バルセロナで開幕するツール・ド・フランスは、7年ぶり復活のチームTTから始まる。その後、丘陵と山岳ステージを経てフランスに入国。6日目にはピレネーを代表する超級山岳トゥールマレーを越えるなど、見所が詰め込まれた1週目のコース詳細を紹介する。



ツール・ド・フランス2026 コースマップ image:A.S.O.

第113回大会はスペイン第2の都市、カタルーニャ州バルセロナから走り出す。そこからフランスと国境を接するピレネー山脈を越え、平坦ステージを挟みながら中央山塊に到着。その後も北東に進路を取り、ヴォージュ山脈からジュラ山脈へ。マイヨジョーヌ争いはアルプス山脈で佳境を迎え、そして今回も、21日間の戦いはフランスの首都パリで締めくくられる。

ステージカテゴリー内訳
平坦:7
丘陵:4
山岳:8(頂上フィニッシュ5)
チームTT:1
個人TT:1

今大会のハイライトとなるであろうステージの一つが、2019年以来7年ぶりに復活した初日のチームタイムトライアルだ。しかし終始平坦の”顔見世レース”ではなく、終盤に2つの登りが待つガチバトル。そして何よりもマイヨジョーヌの行方を大きく左右する第19、20ステージに連続登場するラルプデュエズ。またパリでの最終ステージも、昨年同様に完全な平坦ステージではなく、モンマルトルの丘を3度登るレイアウトとなった。



7月4日(土)第1ステージ
バルセロナ〜バルセロナ 19.6km(チームTT)


第1ステージ バルセロナ〜バルセロナ image:A.S.O.

昨年、フランス北部のリールを出発したツールは今年、南のスペイン第2の都市バルセロナから始まる。行われるのは大会では2019年以来となるチームタイムトライアル。しかし、従来のようにチーム4人目のフィニッシュタイムがチーム全体のタイムになるのではなく、先頭でフィニッシュした選手のタイムで争われ、さらに選手それぞれのタイムは総合タイムにそのまま反映される。

19.6kmのコースは終盤を除けば概ねフラット。地中海に面するパルク・デル・フォラムから、連続する直角コーナーをクリアしながらサグラダファミリアなど名所を進み、南西に向かう。3箇所の中間計測地点を経た後、選手たちはモンジュイックの丘(距離1.1km/平均5.1%)をクリア。そしてラストにオリンピック・スタジアムの丘(距離0.7km/平均7%)を駆け上がる。

総合勢は初日からタイム差が生まれることになる。そしてTTスペシャリストやパンチャーたちはチームの勝利はもちろん、最速タイムを出して栄光のマイヨジョーヌを目指す。



7月5日(日)第2ステージ
タラゴナ〜バルセロナ 168.5km(丘陵)


第2ステージ タラゴナ〜バルセロナ image:A.S.O.

自転車ロードレースファンにとってバルセロナといえば、ボルタ・ア・カタルーニャの最終ステージが思い浮かぶ。具体的には終盤に何度も登るモンジュイックの丘。今大会ではそこを含む周回コースを2周半する、2日連続パンチャー向きのレイアウトだ。

出発地点は水道橋や円形競技場など多くの世界遺産を抱えるタラゴナで、そこから地中海沿岸を東へとバルセロナに向かっていく。市街地に設定されたのは12.2kmの周回コースで、3級山岳モンジュイックの丘は登坂距離1.6kmに平均勾配9.3%、最大13%と険しい。

今年のカタルーニャはパンチャーたちによる集団スプリントに持ち込まれ、2024年も集団スプリントをタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が制している。つまりマイヨジョーヌを争う総合優勝候補を含む、白熱のスプリントが観られそうだ。



7月6日(月)第3ステージ
グラノリェルス〜レ・ザングル 195.9km(山岳)


第3ステージ グラノリェルス〜レ・ザングル image:A.S.O.

大会3日目にしてスペイン最終日。まだスプリンターの出番はない。この日の舞台はピレネーで、獲得標高は3,950mに達する本格山岳ステージ。しかし主役となるのは総合有力勢というより、登坂力を備えた逃げ屋たちだ。

バルセロナに別れを告げた選手たちは、そこから北にあるグラノリェルスを出発。そして今大会最初の1級山岳にして、この日最大の難所であるトセス(距離9.3km/平均6.5%)をクリア。直後にいよいよフランスに入国し、3級山岳で標高を上げ、ラストに待ち受ける3級山岳レ・ザングル(距離1.7km/平均6.5%)の頂上がフィニッシュ地点だ。



7月7日(火)第4ステージ
カルカッソンヌ〜フォア 181.9km(丘陵)


第4ステージ カルカッソンヌ〜フォア image:A.S.O.

この日もステージ優勝の候補には、自由を与えられた逃げ屋たちが挙がるだろう。城塞都市カルカッソンヌをスタートする4日目は、ピレネーの麓が舞台。カテゴリー山岳の数は4つで獲得標高も2,700mと控えめのため、登坂に耐えられるスプリンターが残れば、集団スプリントの可能性もある。

その鍵となるのは残り42.1km地点から始まる、2級山岳モンセギュールだ。登坂距離6.9kmに平均勾配6.6%。しかし頂上に向かって勾配が厳しくなっていくため、集団のペース次第では総合勢が動くことも考えられる。そして巨大な岩の上に建つフォア城の麓に引かれたフィニッシュで、この日の勝者が決まる。



7月8日(水)第5ステージ
ランヌメザン〜ポー 158.3km(平坦)


第5ステージ ランヌメザン〜ポー image:A.S.O.

ようやくスプリンター、それもピュアスプリンターたちに出番がやってきた。大会5日目まで集団スプリントが訪れなかったのは近年では2015年以来で、コース設定によるものでは1992年以来34年ぶりのこと。しかもこのコースは、完全に平坦というわけではない。

ランヌメザンを出発した選手たちは、反時計回りに弧を描くようにポーへと向かう。スプリンターたちの試練は残り26.6kmから始まる3級山岳バレイで、登坂距離は1kmだがその平均勾配は8.8%。さらにその前にも背の低い丘が2つあり、フィニッシュまでの平坦基調の道にも緩やかな登りが出てくる。

フィニッシュ地点はツールの常連ポー。ロードレースファンならきっと見覚えがある、数々の名スプリンターたちがしのぎを削ったヴェルダン広場だ。



7月9日(木)第6ステージ
ポー〜ガバルニー・ジェードル 186.2km(山岳)


第6ステージ  ポー〜ガバルニー・ジェードル image:A.S.O.

レース主催者は今年、開幕から連日、魅力的な展開を生み出そうという気概を感じさせる。なぜなら大会6日目にして早くも、超級山岳トゥールマレー(距離18.9km/平均7.4%)が登場するのだから。

前日のフィニッシュ地であるポーを出発した選手たちは再びピレネーに戻る。足慣らしの4級、3級山岳を越え、まず登るのは1級山岳アスパン(距離12km/平均6.5%)。一度下ってからいよいよ超級山岳トゥールマレーを駆け上がり、山頂のトップ通過者には「ジャック・ゴデ賞」が与えられる。

レースは頂上で終わるのではなく、18.6kmのダウンヒルから2級山岳ガバルニー・ジェードルを登る。登坂距離18.7kmに対して平均勾配3.7%と数字上の難易度は高くないが、ここでの展開はトゥールマレー次第となる。



7月10日(金)第7ステージ
アジュトモー〜ボルドー 175.1km(平坦)


第7ステージ アジュトモー〜ボルドー image:A.S.O.

ピレネーに別れを告げボルドーを目指すプロトンは、ランド県の広大な森林地帯「ランドの森」を抜けていく。残り37.8km地点にはアクセントとなる4級山岳が設定されてはいるが、5日目のようにスプリンターを絞り込むような難易度ではない。また獲得標高も今大会最小の850mと、正真正銘のスプリントステージだ。

また森林地帯とはいえ横風による集団分断の心配も低い。逃げにとっては厳しいレイアウトで、逆に前日の疲れを癒したい総合勢にとっては休息日のような一日になる。スプリンターチームが終始ペースをコントロールし、ボルドーの街になだれ込むことだろう。



7月11日(土)第8ステージ
ペリグー〜ベルジュラック 180.4km(平坦)


第8ステージ ペリグー〜ベルジュラック image:A.S.O.

長く濃密だったツール第1週も残すところあと2日。この日も後半2つの4級山岳以外は平坦路で、2日連続の集団スプリントが濃厚なレイアウト。レース展開だけでなく、道中では壁画で有名なラスコー洞窟の近くを通過することも見どころとなる。

ラスト500mから最終ストレートが始まり、その前には3つの直角コーナーをこなすのみ。前日勝者は連勝を狙い、敗れた選手たちはリベンジを誓う。今大会はスプリントステージが少ないため、スプリントチームの総力戦が観られるはずだ。



7月12日(日)第9ステージ
マルモー〜ウッセル 185.5km(丘陵)


第9ステージ マルモー〜ウッセル image:A.S.O.

ツール第1週を締めくくるのはマルモーから中央山塊に入り、ウッセルに至る丘陵ステージ。大方の予想は逃げ切り。そんな選手たちに待ち受けるのは4つの山岳(3、2、3、4級)だが、序盤から逃げを誘発する細かな起伏が登場する。

最も難易度が高いのは2つ目の2級山岳シュック・オ・メ(距離3.8km/平均7.7%)で、最後の4級山岳モン・ベスーも距離900mながら平均7.3%と易しくない。

モン・ベスーの頂上からは一度下り、その後も細かいアップダウンを経てウッセルへ。またフィニッシュ手前も登り勾配になっているため、最後まで気を抜けないレイアウトとなっている。タフだった第1週を終えた選手たちは翌日、古い歴史を持つチーズでも知られるカンタルで最初の休息日を迎える。



7月13日(月)休息日 カンタル



text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.

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