登坂で仕掛け、逃げ切ったのは、共に展開を見極めていた小林あか里(Mtd Ladies)と金子広美(三重県自転車競技連盟)だった。小林が制した33.5kmのショートレース、その展開を各選手のコメントと共にレポートします。

まだ涼しい朝7時台の青梅駅前 photo:Yuichiro Hosoda 
「女子エリートレースへようこそ」 photo:Naoki Yasuoka

7時25分に女子レースがスタート photo:Yuichiro Hosoda
朝7時25分、青梅駅前をスタートしたエリート女子レースは、青梅周回コースを2周する33.5kmで争われた。男子レースとは異なり、「尾根幹」エリアを含まない短距離レースながら、軍畑(いくさばた)駅から榎峠にかけての急勾配を中心としたアップダウンは、レースの展開を十分に左右する厳しさを持っている。
出走したのは、全日本ロード女王・小林あか里(Mtd Ladies)、東京五輪代表の金子広美(三重県自転車競技連盟)、MTBパリ五輪代表の川口うらら(TEAM TATSUNO)、そして前回覇者の渡部春雅(Liv Racing Japan)ら17名。TEAM NIPPOの支援で欧州を転戦中の内野艶和、池田瑞紀、垣田真穂らの出場はなかった。

1周目の登りでハイペースを刻む小林あか里(Mtd Ladies) photo:So Isobe

渡部春雅(Liv Racing Japan)ら追走グループが抜け出していた小林と金子に合流。先頭は5名に戻った photo:So Isobe 
短い青梅坂を駆け上がる。ペースを作るのは金子広美(三重県自転車競技連盟) photo:So Isobe

1周目の青梅坂を越えてダウンヒルへ。遅れた阿部花梨(イナーメ信濃山形-F)はこの後合流している photo:Yuichiro Hosoda
スタート直後、多摩川沿いを走り最初の登坂に入ると、金子が積極的にペースを作る。つづら折れが続く頂上付近では、小林と金子の2人が抜け出し、10秒ほどの差で川口、渡部、阿部花梨(イナーメ信濃山形-F)、鈴木友佳子(MIVRO)が続いた。下りと平坦を経て、追走のうち川口を除く3人が先頭に合流するが、その時点で金子は「この差だと追いつかれてしまうと分かった。次(2周目)は序盤からペースを上げよう」と展開を見据えていたという。
小さなアップダウンを越え、2周目へ。青梅街道を5人が並走し、180°ヘアピンを経て軍畑の登りに差し掛かると、再び小林と金子がスピードを上げて勝負を仕掛けた。

最後の榎峠を駆け上がる小林あか里(Mtd Ladies)と金子広美(三重県自転車競技連盟)。後ろは大きく離れた photo:So Isobe

フィニッシュを目指す小林あか里(Mtd Ladies)と金子広美(三重県自転車競技連盟) photo:So Isobe
「レース距離が短かったので、一人で逃げるよりも、登りに強い選手と抜け出して最後はスプリント勝負。それが現実的だと思っていました」と語る小林。「このコースでは一人逃げは難しい。誰かと2人でフィニッシュまで行けたら」と金子。互いの思惑が一致した2人は後続を引き離して榎峠をクリア。1周目では追いつかれた下り〜平坦区間でも、後続との差は揺るがなかった。
最後の青梅坂を越え、直角コーナーを抜けてラスト500mの下り直線へ。フィニッシュラインに先着したのは小林。2位に金子、3位争いのスプリントでは、阿部花梨を下した渡部が入った。完走扱いは15位の石田明梨(同志社大学)までとなった。

スプリント勝負を制した小林あか里(Mtd Ladies) photo:Yuichiro Hosoda

ロードレース東京多摩2025女子表彰:1位小林あか里、2位金子広美、3位渡部春雅 photo:Yuichiro Hosoda
優勝:小林あか里(Mtd Ladies)
「レースは思い描いた通りの展開でした。全日本のあと少しオフを取っていたので、仕上がりには不安もありましたが、全日本を勝ったという自信がありましたし、このコースは自分に合っていると感じていたので、迷いなく攻めようと決めていました。沿道の応援も本当に力になって、楽しく走ることができました」

オランダに活動拠点を移した小林あか里(Mtd Ladies)。レースに対する自信がついたという photo:Yuichiro Hosoda
今季、小林は長年在籍した弱虫ペダルサイクリングチームを離れ、オランダの「Mtd Ladies」へ移籍。ワールドツアー選手たちと日々しのぎを削る中で、大きな経験を積んでいる。
「オランダのプロトンは、世界で最も難しいとも言われています。密集度が高く、はっきりモノを言う文化だしボディコンタクトも普通。しかも、日本人選手は自分ひとり。最初は本当に大変でしたが、その中で走れる自信がつきました。ロード選手として、ひとつ階段を上がれたと思っています。
いまの目標は、女子ワールドツアーチームに入り、ツール・ド・フランス・ファムを走ること。そのためにも、世界選手権とオリンピックで結果を出すという目標は、ずっと変わらず持ち続けています」。
2位:金子広美(三重県自転車競技連盟)

2位に入った金子広美(三重県自転車競技連盟) photo:Yuichiro Hosoda
「今回は“積極的に行くしかない”という気持ちで臨みました。今年の全日本には出ていなかったので、小林選手の状態が分からず、最初は少し様子を見ていました。私はもっと距離が長くて登りが多いレースの方が得意。でも今回はスピード系の短距離。その分、無酸素領域を鍛えるトレーニングを積んできました。
このコースでは一人逃げは難しいと考えていたので、誰かと2人でフィニッシュを目指すのが理想。展開としては思い描いた通りでしたが、小林選手がとても強かった。悔しさもありますが、30kmの短いレースで自分のすべてを出し切れたと思っています。納得のレースでした」
3位:渡部春雅(Liv Racing Japan)

3位争いを制した渡部春雅(Liv Racing Japan) photo:Yuichiro Hosoda
登りが多いコースなので、小林さんと金子さんだけをマークしていました。登りは耐えることに集中しました。2周目は前に離されてしまい追いつけなかったので、3位狙いに切り替えました。ただ自分として、登りを耐えて、スプリントで3位に入れたことにかなり満足しています。
これから暫くロードレースはありませんが、冬場のシクロクロスや、最近取り組んでいるエクステラが8月にあるので頑張りたいと思います。



朝7時25分、青梅駅前をスタートしたエリート女子レースは、青梅周回コースを2周する33.5kmで争われた。男子レースとは異なり、「尾根幹」エリアを含まない短距離レースながら、軍畑(いくさばた)駅から榎峠にかけての急勾配を中心としたアップダウンは、レースの展開を十分に左右する厳しさを持っている。
出走したのは、全日本ロード女王・小林あか里(Mtd Ladies)、東京五輪代表の金子広美(三重県自転車競技連盟)、MTBパリ五輪代表の川口うらら(TEAM TATSUNO)、そして前回覇者の渡部春雅(Liv Racing Japan)ら17名。TEAM NIPPOの支援で欧州を転戦中の内野艶和、池田瑞紀、垣田真穂らの出場はなかった。




スタート直後、多摩川沿いを走り最初の登坂に入ると、金子が積極的にペースを作る。つづら折れが続く頂上付近では、小林と金子の2人が抜け出し、10秒ほどの差で川口、渡部、阿部花梨(イナーメ信濃山形-F)、鈴木友佳子(MIVRO)が続いた。下りと平坦を経て、追走のうち川口を除く3人が先頭に合流するが、その時点で金子は「この差だと追いつかれてしまうと分かった。次(2周目)は序盤からペースを上げよう」と展開を見据えていたという。
小さなアップダウンを越え、2周目へ。青梅街道を5人が並走し、180°ヘアピンを経て軍畑の登りに差し掛かると、再び小林と金子がスピードを上げて勝負を仕掛けた。


「レース距離が短かったので、一人で逃げるよりも、登りに強い選手と抜け出して最後はスプリント勝負。それが現実的だと思っていました」と語る小林。「このコースでは一人逃げは難しい。誰かと2人でフィニッシュまで行けたら」と金子。互いの思惑が一致した2人は後続を引き離して榎峠をクリア。1周目では追いつかれた下り〜平坦区間でも、後続との差は揺るがなかった。
最後の青梅坂を越え、直角コーナーを抜けてラスト500mの下り直線へ。フィニッシュラインに先着したのは小林。2位に金子、3位争いのスプリントでは、阿部花梨を下した渡部が入った。完走扱いは15位の石田明梨(同志社大学)までとなった。


優勝:小林あか里(Mtd Ladies)
「レースは思い描いた通りの展開でした。全日本のあと少しオフを取っていたので、仕上がりには不安もありましたが、全日本を勝ったという自信がありましたし、このコースは自分に合っていると感じていたので、迷いなく攻めようと決めていました。沿道の応援も本当に力になって、楽しく走ることができました」

今季、小林は長年在籍した弱虫ペダルサイクリングチームを離れ、オランダの「Mtd Ladies」へ移籍。ワールドツアー選手たちと日々しのぎを削る中で、大きな経験を積んでいる。
「オランダのプロトンは、世界で最も難しいとも言われています。密集度が高く、はっきりモノを言う文化だしボディコンタクトも普通。しかも、日本人選手は自分ひとり。最初は本当に大変でしたが、その中で走れる自信がつきました。ロード選手として、ひとつ階段を上がれたと思っています。
いまの目標は、女子ワールドツアーチームに入り、ツール・ド・フランス・ファムを走ること。そのためにも、世界選手権とオリンピックで結果を出すという目標は、ずっと変わらず持ち続けています」。
2位:金子広美(三重県自転車競技連盟)

「今回は“積極的に行くしかない”という気持ちで臨みました。今年の全日本には出ていなかったので、小林選手の状態が分からず、最初は少し様子を見ていました。私はもっと距離が長くて登りが多いレースの方が得意。でも今回はスピード系の短距離。その分、無酸素領域を鍛えるトレーニングを積んできました。
このコースでは一人逃げは難しいと考えていたので、誰かと2人でフィニッシュを目指すのが理想。展開としては思い描いた通りでしたが、小林選手がとても強かった。悔しさもありますが、30kmの短いレースで自分のすべてを出し切れたと思っています。納得のレースでした」
3位:渡部春雅(Liv Racing Japan)

登りが多いコースなので、小林さんと金子さんだけをマークしていました。登りは耐えることに集中しました。2周目は前に離されてしまい追いつけなかったので、3位狙いに切り替えました。ただ自分として、登りを耐えて、スプリントで3位に入れたことにかなり満足しています。
これから暫くロードレースはありませんが、冬場のシクロクロスや、最近取り組んでいるエクステラが8月にあるので頑張りたいと思います。
THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025女子結果
1位 | 小林あか里(Mtd Ladies) | 56:17 |
2位 | 金子広美(三重県自転車競技連盟) | +0:01 |
3位 | 渡部春雅(Liv Racing Japan) | +0:56 |
4位 | 阿部花梨(イナーメ信濃山形-F) | |
5位 | 鈴木友佳子(MIVRO) | +1:18 |
6位 | 川口うらら(TEAM TATSUNO) | +2:45 |
7位 | 竹内清子(VELONUTS RACING TEAM) | +2:46 |
8位 | 武田和佳奈(Promotion × Athletes Cycling) | +2:47 |
9位 | 福山舞(湾岸サイクリング・ユナイテッド) | +2:58 |
10位 | 遠藤杏奈(High Ambition Racing Academy) | +3:02 |
text:So Isobe
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