ヴィスマ・リースアバイクが主導権を握った第6回パリ〜ルーベ・ファム。フランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ)がヴェロドロームのスプリントでフォスを退け、金星を上げた。



フォスとフェランプレヴォという2名のエースを擁するヴィスマ・リースアバイク photo:CorVos

2021年に産声を上げたパリ〜ルーベ・ファムは、今年で6回目を迎えた。例年と異なるのは、正式名称が「パリ〜ルーベ・ファム・オー・ド・フランス」となり、男子レースの前日だった開催が同日に変更されたこと。総距離143.1kmのコースには昨年より3つ多い20箇所のパヴェセクター(石畳区間)が設定され、ルーベのヴェロドロームにフィニッシュする。

スタートの時を集団先頭で待ったのは、達成すれば大会初の連覇となるポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)。また、父親を亡くしたばかりのチームメイト、マリアンヌ・フォス(オランダ)も共にエースを担い、2024年覇者ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)はロレーナ・ウィーベス(オランダ)と出場。栄光の石のトロフィーを争うべく、選手たちは現地時間の午後2時45分に走り出した。

20箇所のパヴェセクターで争われたパリ〜ルーベ・ファム photo:CorVos

2度のパンクに見舞われ、リタイアしたエリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック) photo:A.S.O.

2025年はグラベルレースを中心に活動し、ワールドシリーズで勝利を量産したローザマリア・クレーザー(ドイツ、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)が単独で逃げた。しかしメイン集団はすぐにクレーザーを吸収。集団ではパンクに見舞われる選手が続出し、なかでもエリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)は2度のパンクで追走を強いられ、リタイアしている。

この日1つ目の5つ星セクター、「No.11 モンサン・ぺヴェル」に入る頃、メイン集団は約40名まで絞られた。直後にフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ)がアタック。ここまで2名のエースを擁するヴィスマ・リースアバイクが先導していた集団の先頭に立ち、途中からリーケ・ノーイェン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先導を引き継いだが、石畳が終わる直前にコッホが再び先頭に立った。

集団はヴィスマ・リースアバイクが牽引する時間が長かった photo:A.S.O.

この動きで集団は一気に人数を減らし、次のパヴェへ向かう舗装路の短い登りでフェランプレヴォが加速する。前回覇者にはチームメイトのフォスとコッホ、そしてカタジナ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)の3名しかついていくことができない。後続ではルシンダ・ブラント(オランダ、リドル・トレック)が中心となって追走したものの、最後まで追いつくことはできなかった。

より勝利を近づけるため、フェランプレヴォは何度も攻撃を仕掛けるものの、ドイツ王者のコッホ、そしてハンガリー王者のヴァシュがそれを許さない。「No.5 カンフィン・アン・ペヴェル」に入ると今度はコッホが仕掛け、フォスが反応し、フェランプレヴォが遅れて合流する一方で、ヴァシュが脱落。2つ目にして最後の5つ星、「No.4 カルフール・ド・ラルブル」を前に、勝負は3名に絞られた。

モンサン・ぺヴェルでアタックしたフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) photo:CorVos

フェランプレヴォを先頭に、コッホとフォスの3名がヴェロドロームに入った photo:CorVos

そしてカルフール・ド・ラルブルに先頭で突入したのは、1対2と数的不利な状況に陥ったコッホ。積極的な走りは終盤に入っても変わらず、3名のまま最後の難所をクリアした。ラスト3つの低難易度なパヴェセクターでも抜け出す選手は現れず、ラスト4.5km地点の平坦路でコッホがアタックする。しかしフォスを振り切るには至らず、またフェランプレヴォによるカウンターアタックも決まらず、勝負はヴェロドロームでの1周半に持ち込まれた。

先頭でアシストに徹するフェランプレヴォの背後にコッホがつき、プロ通算258勝というレジェンド、フォスが最後尾で最終ラップの鐘を聞く。最終コーナーに入ると同時にコッホがスプリントを開始し、外側からフォスが迫る。サイド・バイ・サイドのまま最終ストレートに入った勝負は、コッホが前を譲らずハンドルを投げて決した。

フォスをスプリントで退けたフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) photo:CorVos

自身の勝利を驚くフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) photo:A.S.O.

38歳となった今もなお衰えず、グレイテストオブオールタイム(史上最高の選手)と呼ばれるフォスを、一騎打ちのスプリントで下したコッホ。「信じられないほど嬉しい。トラブルに巻き込まれないよう、序盤から脚を使う必要があった。だから石畳区間には必ず10番手より前で入り、それが良い結果に繋がった。自分は激しい展開のあとのスプリントに強いと思っていたが、フォスを相手に勝てるかなんてわからなかった。でもトラックでのスプリントの勝ち方はチームで話し合っていた。だから心の準備はできていた」とレースを振り返った。

25歳のコッホは2019年にピクニック・ポストNLでプロデビューし、直後に当時ワールドツアーだったシマック・レディース・ツアーでプロ初勝利を挙げた。2024年、25年とドイツ選手権で連覇を達成し、今年FDJユナイテッド・スエズへ加入。そして移籍後初、かつプロ4勝目を、パリ〜ルーベ・ファムという大舞台で掴み取った。

フェランプレヴォの労いを受けるマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
不利な状況を跳ね除け、初優勝を果たしたフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) photo:CorVos


石のトロフィーを掲げるフランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) photo:CorVos
パリ〜ルーベ・ファム2026結果
1位 フランシスカ・コッホ(ドイツ、FDJユナイテッド・スエズ) 3:30:16
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
3位 ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:06
4位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +1:30
5位 メーガン・ジャストラブ(アメリカ、UAEチームADQ)
6位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +2:20
7位 シャーロッテ・コール(オランダ、フェニックス・プレミアテック)
8位 ララ・ギレスピー(アイルランド、UAEチームADQ)
9位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)
10位 ルシンダ・ブラント(オランダ、リドル・トレック)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos