奄美大島ツーリングの後半は、今回の旅のハイライトと考えていた奄美中央林道へと向かった。世界自然遺産の特別保護区を貫くグラベル林道で、森の最深部へと入っていく。

古仁屋にはコンビニが1軒ある。貴重な買い出し&補給スポットで補給食を買い込んでから走り出す(本人ではありません) photo:Makoto AYANO
奄美中央林道とは、奄美市名瀬から宇検村を結ぶ奄美大島中央部を東西に貫く約41kmの林道で、その大部分が未舗装の世界自然遺産の森の核心部を貫くグラベルだ。
奄美大島には林道が無数にある。それらは幹線道路が災害で通行不能になったときにサブで通れる道として確保・活用されている。そのため多くの林道は簡易的にでも舗装され、島のインフラとなっているのだ。
しかし奄美中央林道は、かつて盛んだった林業に使われたが、今はすでに役目を終え、集落と集落を結ぶ役割も他の道路にとって代わられたことで、使われなくなっている。

周囲が世界自然遺産エリアの役勝エコロードで内陸の森へと入っていく photo:Makoto AYANO
そして林道の一部が世界自然遺産に登録された特別保護区を貫いているため、その区間は通行制限があり、自転車を含む車両は通行することができない。そして宇検村側の区間では崩落箇所があり、現在も復旧していないため、ここも通り抜けすることができない。
奄美中央林道はそんな難易度の高さがある特殊な林道だ。その特殊性や注意すべき点については後半部で詳しく説明する。

篠川のみかん無人販売所で雨宿り photo:Makoto AYANO
情報が少ない未知のグラベル林道を走るにあたり、数日を掛けてリサーチし、現地入りして周辺部を走って事情を確かめ、この日に備えた。世界自然遺産登録地のコアゾーン(核心部)へと入っていくため、迂闊なことはできないからだ。
1月2日、古仁屋から名瀬へ向かう日に奄美中央林道グラベルを走ることにした。しかしこの日はあいにくの雨...。

この旅で3度目の訪問となる住用マングローブ原生林だが、今日は雨模様 photo:Makoto AYANO
古仁屋を出発し、役勝エコロード経由で住用のマングローブ原生林へ。そこから旅の前半にも走った林道三太郎線へと進んだ。分岐よりスタル俣線を進み、三太郎茶屋跡へ再訪。さらにその先へと進めば、道は非常に狭く、荒れたグラベルになった。

三太郎林道はアマミノクロウサギの観察路としても知られる photo:Makoto AYANO
雨は降り続く。ここまでの毎日が雨だった。奄美の雨の多さは「ひと月に35日雨が降る」などと形容されるが、まさにそんな毎日が続いた。
それでも毎日自転車では走っていたから、すっかり雨には慣れっこになっていたし、何より雨の森が醸し出す美しさにも感動できるようになっていた。

鬱蒼としたジャングルへと入っていく三太郎林道 photo:Makoto AYANO
そう、湿潤な照葉樹林帯が広がる奄美の亜熱帯ジャングルは、雨の日ほど美しい。しかしグラベルを走るのに雨というのは難易度を上げ、ラクなものではない。

かつて集落の人に農業を教えた人物から名付けた三太郎峠が世界自然遺産エリアの入口だ photo:Makoto AYANO
林道を進むにつれて森は深くなり、美しさを増していく。路肩の繁みは深く、道幅も狭くなり、所々ガレた箇所が出てくる。日常的に使われていない道であることが分かる。気温が低いからハブは眠っていることだろう。

この先は四輪駆動車以外は立入禁止という看板 photo:Makoto AYANO
奄美の世界自然遺産の森は、厳密に言えば「原始林」ではなく、かつては人の手によって切り拓かれ、伐採され、その後に再生した「自然林」なのだという。また、世界的には乾燥地帯が多い緯度にあるのに、奄美には湿潤な常緑広葉樹が生い繁っている。

アマミノクロウサギの糞があちこちに見られる photo:Makoto AYANO
アマミノクロウサギなどの奄美にしか居ない固有種や、絶滅危惧種を含む多様な動植物の生態系があるのは、この島独特の風土と気候が生み出す湿潤な森林が育む豊かさにあるのだという。
世界自然遺産の核心部を貫くグラベルへ

林道に繁るシダ植物が世界自然遺産の森に居ることを感じさせてくれる photo:Makoto AYANO
島の中央部の尾根筋を縦貫している奄美中央林道は、かつて島の東西をつなぐ重要な道であったし、近代には舗装する案が出たこともあったという。しかし道としての必要性が薄れ、同時に周辺の自然の豊かさ・貴重さに気づいた地元の人々による反対運動もあり、今のような未舗装路として残ったようだ。

先に進むほどに細く荒れてくる奄美中央林道 photo:Makoto AYANO
奄美には新しい道が徐々に増え、新設されるトンネルによって集落と集落をつなぐ道が新たに拓かれている。それに伴って島の中央部の林道は使われなくなり、徐々に廃道へと向かっているのだ。そして世界自然遺産登録によって車での通行は規制・自重されるようになり、廃道化に拍車がかかっている。

林道は数カ所で分岐しているが、いずれも通行は困難なようだ photo:Makoto AYANO
人の気配がまったく無い静寂のなか森を走る。聞こえるのは鳥の鳴き声と風が起こす樹木のざわめき。気温の低さで動物の活動は少なかったが、冬でなければ動物たちの声で賑やかなぐらいだという。
そんな道だから、グラベル走行はインパクトを最低限に抑えるように心がけた。スピードを緩め、路面を傷めないように慎重に走った。貧弱なロードタイヤでなら必然的にそうせざるを得なかったというのもある。

グラベルはガレてはいないが、ロードタイヤではパンクさせないよう神経を使った photo:Makoto AYANO
最高気温13度ほどの寒い日だったためか、ハイカーにも、ネイチャーガイドが案内する自然観察ツアーの一行にも会わなかった。

朽ちたガードレールがかつて通行量があったことを伺わせる photo:Makoto AYANO
世界自然遺産の森に、かつて車道としても使われたことを伺わせる朽ちたガードレールをみつける。その下を流れる渓流の美しさはため息が出るほどだ。著名な写真家のポートフォリオで見た風景にも出くわす。そうしたスポットは場所も名前も観光ガイドには載っていない。普通の人は行けないからだ。

林道の深部には名も無き淵の名所があった photo:Makoto AYANO
ケンムンの棲む森へ

巨大なシダ植物のヒカゲヘゴが作り出す光景が象徴的だ photo:Makoto AYANO
奄美には「ケンムン」という、悪戯好きの子供の妖怪の言い伝えがある。奄美中央部の森は怪し気な雰囲気に満ちた、まさにケンムンの棲む森。
林道のあちこちでジャングルの風景を象徴するようなヒカゲヘゴの巨木にも出会える。「ジュラシックパークで見るような風景」とは、よく言ったもの。

ヒカゲヘゴなどのシダ植物の繁る林道を走る photo:Makoto AYANO
ちなみにヘゴは樹木ではなく、シダ植物。そして実は日陰に生えるのではなく、陽の当たる拓けた場所に好んで生えるのだとか。つまり林道沿いには多く見られ、いわば人の手が入った道沿いだからこそヒカゲヘゴが生えるというのは、ちょっと皮肉めいている。だってヒカゲヘゴは原始の森のイメージとして必ず写真に登場する存在だから。そんなことを学びながら走るのも良い機会だ。

雨水をたっぷり含んだ森から水蒸気が立ち上がるのを見た photo:Makoto AYANO
終日雨がちだったが、時折雨は降り止み、日が射すことも。するとたっぷり水を湛えた雲霧林から水蒸気がモウモウと立ち上る光景を見ることができた。この営みがあって雨が多いのだと実感できる。

林道の随所に道標はあるものの、迷いやすい photo:Makoto AYANO
やっかいだったのは林道の分岐が随所に有り、かつての道標などが朽ちて残ってはいるのだが、そこに記してある土地名ではどちらに進めば良いかの判断がつきにくいこと。
もちろん携帯の電波は通じないからスマホ検索もできない。もう使われていない道だからしょうがないが、迷わずに進むことが難しかった。しかし事前に下調べをしておいたことが判断に役立った。

特別保護区の金作原林道の入口に出た photo:Makoto AYANO
林道の終盤には金作原(きんさくばる)特別保護区の入口に出た。そこには鉄柵のゲートが有り、規則では車両は先には進めず、必ずエコツアーガイド同伴で訪れることが条件にある。

金作原特別保護区への林道入口にはゲートが設置してある photo:Makoto AYANO
こうした世界自然遺産の特別保護区に当たる林道の入口や途中には、環境省による監視カメラが設置され、動物たちの動向観察に加えて侵入や希少植物持ち去り防止のためにモニターされている。

白い道標がかつて基幹林道だったことを伺わせるが、今は字が読めない状態に photo:Makoto AYANO
金作原ゲート三叉路付近からは、林道知名瀬線を下って知名瀬の街へ。旅の前半にお世話になった名瀬のゲストハウスにまた投宿した。

金作原へのアプローチとなる林道知名瀬線 photo:Makoto AYANO
結局この日は終日雨が降り続き、濡れねずみになった。グラベルの荒れ具合は予想よりも酷くはなかったが、雨と冷えで消耗するライドになった。距離以上に難易度が高い約70kmのライドだった。獲得標高は1,476m。
疲れ切ってはいたが、奄美の自然の豊かさを堪能した素晴らしい一日になった。
世界自然遺産エリアのグラベルを走るには

奄美大島世界遺産センター 特別保護区の自然や希少生物についての展示が楽しめる photo:Makoto AYANO
今回の奄美中央林道グラベルの走行にあたっては、奄美大島世界遺産センターの職員さんや鹿児島県の環境林務部にアドバイスをいただいた。
災害による林道の通行止め状況や許可において慎重を期すなら所轄の役場に問い合わせるのが良いだろう。

奄美大島世界遺産センター職員の森山和也さん 自身もグラベル好きサイクリスト(4月以降は龍郷町役場に勤務) 
林道の通行制限などについてアドバイスいただいた
今回は年末年始休のため役場に伺う機会はもてなかったが、地域の役場の担当者であれば、林道の補修状況などについても詳しく把握している。またホームページ上に公開されている通行止情報も参考にした。

通行不可の看板が設置された林道。復旧見込みについては所轄の役所に問い合わせると答えてくれる photo:Makoto AYANO
それら林道の所轄事務所や担当者への聞き取りに加え、参考にしたのは国土地理院発行の2万5千分の一地図と、過去に開催されたジャングルトレイルランイベントの(ネット上に残る)ルートマップなど。
ただし台風災害の多い島だけに林道の状況は刻々と変わるし、今回のルートの再走も過信できない。走り切るには相応の下調べと地図読み力、そして自然に対する配慮が必要だ。

旧道を行くが、すでに廃道化して進めない道も多くあった photo:Makoto AYANO
慎重に慎重を重ねた世界自然遺産エリアでの林道走行だったが、結論から言えば、特別保護区に指定されている金作原の一部区間は自転車で通行することができないが、その他の区間においては林道を走ることに問題はない。ただし林道から外れて森に入ったり、動植物などを持ち帰ったりすることはできない。これらは環境省や鹿児島県の定める「利用ルール」(下記リンク参照)の通りだ。
なお金作原や奄美群島の国立公園における利用ルールは、日々アップデートされながら運用されている。
参考リンク
金作原における利用ルールの運用について/Kinsakubaru Local Rules(2019年2月27日から)
奄美群島の利用ルール等の資料掲載ページ(鹿児島県)
また、これは私感だが、林道は使われなくなると廃道になってしまう。現在の奄美中央林道は集落と集落を結ぶ道の役目を終えており、着実に廃道へと向かっている。エコツーリズムの観点からは、周囲の自然に与える負荷に配慮しつつ、小人数で訪れるのが良いだろう。道は使うことで廃道化を防ぐことにもつながる。
深い深い旅を楽しませてくれた奄美大島、ありがっさまりょうた〜(ありがとう)、いもりょよ〜(さようなら)。
次回連載では徳之島へと渡ります。
text&photo:Makoto AYANO

奄美中央林道とは、奄美市名瀬から宇検村を結ぶ奄美大島中央部を東西に貫く約41kmの林道で、その大部分が未舗装の世界自然遺産の森の核心部を貫くグラベルだ。
奄美大島には林道が無数にある。それらは幹線道路が災害で通行不能になったときにサブで通れる道として確保・活用されている。そのため多くの林道は簡易的にでも舗装され、島のインフラとなっているのだ。
しかし奄美中央林道は、かつて盛んだった林業に使われたが、今はすでに役目を終え、集落と集落を結ぶ役割も他の道路にとって代わられたことで、使われなくなっている。

そして林道の一部が世界自然遺産に登録された特別保護区を貫いているため、その区間は通行制限があり、自転車を含む車両は通行することができない。そして宇検村側の区間では崩落箇所があり、現在も復旧していないため、ここも通り抜けすることができない。
奄美中央林道はそんな難易度の高さがある特殊な林道だ。その特殊性や注意すべき点については後半部で詳しく説明する。

情報が少ない未知のグラベル林道を走るにあたり、数日を掛けてリサーチし、現地入りして周辺部を走って事情を確かめ、この日に備えた。世界自然遺産登録地のコアゾーン(核心部)へと入っていくため、迂闊なことはできないからだ。
1月2日、古仁屋から名瀬へ向かう日に奄美中央林道グラベルを走ることにした。しかしこの日はあいにくの雨...。

古仁屋を出発し、役勝エコロード経由で住用のマングローブ原生林へ。そこから旅の前半にも走った林道三太郎線へと進んだ。分岐よりスタル俣線を進み、三太郎茶屋跡へ再訪。さらにその先へと進めば、道は非常に狭く、荒れたグラベルになった。

雨は降り続く。ここまでの毎日が雨だった。奄美の雨の多さは「ひと月に35日雨が降る」などと形容されるが、まさにそんな毎日が続いた。
それでも毎日自転車では走っていたから、すっかり雨には慣れっこになっていたし、何より雨の森が醸し出す美しさにも感動できるようになっていた。

そう、湿潤な照葉樹林帯が広がる奄美の亜熱帯ジャングルは、雨の日ほど美しい。しかしグラベルを走るのに雨というのは難易度を上げ、ラクなものではない。

林道を進むにつれて森は深くなり、美しさを増していく。路肩の繁みは深く、道幅も狭くなり、所々ガレた箇所が出てくる。日常的に使われていない道であることが分かる。気温が低いからハブは眠っていることだろう。

奄美の世界自然遺産の森は、厳密に言えば「原始林」ではなく、かつては人の手によって切り拓かれ、伐採され、その後に再生した「自然林」なのだという。また、世界的には乾燥地帯が多い緯度にあるのに、奄美には湿潤な常緑広葉樹が生い繁っている。

アマミノクロウサギなどの奄美にしか居ない固有種や、絶滅危惧種を含む多様な動植物の生態系があるのは、この島独特の風土と気候が生み出す湿潤な森林が育む豊かさにあるのだという。
世界自然遺産の核心部を貫くグラベルへ

島の中央部の尾根筋を縦貫している奄美中央林道は、かつて島の東西をつなぐ重要な道であったし、近代には舗装する案が出たこともあったという。しかし道としての必要性が薄れ、同時に周辺の自然の豊かさ・貴重さに気づいた地元の人々による反対運動もあり、今のような未舗装路として残ったようだ。

奄美には新しい道が徐々に増え、新設されるトンネルによって集落と集落をつなぐ道が新たに拓かれている。それに伴って島の中央部の林道は使われなくなり、徐々に廃道へと向かっているのだ。そして世界自然遺産登録によって車での通行は規制・自重されるようになり、廃道化に拍車がかかっている。

人の気配がまったく無い静寂のなか森を走る。聞こえるのは鳥の鳴き声と風が起こす樹木のざわめき。気温の低さで動物の活動は少なかったが、冬でなければ動物たちの声で賑やかなぐらいだという。
そんな道だから、グラベル走行はインパクトを最低限に抑えるように心がけた。スピードを緩め、路面を傷めないように慎重に走った。貧弱なロードタイヤでなら必然的にそうせざるを得なかったというのもある。

最高気温13度ほどの寒い日だったためか、ハイカーにも、ネイチャーガイドが案内する自然観察ツアーの一行にも会わなかった。

世界自然遺産の森に、かつて車道としても使われたことを伺わせる朽ちたガードレールをみつける。その下を流れる渓流の美しさはため息が出るほどだ。著名な写真家のポートフォリオで見た風景にも出くわす。そうしたスポットは場所も名前も観光ガイドには載っていない。普通の人は行けないからだ。

ケンムンの棲む森へ

奄美には「ケンムン」という、悪戯好きの子供の妖怪の言い伝えがある。奄美中央部の森は怪し気な雰囲気に満ちた、まさにケンムンの棲む森。
林道のあちこちでジャングルの風景を象徴するようなヒカゲヘゴの巨木にも出会える。「ジュラシックパークで見るような風景」とは、よく言ったもの。

ちなみにヘゴは樹木ではなく、シダ植物。そして実は日陰に生えるのではなく、陽の当たる拓けた場所に好んで生えるのだとか。つまり林道沿いには多く見られ、いわば人の手が入った道沿いだからこそヒカゲヘゴが生えるというのは、ちょっと皮肉めいている。だってヒカゲヘゴは原始の森のイメージとして必ず写真に登場する存在だから。そんなことを学びながら走るのも良い機会だ。

終日雨がちだったが、時折雨は降り止み、日が射すことも。するとたっぷり水を湛えた雲霧林から水蒸気がモウモウと立ち上る光景を見ることができた。この営みがあって雨が多いのだと実感できる。

やっかいだったのは林道の分岐が随所に有り、かつての道標などが朽ちて残ってはいるのだが、そこに記してある土地名ではどちらに進めば良いかの判断がつきにくいこと。
もちろん携帯の電波は通じないからスマホ検索もできない。もう使われていない道だからしょうがないが、迷わずに進むことが難しかった。しかし事前に下調べをしておいたことが判断に役立った。

林道の終盤には金作原(きんさくばる)特別保護区の入口に出た。そこには鉄柵のゲートが有り、規則では車両は先には進めず、必ずエコツアーガイド同伴で訪れることが条件にある。

こうした世界自然遺産の特別保護区に当たる林道の入口や途中には、環境省による監視カメラが設置され、動物たちの動向観察に加えて侵入や希少植物持ち去り防止のためにモニターされている。

金作原ゲート三叉路付近からは、林道知名瀬線を下って知名瀬の街へ。旅の前半にお世話になった名瀬のゲストハウスにまた投宿した。

結局この日は終日雨が降り続き、濡れねずみになった。グラベルの荒れ具合は予想よりも酷くはなかったが、雨と冷えで消耗するライドになった。距離以上に難易度が高い約70kmのライドだった。獲得標高は1,476m。
疲れ切ってはいたが、奄美の自然の豊かさを堪能した素晴らしい一日になった。
世界自然遺産エリアのグラベルを走るには

今回の奄美中央林道グラベルの走行にあたっては、奄美大島世界遺産センターの職員さんや鹿児島県の環境林務部にアドバイスをいただいた。
災害による林道の通行止め状況や許可において慎重を期すなら所轄の役場に問い合わせるのが良いだろう。


今回は年末年始休のため役場に伺う機会はもてなかったが、地域の役場の担当者であれば、林道の補修状況などについても詳しく把握している。またホームページ上に公開されている通行止情報も参考にした。

それら林道の所轄事務所や担当者への聞き取りに加え、参考にしたのは国土地理院発行の2万5千分の一地図と、過去に開催されたジャングルトレイルランイベントの(ネット上に残る)ルートマップなど。
ただし台風災害の多い島だけに林道の状況は刻々と変わるし、今回のルートの再走も過信できない。走り切るには相応の下調べと地図読み力、そして自然に対する配慮が必要だ。

慎重に慎重を重ねた世界自然遺産エリアでの林道走行だったが、結論から言えば、特別保護区に指定されている金作原の一部区間は自転車で通行することができないが、その他の区間においては林道を走ることに問題はない。ただし林道から外れて森に入ったり、動植物などを持ち帰ったりすることはできない。これらは環境省や鹿児島県の定める「利用ルール」(下記リンク参照)の通りだ。
なお金作原や奄美群島の国立公園における利用ルールは、日々アップデートされながら運用されている。
参考リンク
金作原における利用ルールの運用について/Kinsakubaru Local Rules(2019年2月27日から)
奄美群島の利用ルール等の資料掲載ページ(鹿児島県)
また、これは私感だが、林道は使われなくなると廃道になってしまう。現在の奄美中央林道は集落と集落を結ぶ道の役目を終えており、着実に廃道へと向かっている。エコツーリズムの観点からは、周囲の自然に与える負荷に配慮しつつ、小人数で訪れるのが良いだろう。道は使うことで廃道化を防ぐことにもつながる。
深い深い旅を楽しませてくれた奄美大島、ありがっさまりょうた〜(ありがとう)、いもりょよ〜(さようなら)。
次回連載では徳之島へと渡ります。
text&photo:Makoto AYANO