UCI1.2クラスのロードレース「おおいたアーバンクラシック」は、終盤に形成された4名の先頭集団から抜け出したエリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)が最終周回を独走で逃げ切って優勝した。僅差の2位争いをネイサン・アール(キナンレーシングチーム)が制し、3位に入部正太朗(シマノレーシング)が入った。



スパークルおおいたレーシングチームを先頭にパレードスタート photo:Satoru Kato

OITAサイクルフェス2日目は、150.8kmのロードレース「おおいたアーバンクラシック」。大分市の中心街の東に位置する大分スポーツ公園をスタート・フィニッシュ地点とし、周辺の公道に設定された1周11.6kmの周回コースを13周回するレースが行われた。

クラサスドーム大分のある大分スポーツ公園 photo:Satoru Kato

9月上旬の暑さの中でも色つき始めた並木道を集団が抜けて行く photo:Satoru Kato

丘陵地帯の細かなアップダウンが繰り返され、住宅街を抜けるセクションではクリテリウムのような直角コーナーが連続する区間もあるため、必ずしも大集団が有利ではないコースレイアウト。「小集団で先行する方が消耗が少なく有利」と言われる。

住宅街の中にあるアーチをくぐる集団 photo:Satoru Kato

前日までの曇り予報をくつがえし、朝から晴れて日中の最高気温は30℃を記録。湿度の高い空気と相まって10月とは思えない暑さの中でのレースとなった。

レース中盤から先行した3名の先頭集団 photo:Satoru Kato

リアルスタート直後からペースが上がり、集団先頭では抜け出しを試みる動きが繰り返される。4周目にはこの日最速となる15分10秒台のラップタイムを記録。後方では早くも遅れる選手が目立ち始め、集団の人数が徐々に絞られていく。

レース前半から後半に差し掛かる6周目、アンドレアス・ミルティアディス(ルージャイ・インシュアランス)、ネイサン・アール(キナンレーシングチーム)、入部正太朗(シマノレーシング)ら3名が先頭集団を形成し、30秒前後の差をつける。

メイン集団はヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリングが牽引。その直後には先頭集団にメンバーを乗せるチームが続く photo:Satoru Kato

9周目、先頭集団後方にメイン集団が見える位置に photo:Satoru Kato

ここまでハイペースで周回していた集団は16分台までペースが落ちるも、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリングが集団を牽引して先頭集団との差を維持。レース終盤の9周目に入ると20秒差まで縮め、長い直線でお互いの姿をはっきり確認できる距離となる。

残り3周、エリオット・シュルツらが合流して4名に再構成された先頭集団 photo:Satoru Kato

レース終盤、増田成幸(TEAM UKYO)がメイン集団先頭に出てペースアップを図る photo:Satoru Kato

後続集団は追走の足並みが揃わない photo:Satoru Kato

11周目、先頭集団とメイン集団の距離が縮まったところで、エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)と、ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュアランス)の2名が先頭集団に合流。入れ替わりでミルティアディスが遅れ、4名の先頭集団が再構成される。

これをきっかけにメイン集団との差は再び拡大。チーム右京など先頭集団にメンバーを送り込めなかったチームがペースアップを図るも、30名弱まで人数が減った集団は追走の足並みが揃わず、先行する4名との差は1分差まで開く。その後も差が縮まることはなく、勝負は4名に絞られた。

最終周回目前、アタックするエリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

最終周回 独走するエリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

最終周回の13周目に入る直前、コントロールラインに続く登りでシュルツがアタック。入部が「2位狙いだと思った」と振り返るほど強烈な加速でみるみる差を広げ、他の3名の姿はあっという間に見えなくなった。

シュルツは独走のまま最後まで逃げ切り、歓喜のガッツポーズと共にフィニッシュラインを越えた。

エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)が優勝 photo:Satoru Kato

表彰式 左から2位ネイサン・アール、優勝エリオット・シュルツ、3位入部正太朗 photo:Satoru Kato

優勝 エリオット・シュルツ コメント
「クレイジーな暑さでハードなレースだった。残り70kmあたりで今日は完走出来ないのではと思ったほどだった。でも終盤ディラン・ホプキンスと共に先頭集団に追いつけだので、これなら行けると思った。ここで全力を出せばフィニッシュまでたどり着けると思い、残り1周で勝負に出た。勝てたのが信じられないくらいだけれど、チームに貢献出来たことは嬉しいし満足している。サポートしてくれたチームと家族に感謝したい」
(LIVE中継コメント要約)

2位争いは僅差でネイサン・アール(キナンレーシングチーム)が先着 photo:Satoru Kato

3位+アジア最優秀賞 入部正太朗 コメント
「レース中盤まで集団にいて思ったより負荷がかかってると感じ、このままではバテると思ったので逃げた方が良いと考えた。序盤にやろうかとも考えたがチームメイトがアタック合戦に対応してくれていて、僕の行くタイミングで逃げが決まった。残り周回がまだあって30秒くらいまでしか差が開かなかったので、最後まで行くのは難しいとは思っていたが、後から小集団が合流してくるのを期待していた。

そこへエリオット(・シュルツ)らがすごい勢いで合流してきた。脚は削られていたけれど、エリオットらの踏み方を見ていたらこは決まる勢いがあったので、ここが粘りどころだと感じて最後まで耐えた。最後のエリオットのアタックは到底反応できるレベルではなかった。

3位の入部正太朗(シマノレーシング)がアジア最優秀賞 photo:Satoru Kato

UCIレースでの表彰台は本当に久々で嬉しい。もちろん1位、2位の方が嬉しいけれど、今日は力負けしているのでこの結果には満足している。このあとツール・ド・九州に出場するが、今日のレースで調子が悪く無いことはわかったので、UCI1クラスのレースでチームとしてポイントを獲得出来るようにしたい」
おおいたアーバンクラシック 結果(150.8km)
1位 エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島,オーストラリア) 3時間23分1秒
2位 ネイサン・アール(キナンレーシングチーム,オーストラリア) +29秒
3位 入部 正太朗(シマノレーシング)
4位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア) +41秒
5位 ユン・ジェビン(ソウル・サイクリングチーム、韓国)
6位 ルーベン アコスタ(宇都宮ブリッツェン,コロンビア) +43秒
7位 新城 雄大(キナンレーシングチーム)
8位 レオネル キンテロ(ヴィクトワール広島,ベネズエラ) +51秒
9位 ベンジャミ プラデス(VC福岡,スペイン)
10位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
アジア最優秀選手賞 入部正太朗(シマノレーシング)
U23最優秀選手賞 ジェラルド・レデズマ(VC福岡,スペイン)


text&photo:Satoru Kato