震災から復興する福島を走って感じるイベント「ツール・ド・ふくしま」。2年目を迎えた大会のサイクリング部門はコースを刷新、より魅力を増して生まれ変わった。なかでも走りやすさと海の景色の良さで人気の「いわき浜海道ライド70」を走った。

日向涼子さん、愛あむさん、annnaさん、けんたさんと参加者皆でシュプレヒコール photo:Makoto AYANO
9月6日から2日間にわたり開催されたツール・ド・ふくしま。日曜のレース(グランフォンド)部門では熱戦が繰り広げられたが、その前日の土曜には約600名規模のサイクリング部門が開催された。
サイクリング部門のコースは4つある。前記事では最長距離のふくしま復興ライド120実走レポートをお届けしたが、今回はそれに次ぐ70kmを走る「いわき浜海道ライド70」をCW編集部・綾野が実走してレポートしよう。

ブースで賑わう天神岬スポーツ公園 
グリコのポーズを決めてくれたパワープロダクションの皆さん
実は昨年の第1回大会でもこのコースに参加したが、日曜のレースの取材打ち合わせのため途中で切り上げて帰った経緯があるが、今回は全行程を走る時間を確保できた。もっとも昨年は雨だったので、晴れた今大会の走り直しは嬉しい限り。

日向涼子さん、愛あむさんといわき浜海道ライド70をスタート! photo:Makoto AYANO
スタートは120kmコースを見送ってからの朝8時半。レースと同じ「天神岬スポーツ公園」から走り出す。大会ゲストライダーはモデル&サイクリストの日向涼子さんとユーチューバーの愛あむさんだ。

小高い丘の公園から走り出していく 
復興を感じる新興住宅街を走り抜ける
高台の公園から走り出した一行は、楢葉町の復興の進んだ象徴的なエリアである新興住宅地を通り、緑深い山の中へと入っていく。
前半パートは山深い道

ルートは山の中のアップダウンへと向う photo:Makoto AYANO
直線的で緩いアップダウンの道が続く。先導ライダーの牽きで適度なスピードを保ちながら走るが、真っ直ぐで単調な上り下りが繰り返す。勾配は緩やかでキツくはないので、淡々と走る。展望はあまり効かず、森のなかの緑深い道が続く。

第1エイドが近づくと景色が拓けた photo:Makoto AYANO

颯爽と坂を登る日向涼子さん photo:Makoto AYANO
視界が広く開けた田園地帯に出ると最初のエイドに到着。淡々と走っていたら先頭グループになっていたので後続を待っていると、さっそくカッコイイ走りで日向涼子さんがやってきた。ここからご一緒に走ることに。

第1エイドはスポーツドリンクを提供。到着した日向涼子さんと
長かった山を抜けて平坦に出たら、トマトのテーマパーク「ワンダーファーム」エイドに到着。トマト農園が観光客用に公開してくれている公園で、トマト狩りやBBQ、キャンプ、ドッグランなどアトラクションも色々楽しめるようだ。ちなみに「トマトの聖地」と呼ばれているらしい。

「ワンダーファーム」はトマトのテーマパークだ 
併設の売店にはトマトのドリンクやスウィーツなどがたくさん

トマトのテーマパーク「ワンダーファーム」のトマトのオブジェ photo:Makoto AYANO
でっかいトマトのオブジェを見つけ、皆で記念撮影。エイドでは採れたてプチトマトや珍しいトマトのフライ(!)などを提供していただく。トマトの美味しさに感動して、夢中でパクパク食べてしまった。売店で無添加トマトジュースを買ってゴクゴク飲む人も。

エイドでは採れたてプチトマトが提供された 
トマトのフライはトマトケチャップをつけていただきます
だんだんと海が近づいてきて、潮の香りが漂ってくる。次なるエイドはプール&温泉ホテルで有名な「いわき新舞子ハイツ」だ。ここはサイクルステーションとしてeBikeなど各種レンタサイクルも揃い、サイクルツーリングの拠点になる「自転車と泊まれる宿」としてオススメとのこと。

プール&温泉ホテルで有名な「いわき新舞子ハイツ」エイド 
エアコンの効いた休憩室で昼食がとれるのは嬉しい
そしてここで出されたエイド食は、なんと海鮮丼! しかも簡素なものでなく、ちゃんと豪華な海鮮丼が出るサイクリングイベントって! 驚きつつも、あおさの味噌汁と一緒に美味しくいただきました。やっぱり浜通りといえば海鮮が有名だけに、このおもてなしは嬉しい。

こんな立派な海鮮丼がエイドで提供されました photo:Makoto AYANO
後半パートは海の道 爽快なシーサイドロードへ

「いわき七浜街道」シーサイドロードのハイライトへ 
迷いやすいポイントにもルート表示看板があった
お昼をいただいて再出発すると、すぐに海沿いのサイクリングロードへと入る。自転車のための贅沢なシーサイドロードが延々と続いている! 天気がいいと、海を見ながら走る気持ち良さったらない。

海を見ながら走れるサイクリングロードへ photo:Makoto AYANO
この「いわき七浜街道」シーサイドロードを含むルートは、福島県が「ふくしま浜通りサイクルルート」として整備を進めているコースのひとつで、国指定の「ナショナルサイクルルート」指定に向けて整備が進んでいるとのことで、NCR選定が待たれるところ。

ナショナルサイクルルートの候補にもなっているいわき市の浜辺を行くシーサイドロード photo:ツール・ド・ふくしま

天気の良さに海の青さが眩しい photo:Makoto AYANO
幹線道路などのキーになるポイントにはサイクルルート看板もあり、次のスポットやサポート施設の情報も明示されていて、NCRの資格は揃ってきているように思えた。

サイクルルートを示す看板が整備されていた photo:Makoto AYANO
シーサイドのサイクリングロードの先の49km地点には「道の駅よつくら港」エイドがあった。ここでは小名浜名産の煎餅「たこせん・かつおせん」、チーズ入りの和菓子がいただけた。

49km地点の「道の駅よつくら港」がエイド

チーズを使った和菓子が美味しかった 
小名浜名産の煎餅「たこせんべい」「かつおせんべい」
この地点でフィニッシュまで残り20kmほど。この辺りからは国道6号線を細いローカル道でパスするようにして走り続ける。くねくね道、トンネルありのアドベンチャー気分が楽しめる。

海沿いのローカル道へと向かう photo:Makoto AYANO
海沿いにJR常磐線が走っていると思ったら、海へ向かう崖に踏切があった。踏切を渡った先は崖。道路が途切れているのに踏切があるように見えるので、ちょっとしたインスタ映えスポットになっている。

踏切の向こうは海、という不思議な光景 photo:Makoto AYANO

幹線道路を避けてちょっとワイルドなローカル道を走る photo:Makoto AYANO
ふたたび浜街道に合流したら、残りは10km少々。原発事故当時に復興の最前線基地となったサッカーの聖地「Jヴィレッジ」前を通過して、一直線に開けた浜街道を駆け下る。

一直線に開けた浜街道を駆け下る photo:Makoto AYANO

レースと同じラストスパートの坂を駆け登る! photo:Makoto AYANO
天神岬スポーツ公園への最後の登り坂はレースでも使われるラストスパートの坂。ここで力を振り絞って登り切った先には、北田天満宮の大鳥居が出迎えてくれる。

フィニッシュでは北田天満宮の大鳥居が出迎えてくれる photo:Makoto AYANO

フィニッシュ。ちょうど良い距離と美味しいエイドでした photo:Ryoko Hinata
実測で約75kmは走りごたえあるちょうど良い距離だった。14時過ぎにフィニッシュして、まずは参加者に無料開放されている「天神岬温泉 しおかぜ荘」へ。汗を流し、海へ向けてパノラマの広がる展望露天風呂に浸かれば気分は最高。まだ太陽が高い時間に青い海を眺めながら入る温泉がこれほど気持ち良いとは!

フィニッシュエイドでは名物の「マミーすいとん」をいただきました 
サイクリングターミナル「天神岬温泉しおかぜ荘」は旅の拠点にもなる
風呂上がりにはメイン会場のブース巡りが楽しめる。ちょうどレース部門の選手たちが受付に続々とやってくるタイミングで、弾む話も楽しいもの。
翌日曜はレース部門が朝から開催される他、サイクリング部門の「ならはホープライド40」も開催されるため、ダブルヘッダーでサイクリング部門を楽しむという人も結構多い。そのための短め距離になっているし、走り終わった頃にちょうどレース部門のフィニッシュを応援できるというわけだ。家族や友人がレースに出る間、サイクリングを楽しむのもありだ。
text&photo:Makoto AYANO

9月6日から2日間にわたり開催されたツール・ド・ふくしま。日曜のレース(グランフォンド)部門では熱戦が繰り広げられたが、その前日の土曜には約600名規模のサイクリング部門が開催された。
サイクリング部門のコースは4つある。前記事では最長距離のふくしま復興ライド120実走レポートをお届けしたが、今回はそれに次ぐ70kmを走る「いわき浜海道ライド70」をCW編集部・綾野が実走してレポートしよう。


実は昨年の第1回大会でもこのコースに参加したが、日曜のレースの取材打ち合わせのため途中で切り上げて帰った経緯があるが、今回は全行程を走る時間を確保できた。もっとも昨年は雨だったので、晴れた今大会の走り直しは嬉しい限り。

スタートは120kmコースを見送ってからの朝8時半。レースと同じ「天神岬スポーツ公園」から走り出す。大会ゲストライダーはモデル&サイクリストの日向涼子さんとユーチューバーの愛あむさんだ。


高台の公園から走り出した一行は、楢葉町の復興の進んだ象徴的なエリアである新興住宅地を通り、緑深い山の中へと入っていく。
前半パートは山深い道

直線的で緩いアップダウンの道が続く。先導ライダーの牽きで適度なスピードを保ちながら走るが、真っ直ぐで単調な上り下りが繰り返す。勾配は緩やかでキツくはないので、淡々と走る。展望はあまり効かず、森のなかの緑深い道が続く。


視界が広く開けた田園地帯に出ると最初のエイドに到着。淡々と走っていたら先頭グループになっていたので後続を待っていると、さっそくカッコイイ走りで日向涼子さんがやってきた。ここからご一緒に走ることに。

長かった山を抜けて平坦に出たら、トマトのテーマパーク「ワンダーファーム」エイドに到着。トマト農園が観光客用に公開してくれている公園で、トマト狩りやBBQ、キャンプ、ドッグランなどアトラクションも色々楽しめるようだ。ちなみに「トマトの聖地」と呼ばれているらしい。



でっかいトマトのオブジェを見つけ、皆で記念撮影。エイドでは採れたてプチトマトや珍しいトマトのフライ(!)などを提供していただく。トマトの美味しさに感動して、夢中でパクパク食べてしまった。売店で無添加トマトジュースを買ってゴクゴク飲む人も。


だんだんと海が近づいてきて、潮の香りが漂ってくる。次なるエイドはプール&温泉ホテルで有名な「いわき新舞子ハイツ」だ。ここはサイクルステーションとしてeBikeなど各種レンタサイクルも揃い、サイクルツーリングの拠点になる「自転車と泊まれる宿」としてオススメとのこと。


そしてここで出されたエイド食は、なんと海鮮丼! しかも簡素なものでなく、ちゃんと豪華な海鮮丼が出るサイクリングイベントって! 驚きつつも、あおさの味噌汁と一緒に美味しくいただきました。やっぱり浜通りといえば海鮮が有名だけに、このおもてなしは嬉しい。

後半パートは海の道 爽快なシーサイドロードへ


お昼をいただいて再出発すると、すぐに海沿いのサイクリングロードへと入る。自転車のための贅沢なシーサイドロードが延々と続いている! 天気がいいと、海を見ながら走る気持ち良さったらない。

この「いわき七浜街道」シーサイドロードを含むルートは、福島県が「ふくしま浜通りサイクルルート」として整備を進めているコースのひとつで、国指定の「ナショナルサイクルルート」指定に向けて整備が進んでいるとのことで、NCR選定が待たれるところ。


幹線道路などのキーになるポイントにはサイクルルート看板もあり、次のスポットやサポート施設の情報も明示されていて、NCRの資格は揃ってきているように思えた。

シーサイドのサイクリングロードの先の49km地点には「道の駅よつくら港」エイドがあった。ここでは小名浜名産の煎餅「たこせん・かつおせん」、チーズ入りの和菓子がいただけた。



この地点でフィニッシュまで残り20kmほど。この辺りからは国道6号線を細いローカル道でパスするようにして走り続ける。くねくね道、トンネルありのアドベンチャー気分が楽しめる。

海沿いにJR常磐線が走っていると思ったら、海へ向かう崖に踏切があった。踏切を渡った先は崖。道路が途切れているのに踏切があるように見えるので、ちょっとしたインスタ映えスポットになっている。


ふたたび浜街道に合流したら、残りは10km少々。原発事故当時に復興の最前線基地となったサッカーの聖地「Jヴィレッジ」前を通過して、一直線に開けた浜街道を駆け下る。


天神岬スポーツ公園への最後の登り坂はレースでも使われるラストスパートの坂。ここで力を振り絞って登り切った先には、北田天満宮の大鳥居が出迎えてくれる。


実測で約75kmは走りごたえあるちょうど良い距離だった。14時過ぎにフィニッシュして、まずは参加者に無料開放されている「天神岬温泉 しおかぜ荘」へ。汗を流し、海へ向けてパノラマの広がる展望露天風呂に浸かれば気分は最高。まだ太陽が高い時間に青い海を眺めながら入る温泉がこれほど気持ち良いとは!


風呂上がりにはメイン会場のブース巡りが楽しめる。ちょうどレース部門の選手たちが受付に続々とやってくるタイミングで、弾む話も楽しいもの。
翌日曜はレース部門が朝から開催される他、サイクリング部門の「ならはホープライド40」も開催されるため、ダブルヘッダーでサイクリング部門を楽しむという人も結構多い。そのための短め距離になっているし、走り終わった頃にちょうどレース部門のフィニッシュを応援できるというわけだ。家族や友人がレースに出る間、サイクリングを楽しむのもありだ。
text&photo:Makoto AYANO
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