ロードではプロ通算90勝を誇り、トラックでもリオ五輪で金メダルに輝いたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット)が引退を発表した。ロードは10月15日のジロ・デル・ヴェネトで終わり、10月22日からのトラック世界選手権で現役生活に終止符を打つ。



今年5月のツアー・オブ・ターキーで復活勝利を挙げたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット) photo:CorVos

「何かを証明したくスタートさせた最後のシーズン。ここ数ヶ月、多くの人から『そろそろ引退か?』と聞かれたが、いつ引退するかは自分で決めたかった。ロットが合併することになり*、それで今年を最後にしようと決心した」と、ヴィヴィアーニは引退を決断した理由を説明する。

*アンテルマルシェ・ワンティとの合併が報じられているが、正式決定はされていない。

「まだ自分が高いレベルにいることは分かっており、だからこそ(トラック)世界選手権で現役を終えたい。もしかしたら、アルカンシエルを掴みに行くかもしれない。いままで自然にできていたことが、いまは完璧に準備しないとできなくなった。そう感じたときが『手放すべきとき』だと思った」。

ヴィヴィアーニは2011年にリクイガス・キャノンデールでプロデビューした36歳のスプリンター。チームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)を経て、2018年にクイックステップフロアーズ(現スーダル・クイックステップ)に移籍すると、在籍した2年間でツール・ド・フランスを含む29勝を飾り、3つのグランツールすべてで区間優勝を達成。さらにロードのヨーロッパ王者に輝くなど、キャリアハイの活躍を見せた。

2019年にはヨーロッパ王者にも輝いたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア) photo:Kei Tsuji

しかし2020年にコフィディスに移籍すると成績は低迷。古巣イネオスに戻っても復調はできず、2025年2月に途中加入したロットでは5月のツアー・オブ・ターキーで復活勝利を挙げ、プロ通算90勝目に到達。その後に出場したブエルタ・ア・エスパーニャを含め、UCIレースでの勝利はなかった。

またヴィヴィアーニはトラックの中距離種目でも活躍し、2016年のリオデジャネイロ五輪ではオムニアム金、東京五輪では銅、パリ五輪ではマディソン銀を獲得。2021年のトラック世界選手権ではエリミネーションで優勝し、アルカンシエルに袖を通した。

「これまでのキャリアには本当に満足しており、自転車競技は僕に生き方を教えてくれた。この競技のおかげで世界中を見て回り、喜びと規律、そして生きる目的を与えてくれた」とヴィヴィアーニは語る。現役最後の舞台は、チリのサンティアゴで10月22日に開幕するトラック世界選手権となり、その前に、10月15日に行われるジロ・デル・ヴェネト(UCI1.Pro)でロードの最終レースを迎える。

「このレースのフィニッシュ地点がヴェローナに設定されたと聞いて、『最後のロードレースにピッタリだ』と思った。地元ヴェネトでファンや友人、家族に囲まれて走る。最高の締めくくりになるだろう」と意気込みを語った。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos