本日、ルワンダの首都キガリでロード世界選手権が開幕する。レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が3連覇を目指す40.6kmコースは、アップダウンや終盤に石畳坂が登場するテクニカルなレイアウト。前回覇者なき女子エリートと共にプレビューする。

ルワンダの首都キガリを試走するレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos
1927年にドイツで初開催されたロード世界選手権は、2025年の今年、史上初めてアフリカ大陸で行われる。その映えある開催地に選ばれたのは、東アフリカに位置するルワンダ。四国全体よりやや大きいぐらいの国土だが、東京とほぼ同じ約1,400万人が暮らすアフリカでも有数の人口密度の高い国だ。
自転車ロードレースファンならば例年2〜3月に行われるツール・ド・ルワンダ(UCI2.1)でもお馴染みの場所。そんな小国の首都キガリが、本日9月21日(日)から28日(日)の8日間、ロード世界選手権の舞台となる。大会のスケジュールは以下の通りだ。
ロード世界選手権2025スケジュール
9月21日(日):女子エリート個人タイムトライアル、男子エリート個人タイムトライアル
9月22日(月):女子U23個人タイムトライアル、男子U23個人タイムトライアル
9月23日(火):女子ジュニア個人タイムトライアル、男子ジュニア個人タイムトライアル
9月24日(水):チームタイムトライアル・ミックスリレー
9月25日(木):女子U23ロードレース
9月26日(金):男子ジュニアロードレース、男子U23ロードレース
9月27日(土):女子ジュニアロードレース、女子エリートロードレース
9月28日(日):男子エリートロードレース
*太字は日本人選手が出場するレース
アップダウンに石畳坂とクライマー有利なレイアウト

ロード世界選手権2025 男子エリート個人タイムトライアルコースプロフィール image:UCI

ロード世界選手権2025 女子エリート個人タイムトライアルコースプロフィール image:UCI
大会は女子エリートと男子エリートの個人タイムトライアルで幕を開け。そのコースは例年の平坦コースからは程遠い、アップダウンとラストに石畳の激坂ミュール・ド・キガリを含むトリッキーなレイアウトになっている。
男子エリートの40.6kmは序盤にニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)を駆け上がり、下ってから再びニャンザ峠を反対側(距離6.6km/平均3.5%)から登る。その後は次なる登りに向け8.7kmのダウンヒル。ペアージュ峠(距離2.0km/平均6.0%)を経て、最後の山場となる石畳のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)をクリア。フィニッシュ地点は頂上からさらに登った先にある。
女子エリートは男子のコースからペアージュ峠を除いたような31.2kmで争われる。
エヴェネプールの3連覇か?ポガチャルの初戴冠か?

試走するレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos
高出力を生む重い体重のTTスペシャリストたちが不利となるレイアウトのため、優勝候補には軽量級の選手たちが挙がる。その筆頭はもちろん、2023年から2連覇中のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)だ。昨年はパリ五輪とのTT2冠を達成したエヴェネプールは、今年ベルギー選手権からツール・ド・フランスの個人TTを制するなど好調。直近9月のツアー・オブ・ブリテンでも区間1勝を挙げ、これ以上ないコンディションで臨み、達成すれば史上3人目の3連覇となる。
その対抗馬となるのはロードの世界王者であるタデイ・ポガチャル(スロベニア)だ。これまで出場した3度は最高6位と表彰台にすら上がったことはない。しかしテクニカルなレイアウトに加え石畳の激坂と、エヴェネプールよりもポガチャル有利と予想する声は多い。

TTで初の世界王者を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos

TTではまだ未知数のイサーク・デルトロ(メキシコ) photo:CorVos
昨年6秒差の2位だったフィリッポ・ガンナ(イタリア)は不出場となるなか、上記2名に割って入りたいのが閉幕したばかりのブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝と山岳賞を獲得するなど大暴れだったジェイ・ヴァイン(オーストラリア)。また同じオーストラリアのルーク・プラップもTT国内王者の強さを発揮すれば、十分上位に絡んでくるだろう。
そして今大会のダークホースとなるのが、21歳で自身初の男子エリートに挑むイサーク・デルトロ(メキシコ)だ。初出場したグランツールでも存在感を示し、9月は5戦4勝と勝ちまくり、今シーズンはUAEチームエミレーツXRGにポガチャルに次ぐ13勝をもたらしている。プロに入ってからTTでの勝利はないが、未知数な力が期待される。
予測困難な女子エリートを制するのは?

デミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos

マーレン・ロイサー(スイス) photo:CorVos 
クロエ・ダイガート(アメリカ) photo:CorVos
女子は前年覇者グレース・ブラウン(オーストラリア)が引退したため、誰が優勝しても新王者ということになる。クライミング能力も求められるコースゆえ、必然的にステージレースで総合順位を争う選手たちが有利。そのため前年2位のデミ・フォレリング(オランダ)やジュリエット・ラブース(フランス)、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)など総合争いの常連が有力だ。
注目は今年ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスとツール・ド・スイス・ウィメンで総合優勝し、過去にTTのヨーロッパ選手権を3連覇しているマーレン・ロイサー(スイス)。もちろん過去2度の優勝経験のあるクロエ・ダイガート(アメリカ)やパリ五輪銀メダリストのアンナ・ヘンダーソン(イギリス)、アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)なども忘れてはいけない存在だ。

1927年にドイツで初開催されたロード世界選手権は、2025年の今年、史上初めてアフリカ大陸で行われる。その映えある開催地に選ばれたのは、東アフリカに位置するルワンダ。四国全体よりやや大きいぐらいの国土だが、東京とほぼ同じ約1,400万人が暮らすアフリカでも有数の人口密度の高い国だ。
自転車ロードレースファンならば例年2〜3月に行われるツール・ド・ルワンダ(UCI2.1)でもお馴染みの場所。そんな小国の首都キガリが、本日9月21日(日)から28日(日)の8日間、ロード世界選手権の舞台となる。大会のスケジュールは以下の通りだ。
ロード世界選手権2025スケジュール
9月21日(日):女子エリート個人タイムトライアル、男子エリート個人タイムトライアル
9月22日(月):女子U23個人タイムトライアル、男子U23個人タイムトライアル
9月23日(火):女子ジュニア個人タイムトライアル、男子ジュニア個人タイムトライアル
9月24日(水):チームタイムトライアル・ミックスリレー
9月25日(木):女子U23ロードレース
9月26日(金):男子ジュニアロードレース、男子U23ロードレース
9月27日(土):女子ジュニアロードレース、女子エリートロードレース
9月28日(日):男子エリートロードレース
*太字は日本人選手が出場するレース
アップダウンに石畳坂とクライマー有利なレイアウト


大会は女子エリートと男子エリートの個人タイムトライアルで幕を開け。そのコースは例年の平坦コースからは程遠い、アップダウンとラストに石畳の激坂ミュール・ド・キガリを含むトリッキーなレイアウトになっている。
男子エリートの40.6kmは序盤にニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)を駆け上がり、下ってから再びニャンザ峠を反対側(距離6.6km/平均3.5%)から登る。その後は次なる登りに向け8.7kmのダウンヒル。ペアージュ峠(距離2.0km/平均6.0%)を経て、最後の山場となる石畳のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)をクリア。フィニッシュ地点は頂上からさらに登った先にある。
女子エリートは男子のコースからペアージュ峠を除いたような31.2kmで争われる。
エヴェネプールの3連覇か?ポガチャルの初戴冠か?

高出力を生む重い体重のTTスペシャリストたちが不利となるレイアウトのため、優勝候補には軽量級の選手たちが挙がる。その筆頭はもちろん、2023年から2連覇中のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)だ。昨年はパリ五輪とのTT2冠を達成したエヴェネプールは、今年ベルギー選手権からツール・ド・フランスの個人TTを制するなど好調。直近9月のツアー・オブ・ブリテンでも区間1勝を挙げ、これ以上ないコンディションで臨み、達成すれば史上3人目の3連覇となる。
その対抗馬となるのはロードの世界王者であるタデイ・ポガチャル(スロベニア)だ。これまで出場した3度は最高6位と表彰台にすら上がったことはない。しかしテクニカルなレイアウトに加え石畳の激坂と、エヴェネプールよりもポガチャル有利と予想する声は多い。


昨年6秒差の2位だったフィリッポ・ガンナ(イタリア)は不出場となるなか、上記2名に割って入りたいのが閉幕したばかりのブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝と山岳賞を獲得するなど大暴れだったジェイ・ヴァイン(オーストラリア)。また同じオーストラリアのルーク・プラップもTT国内王者の強さを発揮すれば、十分上位に絡んでくるだろう。
そして今大会のダークホースとなるのが、21歳で自身初の男子エリートに挑むイサーク・デルトロ(メキシコ)だ。初出場したグランツールでも存在感を示し、9月は5戦4勝と勝ちまくり、今シーズンはUAEチームエミレーツXRGにポガチャルに次ぐ13勝をもたらしている。プロに入ってからTTでの勝利はないが、未知数な力が期待される。
予測困難な女子エリートを制するのは?



女子は前年覇者グレース・ブラウン(オーストラリア)が引退したため、誰が優勝しても新王者ということになる。クライミング能力も求められるコースゆえ、必然的にステージレースで総合順位を争う選手たちが有利。そのため前年2位のデミ・フォレリング(オランダ)やジュリエット・ラブース(フランス)、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)など総合争いの常連が有力だ。
注目は今年ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスとツール・ド・スイス・ウィメンで総合優勝し、過去にTTのヨーロッパ選手権を3連覇しているマーレン・ロイサー(スイス)。もちろん過去2度の優勝経験のあるクロエ・ダイガート(アメリカ)やパリ五輪銀メダリストのアンナ・ヘンダーソン(イギリス)、アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)なども忘れてはいけない存在だ。
歴代男子エリート個人タイムトライアル優勝者
2024年 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) |
2023年 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) |
2022年 | トビアス・フォス(ノルウェー) |
2021年 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) |
2020年 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) |
歴代女子エリート個人タイムトライアル優勝者
2024年 | グレース・ブラウン(オーストラリア) |
2023年 | クロエ・ダイガート(アメリカ) |
2022年 | エレン・ファンダイク(オランダ) |
2021年 | エレン・ファンダイク(オランダ) |
2020年 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp