2010/07/27(火) - 11:48
2010年7月25日、Jサイクルツアー第11戦にあたる全日本実業団サイクルロードレースin小川が行なわれ、チーム力で他を圧倒したシマノレーシングの平塚吉光と畑中勇介がワンツー勝利を飾った。畑中はJサイクルツアーリーダージャージを堅守。3連覇が懸かった佐野淳哉(チームNIPPO)は3位に。
長野県北西部、ちょうど長野市と白馬村の中間に位置する小川村は、緑豊かな山々に囲まれた人口3000人強の小さな村。遠くに北アルプスを望む景勝地として知られ、「信州の自然百選」に選ばれている。
今年で開催7回目を迎える「全日本実業団サイクルロードレースIN小川」の舞台となるのは、そんな小川村の一般公道に設けられた1周16.3kmの周回コース。上りと下りしかないと言っても過言ではなく、1周の標高差は500mに及ぶ。
コース前半は90km/hに達するハイスピードダウンヒル。コース後半には平均勾配が10%近い急勾配の上りが待ち構えている。TRはこの周回コースを4.5周(登坂5回)。距離は76.7kmだが、獲得標高差は2500mに達する。
BR-1は3.5周(登坂4回)、ERは2.5周(登坂3回)、FRは1.5周(登坂2回)。いずれのカテゴリーも上りの頂上にゴールが設定されており、高いダウンヒル能力とヒルクライム能力が問われる難コースだ。
シマノレーシングvsチームNIPPOの闘い
TRは大会3連覇が懸かった佐野淳哉を擁するチームNIPPOと、Jサイクルツアーリーダージャージを着る畑中勇介を擁するシマノレーシングが二強と呼べる存在。中には第7戦栂池大会2位の森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形)を警戒する声も聞かれた。
夏らしい暑さの中、小川村の中心地をぐるっと回るパレード走行後にTRはスタート。最初の上り区間で早速アタックが掛かり、飛び出した阿部良之(マトリックス・パワータグ)に10名ほどが合流して先頭グループを形成。
しかしディフェンディングチャンピオン佐野のペースアップによって先頭グループは吸収。1回目の登坂を終えた半周完了時で、集団は早くも30名ほどに絞られた。
2周目の上りで再び阿部良之が飛び出したが吸収され、カウンターアタックを仕掛けた井上和郎(チームNIPPO)が独走開始。井上は20秒ほどのリードを築き、1周に渡って独走を続けた。
井上を追ったのは、シマノレーシング率いるメイン集団。佐野淳哉は集団内で力を温存し、チームNIPPOが有利な展開に。しかし3周目の上りで井上が吸収されると、今度はシマノレーシングが攻撃を開始した。
畑中勇介と平塚吉光が交互にアタックを仕掛け、佐野淳哉自らがチェックに入る。このペースアップによってメイン集団は畑中、平塚、佐野、森本、増田成幸(チームNIPPO)、真鍋和幸(マトリックス・パワータグ)、西谷雅史(オーベストディープラスデザイン)の7名に絞られた。
4周目に入ってもシマノレーシングは攻撃の手を緩めず、交互にアタックを仕掛ける畑中と平塚に佐野が反応。これに森本と真鍋が食らいつき、5名が先頭グループ内で残り1周の鐘。
ハイスピードな下り区間でのアタックは成功せず、5名のまま最後の上り区間に突入。すると緩斜面区間でアタックを仕掛けた畑中の吸収後に、平塚が単独アタックを成功させる。平塚は20秒のリードを築き、急勾配の上りに挑んだ。
後続は佐野がペースを上げ、畑中だけがこれにジョイン。しばらく2人で追走グループを形成していたが、ラスト2kmを切ると畑中が佐野を振り切ることに成功し、単独でチームメイトの平塚を追走。畑中はラスト1kmで先頭の平塚に追いつき、シマノレーシングがワンツー体制のままゴールに飛び込んだ。
前週の第10戦石川ロードでチームNIPPOの2人(佐野と宮澤崇史)に敗北したシマノレーシングがリベンジを達成。2位の畑中はルビーレッドジャージ、平塚はU26のピュアホワイトジャージをそれぞれ守っている。チームランキングでもシマノレーシングは2252ポイントで首位を快走中。840ポイントで2位のチームNIPPOを大きく引き離している。
平塚は「厳しいレースでしたが、畑中さんと共にレースを有利に進めることができました。最後は思い切ってアタックして、タイム差を順調に開けることができ、勝利を確信しました」とコメントしている。
3.5周(60.4km)で行なわれたBR-1は、最後の上りで田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)が独走したが、清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)と高橋義博(Cuspeede)がラスト2kmで合流。ここから清宮と高橋が先行してゴールへ。ラスト200mで仕掛けた清宮が優勝を飾った。
FRは金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)が1周目から圧倒的な登坂力を発揮して独走。粘りの走りを見せた西加南子(LUMINARIA)が最後の上りで15秒差にまで追い上げたが、金子が先頭を守り切って優勝。ピンクのJフェミニンツアーリーダーは4位の西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)が守っている。
ERには元F1ドライバーの片山右京(宇都宮ブリッツェンTEAM UKYO)も出場。1周目の上りで先頭グループに食らいついたが、やがて脱落してしまい、タイムオーバーでバイクを降りた。「アップが足りなかったのか、最初の上りで心臓が悲鳴を上げて失速してしまいました。練習に打ってつけの厳しいコース。また来年リベンジしたいです」と語ってくれた。
翌週のJサイクルツアー第12戦は長野県下伊那郡松川町を舞台にした「第1回全日本実業団サイクルロードレース in 南信州松川」。今年初開催のコースはアップダウンが厳しく、1kmに渡って続く直線的な上り区間が大会の目玉。再びタフなレースが展開されることになりそうだ。
アタックシーンや各カテゴリーのゴールシーンなどを、小川ロードの模様はフォトギャラリーで!
TR(76.7km)
1位 平塚吉光(シマノレーシング) 2h37'31"
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 佐野淳哉(チームNIPPO) +26"
4位 真鍋和幸(マトリックス・パワータグ) +1'56"
5位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形) +2'07"
6位 増田成幸(チームNIPPO) +3'05"
7位 柿沼章(宇都宮ブリッツェン) +4'17"
8位 西谷雅史(オーベストディープラスデザイン) +5'45"
9位 新井剛(イナーメ・アイランド信濃山形) +6'19"
10位 中村誠(宇都宮ブリッツェン) +6'58"
Jサイクルツアーリーダー
畑中勇介(シマノレーシング)
BR-1(60.4km)
1位 清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング) 2h07'38"
2位 高橋義博(Cuspeede) +04"
3位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing) +42"
4位 小久保俊介(vitesseーイチカワレーシングチーム)+1'12"
5位 船岡洋(Tacurino.net) +1'44"
6位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング) +1'50"
ER(44.1km)
1位 石川貴英(SEKIYA) 1h36'31"
2位 吉浦満(DARK BLUE BIKERS) +1'18"
3位 倉林貴彦(なるしまフレンド) +1'40"
4位 鈴木悠史(トーヨー・レーシングチーム) +1'50"
5位 福岡実(TEAM FITTE) +2'38"
6位 塚野英俊(大福屋) +2'48"
FR(27.8km)
1位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形) 1h09'43"
2位 西加南子(LUMINARIA) +19"
3位 福本千佳(Ready Go Japan) +1'47"
4位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE) +2'50"
5位 橋本みどり(なるしまフレンド) +3'31"
6位 野中優子(TEAM YOU CAN) +3'59"
Jフェミニンツアーリーダー
西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)
text&photo:Kei Tsuji
長野県北西部、ちょうど長野市と白馬村の中間に位置する小川村は、緑豊かな山々に囲まれた人口3000人強の小さな村。遠くに北アルプスを望む景勝地として知られ、「信州の自然百選」に選ばれている。
今年で開催7回目を迎える「全日本実業団サイクルロードレースIN小川」の舞台となるのは、そんな小川村の一般公道に設けられた1周16.3kmの周回コース。上りと下りしかないと言っても過言ではなく、1周の標高差は500mに及ぶ。
コース前半は90km/hに達するハイスピードダウンヒル。コース後半には平均勾配が10%近い急勾配の上りが待ち構えている。TRはこの周回コースを4.5周(登坂5回)。距離は76.7kmだが、獲得標高差は2500mに達する。
BR-1は3.5周(登坂4回)、ERは2.5周(登坂3回)、FRは1.5周(登坂2回)。いずれのカテゴリーも上りの頂上にゴールが設定されており、高いダウンヒル能力とヒルクライム能力が問われる難コースだ。
シマノレーシングvsチームNIPPOの闘い
TRは大会3連覇が懸かった佐野淳哉を擁するチームNIPPOと、Jサイクルツアーリーダージャージを着る畑中勇介を擁するシマノレーシングが二強と呼べる存在。中には第7戦栂池大会2位の森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形)を警戒する声も聞かれた。
夏らしい暑さの中、小川村の中心地をぐるっと回るパレード走行後にTRはスタート。最初の上り区間で早速アタックが掛かり、飛び出した阿部良之(マトリックス・パワータグ)に10名ほどが合流して先頭グループを形成。
しかしディフェンディングチャンピオン佐野のペースアップによって先頭グループは吸収。1回目の登坂を終えた半周完了時で、集団は早くも30名ほどに絞られた。
2周目の上りで再び阿部良之が飛び出したが吸収され、カウンターアタックを仕掛けた井上和郎(チームNIPPO)が独走開始。井上は20秒ほどのリードを築き、1周に渡って独走を続けた。
井上を追ったのは、シマノレーシング率いるメイン集団。佐野淳哉は集団内で力を温存し、チームNIPPOが有利な展開に。しかし3周目の上りで井上が吸収されると、今度はシマノレーシングが攻撃を開始した。
畑中勇介と平塚吉光が交互にアタックを仕掛け、佐野淳哉自らがチェックに入る。このペースアップによってメイン集団は畑中、平塚、佐野、森本、増田成幸(チームNIPPO)、真鍋和幸(マトリックス・パワータグ)、西谷雅史(オーベストディープラスデザイン)の7名に絞られた。
4周目に入ってもシマノレーシングは攻撃の手を緩めず、交互にアタックを仕掛ける畑中と平塚に佐野が反応。これに森本と真鍋が食らいつき、5名が先頭グループ内で残り1周の鐘。
ハイスピードな下り区間でのアタックは成功せず、5名のまま最後の上り区間に突入。すると緩斜面区間でアタックを仕掛けた畑中の吸収後に、平塚が単独アタックを成功させる。平塚は20秒のリードを築き、急勾配の上りに挑んだ。
後続は佐野がペースを上げ、畑中だけがこれにジョイン。しばらく2人で追走グループを形成していたが、ラスト2kmを切ると畑中が佐野を振り切ることに成功し、単独でチームメイトの平塚を追走。畑中はラスト1kmで先頭の平塚に追いつき、シマノレーシングがワンツー体制のままゴールに飛び込んだ。
前週の第10戦石川ロードでチームNIPPOの2人(佐野と宮澤崇史)に敗北したシマノレーシングがリベンジを達成。2位の畑中はルビーレッドジャージ、平塚はU26のピュアホワイトジャージをそれぞれ守っている。チームランキングでもシマノレーシングは2252ポイントで首位を快走中。840ポイントで2位のチームNIPPOを大きく引き離している。
平塚は「厳しいレースでしたが、畑中さんと共にレースを有利に進めることができました。最後は思い切ってアタックして、タイム差を順調に開けることができ、勝利を確信しました」とコメントしている。
3.5周(60.4km)で行なわれたBR-1は、最後の上りで田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)が独走したが、清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)と高橋義博(Cuspeede)がラスト2kmで合流。ここから清宮と高橋が先行してゴールへ。ラスト200mで仕掛けた清宮が優勝を飾った。
FRは金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形)が1周目から圧倒的な登坂力を発揮して独走。粘りの走りを見せた西加南子(LUMINARIA)が最後の上りで15秒差にまで追い上げたが、金子が先頭を守り切って優勝。ピンクのJフェミニンツアーリーダーは4位の西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)が守っている。
ERには元F1ドライバーの片山右京(宇都宮ブリッツェンTEAM UKYO)も出場。1周目の上りで先頭グループに食らいついたが、やがて脱落してしまい、タイムオーバーでバイクを降りた。「アップが足りなかったのか、最初の上りで心臓が悲鳴を上げて失速してしまいました。練習に打ってつけの厳しいコース。また来年リベンジしたいです」と語ってくれた。
翌週のJサイクルツアー第12戦は長野県下伊那郡松川町を舞台にした「第1回全日本実業団サイクルロードレース in 南信州松川」。今年初開催のコースはアップダウンが厳しく、1kmに渡って続く直線的な上り区間が大会の目玉。再びタフなレースが展開されることになりそうだ。
アタックシーンや各カテゴリーのゴールシーンなどを、小川ロードの模様はフォトギャラリーで!
TR(76.7km)
1位 平塚吉光(シマノレーシング) 2h37'31"
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 佐野淳哉(チームNIPPO) +26"
4位 真鍋和幸(マトリックス・パワータグ) +1'56"
5位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形) +2'07"
6位 増田成幸(チームNIPPO) +3'05"
7位 柿沼章(宇都宮ブリッツェン) +4'17"
8位 西谷雅史(オーベストディープラスデザイン) +5'45"
9位 新井剛(イナーメ・アイランド信濃山形) +6'19"
10位 中村誠(宇都宮ブリッツェン) +6'58"
Jサイクルツアーリーダー
畑中勇介(シマノレーシング)
BR-1(60.4km)
1位 清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング) 2h07'38"
2位 高橋義博(Cuspeede) +04"
3位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing) +42"
4位 小久保俊介(vitesseーイチカワレーシングチーム)+1'12"
5位 船岡洋(Tacurino.net) +1'44"
6位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング) +1'50"
ER(44.1km)
1位 石川貴英(SEKIYA) 1h36'31"
2位 吉浦満(DARK BLUE BIKERS) +1'18"
3位 倉林貴彦(なるしまフレンド) +1'40"
4位 鈴木悠史(トーヨー・レーシングチーム) +1'50"
5位 福岡実(TEAM FITTE) +2'38"
6位 塚野英俊(大福屋) +2'48"
FR(27.8km)
1位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形) 1h09'43"
2位 西加南子(LUMINARIA) +19"
3位 福本千佳(Ready Go Japan) +1'47"
4位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE) +2'50"
5位 橋本みどり(なるしまフレンド) +3'31"
6位 野中優子(TEAM YOU CAN) +3'59"
Jフェミニンツアーリーダー
西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)
text&photo:Kei Tsuji
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