ポガチャル不在のアムステルゴールドレースは、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が前回覇者マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)を退けて勝利。前年3位の悔しさを払拭する初優勝を飾った。



レースディレクターに就任したトム・デュムラン photo:CorVos

前回覇者マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
初優勝狙うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos


パリ〜ルーベで石畳が舞台のフランドルクラシックが締めくくられ、春のクラシックシーズンはアルデンヌに移行する。その幕開けとなるのが、「アルデンヌ3連戦」の初戦アムステルゴールドレース。ここから3日後のフレーシュ・ワロンヌ、1週間後にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュと、起伏に富んだワンデーレースが続いていく。

本大会は今年で60回目を迎えた、オランダ最大のワンデーレース。257.2kmのコースには「1000のカーブ」と形容される連続コーナーと、いずれも2分足らずで登り切る33の短い登り(ベルグ)が配置される。そのため、北のクラシックを盛り上げた重量級レーサーではなく、パンチャーやクライマー、ステージレースで総合を争う選手たちが集った。

今年1月にレースディレクター就任が発表されたトム・デュムランが姿を見せるなか、昨年2位だったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は不出場。一方、マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)は連覇を狙い、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は初優勝を目指して出場した。

33の短い登り(ベルグ)を登るアムステルゴールドレース photo:CorVos

逃げに乗ったマルコ・フリーゴ(イタリア、NSNサイクリングチーム) photo:CorVos

獲得標高差3,600mのレースは、序盤からワレン・バルギル(フランス、ピクニック・ポストNL)ら9名が逃げを打つ。一方、昨年三つ巴のスプリントで3位と悔しさの残るエヴェネプールのため、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエがメイン集団のペースを作る。レース後半に入ると逃げの人数は徐々に減っていき、残り46km地点でイタリアのタイムトライアルスペシャリスト、マルコ・フリーゴ(NSNサイクリングチーム)が単独で先頭に立った。

プロトンでは一時、ライバルチームに先導の役割を任せていたレッドブルが先頭に戻ると、グルペルベルグでペースアップする。縦長になった集団から、クルイスベルグでロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJユナイテッド)が仕掛け、人数を絞り込んだ。これにより、エヴェネプールやスケルモース、マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)など有力勢を含む7名の精鋭集団が形成された。

しかしその直後の右コーナーでケヴィン・ヴォークラン(フランス、イネオス・グレナディアーズ)がタイヤを滑らせて落車する。集団4番手付近に位置していたため、後続のジョーゲンソンらも巻き込まれ、集団は先頭を走っていたエヴェネプールとスケルモース、グレゴワールに絞られる。落車の原因となったヴォークランはすぐに立ち上がってレースに復帰した一方、ジョーゲンソンは鎖骨骨折の不運に見舞われた。

フリーゴが遅れ、先頭はエヴェネプールら3名に絞られた photo:CorVos

グレゴワールが遅れ、スケルモースとエヴェネプールの一騎打ちに持ち込まれた photo:CorVos

エヴェネプールら3名は残り36km地点で先行していたフリーゴを捉え、急勾配のクーテンベルグで振り落とす。これにより、レースは昨年と同様、ポガチャルがグレゴワールに代わっただけの、同じ顔ぶれによる3名の勝負に持ち込まれた。ただし、異なったのはグレゴワールがスプリント力にも優れていたことだった。

カウベルグに入るとエヴェネプールが加速し、スケルモースが食らいつく一方で、グレゴワールが脱落する。先頭2名はフィニッシュ地点を通過し、最終ラップに突入。最後のカウベルグでもエヴェネプールはスケルモースを振り切ることができず、勝負は2名によるスプリントに持ち込まれた。

スケルモースを先頭に最終ストレートへ入り、背後のエヴェネプールが残り200mで先に腰を上げる。すかさずスケルモースが反応したものの、スピードを伸ばしたエヴェネプールがフィニッシュに先着。大会11人目となるベルギー人優勝者に輝いた。

スプリントでスケルモースを退けたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

初優勝を飾ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

昨年3位の悔しさを払拭する初優勝を飾ったエヴェネプールは、「短くも厳しい登りがたくさんあるが、このレースは本当に大好きなレースの一つ。今年もほぼ同じ場所でレースが動いた。だからすごく自信があり、終盤の感触は昨年よりもよかった。間違いなく今季、最も美しい勝利。モニュメントに準ずるこのレースで掴んだこの勝利は、キャリアのなかでもトップ8には入るだろう」と喜んだ。

グレゴワールを吸収した追走集団は1分59秒遅れでフィニッシュ。スプリントで先着したブノワ・コスヌフロワ(フランス、UAEチームエミレーツXRG)が3位に入った。
アムステルゴールドレース2026結果
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) 5:59:40
2位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:01
3位 ブノワ・コスヌフロワ(フランス、UAEチームエミレーツXRG) +1:59
4位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
5位 エミル・フェルストリンヘ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
6位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
7位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
8位 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
9位 エウェン・コステュー(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
10位 マルコ・フリーゴ(イタリア、NSNサイクリングチーム)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos