やはり今年もオウデ・クワレモントで勝負が決まる。自ら集団を選別したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が、残り18km地点でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)を振り切り、大会連覇で自身3度目の優勝を飾った。



初出場のエヴェネプールを迎えるポガチャル photo:CorVos

2年連続の4位に甘んじているファンアールト photo:CorVos
王座奪還を狙うファンデルプール photo:CorVos


ベルギー第2の都市アントワープからオーデナールデを結ぶ278.2kmで争われたロンド・ファン・フラーンデレン。第110回大会は16の急坂と6つの平坦石畳区間が待ち受け、勝負所は今年も3度登場するオウデ・クワレモントと2度登場するパテルベルグ、また最大勾配20.8%の激坂コッペンベルグと見られた。

連覇と3度目の優勝を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)に、2024年覇者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が待ったをかけられるか。その構図は4日前、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の電撃初参戦によって変化し、本国ベルギーは2017年以来のベルギー人優勝に向け、ここ数年で一番の盛り上がりを見せた。

レース序盤はアタックと吸収が繰り返された結果、13名がロンドで逃げるという名誉を得た。その中には2023年のツアー・オブ・ジャパンで区間3勝し、ワールドチーム移籍へと繋げたルーク・ランパーティ(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が入り、ロンド初出場のブルゴス・ブルペレットBHは2名を乗せることに成功。一方、メイン集団は前回覇者で世界王者のポガチャルのために、ニルス・ポリッツ(ドイツ)が先頭でペースを作った。

曇り空の中、アントワープを出発した選手たち photo:CorVos

踏み切りで足止めされるプロトン photo:CorVos

逃げ集団が残り213km地点に達した頃、プロトンの後ろ半分の選手たちは、踏み切りの遮断器が突然下りたことで足止めを食らう。そのため集団前方にいたポガチャルやエヴェネプールたちはスピードダウンを要求され、遅れたファンデルプールやワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が合流。UCI(国際自転車競技連合)の規定に基づき、逃げ集団は止められることなく走行したため、3分のアドバンテージが5分まで拡大した。

しかしこれがレースに影響することはなかった。1度目のオウデ・クワレモント頂上は、モンゴル人として初出場したジャムバルジャムツ・サインバヤル(ブルゴス・ブルペレットBH)が先頭通過。ハイペースを刻むプロトンは徐々にタイム差を縮め、残り100km地点で3分40秒まで迫ると、この日4つ目の急坂であるモーレンベルグを前にポリッツが突然スピードを上げた。

登りに入るとフロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)がハイペースを引き継ぎ、集団をバラバラにする。その結果、大集団は一気に17名の精鋭集団へと絞り込まれた。

ポガチャルのアシストはフェルミールスのみとなった一方、エヴェネプールはチームメイトを2名残し、ファンアールトはクリストフ・ラポルト(フランス)と前線に入ることに成功。一方、ファンデルプールとマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は単騎での戦いを強いられることとなる。選手たちには一時的な大雨が降り注いだものの、すぐに晴れ間が戻ると、追走集団は残り78km地点で11名まで減った逃げ集団に合流した。

2度目のオウデ・クワレモントで仕掛けたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

残り76km地点から始まるベルグ・テン・ハウトの石畳坂では、ポガチャルが先頭に出ると、その背後についたエヴェネプールが、先頭に立つシーンが地元ベルギーのファンを盛り上げる。しかし集団を崩壊させるほどのペースではなく、精鋭集団は人数を減らし、またプロトンとのタイム差を拡げながらレース距離を消化していった。

そしてレースが動いたのは残り57km地点、2度目のオウデ・クワレモントだった。集団の中央付近にいたポガチャルはスルスルと番手を上げ、先頭に立つとそのままアタック。これに唯一ファンアールトだけが反応し、反対にファンデルプールは遅れを取りながらも食らいつく。しかし頂上手前で再びポガチャルが踏むと、ファンデルプールとエヴェネプールが追従したが、ここでファンアールトが遅れを喫した。

その姿を捉えるも、合流には至らなかったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

追走のエヴェネプールとの距離を確認するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

続く最大勾配20.3%のパテルベルグに入ると、エヴェネプールがポガチャルの前に出る。シッティングのまま軽快に登るポガチャルが追い抜くとエヴェネプールが遅れていき、ついていけたのはファンデルプールのみ。この時点で勝負は、2022年から優勝を分け合ってきたポガチャルとファンデルプールの2名に絞られたように見えた。

登りで差をつけられたエヴェネプールだったが、タイムトライアルの世界王者にふさわしい独走力を発揮しながら懸命に追いかける。平坦路でエヴェネプールは何度か先頭2名の姿を捉えるものの、その度に人数で上回る先頭2名は合流を許さない。ベルギーファンの期待を一身に背負った追走だったが、結局2名に届くことはなく、2名は3度目にして最後のオウデ・クワレモントへと向かった。

最後のオウデ・クワレモントでファンデルプールを引き離すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

続くパテルベルグを越え、単独でフィニッシュを目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

登り始めから脚に残された力の差が歴然となった結果、ポガチャルが軽々とファンデルプールを置いていく。直後にして最後のパテルベルグでもポガチャルのスピードは落ちることなく、フィニッシュまで続く平坦路で、ポガチャルはファンデルプールとの差を拡大。レース前半の曇り空から一転、晴れ渡った最終ストレートで笑顔を作った世界王者が、そのまま右腕を突き上げながらフィニッシュした。

連覇で3度目のロンド制覇を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

連覇で自身3度目のロンド制覇を成し遂げたポガチャル。「今日はとんでもないレースだった。具体的には覚えていないが、かなり早い段階から厳しい展開となった。レムコ(エヴェネプール)には、僕とファンデルプールのグループに合流してほしくなかった。彼のスタミナを知っているからね。だから差を保とうとし、それが上手くいった」とレースを振り返った。そして「これで来週のルーベにも高いモチベーションで向かっていける。石畳を楽しみたい」と、昨年ファンデルプールに敗れて2位だったパリ〜ルーベへの意気込みを語った。

2位には34秒遅れでファンデルプールが入り、エヴェネプールは1分11秒遅れの3位でフィニッシュ。初出場ながら地元ファンの声援に応える、堂々の表彰台に上がった。レース後半に単独追走を強いられたファンアールトは2023年以来3度目の4位に入り、5位はマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だった。

選手たちのコメントは別記事にて伝える。

ロンドのトロフィーを掲げるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレン2026結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 6:20:07
2位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) +0:34
3位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:11
4位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +2:04
5位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) +2:48
6位 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +4:28
7位 フロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)
8位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +4:30
9位 クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +5:22
10位 ジャンニ・フェルミールス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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