョーヌ。7月4日(土)にスペイン・バルセロナで開幕し、7月26日(日)のパリ・シャンゼリゼまで続く21ステージ、総距離3,320.7km。その道のりを最も短い累積タイムで走りきった選手が総合優勝者となり、マイヨジョーヌを着て最終表彰台の中央に立つ。

総合成績で複数の選手が同タイムとなった場合は、個人タイムトライアルで記録された1/100秒単位のタイムを比較。それでも差がつかない場合は、全ステージの順位合計が少ない選手が上位となる。なお、それでも決着しない場合は最終ステージの順位によって決定される。

2025年大会はマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が着用する日もあった photo:CorVos

1919年の第13回大会で初めて導入されたマイヨジョーヌは、1世紀以上にわたりツールの歴史を彩り続けてきた。1987年からはフランスのLCL銀行がスポンサーを務めており、その黄色いコーポレートカラーとともに表彰台を彩り続けている。毎ステージの着用者に贈られる「ライオンのぬいぐるみ」も、ツールではおなじみの光景だ。

各ロードステージのフィニッシュでは上位3名にボーナスタイムが与えられ、ステージ1位には10秒、2位には6秒、3位には4秒が付与される。一方でタイムトライアルではボーナスタイムはなく、昨年に続き、フィニッシュ以外でのボーナスタイムも設定されていない。



ポガチャルの5勝か、ヴィンゲゴーの王座奪還か

5勝クラブ入りを目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)に対し、GOAT(史上最高の選手)やアンストッパブル(誰にも止められない)といった言葉は、もはや使い古されてしまった感がある。2026年のポガチャルは3月のストラーデビアンケ3連覇からミラノ〜サンレモを初優勝。ロンド・ファン・フラーンデレンも連覇し、ビッグレース3連勝というキャリアハイの滑り出しを見せた。

パリ〜ルーベでは2年連続の2位と悔しさを味わったものの、リエージュ~バストーニュ~リエージュで3連覇を飾ると、ツールに向けたツール・ド・ロマンディとツール・ド・スイスで総合優勝。16日間のレースを走って11勝(総合優勝は除く)と、驚異的な勝率を残している。27歳になりムラッ気も収まり、総合優勝にフォーカスした世界王者がタイムを失う姿は想像が難しい。

記者会見に臨んだイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:Sotaro.Arakawa

達成すれば過去最多タイ、5勝クラブ入りがかかる今年、脇を固めるメンバーも過去最強の布陣と言っていい。中でも注目は22歳で初出場となるイサーク・デルトロ(メキシコ)。前哨戦であるツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプを区間2勝で総合優勝し、他のチームならば絶対的エースを担うであろうデルトロが、最強の山岳アシストとして世界王者を支えるのだ。

ヴィンゲゴーのジロ、ツール連覇への想い

大歓声に迎えられたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

2023年以来の王座奪還に加え、ジロ・デ・イタリアとの連覇を狙うのはヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)。3月のパリ〜ニース、ボルタ・ア・カタルーニャ、そしてジロと、出場するステージレースでは全て総合優勝を飾った。また「過去にツール後のブエルタを走った際のデータを見ると、数値は落ちていなかった。それどころか、ブエルタでのパワー出力はむしろ少し良かった」と語るように、ジロを経てなお高いコンディションでツールに臨む可能性は十分ある。

ただ、チーム力では昨年に比べて不安材料もある。それはスーパーアシストであるワウト・ファンアールト(ベルギー)の肘の怪我による欠場。もちろんセップ・クス(アメリカ)や注目若手のダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)ら強力なクライマーを揃えてはいるが、UAEのデルトロとブランドン・マクナルティ(アメリカ)、アダム・イェーツ(イギリス)と比較すると少々劣る。

エヴェネプールとセクサスの第3勢力

チームプレゼンで眩しそうに目を細めるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

上記2名とともに2024年に総合表彰台に上がり、2025年は落車により無念の途中棄権となったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。今季ここまでアムステルゴールドレースを含め8勝と調子は悪くないが、3位だった4月26日のリエージュ~バストーニュ~リエージュ以降、一切レースに出場することなくツールに臨む。

発表されたばかりの新型バイクを携え、新しいコーチと共にスペイン・シエラネバダ山脈で合宿を行い2か月以上、高地トレーニングと試走を重ねてきた。この新しいアプローチがどういう走りに結びつくのか。また共に総合エースの役割を分け合うのは、前年の総合3位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)で、こちらは直近のツアー・オブ・スロベニアで総合優勝と好調だ。

スペインにもかかわらず、一際大きな歓声が上がったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

今大会の総合争いはこのビッグ3に加え、ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)が主役候補に名乗りを上げる。いかにしてフランスの期待を背負うかについては、メンバー発表時の記事に譲るが、フランス国内での注目度の高さは、ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプのレース中継を観ていても明らかだ。カメラは逃げ集団でもプロトンの先頭でも、総合首位の選手ではなく、この19歳に何度も向けられていたのだ。

ただ不安材料は、チームがオラフ・コーイ(オランダ)でスプリント勝利も狙うこと。しかし山岳ではベテランのティシュ・ベノート(ベルギー)はもちろん、マシュー・リッチテッロ(アメリカ)ら戦力は揃っている。

他にはアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)や昨年総合6位のトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)に注目。チーム力で言えばフアン・アユソ(スペイン)を中心とするリドル・トレックは、マティアス・スケルモース(デンマーク)とデレク・ジーウェスト(カナダ)を揃え、正真正銘の総力戦で総合上位を狙いに行く。
歴代のツール総合優勝者
2025年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2024年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2023年 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)
2022年 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2019年 エガン・ベルナル(コロンビア)
2018年 ゲラント・トーマス(イギリス)
2017年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2016年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2015年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2014年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2013年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2012年 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)
2011年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)※コンタドール失格による繰り上げ
2009年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2008年 カルロス・サストレ(スペイン)
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2006年 オスカル・ペレイロ(スペイン)※ランディス失格による繰り上げ
2005年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2004年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2003年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2002年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2001年 ランス・アームストロング(アメリカ)
2000年 ランス・アームストロング(アメリカ)
1999年 ランス・アームストロング(アメリカ)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1996年 ビャルヌ・リース(デンマーク)
1995年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1994年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1993年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1991年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1990年 グレッグ・レモン(アメリカ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)