2026年7月4日、スペイン・バルセロナで第113回ツール・ド・フランスが開幕。1971年以来51年ぶりとなるチームタイムトライアル開幕で早くも総合バトルが繰り広げられ、トップタイムをマークしたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)を12秒引き離してマイヨジョーヌを獲得した。



7月4日(土)第1ステージ:バルセロナ〜バルセロナ(チームTT、距離19.6km/獲得標高差:167m)

37年ぶりとなるツール復帰を叶えたカハルラル・セグロスRGAを先頭に、各チームが5分おきにスタート photo:A.S.O.

第1ステージ バルセロナ〜バルセロナ image:A.S.O.

1903年の初回大会から数えて今年で実に113回目。スペインはバルセロナで世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスが華々しくグランデパール(開幕)を迎えた。

7月4日(土)にバルセロナを出発し、最終7月26日(日)にパリ・シャンゼリゼにフィニッシュする合計21日間、総距離3,321.2km/総獲得標高54,450mに及ぶグラン・ブークル(ツール・ド・フランスの愛称)の初日は、1971年以来51年ぶりとなるチームタイムトライアルで幕開けた。

ツールにとってチームタイムトライアルは2019年以来7年ぶりで、さらに言えば1971年にエディ・メルクス率いるモルテニが勝利して以来2度目のチームタイムトライアル開幕。通常のチームタイムトライアルでは設定された規定人数目の選手がフィニッシュラインに到達したタイムで競われるが、今回は各チームの最速選手のタイムでステージ順位が決定され、総合順位は選手個人のタイムに委ねられるという前例のないフォーマットに。海岸沿いの平坦区間(約16km)を走り、郊外北部にある「モンジュイックの丘」の2回の登坂区間を経て、頂上にあるスタジアム「エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス」を目指す19.6kmコースは早くも総合成績を争う場となった。

サグラダファミリアの真下を走るバルセロナの開幕ステージ photo:A.S.O.

バルセロナ郊外にある「モンジュイックの丘」を2回登るコース。チーム戦略も大きな鍵を握った photo:A.S.O.

現地時間17時05分に、ワイルドカード枠によって37年ぶりとなるツール復帰を叶えたカハルラル・セグロスRGAが第1チームとしてスタート。続いて17時10分にピクニック・ポストNLが、さらに17時15分にトタルエネルジーがスタート台を駆け降りる。最終走者であるUAEチームエミレーツXRGまで、合計23チームが5分おきに海岸線コースに飛び出していった。

トタルエネルジーのジョルダン・ジェガット(フランス)が、続いて5番目出走のグルパマFDJユナイテッドのロマン・グレゴワール(フランス)が、さらにアルペシン・ドゥクーニンクのマチュー・ファンデルプール(ベルギー)が続々とトップタイムを更新したものの、個人タイムトライアルのナショナルチャンピオン2名を要するネットカンパニー・イネオスが爆走。一人になったフィリッポ・ガンナ(イタリア)がアルペシンを31秒03上回ってホットシートを確保する。

デカトロンCMA CGMはポール・セクサス(フランス)を総合10位に送り込むことに成功 photo:A.S.O.
TT世界王者、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)擁するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はステージ5位 photo:A.S.O.


ネットカンパニー・イネオスは好走したもののステージ2位に photo:A.S.O.

暫定順位が入れ替わったのは総合上位勢が集中する後半スタート組だ。リドル・トレックのフアン・アユソ(スペイン)はネットカンパニーに7秒94届かず、個人タイムトライアルの世界王者であるレムコ・エヴェネプール(ベルギー)は昨年大会3位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)を振り切ってフィニッシュしたものの、やはり10秒82届かない。しかし、ネットカンパニーのタイムを上回ったのはラスト2番目に出走したヴィスマ・リースアバイクだった。

「ヨナス(ヴィンゲゴー)をできる限り守る作戦だった」というヴィスマは、3箇所ある中間計測ポイントのうち第2中間計測と第3中間計測でネットカンパニーを上回り、最終盤まで身長186cmのペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー)のスリップストリームで走ったヴィンゲゴーが最後の登りに入るや否や発進。TTポジションで踏み切った2023年大会覇者はタイムを7秒33更新する21分47秒87でフィニッシュしてみせる。

中盤からペースを上げて走ったヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O.

中間計測でトップタイムを更新しながらフィニッシュを目指すヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

一人で最終登坂区間を駆け上がるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

注目のディフェンディングチャンピオン、タデイ・ポガチャル(スロベニア)擁する最終出走チームのUAEチームエミレーツXRGもまたポガチャルとイサーク・デルトロ(メキシコ)を守る作戦で進めたものの、第3中間計測ポイントでヴィスマから13秒遅れ。最終登坂で発進したポガチャルはバイクを振りながらフィニッシュラインに飛び込んだものの、中間計測までの遅れを取り返すには至らなかった。

ポガチャルが11秒28遅れたことで、ワウト・ファンアールト(ベルギー)不在を感じさせない走りを披露したヴィスマの開幕ステージ優勝とヴィンゲゴーのマイヨジョーヌ着用が決定。ガンナが8秒遅れの総合2位、山岳賞首位の証であるマイヨアポワが掛かる最終区間を最速タイムで駆け上がったポガチャルが総合3位(+12秒)、アユソ4位(+16秒)、エヴェネプール5位(+18秒)、そしてデルトロ6位(+26秒)と、初日から早くも優勝候補たちが総合上位に固まる結果となった。

ステージ優勝を叶えたヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O.

早くもヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がマイヨジョーヌを獲得 photo:A.S.O.

最終区間を最速で駆け上がったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は山岳賞を獲得 photo:A.S.O.

また、リポヴィッツが総合8位(+35秒)、注目の19歳ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)が総合10位(+39秒)と上位に食い込んだ一方、トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)は+57秒の総合18位、ツールデビューを果たしたキアン・アイデブルックス(ベルギー、モビスター)は予想外の失速で+1分53秒の総合40位と出遅れる形となった。

早くもマイヨジョーヌを獲得したヴィンゲゴーは「明確な計画を立て、それを完璧に実行することができた」と語る。「再びイエロージャージを着ることができて最高の気分。イエロージャージは自転車界で最も象徴的なジャージの一つ。ここ数年は苦しい時期もあったけれど、再びイエロージャージを着ることができて本当に嬉しいよ」と柔らかい表情とともに喜びを語っている。

落ち着いた表情でインタビューに応じるヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

選手コメントは別記事で紹介します。
ツール・ド・フランス2026第1ステージ
1位 ヴィスマ・リースアバイク 21:47
2位 ネットカンパニー・イネオス +0:08
3位 UAEチームエミレーツXRG +0:12
4位 リドル・トレック +0:16
5位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +0:19
6位 デカトロンCMA CGM +0:39
7位 アルペシン・プレミアテック
8位 グルパマFDJユナイテッド +0:41
9位 バーレーン・ヴィクトリアス +0:47
10位 ジェイコ・アルウラー +0:51
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 21:47
2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス) +0:08
3位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) +0:12
4位 フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) +0:16
5位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:19
6位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:26
7位 ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) +0:28
8位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:35
9位 トビアス・フォス(ノルウェー、ネットカンパニー・イネオス) +0:38
10位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) +0:39
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、ネットカンパニー・イネオス)
2位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、ネットカンパニー・イネオス)
3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、ネットカンパニー・イネオス)
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)
2位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)
3位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) 22:03
2位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:10
3位 ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) +0:12
チーム総合成績
1位 ネットカンパニー・イネオス 1:07:08
2位 ヴィスマ・リースアバイク +0:39
3位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +1:11
text:So Isobe
photo:CorVos, A.S.O.

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