独走からレニー・マルティネス(フランス)が初優勝を飾ったジャパンカップ。その興奮も冷めやらぬわずか3時間後、バーレーン・ヴィクトリアスの選手やスタッフを囲み、メリダ・ジャパンの主催で祝賀会さながらのアフターパーティが開かれた。その場で見えた選手たちの素顔を、少しだけ紹介しよう。
会場となったのは、選手たちが宿泊するホテルから5kmほど離れた寿司屋さん。主催するメリダ・ジャパンが「選手たちにぜひ日本食を堪能してほしい」という気持ちから、毎年恒例となっている場所だ。

抹茶アイスをお箸で食べるマルティネス
改めてメンバーを紹介すると、まずは残り3周から古賀志林道の登りでアタックし、最終周回に独走態勢を築き優勝したレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)。チームで唯一メリダの新型REACTO(まだ情報公開もされていない新型エアロロード)に乗り、勝利した22歳はこの日の主役であったものの、部屋の隅でチームメイトの話を聞きながら静かに食事を進めていた。
そしてこの日のマスター・オブ・セレモニー(司会役)を務め、祝賀会をぶん回していたのは下部チームに所属し、今回が初のトップチーム合流だった23歳の寺田吉騎。続々と運ばれてくる日本食の解説をし、空いたグラスにドリンクを注ぎ、選手たちに積極的に話しかける。その対象は選手たちだけでなく、隣のテーブルで静かに食事を進める監督やスタッフたちのところにも出向き、笑いをさらって戻ってきた。

縦横無尽に会を盛り上げた寺田吉騎

5本目のエビ天を頬張るエウラリオ 
追加で注文したイカゲソの天ぷらに、真っ先に箸を伸ばすエウラリオ
そして寺田と共に、終始ふざけ合っていたのがアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル)だ。レースでは34位と上位に絡めなかったものの、先月行われたルワンダでのロード世界選手権では、過酷なコース&展開にもかかわらず9位入賞を果たした、チーム最注目の若手選手。前日に初めて食べ、いたく気に入ったというエビの天ぷらが出てくると、1人で5本(6本?)を平らげ、追加でやってきたゲソの天ぷらにもご満悦。美味しそうにほうばるエウラリオに、寺田は「天ぷらはポルトガルからやってきた」と何度も説明するも、最後まで信じてもらえなかった。
寺田が表のMCならば、裏回し的にチームメイトたちに話題を振り、仕切っていたのがチーム最年長30歳のトースタイン・トレーエンだ。今年のブエルタ・ア・エスパーニャでは4日間にわたりマイヨロホを着用し、総合9位に入ったノルウェー出身のクライマー。祖母が日本人であり、メリダ・ジャパンから贈られた手ぬぐいに描かれた日本地図を見て、祖母の故郷である愛媛県松山を指し示すなどメディア対応も完璧だった。

祖母の出身地である松山を指差すトレーエン。ちなみにこれが初来日

はにかみながらスピーチするファンミヘレン 
わさび入りの寿司を黙々と食べ続けていたケップリンガー
クリテリウムでは3位に入り、強豪スプリンター相手にも勝負できるスピードを見せたフラット・ファンミヘレン(ベルギー)は今回のチーム最年少の21歳。向かいに座るエウラリオとは対照的に静かにも、負けないくらい寿司や天ぷらをほうばる。
そして筆者の隣で長い時間語り合ったのが28歳のライナー・ケップリンガー(オーストリア)だ。「好青年」を絵に描いたような真面目キャラで、オフシーズンの予定と聞くと目を細めて「とにかく母国でゆっくりしたい」と笑う。その理由を聞くと「シーズン中はレースや合宿で家に帰れない日々が続くから、オフぐらいは家族や友人とゆっくりしたい」のだとか。また国土の約60%がアルプス山脈のオーストリアは、クライマー寄りのパンチャーであるケップリンガーには最高の練習環境だとも語ってくれた。
そして筆者が個人的に嬉しかったのは、監督であるミカル・ゴラス(ポーランド)と話せたこと。オメガファルマ・クイックステップ(現スーダル・クイックステップ)やチームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)で活躍したクラシックレーサーで、クリストファー・フルーム(イギリス、現イスラエル・プレミアテック)が2015年にツール・ド・フランスで総合優勝した時のメンバー。引退すると身体が一回り大きくなる元選手たちもいるなか、現役時代と見紛うシェイプされた肉体が印象的だった。

2021年に引退し、現在は監督を務めるミカル・ゴラス 
マルティネスはマッキーの独特な匂いを気に入っていた

バーレーン・ヴィクトリアスの選手とスタッフ、そしてメリダ・ジャパンのスタッフで記念撮影

締めの挨拶をするマルティネス。フランス語だったためほぼ誰も理解できず
そして最後に、選手とスタッフ、メリダ・ジャパンのスタッフも交えて記念撮影。選手とゴラス監督がそれぞれの母国語でスピーチを行い、あっという間に会はお開きになった。
例年ジャパンカップやさいたまクリテリウムにやってくるバーレーンといえば、落ち着いた雰囲気がチームカラーだと思っていた。しかし今回は若手中心(+寺田効果)だからか、底抜けに明るく、良い意味で印象を裏切られた。そして最後にマルティネスは、「来年もここに来て走りたい」と語ってくれた。
text&photo:Sotaro.Arakawa
会場となったのは、選手たちが宿泊するホテルから5kmほど離れた寿司屋さん。主催するメリダ・ジャパンが「選手たちにぜひ日本食を堪能してほしい」という気持ちから、毎年恒例となっている場所だ。

改めてメンバーを紹介すると、まずは残り3周から古賀志林道の登りでアタックし、最終周回に独走態勢を築き優勝したレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)。チームで唯一メリダの新型REACTO(まだ情報公開もされていない新型エアロロード)に乗り、勝利した22歳はこの日の主役であったものの、部屋の隅でチームメイトの話を聞きながら静かに食事を進めていた。
そしてこの日のマスター・オブ・セレモニー(司会役)を務め、祝賀会をぶん回していたのは下部チームに所属し、今回が初のトップチーム合流だった23歳の寺田吉騎。続々と運ばれてくる日本食の解説をし、空いたグラスにドリンクを注ぎ、選手たちに積極的に話しかける。その対象は選手たちだけでなく、隣のテーブルで静かに食事を進める監督やスタッフたちのところにも出向き、笑いをさらって戻ってきた。



そして寺田と共に、終始ふざけ合っていたのがアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル)だ。レースでは34位と上位に絡めなかったものの、先月行われたルワンダでのロード世界選手権では、過酷なコース&展開にもかかわらず9位入賞を果たした、チーム最注目の若手選手。前日に初めて食べ、いたく気に入ったというエビの天ぷらが出てくると、1人で5本(6本?)を平らげ、追加でやってきたゲソの天ぷらにもご満悦。美味しそうにほうばるエウラリオに、寺田は「天ぷらはポルトガルからやってきた」と何度も説明するも、最後まで信じてもらえなかった。
寺田が表のMCならば、裏回し的にチームメイトたちに話題を振り、仕切っていたのがチーム最年長30歳のトースタイン・トレーエンだ。今年のブエルタ・ア・エスパーニャでは4日間にわたりマイヨロホを着用し、総合9位に入ったノルウェー出身のクライマー。祖母が日本人であり、メリダ・ジャパンから贈られた手ぬぐいに描かれた日本地図を見て、祖母の故郷である愛媛県松山を指し示すなどメディア対応も完璧だった。



クリテリウムでは3位に入り、強豪スプリンター相手にも勝負できるスピードを見せたフラット・ファンミヘレン(ベルギー)は今回のチーム最年少の21歳。向かいに座るエウラリオとは対照的に静かにも、負けないくらい寿司や天ぷらをほうばる。
そして筆者の隣で長い時間語り合ったのが28歳のライナー・ケップリンガー(オーストリア)だ。「好青年」を絵に描いたような真面目キャラで、オフシーズンの予定と聞くと目を細めて「とにかく母国でゆっくりしたい」と笑う。その理由を聞くと「シーズン中はレースや合宿で家に帰れない日々が続くから、オフぐらいは家族や友人とゆっくりしたい」のだとか。また国土の約60%がアルプス山脈のオーストリアは、クライマー寄りのパンチャーであるケップリンガーには最高の練習環境だとも語ってくれた。
そして筆者が個人的に嬉しかったのは、監督であるミカル・ゴラス(ポーランド)と話せたこと。オメガファルマ・クイックステップ(現スーダル・クイックステップ)やチームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)で活躍したクラシックレーサーで、クリストファー・フルーム(イギリス、現イスラエル・プレミアテック)が2015年にツール・ド・フランスで総合優勝した時のメンバー。引退すると身体が一回り大きくなる元選手たちもいるなか、現役時代と見紛うシェイプされた肉体が印象的だった。




そして最後に、選手とスタッフ、メリダ・ジャパンのスタッフも交えて記念撮影。選手とゴラス監督がそれぞれの母国語でスピーチを行い、あっという間に会はお開きになった。
例年ジャパンカップやさいたまクリテリウムにやってくるバーレーンといえば、落ち着いた雰囲気がチームカラーだと思っていた。しかし今回は若手中心(+寺田効果)だからか、底抜けに明るく、良い意味で印象を裏切られた。そして最後にマルティネスは、「来年もここに来て走りたい」と語ってくれた。
text&photo:Sotaro.Arakawa
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