XDSアスタナがニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン)との契約更新を発表した。ヴィノクロフは昨年のツアー・オブ・ジャパンで区間優勝し、直近のツール・ド・九州にも出場。2年連続でブエルタ・ア・エスパーニャに出場した23歳だ。



ツアー・オブ・ジャパン2024で勝利したニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン) photo:Satoru Kato

「引き続きXDSアスタナのチームカラーを背負えることを誇りに思う。今年は自分にとって大きな前進の年になり、その結果が次の成長へのモチベーションになっている。ツアー・オブ・オーストリアでの山岳賞獲得は重要な節目となった。今後2シーズンの目標は勝利を挙げることで、プロの舞台で勝利を掴めると確信している。ツール・ド・九州で今季を締めくくったが、すでに来シーズンが待ち切れない」と、ヴィノクロフは契約更新の喜びと来季への意欲を語った。契約は2027年末までの2年間。

ロンドン五輪での金メダル獲得やツール・ド・フランスでの区間優勝など、かつてカザフスタン屈指の選手で、現在はチームのGMを務めるアレクサンドルを父に持つニコラス。下部チームから2024年に昇格。同年のツアー・オブ・ジャパン第5ステージ(信州飯田)では自ら集団の人数を絞り、区間優勝を飾った。

プロ2年目のシーズンを終えたニコラス・ヴィノクロフ photo:Satoru Kato

直後に母国カザフスタンで行われたアジア選手権ではU23個人タイムトライアルで優勝し、ブエルタ・ア・エスパーニャにも初出場。2025年は得意とする逃げからツアー・オブ・オーストリア(UCI2.1)で山岳賞を獲得し、2年連続となるブエルタでも何度も逃げに乗る積極的な走りが光った。

息子であるニコラスの契約延長について、父アレクサンドルGMは「ニコラスは今季、大きな成長を遂げた。さらに強くなるためにはまだ多くの努力が必要だが、現時点で彼はプロトンの中でも最高のカザフスタン人選手の1人。これから2シーズンはもう一段階上のレベルへ進むため、重要な期間になるだろう」とコメントした。

一方、ニコラスの双子の兄弟であり、下部チームに所属していたアレクサンドルは、ツール・ド・ランカウイをもって現役を引退。今年3月の練習中の落車で大腿骨を骨折し、9月に実戦復帰していた。「落車から7ヶ月間、痛みと恐怖を抱えながら練習とレースを続けてきた。誰かに強制されたわけではなく、自分自身で『簡単に諦めない』と証明したかった。最後は良い形で終え、チームのためにもう一度すべてを捧げたかった」とSNSに綴り、キャリアに区切りをつけた。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Satoru Kato