5月14日から17日まで4日間にわたり開催されたUCIクラス1のトラック大会「ジャパントラックカップⅠ・Ⅱ」で活躍した日本人選手にインタビュー。Vol.1は、ケイリン世界チャンピオン2年目の佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス)と、今週末に競輪デビュー戦を控える兒島直樹(日本ナショナルチーム)に話を聞いた。



佐藤水菜「スプリントを初めて理解して走った」

ケイリンの世界チャンピオンとして2シーズン目の佐藤水菜。今大会は結果よりも様々なことを試す場として臨んだと言う。そこで得たものは?

ケイリン世界チャンピオンとしてアルカンシェルを着て走る佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス) photo:Satoru Kato

「今回の位置付けは、着を狙いに行くよりも自分の「もの」を試すこと。トライしてダメだったら次に活かすことを目的として走りました。スプリントでも活かせたし、ケイリンでは後方待機して着を狙いにいくよりは自分の力を試してアンドリュース(・エレッセ/パリ五輪ケイリン金メダリスト)や中国選手らに対して自分がどれだけ出来るかを試せた良い機会になりました。

スプリントはJTCⅠ、Ⅱ共に3回戦まで粘って優勝を決めた photo:Satoru Kato

この3ヶ月でチームのみんなやジェイソン(・ニブレット、日本ナショナルチームコーチ)といっぱい話して戦略を考え、スプリントとはどういうものかを初めて理解することが出来ました。どういうレースをすれば良いか技術的な部分をちゃんと理解出来たからこそ、今までとはまったく違う自分で走れています。今まではどうやって走ったら良いのか、何をしたら良いのか分からない状態でしたが、何が良くて何が悪かったかをしっかりと感じながら走ることが出来たので、全然違うスプリントを走れました。

女子スプリント優勝を決めて観客に応える佐藤水菜(チーム楽天Kドリームス) photo:Satoru Kato

これまでなら「1本取られて足がキツいから負けてしまえば解放されて楽になる」と考えてしまうところが自分の課題でもあったので、取り返すという気持ちを強く持ち、ダメだったところを次に活かせたので、2回とも1本目を取られたけれど、2本目、3本目で取り返すことが出来ました。

ケイリンでは優勝こそ逃したものの、誘導待避直後から前に出る攻めを見せた photo:Satoru Kato

ケイリンは結果だけ見ればみんな残念と言うかもしれないけれど、内容を見てもらえば今までとは全然違ったものになっていたと思うし、着を狙うよりは果敢に攻めて相手に対してどう戦うか、どういう走りをしたら次の世界選手権に向けてアピールが出来るかを捉えることが出来たと思います。

世界選手権は運で勝てたようなものなので、逆に今年前半は勝ちに拘りすぎて良く無かった部分も多かったので、今回は勝ちに行くよりは内容をしっかり拘ることを重点に走って、その点は今までと違った成果が出ています。

今大会では報道陣の注目度が高かった佐藤水菜 photo:Satoru Kato

まずは来月のトラック全日本選手権が控えているので、昨年以上のハロン(200mフライングタイムトライアル)のタイムを出すこともそうだけれど自分との戦いに勝つことも重要だし、アジア大会に向けて自分がどうやってモチベーションを持っていくか、どのような練習をしていけば次の世界選手権に繋がるのかを模索段階なので、試行錯誤しながらしっかりと大会に備えたいです。

国際大会を経験した後のガールズケイリンは誘導の速度が違っていたりスローな展開になるので有利に運べることが多いですが、逆にガールズケイリンから国際大会に戻る時が自分の中では苦戦することが多いです。でもそのギャップは年々減っているので対処できるようになったと思っていますが、まだまだ脚的には全然上には及ばないので、もっとタテ脚(たてあし、前に進む力)を磨かないといけないと思っています」



兒島直樹「色々な種目の良いところを吸収していきたい」

競輪養成所を卒業して翌週に競輪デビュー戦を控える中、ツール・ド・熊野とジャパントラックカップの連戦スケジュールをこなした兒島直樹。昨年は競輪とナショナルチーム活動の両立に苦労していたようだが、それぞれの良いところを活かせるようになったと言う。

今回のジャパントラックカップでは計5勝を挙げた兒島直樹 写真はJTCⅠオムニアム表彰式 photo:Satoru Kato

「すごくスケジュールが濃くて大変な4日間でしたけれど、無事走り切れたので良かったです。海外遠征など大会が続いて精神的にすり減るところもあるので、集中力を切らさないようにすることが大変でしたね。皆さんの前で変な走りは出来ないと思っていたので、自分の中でやれることを精一杯やって間に合わせられるように頑張りました。

エリミネイションではガッツポーズしながらフィニッシュ photo:Satoru Kato

今大会で5勝出来ましたが、先週ツール・ド・熊野を走ったことで持久力の部分が戻って、競輪養成所で培ったスプリント力も活かせたことで、両立出来たと思います。昨年の全日本選手権の頃は養成所との両立が大変でしたけれど、卒業して持久系の練習に重点を置けるようになって、スプリント力の土台を作った上に持久力をつけることが出来たので良い相乗効果が得られたのかなと感じています。

5月22日から24日が平塚競輪場でデビュー戦になります。一瞬ごとの立ち回りが大事になってくるのが競輪だと思うので、それを見逃さないように走ってうまく位置取りしながら良い順位を狙えたらいいなと思っています。

ジャパントラックカップの前週はツール・ド・熊野を完走した兒島直樹(日本ナショナルチーム) photo:Satoru Kato

今後は、デビュー戦翌週にもう一回競輪を走って、全日本TT、全日本トラック、全日本ロードに出場して、その後はアジア大会や世界選手権に向けてナショナルチームでトラックに集中していく予定です。今年の世界選手権から次のロサンゼルス五輪の出場権に関わるポイントがかかってくるので、競輪を走る機会は少ないかもしれませんが、出場出来たら楽しんで走れたらと思っています。

先週はロードを走って、今回はトラックで、来週は競輪と、色々な種目をやることでそれぞれの良いところを吸収していきたいですね」


text:Satoru Kato