終盤に石畳の急坂が登場したロード世界選手権個人タイムトライアルの男子エリート。レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が序盤から飛ばし、史上3人目となる3連覇を決めた。エヴェネプールに終盤追い抜かれたポガチャルは4位と表彰台に届かなかった。

ルワンダのキガリにあるBKアリーナがスタート地点となった photo:UCI

ロード世界選手権2025 男子エリート個人タイムトライアルコースプロフィール image:UCI
9月21日、史上初めてアフリカ大陸で行われるロード世界選手権が開幕した。その舞台は毎年2〜3月にツール・ド・ルワンダ(UCI2.1)が行われることでお馴染みでもある、東アフリカの小国ルワンダの首都キガリ。初日は男子エリートの世界一を決める個人タイムトライアルが実施された。
コースはキガリに設定された40.6km。序盤にニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)を駆け上がり、下ってから再びニャンザ峠を反対側(距離6.6km/平均3.5%)から登坂。その後は次なる登りに向けて8.7kmのダウンヒル、そしてペアージュ峠(距離2.0km/平均6.0%)を経て、石畳坂のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)を駆け上がる。ほとんど平地がないため、登りもこなせる体重の軽いTTスペシャリストに有利なレイアウトだ。
各国から集った54名が出場したレースは、母国ルワンダのTT王者であるシェム・ンセンギユムヴァが最終的に25位と好走を見せた。その後、イラン・ファンウィルデル(ベルギー)が52分22秒の暫定トップタイムでフィニッシュ。21歳ながらエリートカテゴリーに初挑戦したイサーク・デルトロ(メキシコ)は、ダークホースに挙げられた期待に応え、ファンウィルデルから4秒遅れ。最終的にデルトロは5位に入り、男子エリートのロードレースに向けて弾みをつけた。

母国ルワンダのTT王者として出場したシェム・ンセンギユムヴァ photo:UCI

暫定トップタイムを叩き出したイラン・ファンウィルデル(ベルギー) photo:CorVos

暫定トップに1分以上の差をつけ、フィニッシュしたジェイ・ヴァイン(オーストラリア) photo:UCI
続いて優勝候補の1人であり、直近のブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝と山岳賞を獲得するなど好調なジェイ・ヴァイン(オーストラリア)がスタート。第1中間計測(10.6km)こそ暫定トップタイムのデルトロより2秒遅れで通過したものの、第2(24km)、第3(31.6km)で暫定トップで通過。石畳も軽快なペースで飛ばし、ファンウィルデルのタイムを1分22秒も更新した。
そして最後から2番目に、この日が27歳の誕生日であるタデイ・ポガチャル(スロベニア)が走り出した。第1計測はトップタイムからわずか1秒遅れで通過したが、第2計測では25秒遅れとタイムを落とす。「カナダ(GPケベック&GPモンレアル)の前に体調を崩し、TTでの大事な練習ができなかった」とレース後に不調の要因を語ったポガチャルは、終盤に入ってもスピードが上がらなかった。

ペースが上がらなかったタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:UCI

スタートから驚異的なペースで進むレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos

石畳坂でポガチャルを追い抜いていったレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:UCI
そして2023年の初優勝から2年連続でアルカンシエルを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー)がスタート。1度目のニャンザ峠の手前に設定された第1計測でエヴェネプールは、トップタイムを44秒更新するハイスピードで入る。反対側から登るニャンザ峠頂上の第2計測では1分17秒上回り、第3計測ではそのリードを1分24秒まで拡大する快走を見せつけた。
ラスト2.4kmから始まるミュール・ド・キガリの石畳坂では、2分30秒先にスタートしたポガチャルの姿を捉え、軽々と追い抜く。最後の平坦路でも一切身体を揺らすことなく、左手で3連覇を表す3本指を立て、50分を切る49分46秒のトップタイムでフィニッシュした。

左手で3連覇を表しながらフィニッシュしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos
2位のヴァインに1分14秒差をつけ、圧巻の走りで優勝したエヴェネプール。「最初からかなり調子の良さを感じていた。序盤の平坦区間で脚がよく回り、限界を超えないよう自分のペースを維持できた。最後の石畳区間は本当にきつく、力を出し切るのに苦労した。今日は素晴らしい一日となり、自分が成し遂げたことを誇りに思う」と喜び、TTでは3度目となるアルカンシエルに袖を通した。
ロード世界選手権での個人TT3連覇は、2003〜05年のマイケル・ロジャース(オーストラリア)、2011〜13年のトニー・マルティン(ドイツ)に続く史上3人目の快挙。モントリオールで行われる来年、史上初の4連覇にも期待がかかる。
2位にはヴァイン、3位にはエヴェネプールと同じスーダル・クイックステップ所属のベルギー人であるファンウィルデルが入った。エヴェネプールに抜かれ、最後にフィニッシュしたポガチャルは1秒差で表彰台を逃す4位。「もちろんレムコ(エヴェネプール)に追いつかれてしまい残念だが、この種目における彼の強さは驚異的。脱帽だ」とポガチャルはライバルを称え、「これからあと2回、ハードなトレーニングをこなせば日曜日(のロードレース)への準備は万端だ」と意気込みを語った。

ロード世界選手権2025 男子エリートタイムトライアル表彰台:2位ヴァイン、1位エヴェネプール、3位ファンウィルデル photo:UCI


9月21日、史上初めてアフリカ大陸で行われるロード世界選手権が開幕した。その舞台は毎年2〜3月にツール・ド・ルワンダ(UCI2.1)が行われることでお馴染みでもある、東アフリカの小国ルワンダの首都キガリ。初日は男子エリートの世界一を決める個人タイムトライアルが実施された。
コースはキガリに設定された40.6km。序盤にニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)を駆け上がり、下ってから再びニャンザ峠を反対側(距離6.6km/平均3.5%)から登坂。その後は次なる登りに向けて8.7kmのダウンヒル、そしてペアージュ峠(距離2.0km/平均6.0%)を経て、石畳坂のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)を駆け上がる。ほとんど平地がないため、登りもこなせる体重の軽いTTスペシャリストに有利なレイアウトだ。
各国から集った54名が出場したレースは、母国ルワンダのTT王者であるシェム・ンセンギユムヴァが最終的に25位と好走を見せた。その後、イラン・ファンウィルデル(ベルギー)が52分22秒の暫定トップタイムでフィニッシュ。21歳ながらエリートカテゴリーに初挑戦したイサーク・デルトロ(メキシコ)は、ダークホースに挙げられた期待に応え、ファンウィルデルから4秒遅れ。最終的にデルトロは5位に入り、男子エリートのロードレースに向けて弾みをつけた。



続いて優勝候補の1人であり、直近のブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝と山岳賞を獲得するなど好調なジェイ・ヴァイン(オーストラリア)がスタート。第1中間計測(10.6km)こそ暫定トップタイムのデルトロより2秒遅れで通過したものの、第2(24km)、第3(31.6km)で暫定トップで通過。石畳も軽快なペースで飛ばし、ファンウィルデルのタイムを1分22秒も更新した。
そして最後から2番目に、この日が27歳の誕生日であるタデイ・ポガチャル(スロベニア)が走り出した。第1計測はトップタイムからわずか1秒遅れで通過したが、第2計測では25秒遅れとタイムを落とす。「カナダ(GPケベック&GPモンレアル)の前に体調を崩し、TTでの大事な練習ができなかった」とレース後に不調の要因を語ったポガチャルは、終盤に入ってもスピードが上がらなかった。



そして2023年の初優勝から2年連続でアルカンシエルを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー)がスタート。1度目のニャンザ峠の手前に設定された第1計測でエヴェネプールは、トップタイムを44秒更新するハイスピードで入る。反対側から登るニャンザ峠頂上の第2計測では1分17秒上回り、第3計測ではそのリードを1分24秒まで拡大する快走を見せつけた。
ラスト2.4kmから始まるミュール・ド・キガリの石畳坂では、2分30秒先にスタートしたポガチャルの姿を捉え、軽々と追い抜く。最後の平坦路でも一切身体を揺らすことなく、左手で3連覇を表す3本指を立て、50分を切る49分46秒のトップタイムでフィニッシュした。

2位のヴァインに1分14秒差をつけ、圧巻の走りで優勝したエヴェネプール。「最初からかなり調子の良さを感じていた。序盤の平坦区間で脚がよく回り、限界を超えないよう自分のペースを維持できた。最後の石畳区間は本当にきつく、力を出し切るのに苦労した。今日は素晴らしい一日となり、自分が成し遂げたことを誇りに思う」と喜び、TTでは3度目となるアルカンシエルに袖を通した。
ロード世界選手権での個人TT3連覇は、2003〜05年のマイケル・ロジャース(オーストラリア)、2011〜13年のトニー・マルティン(ドイツ)に続く史上3人目の快挙。モントリオールで行われる来年、史上初の4連覇にも期待がかかる。
2位にはヴァイン、3位にはエヴェネプールと同じスーダル・クイックステップ所属のベルギー人であるファンウィルデルが入った。エヴェネプールに抜かれ、最後にフィニッシュしたポガチャルは1秒差で表彰台を逃す4位。「もちろんレムコ(エヴェネプール)に追いつかれてしまい残念だが、この種目における彼の強さは驚異的。脱帽だ」とポガチャルはライバルを称え、「これからあと2回、ハードなトレーニングをこなせば日曜日(のロードレース)への準備は万端だ」と意気込みを語った。

ロード世界選手権2025 男子エリートタイムトライアル結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) | 49:46 |
2位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア) | +1:14 |
3位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー) | +2:36 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) | +2:37 |
5位 | イサーク・デルトロ(メキシコ) | +2:40 |
6位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー) | +2:57 |
7位 | ルーク・プラップ(オーストラリア) | +3:03 |
8位 | ブリュノ・アルミライユ(フランス) | +3:06 |
9位 | テイメン・アレンスマン(オランダ) | +3:39 |
10位 | シュテファン・キュング(スイス) | +3:48 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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