ジャイアントが「DCF」なる本格フィッティングサービスをスタートした。上級者だけではなく、エントリーライダーの味方にもなるジャイアントらしいプログラムを、Livアンバサダーの新開由樹さんがジャイアントストア大阪で体験。その模様と、フィッティングサービスの詳細を紹介します。



ジャイアントが全国17店舗でサービス開始した独自のバイクフィッティング「Dynamic Cycling Fit(DCF)」 (c)ジャイアント

2026年3月に、ジャイアントが全国17店舗のストアでスタートさせた全く新しいフィッティングサービスが「DCF」。かつて存在した「RIGHT RIDE」と呼ばれるサービスを、モニタリングシステムとカスタムインソールの作成をコアにした、フルサービスの現代プログラムに置き換える。

「ダイナミック・サイクリング・フィット」はその名の通り、静止状態での計測ではなく、専用マシンやデバイスを用いてライダーが実際にペダルを漕いでいる最中の「動的な状態」を最適化し、最適なポジションを導き出すサービス。ここまでは他社でも同様のサービスがあるものの、特筆すべきは「マーカーレス」の3Dモーションキャプチャー技術を採用し、さらに自動調整可能な全自動フィッティングバイク「DCF BIKE PRO(大阪、聖蹟桜ヶ丘、名古屋、福岡の4店舗に設置)」を用いたことだ(DCF BIKE PROを使わず、「DCF BIKE LITE」や「RRS BIKE」を「導入する店舗でも「ダイナミック・サイクリング・フィット」サービスは可能。本稿ではDCF BIKE PROを用いたDCF SUPREME フィッティング」サービスついて紹介する)。

マーカーレス機能によってフィッティング中に身体に関節マーカーを貼る手間を省き、AIを活用したソフトウェアが関節角度や膝の軌道をリアルタイムで抽出。DCF BIKE PROと連動させたタブレット操作でサドルやハンドルの位置を自動で動かすことができ、負荷や勾配再現も可能。従来の「一度降りて、調整して、また乗る」あるいは「サドルから腰を浮かせて調整する」という手間が皆無になり、例えば「平坦中心のロングライド時」や「ヒルクライム中の高負荷時」といったシーンを想定しながら、サドルに座ったままミリ単位の差をダイレクトに比較・体感できるという大きなメリットがある。乗り手の負担を限りなく取り払い、客観的なデータに基づく精密なポジション出しを可能としたことが大きな特徴だ。

Livアンバサダーを務める新開由樹さん。ジャイアントストア大阪で行われたフィッティングに密着した photo:So Isobe

フィッティング担当は大阪店に常駐する渡邉宏誠さん。身体やフィッティングへの造詣も深い photo:So Isobe
「パワーの割に前に進んでないらしくて、それを改善したくて...」とのこと。DCF、いってみましょう! photo:So Isobe



これまで専用マシンを使ったバイクフィッティングと言えば「シリアスレーサーのためのもの」というイメージが強かったものの、DCFは、クロスバイクからのステップアップを検討している層やエントリーライダーをも明確なターゲットとして設計されている。上級者が求める「1%の出力向上」というシビアな要求に応える一方で、初・中級者が安心して次のステップへ踏み出すための基盤でもあるという。

今回シクロワイアード取材班は、ジャイアントストア大阪で行われたLivアンバサダーを務めるヒルクライマー、新開由樹さんのフィッティングに同行。ヒルクライム一本だった彼女のポジションを、これからのロードレース参加を目指す上で、しっかりと「乗れる」ように仕立て直すことが今回のゴールだ。

まずはカスタムインソールの作成から。ソールは「パフォーマンス」「エンデューロ」の2種類から選択できる。新開さんはもちろん「パフォーマンス」をチョイス photo:So Isobe

まずは足の基本的な形状を測定。可視化できるのも面白い photo:So Isobe
専用機器で足形を直接スキャンし、その後インソールを当てて真空整形を行う photo:So Isobe



「ロードレースを走るならエアロフォームって大事じゃないですか。でも今まではヒルクライムばっかりだったので気にしてなくて。自分でトライしてもよく分からず、ポジション迷子になっちゃって」とのこと。新開さんはスポーツバイクに乗り始めてちょうど3年ほど。まさに限界が見えてくるタイミングと言えるかもしれない。「夫曰く、パワーが出てるのに前に進んでないらしくて...」とも。ちなみに旦那さんとは、愛媛のロードチーム、ヴェロリアン松山で活躍する新開隆人さんのことだ。

新開さんが受けたのは「DCF SUPREME フィッティング(33,000円)」と「DCF カスタムインソール制作(17,600円)」のフルコース。インソールで50分、フィッティングで2時間半〜3時間。「たっぷり漕いでもらうので覚悟してくださいね!」と笑うのは、大阪店の店長を務める小早川千里さん。大阪店では女性客の場合、緊張しがちなヒアリングやアセスメントには小早川店長も同席してくれるから安心だ。

フィッティング前はヒアリングや、身体の柔軟性、可動域のチェックなどを重ねていく photo:So Isobe
大阪店では女性客の場合、店長の小早川千里さんが同席してくれる photo:So Isobe


実走に近いライディング環境を再現できる「DCF BIKE PRO」を用いた「DCF SUPREME フィッティング」を体感 photo:So Isobe

身体にマーカーを付けることなく、AIを用いた計測と動作確認が可能だ photo:So Isobe
丁寧にヒアリングと調整を繰り返していく渡邉さん。ユーザーの悩みや疑問に寄り添って答えを出してくれる photo:So Isobe



「サドルに座ったまま調整できるので変化がわかりやすい!」とのこと。調整のたびに降りたり、腰を浮かせたりする煩わしさを無くしたことが「DCF BIKE PRO」最大のメリットだ photo:So Isobe
「おそらくサドルが低くて、股関節や膝がちょっと窮屈なように感じますね。そこをメインに、無理しない範囲で少しずつ変えていく感じになるでしょう」と言うのは大阪店のメインフィッターである渡邉宏誠さん。172cmの新開さんが今年から乗り始めたという「Langma Advanced Pro」はSサイズで、思い切り突き出たシートポストと130mmステム。確かにフィッティング前のポジションは「棒立ち」っぽい気もする...。

「座ったまま調整できるから違いがすごく分かりやすい!」と感動する新開さんと渡邉フィッターがアセスメントと各所調整を繰り返すことおよそ3時間(人によって前後するという)。ひとまずの完成を見た新開さんのフォームは、一目で「走れる人のポジションだ!」と感じるものだった。

「なんだかすごく力が入りますね!今までのポジションは登りで後ろに引っ張られる感覚があったんですが、上半身が前に入って、身体全体でペダリングできている気がします。脚の動きも全然違うし、こんなに違うんだって感動しました!今まで何も考えずに真っ直ぐつけていたクリートもすごくいい感じです」と新開さんもびっくりのご様子。

「脚の動きを最適化するためにサドルを上げて、さらに10mm前に出しました。そしてエアロポジションを取りやすいように無理しないレベルで10mmハンドル位置を遠くしたんです。身体が柔らかいのでそれも良い方向に働いたと思います」と渡邉フィッター。結果的にハンドル位置が20mm前に出ることになったため、理想的には現状のフレームはサイズアウトで、Mサイズがベストという結論に。もちろんすぐにフレーム乗り換え、というわけにはいかないため、現バイクのステムは130mmのまま、レバーの角度やサドル位置を調整といった手法を採ったそうだ。

DCF BIKE PROは最大±26°まで対応する傾斜調整機構を備える。ヒルクライムや、MTBのダウンヒルまで想定してフィッティングが可能だ photo:So Isobe

「Livはバイクサイズを変えてもリーチ量がそこまで変わらないので、システム上で提案されたのはLサイズでした。でもサドルハイトなど全体的なバランスを考えてMが良いでしょうね」と渡邉さんは言う。やや内股気味の身体に合わせてクリートの向きを変え、Qファクターも150mmから145mmに。人生初めて作ったというカスタムインソールも、ペダリングの土台を作る上でとてもいい感じだという。

フィッティング後日談:「パワーデータを大幅更新!」

フィッティングから数日後、実走を終えた新開さんに改めてその後の経過を訊いた。オンラインインタビューの画面越しからでも十分伝わるほど、フィッティングは大成功だったようだ。

フィッティングを受ける前のポジションを再現。確かに「後ろに引っ張られる気がする」というのも頷ける感じ photo:So Isobe

「まずは平坦が驚くほど速くなりました。前方に重心を置いてバイクを効率よく進ませるフォームを作ってもらったおかげです。驚いたのは、100km超のレースを想定して180kmを走り込んだとき。平均時速31km/hというハイペースなのに腰や膝に一切の痛みが出なかった。それどころか、エアロポジションを取っているときが最も楽に感じたほどです。渡邉フィッターが理想のフォームにしてくれた、という感覚が強いです」と喜ぶ。

「フィッティング翌日のライドで真っ先に感じたのはインソールの効果でした。パワーがダイレクトに伝わり、いつもの感覚で踏んでいるつもりなのに、ふとメーターを見ると想定以上のペースが出ている。ペダリング効率が上がったことで、体感的には登りで15ワットほど上乗せされている感覚です。実際にパワーデータを取ってみたところ、20分パワーと30分パワーを無事更新して、もう感動の一言です(笑)」

フィッティング後のポジションは「いかにも走れる人の乗り方」に。エアロポジションを取り続けても全く苦にならなかったという photo:So Isobe

その変化は、最も身近な目撃者である旦那様の目にも鮮明に映ったそうだ。インタビューで隣にいた隆人さんにも聞いたところ「以前は登りでも身体が後ろに引っ張られるような動作がありましたが、フィッティング後はスイスイ登っている。フォームの安定感が以前とは全く違いますね」と証言する。

前段で記した通り、これまでの新開さんのポジションはどこか棒立ち気味で、登坂時にハンドルを引く動作が多くそれが推進力を削ぐ一因となっていた。しかし、渡邉フィッターと相談しながら導き出した「前重心」のポジションが、その課題を鮮やかに解決したのだ。

「フィッティングの質はもちろん、2万円を切る価格でこれだけ変化を感じられるカスタムインソールはコストパフォーマンスも素晴らしいと思います。まずはフィッティングの前に、これだけでも試してみる価値は十分にあるはずです」と断言する。

大阪店の小早川店長と。すっかり意気投合した新開さんはフィッティングの数日後、慣らしを兼ねてショップ再訪したそう photo:So Isobe

ロードレース挑戦を目指す新開さんの目標は、ツール・ド・ふくしまで上位25%に入り、グランフォンド世界選手権の本戦出場権を掴み取ること。「もっと女性参加者が増えて、いろんな人と一緒に競技にチャレンジしたいと思います。そのためにも、とっても有意義なフィッティングになりました」。



幅広いメニューを取り揃えるDFCは、新開さんのようにパフォーマンス向上を狙う人だけに止まらず、クロスバイクからロードバイクを考える目指すユーザーや、ロングライドの痛みを取り除きたいといったライディングの安心感を求めるユーザーにもうってつけ。「信頼のジャイアントが提供するフィッティングサービス」という安心感も良い。まずは相談してみたい、というユーザーにも親身になってくれるから、何か一つでも不安や痛み、伸び悩みを感じている方はぜひショップを訪ねてもらいたい。

DCF フィッティング メニュー
DCF SUPREME フィッティング 33,000円 / 所要時間:約2時間30分

今回新開さんが体験したのが、幅広い調整機能を備え、実走に近いライディング環境を再現できる「DCF BIKE PRO」を使用した最上位フィッティングプログラム「SUPREME フィッティング」。

乗車した状態のまま1mm単位でポジション調整が可能なシステムに加え、最大±26°まで対応する傾斜調整機構により、さまざまなライディングポジションを実際に試しながら最適解を導き出す。実際の走行姿勢に近い状態で微調整と検証を繰り返すことで、数値だけに頼らない実践的なフィッティングを実現。フィッティング終了後、調整内容をまとめたレポートも受け取ることができる。

DCF PREMIUM フィッティング 27,500円 / 所要時間:約2時間30分

さまざまなライディングポジションを再現できる「DCF BIKE LITE」や「RRS BIKE」、ユーザーのマイバイクを使用して行うフィッティングプログラム。専用アプリケーションによるモーション分析に加え、身体的特性やライディング目標を踏まえ、最適なバイクポジションを導き出す。フィッティング終了後、調整内容をまとめたレポートも受け取ることができる。

DCF アップデートフィット 22,000円 / 所要時間:約2時間

DCFフィッティングの後、2年以内の再フィッティングに適用されるプログラム。身体やライディングスタイルの変化に合わせて、筋力バランスや柔軟性、可動域、走り方の変化を丁寧に確認し、現在の状態に最適なポジションへアップデート。

DCFフィットチェック 無料 / 所要時間:約30分

DCFで重視されるのがフィッティング後の実走行。フィッティング実施日から1か月以内であれば「DCFフィットチェック」を無料で提供します。実際のライディングで生じた違和感や課題を確認・微調整することで、最適なポジションへの定着をサポート。

DCF カスタムインソール制作 17,600円 / 所要時間:約50分

独自の専用機器で足形を直接スキャンし、一人ひとりに合わせて成型するカスタムインソール。用途に合わせて「パフォーマンス」「エンデューロ」の2種類から選択でき、サイクリングシューズにジャストフィットすることで体重をバランスよく分散。ペダリングパワーを無駄なく伝達し、パフォーマンスの向上に加えて疲労や違和感の軽減にも効果大。

DCFサービス実施店舗
【DCF SUPREME/PREMIUM、カスタムインソール 対応店舗】

東京都 / ジャイアントストア聖蹟桜ヶ丘 / DCF BIKE PRO
愛知県 / ジャイアントストア名古屋 / DCF BIKE PRO
滋賀県 / ジャイアントストアびわ湖守山 / DCF BIKE PRO
大阪府 / ジャイアントストア大阪 / DCF BIKE PRO

【DCF PREMIUM 対応店舗】
宮城県 / ジャイアントストア仙台アウトレット / DCF BIKE LITE
茨城県 / ジャイアントストアつくば / DCF BIKE LITE
群馬県 / ジャイアントストア前橋 / DCF BIKE LITE
東京都 / ジャイアントストア目黒通り / DCF BIKE LITE
東京都 / ジャイアントストア二子玉川 / DCF BIKE LITE
富山県 / ジャイアントストア富山 / DCF BIKE LITE
京都府 / ジャイアントストア京都紫明通 / DCF BIKE LITE
奈良県 / ジャイアントストア奈良 / RRS BIKE
大阪府 / ジャイアントストア堺 / DCF BIKE LITE
兵庫県 / ジャイアントストア神戸 / DCF BIKE LITE
広島県 / ジャイアントストア広島宇品 / DCF BIKE LITE
愛媛県 / ジャイアントストア今治 / DCF BIKE LITE
福岡県 / ジャイアントストア福岡 / DCF BIKE LITE

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