雨と寒さのなかで争われたイツリア・バスクカントリー第6ステージ。アンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)が逃げ切り勝利し、区間3勝と躍進したポール・セクサス(デカトロンCMA CGM)が、ワールドツアーのステージレースではフランス人として19年ぶりの総合優勝に輝いた。



総合首位ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

イツリア・バスクカントリー第6ステージ image:Itzulia Basque Country
スペイン北部のバスク地方を舞台にした6日間のステージレース、イツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)。その最終日である第6ステージは、ゴイスペル・アンツォラからベガラまでを結ぶ135.2kmの比較的短いコースだ。しかしその間には6つのカテゴリー山岳が詰め込まれ、獲得標高差は3,000mを超えるタフなレイアウトとなった。

前日に今大会区間3勝目を飾り、総合リーダージャージを着るポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)を先頭にレースはスタート。直後の3級山岳で、マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)とマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)という、グランツールを思わせる豪華な逃げ集団が形成される。さらに3つ目の山岳でフアン・ロペス(スペイン、モビスター)ら2名が合流し、先頭は5名となった。

強力な逃げ集団を形成したマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)ら photo:CorVos

その後、メイン集団とは別に32名による追走集団が形成される。小雨は次第に本降りとなるなか、トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー)を含むウノエックス・モビリティが中心となり、追走集団を牽引。ただし、ヨハンネセンは5分39秒遅れの総合11位だったため、リーダーチームであるデカトロンCMA CGMはプロトンの牽引速度を上げた。

先頭集団と追走は1分12秒差、そして追走とプロトンは3分差。そんな状況のなか、2級山岳の頂上手前2km地点、残り58km地点でプロトンからセクサスが加速する。頂上手前で総合のライバルたちを引き離したセクサスは、単独で頂上を通過。その後、下りと登り返しの3級山岳を越え、最終山岳までの平坦路で追走集団はヒーリーたちを吸収した。

プロトンを飛び出し、単独で追走集団への合流を目指したポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

これでレースは20名程度の先頭集団、追走集団から下がってきたチームメイトと合流したセクサス、そしてその後方のプロトンという展開に。やがて総合2位フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含むプロトンはセクサスを引き戻す。逃げ集団は最終2級山岳アセンツィオ(距離7.2km/平均5.2%)に突入し、相変わらず雨が降るなかでアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)がアタックした。

そこには3日連続で逃げるラウル・ガルシア(スペイン、モビスター)が反応したが、再びのアタックでオーガストは振り切り、単独先頭で頂上を通過。雨で滑る下りも危なげなくクリアし、最終ストレートで頭を抱えたオーガストがフィニッシュラインを通過し、ワールドツアーで自身初となる勝利を手に入れた。

独走でワールドツアー初勝利を決めたアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

2024年にプロデビューし、3年目を迎えたオーガストはアメリカ出身の20歳。今年2月のボルタ・コムニタ・バレンシアナでプロ初勝利を飾り、セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・コッピ・エ・バルタリでは総合7位でヤングライダー賞に輝く。そしてこの日、バスクの地でプロ2勝目を手に入れた。

一方、雨の最終日にもかかわらず、積極的な走りが光ったセクサスは、4分15秒遅れでリポヴィッツら総合上位勢とともにフィニッシュ。イツリア・バスクカントリーとしては1999年以来、ワールドツアーのステージレースでは19年ぶりのフランス人による総合優勝を、「とんでもなく過酷なコンディションのなか、壮絶なステージとなった。区間3勝に総合優勝と信じられない大会となった。自分が成し遂げたことを誇りに思う。そして実感したのは、勝つためには強いチームが必要だということ。この勝利は彼らのものでもある」と喜んだ。なお、セクサスはヤングライダー賞と山岳賞、そしてポイント賞も獲得している。

自身初となる総合優勝を飾ったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2026第6ステージ結果
1位 アンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) 3:29:35
2位 ラウル・ガルシア(スペイン、モビスター) +0:16
3位 フランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL) +0:34
4位 ガル・グリヴァル(スロベニア、アルペシン・プレミアテック)
5位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) +1:07
6位 エミル・フェルストリンヘ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
7位 シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、XDSアスタナ)
8位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +1:09
9位 ラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) +1:26
10位 ギヨーム・マルタンギヨネ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +1:33
個人総合成績
1位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) 20:07:35
2位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +2:30
3位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +2:33
4位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) +3:50
5位 クレマン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) +4:43
6位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +5:03
7位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) +5:05
8位 イゴール・アリエタ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +5:25
9位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)+5:41
10位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、イネオス・グレナディアーズ) +7:33
その他の特別賞
ポイント賞 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)
山岳賞 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)
ヤングライダー賞 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)
チーム総合成績 モビスター
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos