残り42.2km地点で単独先頭に立ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が、追走集団を辛くも振り切ったE3サクソ・クラシック。大会3連覇を決め、ロンド・ファン・フラーンデレンに向けて弾みをつけた。



ベルギーでの一戦に臨むロット・アンテルマルシェ photo:CorVos

ミラノ〜サンレモの熱戦を終え、春のクラシックシーズンは4月5日のロンド・ファン・フラーンデレンに向かう。その9日前、3月27日に行われたのが、前哨戦の1つであるE3サクソ・クラシック(UCIワールドツアー)だ。ロンドと同じベルギーのフランダース地方を巡り、共通するオウデ・クワレモントやパテルベルグといった石畳坂を使用するため、「ミニロンド」とも呼ばれている。

合計4箇所の石畳セクターに11箇所の丘、そして4箇所の石畳坂に臨んだのは168名の選手たち。2連覇中のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)はもちろんゼッケン1をつけ、昨年2位のマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も出場。2022、23年の覇者ワウト・ファンアールト(ベルギー)を欠くヴィスマ・リースアバイクは、クリストフ・ラポルト(フランス)がエースを担った。

アタック合戦の末、逃げ集団を形成した6名 photo:CorVos

ティム・ファンダイケ(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)のアタックに追従したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

約40kmに及ぶ攻防の末、逃げ集団を形成したのはルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)ら実力確かな6名。その後方にはピクニック・ポストNLが2名を入れた追走集団が形成され、2つの集団を追うメイン集団は、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引を担う。そしてレースが大きく動いたのは、トム・ボーネンでお馴染みの石畳の急坂「ターイエンベルグ」だった。

残り70km地点の難所でプロトンを飛び出したのは、オムロープ・ニュースブラットで2位に入ったティム・ファンダイケ(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。その加速には唯一オムロープ覇者ファンデルプールが反応。ミラノ〜サンレモの落車で傷めた手の怪我を感じさせない走りで追いつくと、ファンデルプールは前を走る2つの集団を追い始めた。

オムロープのトップ2は僅か数kmでまずは第2集団に追いつき、続くボイニュベルグの丘でファンダイケを含むその集団を振り落とす。しばらく2つの集団の間で単独走を続けたファンデルプールは、パテールベルグの直前、遂に先頭集団に合流を果たす。そして間髪を入れることなく、2024年に独走から初優勝を掴んだ同じ石畳坂で仕掛けた。

残り42.2km地点から先頭に立ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

ミラノ〜サンレモの傷が残るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

唯一スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンCMA CGM)が食らいついたものの、力強いダンシングに切り替えたファンデルプールは残り42.2km地点で単独先頭に立つ。後続集団はシャッフルされた後、デウルフにフロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)、ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)、ペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)の4名による追走集団が形成される。一方のプロトンは、再びレッドブルが先導し、集団スプリントに持ち込むべく先頭を追いかけた。

デウルフらの協力体制はファンデルプールとの差を一気に縮め、残り1km地点でその姿を捉える。だが、吸収まで最後の一踏みという場面でフェルミールスらは牽制に入り、その間にファンデルプールはフィニッシュを目指し、懸命に踏み続ける。その結果、再びリードを広げたファンデルプールが最終ストレートに到達。42.2kmの独走を完遂し、大会3連覇を達成した。

後続を振り切り、3連覇を達成したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

ロンドに向け弾みをつけたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

「勝てて本当に嬉しいが、身体中の力を使い果たした。勝てるとは思っていたが、残り5kmから危なく、特にラスト1kmでは脚がほとんど回っていなかった。あの場面で脚を止めていたら、僕は5位になっていただろう。スプリントの力が残っていなかったからね。だからシッティングのまま全力でもがき、フィニッシュラインまで踏み切った」と、ファンデルプールはレースを振り返った。

ミラノ〜サンレモは落車で8位に甘んじながら、勝利を掴んだファンデルプール。3月29日のイン・フランドルフィールズ(旧ヘント〜ウェヴェルヘム)を挟み、ロンドでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)と再び相まみえる。

2位には22歳の若手ハーゲネスが入り、3位はフェルミールスだった。
E3サクソ・クラシック2026結果
1位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) 4:45:15
2位 ペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)+0:03
3位 フロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)
4位 スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンCMA CGM)
5位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
6位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM) +0:24
7位 クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 ジャンニ・フェルミールス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
9位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
10位 マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダープロサイクリング)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos