2026年シーズンに向け改革を進めるイネオス・グレナディアーズが、育成チーム「イネオス・グレナディアーズ・レーシングアカデミー」を発足した。チーム創設以来初の取り組みで、個人パシュート世界王者ジョシュ・チャールトン(イギリス)ら18〜22歳の選手12名が所属する。



新たに発足したイネオス・グレナディアーズ・レーシングアカデミー photo:INEOS Grenadiers

「イネオス・グレナディアーズ・レーシングアカデミーの発足は、次世代の即戦力となる才能の発掘、育成、強化に注力するという、チームの方針をより明確にするものだ」と、イネオスは育成チーム創設の理由をプレスリリースで説明した。

グルパマFDJをはじめ、リドル・トレックやヴィスマ・リースアバイクなど多くのワールドチームが、これまで有力選手たちを輩出してきたコンチネンタル登録の育成チーム。しかしイネオスはスカイプロサイクリングとして発足した2010年から保有しておらず、これまでは独自の育成支援プログラム「アセント」やイギリス自転車競技連盟、育成に定評のあるコンチネンタルチームなどを通じて若手選手を発掘・育成してきた。

レーシング・ディレクターを務めるゲラント・トーマスはチーム発足について、「アカデミーシステムは僕が自己管理や健康維持、整理整頓、正しい準備の仕方を学んだ場。僕にとって最優先事項は『プロフェッショナルとはどういうことか』を若い選手たちに伝えること。単に良い数値を出すことだけではなく、レース勘や自分の身体の理解、感情のコントロールなど、すべてを含めた『フルパッケージ(での成長)』が重要だ」と、育成チームの重要性を語った。

ジョシュ・チャールトン(イギリス) photo:INEOS Grenadiers
ミルキアス・マエケレ(エリトリア) photo:INEOS Grenadiers


なお、2025年に育成チームとしての契約を結んだドイツのコンチネンタルチーム、ロット・カーンハウスPSDバンクとの契約は今年限りで終了する見通し。ロットからはピーター・オクセンベア(デンマーク)がトップチームへ昇格し、テオドア・ストアム(デンマーク)がイネオス・グレナディアーズ・レーシングアカデミーに移籍している。

所属するのはイギリスを中心にイタリア、フランス、オーストラリア、デンマーク、エリトリアの6カ国から集った12名。なかでも注目は、今年トラック競技の個人パシュート世界王者に輝き、過去に世界記録を樹立したこともある22歳のジョシュ・チャールトン(イギリス)。またミルキアス・マエケレ(エリトリア)はドイツのコンチネンタルチームであるバイクエイドから加入した20歳で、ツアー・オブ・イラン(UCI2.1)でプロ初勝利を飾っているスプリンターだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:INEOS Grenadiers