11月29日、千葉県浦安市でJBCFロードシリーズの最終戦「JBCF浦安クリテリウム」が開催され、各カテゴリーの2025年ランキングが確定。Jエリートツアーのチームランキングはミネルヴァあさひが首位となり、2023年から3連覇を達成した。サイクルベースあさひで働きながらレース活動するチームはどのようなものなのか?入社2年目のE1ライダーに話を聞いた。

浦安市で開催されたJBCF最終戦の浦安クリテリウム photo:Satoru Kato
2020年に結成され、今年6年目を迎えた「ミネルヴァあさひ(MiNERVA-asahi)」は、国内に552店舗(12月4日時点)を展開する自転車専門店「サイクルベースあさひ」の従業員で構成されたチーム。今年は21名が所属し、ロードレースやオフロード種目まで幅広く活動する。活動のメインとなるJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催する「Jエリートツアー」では、メンバーの約7割を占める13名が最上位カテゴリーのE1登録をしており、集団内での一勢力を形成する。

最終戦も序盤からミネルヴァあさひのメンバーの動きが目立った photo:Satoru Kato

Jエリートツアー チーム総合3連覇を達成したミネルヴァあさひ photo:Satoru Kato
2025年シーズンは、昨年までJプロツアー登録だったVC福岡がE1カテゴリーに参戦することになり、例年以上にハイレベルなレースが多くなったE1カテゴリー。シーズン終盤までVC福岡と僅差の争いを制し、ミネルヴァあさひが3年連続となるチームランキング首位を獲得した。

株式会社あさひの下田社長が駆けつけ、3連覇を祝福 photo:Satoru Kato
最終戦となった浦安クリテリウムには株式会社あさひの下田佳史代表取締役社長が駆けつけ、チーム3連覇をメンバーと共に祝った。
「シーズン前半はVC福岡さんにだいぶ差をつけられましたが、チームのメンバーがそれぞれの役割をしっかりこなしたことで年間首位になることが出来ました。これはミネルヴァあさひの結束力の表れだと思います。来年は4連覇を目指して頑張ってもらいたいです」と、下田社長は早くも来年に向けての「檄」を交えて語った。

ツール・ド・おきなわ市民200km序盤で独走で独走する川勝敦嗣(ミネルヴァあさひ) photo:Makoto AYANO
JBCF以外のレースでの活躍も目立ち、アマチュアレーサー最高峰レースの名高い「ツール・ド・おきなわ市民200km」では、優勝候補にも挙げられたキャプテンの川勝敦嗣が序盤から独走するなど積極的な動きを見せ、最終的に布田直也が10位に入った。
そんな「実力派」が揃うミネルヴァあさひに昨年加入したのが、宇都宮インターパーク店に勤務する原田一輝。一昨年まではアルバイトとしてサイクルベースあさひ土浦店に勤務していたが、昨年春に大学を卒業して正社員として入社。ミネルヴァあさひで本格的にレース活動を始めたという。正社員となり、E1レーサーとして過ごした1年を振り返ってもらった。
原田一輝「公私ともに自転車で充実した1年」

ミネルヴァあさひで走る原田一輝 photo:Satoru Kato 「ロードバイクに興味を持ったのは、漫画「弱虫ペダル」を読んだのがキッカケです。高校生の時にロードバイクを買ってもらい、大学に進学してからはサイクリングやホビーレースに出るようになりました。アルバイトも自転車関係が良いと思い、サイクルベースあさひの土浦店で大学1年の時から4年間働いていました。
大学3年になって始めた就職活動も自転車に関われる仕事を考え、好きな自転車の良さや楽しさをお客様に伝えたいと思い、あさひに正社員として入社することを決めました。
入社後は栃木県の小山店に配属となり、最近宇都宮インターパーク店に異動しました。アルバイトで働いていた経験もあるのでギャップを感じることは少ないですが、仕事の重みが増えたと感じますね。アルバイトの時は目の前のことにひとまず一生懸命になっていれば良かったのですが、正社員になったことでもっと広い視野をもって仕事に取り組まねばならない場面が増え、責任を伴うようになった点が大変だと感じています。

チームメイトに続いて走る原田一輝(写真中央) photo:Satoru Kato
ミネルヴァあさひのことはアルバイト時代に知り、それまで競技として自転車に取り組んだことはありませんでしたが、本格的にレース活動をしてみようと思い加入しました。社員になってからは勤務日は長い練習時間を確保しづらいので、練習の質を上げることの難しさを感じています。でもチームのメンバーに色々とアドバイスしてもらい、目標となるような強い選手が身近にいることがミネルヴァあさひの強みだと思います。
今年E1に昇格しましたが、レベルの高さを実感した1年でした。以前は5分から10分くらいの登りがあるコースが得意で、抜け出してもスプリントでも勝負できていましたが、E1では勝負になかなか絡めず、それまで得意と思っていたことが得意ではないのかも?と思ったりしています。

VC福岡や大前翔(Roppongi Express)らの参戦でハイレベルなシーズンとなったE1カテゴリー photo:Satoru Kato 基本的な力が足りていないこともありますが、レースの経験が少ないのでムダ脚を使ってしまったり位置取りを失敗したりということも多いです。力を抜けるところと出すべきところを嗅ぎ分ける嗅覚を身につけないと、E1のレベルでは戦えないと感じています。でもまずは、このオフシーズンにロングライドの練習をしてベースアップし、来年はE1で入賞出来るようになりたいです。
レースのある土曜・日曜は営業しているお店を抜けて行くことになりますが、毎回お店の皆さんにも快く送り出してもらってます。会社公認のチームとは言え、とてもありがたく思っていますし、お店の皆さんには感謝しています。およそ1年やってきて、レースや練習と仕事のバランスの取り方が掴めてきたと最近思えるようになってきました。趣味に全力になりながら仕事も出来るので、別の仕事に就いていたらこうはならなかったと思っています」
レースでの経験を踏まえて仕事のスキルアップを目指す

サイクルベースあさひの店舗で自転車を組む原田一輝 ©︎あさひ
仕事面では、「最近、副店長に昇格しました」と言う原田。店舗での業務だけでなく、あさひの採用業務にも関わるようになった。また、あさひの社内資格である「技術マイスター」の資格を取ることを目指している。
技術マイスターとは、自転車の組み立てや整備など技術面に関する専門家としての知識や技量を持つ社員が認定される資格。「あさひ自転車マイスター制度」に設定される社内資格のひとつで、他に接客サービスを極めた「接客マイスター」、ガイド付きサイクリングイベントやキッズスクールの講師を務める「ガイドマイスター」と、3つのマイスター制度がある。それぞれ一定のスキル基準を満たし、社内試験に合格した社員が認定され、それぞれの分野で社内の指導的な役割を果たすことになる。

様々な自転車を揃えるサイクルベースあさひ港南中央店 ©︎あさひ 「アルバイト勤務の経験があるので社員1年目でも色々関わらせてもらっていますが、あさひには自転車の経験が無くてもキャリアアップ出来る制度が整っています。まずはトレーナーとしての資格を取って、後輩達に色々教えられるようになりたいと思っています。
特にロードバイクは規定が変わって細かいアップグレードが進んでいるので、そうした現状を社内外に発信できるようにしていきたいと思っています。自分が競技をしているからこそ高度な専門知識が必要とされる場面が多いと感じているので、技術を高めて様々なことに対応できるようにしたいです。
採用活動にも関わっているので、あさひに就職を考えている方とお話をする機会があるかもしれません。レースに限らず、あさひは自転車を続ける環境がある企業なので、仕事と両立していきたいという方は選択肢に入れてもらえると嬉しいです」
text:Satoru Kato
協力:株式会社あさひ

2020年に結成され、今年6年目を迎えた「ミネルヴァあさひ(MiNERVA-asahi)」は、国内に552店舗(12月4日時点)を展開する自転車専門店「サイクルベースあさひ」の従業員で構成されたチーム。今年は21名が所属し、ロードレースやオフロード種目まで幅広く活動する。活動のメインとなるJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催する「Jエリートツアー」では、メンバーの約7割を占める13名が最上位カテゴリーのE1登録をしており、集団内での一勢力を形成する。


2025年シーズンは、昨年までJプロツアー登録だったVC福岡がE1カテゴリーに参戦することになり、例年以上にハイレベルなレースが多くなったE1カテゴリー。シーズン終盤までVC福岡と僅差の争いを制し、ミネルヴァあさひが3年連続となるチームランキング首位を獲得した。

最終戦となった浦安クリテリウムには株式会社あさひの下田佳史代表取締役社長が駆けつけ、チーム3連覇をメンバーと共に祝った。
「シーズン前半はVC福岡さんにだいぶ差をつけられましたが、チームのメンバーがそれぞれの役割をしっかりこなしたことで年間首位になることが出来ました。これはミネルヴァあさひの結束力の表れだと思います。来年は4連覇を目指して頑張ってもらいたいです」と、下田社長は早くも来年に向けての「檄」を交えて語った。

JBCF以外のレースでの活躍も目立ち、アマチュアレーサー最高峰レースの名高い「ツール・ド・おきなわ市民200km」では、優勝候補にも挙げられたキャプテンの川勝敦嗣が序盤から独走するなど積極的な動きを見せ、最終的に布田直也が10位に入った。
そんな「実力派」が揃うミネルヴァあさひに昨年加入したのが、宇都宮インターパーク店に勤務する原田一輝。一昨年まではアルバイトとしてサイクルベースあさひ土浦店に勤務していたが、昨年春に大学を卒業して正社員として入社。ミネルヴァあさひで本格的にレース活動を始めたという。正社員となり、E1レーサーとして過ごした1年を振り返ってもらった。
原田一輝「公私ともに自転車で充実した1年」

大学3年になって始めた就職活動も自転車に関われる仕事を考え、好きな自転車の良さや楽しさをお客様に伝えたいと思い、あさひに正社員として入社することを決めました。
入社後は栃木県の小山店に配属となり、最近宇都宮インターパーク店に異動しました。アルバイトで働いていた経験もあるのでギャップを感じることは少ないですが、仕事の重みが増えたと感じますね。アルバイトの時は目の前のことにひとまず一生懸命になっていれば良かったのですが、正社員になったことでもっと広い視野をもって仕事に取り組まねばならない場面が増え、責任を伴うようになった点が大変だと感じています。

ミネルヴァあさひのことはアルバイト時代に知り、それまで競技として自転車に取り組んだことはありませんでしたが、本格的にレース活動をしてみようと思い加入しました。社員になってからは勤務日は長い練習時間を確保しづらいので、練習の質を上げることの難しさを感じています。でもチームのメンバーに色々とアドバイスしてもらい、目標となるような強い選手が身近にいることがミネルヴァあさひの強みだと思います。
今年E1に昇格しましたが、レベルの高さを実感した1年でした。以前は5分から10分くらいの登りがあるコースが得意で、抜け出してもスプリントでも勝負できていましたが、E1では勝負になかなか絡めず、それまで得意と思っていたことが得意ではないのかも?と思ったりしています。

レースのある土曜・日曜は営業しているお店を抜けて行くことになりますが、毎回お店の皆さんにも快く送り出してもらってます。会社公認のチームとは言え、とてもありがたく思っていますし、お店の皆さんには感謝しています。およそ1年やってきて、レースや練習と仕事のバランスの取り方が掴めてきたと最近思えるようになってきました。趣味に全力になりながら仕事も出来るので、別の仕事に就いていたらこうはならなかったと思っています」
レースでの経験を踏まえて仕事のスキルアップを目指す

仕事面では、「最近、副店長に昇格しました」と言う原田。店舗での業務だけでなく、あさひの採用業務にも関わるようになった。また、あさひの社内資格である「技術マイスター」の資格を取ることを目指している。
技術マイスターとは、自転車の組み立てや整備など技術面に関する専門家としての知識や技量を持つ社員が認定される資格。「あさひ自転車マイスター制度」に設定される社内資格のひとつで、他に接客サービスを極めた「接客マイスター」、ガイド付きサイクリングイベントやキッズスクールの講師を務める「ガイドマイスター」と、3つのマイスター制度がある。それぞれ一定のスキル基準を満たし、社内試験に合格した社員が認定され、それぞれの分野で社内の指導的な役割を果たすことになる。

特にロードバイクは規定が変わって細かいアップグレードが進んでいるので、そうした現状を社内外に発信できるようにしていきたいと思っています。自分が競技をしているからこそ高度な専門知識が必要とされる場面が多いと感じているので、技術を高めて様々なことに対応できるようにしたいです。
採用活動にも関わっているので、あさひに就職を考えている方とお話をする機会があるかもしれません。レースに限らず、あさひは自転車を続ける環境がある企業なので、仕事と両立していきたいという方は選択肢に入れてもらえると嬉しいです」
text:Satoru Kato
協力:株式会社あさひ
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