JCF(日本自転車競技連盟)とブリヂストンサイクルは都内で記者会見を開き、新チーム「HPCJC-BRIDGESTONE ANCHOR」を発足させることを発表。チームブリヂストンサイクリングのメンバーをメインに、パリ五輪トラック代表を含む女子選手が所属することを明らかにした。



会場に展示された新チームのジャージと使用機材 photo:Makoto AYANO
記者会見前に催された山崎賢人と小原佑太の引退式 photo:Satoru Kato


「HPCJC-BRIDGESTONE ANCHOR」は、JCF(公益財団法人日本自転車競技連盟)とブリヂストンサイクル株式会社がアライアンス契約を結び、新たに発足するチーム。HPCJC(ハイ・パフォーマンス・センター・オブ・ジャパン・サイクリング=JCF配下の選手強化組織)とチームブリヂストンサイクリングで新たな協業体制を構築し、日本の競技力向上を目指す。

HPCJC-BRIDGESTONE ANCHORのメンバー photo:Satoru Kato

所属選手は以下表の通り。男子は今年チームブリヂストンサイクリングに所属していた選手の一部が移行し、トラック女子ナショナルチームの中距離選手が加わり計13名となる。今回は、松田祥位、梅澤幹太、内野艶和が欠席となり、キャプテンとなる兒島直樹ら10名が新ジャージを着て出席した。
HPCJC-BRIDGESTONE ANCHOR 2026年所属選手
男子 女子
兒島直樹 内野艶和
松田祥位 垣田真穂
梅澤幹太 池田瑞紀
河野翔輝 水谷彩奈
矢萩悠也 岡本美咲
岡本勝哉
三浦一真
木綿崚介
ジャージの背中にはHPCJCのロゴが入る photo:Satoru Kato
新チームのロゴが入ったチームカー photo:Satoru Kato


これまでHPCJCはトラック競技での東京五輪とパリ五輪に向けての選手強化を行なってきたが、チームブリヂストンサイクリングとの提携によりロードとトラックでの選手強化を進めるという。タイミングが合えば海外レースへの出場する可能性もあるというが、UCI登録はせずにクラブチームとして主に国内レースに出場する。

なお、JBCFが先日発表した2026年Jプロツアーチーム一覧にはチームブリヂストンサイクリングの名前が掲載されていたが、名称が変更される。

JCFの橋本聖子会長「自転車は多くの方々に感動と勇気を与えられる」 photo:Satoru Kato
株式会社ブリヂストン副社長兼ブリヂストンサイクル株式会社会長の田村亘行氏 photo:Satoru Kato


「他の自転車競技にも広げていきたい」と中野浩一JCF副会長兼強化委員長 photo:Satoru Kato
会見には、JCFの橋本聖子会長、ブリヂストンサイクル株式会社の田村亘之代表取締役会長らも出席。橋本会長は「競技力向上だけでなく、ブリヂストンと提携することで新たな産業の創出を目指したい」と話し、田村会長は「最高の品質で社会に貢献という社是に沿って、チーム発足から75年を経て培った技術を活かしたい」と話した。

JCF副会長兼強化委員長の中野浩一氏は「これまでHPCJCがトラック競技を中心にやってきたことを、他の自転車競技種目にも広げていくことを目指す。結果が出るまでには時間がかかるかもしれないが、長い目で見てほしい」と、新チームが目指すところを説明した。

HPCJCの取り組みを他の自転車競技にも広げると説明する三瓶将廣氏 photo:Makoto AYANO

JCFハイパフォーマンスディレクターの三瓶将廣氏も、ロード、トラック、MTB、BMX、シクロクロスなど自転車競技の種目間で連携しての強化を図ることを強調。他のチーム所属選手との連携も視野に、競技力強化と自転車競技の普及・認知向上を図り、新たな社会価値創造を目指すとしている。

新チームが目指すものは選手強化に限らない photo:Satoru Kato



兒島直樹「活動の幅を広げて更なる強化を」

取材を受ける兒島直樹 photo:Satoru Kato

新しいチームでキャプテンを任されたことは光栄ですし、チームを引っ張っていく立場になる責任と覚悟を持ち合わせ、みんなと高みを目指して挑戦していきたいと思っています。今年までのチームブリヂストンサイクリングもナショナルチームと同調するような活動で、新しいチームの活動も同様になりますが、ナショナルチームお抱えのチームとしてロードとトラックで活動の幅が広がるので、更なる強化につながるのではないかと考えています。

現在は競輪養成所に在籍していて来年3月に卒業予定です。養成所のメニューとナショナルチームの中距離メニューを両立することはきついですが、自分に足りない部分が浮き彫りになってきて、残り3ヶ月でそうした課題にしっかりと取り組んで中距離に還元出来たらいいなと思っています。

卒業後はロサンゼルス五輪が近づいているので競輪選手としての活動はあまり出来ないかもしれないが、最優先は五輪でメダルを獲得することなので、それに向けて活動していくつもりです。でも出来るだけ早い時期にS級に昇格できるようにしたいと思っていますし、ロードレースではJプロツアーで優勝したいとも思っています。

垣田真穂(左)と池田瑞紀 photo:Satoru Kato

垣田真穂「日本の女子レースで無かったような展開を」
今までは国内のロードレースを走る機会が少なかったが、このチームではロードレースにも挑戦出来るので楽しみです。今年はヨーロッパで約半年レース活動してきましたが、慣れない環境の中で大変なことが多かったけれど、たくさんのことを吸収して少しは成長して帰ってこられたと思っています。

国内の女子レースは少なく人数も少ないですが、5人揃って出場して今まで日本の女子レースで無かったようなレース展開が出来ると思うし、ヨーロッパで学んできたことを国内レースで出して、日本のレベルを上げていきたいです。今までも一緒にやってきているメンバーなので、楽しく集中してやっていけたらと思います。

池田瑞紀「自分達が先陣を切ってアクションを起こす」
このチームに入ることで色々な人から学んだりより高め合える環境になると思っています。今年はスイスで走りましたが、小さな地域の大会でもレベルの高さを身にしみて感じました。この経験を来シーズンから活かし、ロサンゼルス五輪に向けての(出場枠獲得のための)オリンピックポイントも始まるので頑張っていきたいです。

ロードレースはトラックとは違った強度部分を鍛えられると思うので、そういう機会が増えることは自分達にとってプラスになると思います。どのレースに出るかはまだわからないですが、期待と不安と半々です。

自分達が先陣を切ってアクションを起こしていかなければと思っていますし、今まで他の選手がやってることを見て自分もこうしようと学んできたので、今度は自分が見られるようになっていきたいですね。


text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, Makoto AYANO