初出場のツールで劇的な勝利を飾ったジョナタン・ミラン。不調からの復活を印象付けたファンアールトや、肋骨骨折の痛みと戦いながらフィニッシュしたアルメイダなど、ツール第8ステージを終えた選手たちのコメントを紹介。



ステージ優勝&マイヨヴェール(ポイント賞) ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

初出場で勝利を掴んだジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

いまだ自分が達成したことを理解できていない。ツールには期待と夢を抱き出場した。でも実際に勝利するのとは違う話。チームには自信があり、第3ステージでは(2位と)勝利に迫った。その時はスプリントの開始が早すぎたので、今日は集中し、限界まで待って踏み込んだ。チームメイトの走りは素晴らしく、最後はストレスフルな状況だった。

ラスト1kmからは登り基調で、僕に適したレイアウトだった。皆の走りを勝利に繋げる事ができて嬉しいよ。ツールのレベルはとても高く、皆が勝利を欲している。でも僕らは勝者にふさわしい走りを見せた。今夜は回復に努め、明日また勝利を狙いたい。

コンソンニと勝利を喜ぶジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

─イタリア人にとって通算113勝目、そして2019年のヴィンツェンツォ・ニバリ以来の勝利となった。

このマイヨヴェールを着て勝つことができた。これは僕自身はもちろん、イタリアとしても重要なこと。このジャージを持って帰れるよう、この後も頑張りたい。

ステージ2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

先頭で踏み込むジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が迫る photo:A.S.O.

今日はとてもタフだが、公平なスプリントだった。今日は調子が戻ってきたのでスプリントすると決めた。最終ストレートでの攻防はカオスだったよ。まともなスプリントトレインを組めたチームがおらず、全員が自ら位置取りをしなければならなかった。早めに仕掛けてミランの虚を突こうかと思ったのだが、彼の方が単純に速かった。でも2位という結果には満足だし、自分のスプリントを発揮する良い機会となった。

グローブスのリードアウトを務めたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

スプリントの映像はまだ見返していないが、今日はミランが最も強かったみたいだ。でも僕らの最終盤の動きも悪くなかった。3位という結果は立派で、彼のスプリントも徐々に良くなっている。次の機会にまた勝利を狙いたい。

─グローブスには経験が足りないと思うか?

いいや、そうは思わない。彼には才能があり、ジロでも結果を残している。彼いわく、まだベストコンディションではないそうだ。でも日に日に良くなってきているし、僕らは彼を信じている。彼は出場選手の中ではメルリールに並び最速の選手だ。ヤスペル(フィリプセン)であればより良い結果を残せたかもしれないが、カーデンはジロから連戦しているんだ。この後、きっと勝利が掴めるだろう。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

マイヨジョーヌを纏い、集団後方で脚を回したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

とてもリラックスしたステージだった。いくつもの村を通過して混沌とするのではなく、もっと直線路の多いレイアウトが良かった。だた風景はとても美しかった。終盤はストレスの多い展開となったが、何とかマネジメントできた良い日になったよ。

ジョアン(アルメイダ)は戦士だが、路面の凹凸や加速で苦しんでいた。そんな中でも諦めず、フィニッシュした彼には脱帽だ。真のチャンピオンである心を見せた。

左の肋骨を骨折しながら完走したジョアン・アルメイダ(ポルトガル)

肋骨骨折が報道されたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

スタート前インタビュー

ヒビではなく肋骨を骨折してしまった。ただ、高速域での落車にもかかわらず、(骨折の他に)擦過傷と打撲ぐらいで済んだ。もっと深刻な怪我をしていてもおかしくなかったのにね。こうやってスタート地点に立てたし、無事にレースを終えることができれば嬉しい。また左手と指に痛みがあるので、適切なバイクコントロールができるといいな。

チームは僕の健康を第一に考えているし、僕が正しいと思う選択ができるよう判断を委ねてくれている。チームの役に立てないのに走り続ける意味はない。どうなるかは走ってみないとわからない。

レース後インタビュー

チームの力になるために走っており、自分がサポートできる場面を探している。路面の小さな凹凸でも痛みを感じ、ダンシングをすると辛い。でも怪我を負いながら走っているのは自分だけではなく、これも自転車競技だ。明日が今日よりも痛みのない日になるかもしれないが、逆に悪化する可能性もある。

骨折しながら出場するアルメイダについてコメントするトーマス・デヘント

2015年(のツール)で肋骨を骨折しながら16ステージを走り切った。可能だが、とても痛みを伴うこと。骨折自体の痛みではなく、骨折箇所を覆う筋肉や筋繊維が深い呼吸を阻害するんだ。

(選手たちが怪我をしても走り続けるのは)これがツールだから。骨折や怪我をしながら走ったレースはツールの他にない。走ることに危険がない限りは走り続ける。その時の落車は第5ステージで起こり、第7ステージではグライペルのためにプロトンの牽引をした。つまり、(骨折しても)自分の役割をこなすことはできる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.