2週目に入ったジロ・デ・イタリアは42kmの個人タイムトライアルで争われ、フィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス)が圧巻の最速タイム。ヴィンゲゴーが振るわず区間13位だったため、エウラリオが辛うじてマリアローザの保持に成功した。



5月19日(火)第10ステージ
ヴィアレッジョ〜マッサ 42km(個人TT)


ティレニア海沿いを進むジロ第10ステージ photo:RCS Sport

優勝候補筆頭に挙がったフィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス) photo:RCS Sport
第109回ジロ・デ・イタリアは1度目の休息日を終え、再びティレニア海沿いに戻ってきた。海辺のリゾート地でもあるヴィアレッジョを出発し、北のマッサに至るコースで行われたのは、平坦路をひたすら進む個人タイムトライアル。またその距離も42kmと、ここ10年のグランツール個人TTでは一番長いTTスペシャリスト向きのレイアウトだった。

総合最下位で初めてのジロを走るフランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL)から順にスタート。次々と最速タイムが更新されていくなか、序盤スタート組でトップタイムをマークしたのはマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、リドル・トレック)。ジョナタン・ミラン(イタリア)のリードアウトやルーラーなどマルチなタスクをこなすベテランが、48分10秒という後続の基準となるタイムでフィニッシュした。

2021年にU23のTT世界王者に輝いたヨハン・プリース=パイタースン(デンマーク、アルペシン・プレミアテック)も良い走りを見せたが、ヴァルシャイドには12秒届かず暫定2位。その後シュールト・バックス(オランダ、ピナレロQ36.5プロサイクリング)がトップタイムを13秒更新し、長らく座っていたヴァルシャイドからホットシートを奪い取る。しかし、それもこの日の大本命であるフィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス)がフィニッシュするまでとなった。

2位に1分53秒差をつける、圧巻の勝利を飾ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos

ジロで過去、6度のTT勝利を飾っているイタリアTT王者は、第1中間計測地点(16.7km)を19分9秒のトップタイムで通過する。その後も黒地にイタリア国旗の3色のストライプが入ったTTバイクを飛ばし、ガンナは残る2つの中間計測地点でも最速をマーク。次々と先行する選手たちを追い抜き、バックスよりも2分3秒速い45分53秒という圧巻のトップタイムを叩き出した。フロント64、リア11-34というギヤで飛ばしたガンナの平均スピードは54.905km/hだった。

結果的にこのタイムを上回るどころか、肉薄する選手すら現れることはなかった。最も迫り、ステージ2位に入ったのは1分53秒遅れのテイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス)で、これにより総合順位を6位から3位に上げることに成功。ステージ3位はレミ・カヴァニャ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)で、1分59秒遅れというタイムからも、ガンナがいかに突出していたかが分かる。

ガンナとワンツーフィニッシュを決め、総合順位を上げたテイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos

好タイムを出し、ステージ5位に入ったデレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) photo:CorVos

そしていよいよ総合トップ10が続々と走り出す。アレンスマンを除き、総合上位勢で好タイムを出したのはステージ5位だったデレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック)で、2分15秒遅れでフィニッシュ。ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)も2分41秒遅れの11位とまずまずの結果を残すなか、予想に反するタイムだったのがヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)だった。

ヴィスマ・リースアバイクが緻密な設計のもと完成させたスキンスーツではなく、レース主催者が用意したマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)で走り出した総合2位ヴィンゲゴーは、第1計測地点をトップから56秒遅れで通過。その後もスピードが上がることはなく、2分59秒遅れのステージ13位でフィニッシュした。「感覚自体はかなり良かったのだが、明らかにベストなTTではなかった」とコメントしながらも、「でもまだまだ続くジロを考えれば、(総合で)良い位置にいる」と語っている。

ステージ13位と振るわなかったヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ステージ33位とタイムロスを最小限に抑えたフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

41位ながら、辛うじてマリアローザを守ったアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

他の総合勢ではジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がヴィンゲゴーよりも遅い3分17秒遅れのステージ18位で、チームメイトのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)は3分30秒遅れ(ステージ22位)。そして総合3位のフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)は4分21秒遅れの33位でフィニッシュし、苦手とするTTでのタイムロスを最小限に留めた。

そして167番目、最終出走者としてスタートしたアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)は、ガンナのタイムから遅れること4分56秒のステージ41位でフィニッシュした。総合2位であるヴィンゲゴーがタイムを稼げなかったこともあり、27秒差で辛うじてマリアローザを守ることに成功。「今日はずっと苦しみのなかにいたが、フィニッシュしてマリアローザを保持することができた。本当に素晴らしい結果だよ」と笑顔を見せた。

マリアローザを守ったアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

新しいチーム名、ネットカンパニー・イネオスでの初勝利を飾ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos

この日、ジロ通算8勝目、TTでは7勝目となるステージ優勝を飾ったガンナ。「この冬、素晴らしい仕事をしてくれたチームのおかげだ。本当に良く、長いTTコースだった。登りのない自分好みのTTを走り、勝つことができて本当に嬉しいよ」とコメント。チームとして名前が変わってからの初勝利を、アレンスマンとのワンツーフィニッシュという形で手に入れた。

この結果、トップ2以外の総合順位は入れ替わり、次に総合勢による争いが起こるのは、アルプス山脈を舞台とする今大会3度目の山岳フィニッシュとなる第14ステージになるだろう。
ジロ・デ・イタリア2026第10ステージ結果
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス) 45:53:87
2位 テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) +1:53
3位 レミ・カヴァニャ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +1:59
4位 シュールト・バックス(オランダ、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +2:03
5位 デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) +2:15
6位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、リドル・トレック) +2:16
7位 ヨハン・プリース=パイタースン(デンマーク、アルペシン・プレミアテック) +2:28
8位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツXRG) +2:33
9位 ロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター) +2:40
10位 ニクラス・ラーセン(デンマーク、ユニベット・ローズ・ロケッツ) +2:41
11位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
13位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +2:59
18位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:17
22位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:30
33位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +4:21
41位 アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) +4:56
マリアローザ(個人総合成績)
1位 アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) 39:40:34
2位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:27
3位 テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) +1:57
4位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +2:24
5位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +2:48
6位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:06
7位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) +3:28
8位 デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) +3:34
9位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:36
10位 マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) +4:16
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 130pts
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) 86pts
3位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 76pts
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 111pts
2位 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ) 60pts
3位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) 48pts
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) 39:40:34
2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:36
2位 マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) +4:16
チーム総合成績
1位 ヴィスマ・リースアバイク 119:16:53
2位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +1:40
3位 ネットカンパニー・イネオス +8:34
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport