3つの1級山岳を越え、今大会のクイーンステージであるジロ・デ・イタリア第19ステージ。ニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が逃げ切り勝利を決め、カラパスのアタックに追従したデルトロが区間2位に入り、総合首位のリードを広げた。

マリアローザ奪取を狙うカラパス photo:RCS Sport 
逃げの乗ったファンアールト photo:RCS Sport

この日もリラックスした表情でレースに臨んだイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア2025第19ステージ コースプロフィール image:RCS Sport ローマでの最終日がパレード走行を含むスプリントステージのため、マリアローザ争いはあと2日で決着する。その初日であるジロ・デ・イタリア第19ステージは山頂フィニッシュではないものの、3つの1級山岳を連続して登る過酷な山岳ステージだ。
イタリア語で「タッポーネ」と呼ばれるクイーンステージの獲得標高差は5,000mに迫る。最初の3級山岳はスタートの直後から始まり、平坦路を挟み登場するのは最大勾配15%の1級山岳コル・ツェコーレ(距離16km/平均7.7%)。そして中間スプリントを経て1級山岳コル・サン・パンタレオン(距離16.5km/平均7.2%)、1級コル・ド・ジュー(距離15.1km/平均6.9%)と立て続けに越えていく。
コル・ド・ジューの頂上がフィニッシュ地点ではなく、ダウンヒルを経て現れる2級山岳アンタニョーが最終山岳となる。登坂距離9.5kmと長いものの、平均勾配は4.5%と控えめ。しかし最大勾配11%から始まる残り6kmは平均勾配7.2%と厳しくなるため、そこでのアタックが期待される。フィニッシュ地点はそこから5km下った先にある。

ビエッラをスタートした選手たち photo:CorVos

逃げ集団に入ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
前日から続く晴天に加え、気温25度を超える暑さの中、レースは現地時間の午後12時半にスタート。それと同時にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)らが飛び出し、逃げ集団の形成を試みる。しかし1つ目の3級山岳でシャッフルされた結果、元オランダ空軍に所属していたバルト・レメン(ヴィスマ・リースアバイク)ら4名がエスケープした。
マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)も含む逃げは3級を越えて中間スプリントを通過する。僅か36秒後方のメイン集団ではマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が5位通過で1ポイントを獲得。その結果、ピーダスンは最終日ローマでのマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)獲得を確定させた。
そして3連続で登場する1級山岳の1つ目、コル・ツェコーレ(距離16km/平均7.7%)に入ると逃げの4名は、プロトンを飛び出した約30名の追走集団に吸収される。その中には前日勝者のニコ・デンツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、総合争いから脱落したアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)の姿も。一方のプロトンはリーダーチームであるUAEチームエミレーツXRGが牽引し、リーダーチームの責務を果たした。

プロトンはEFエデュケーション・イージーポストが牽引する場面もあった photo:CorVos
コル・ツェコーレの頂上はクリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過し、山岳ポイントを40点加算。続いて1級山岳コル・サン・パンタレオン(距離16.5km/平均7.2%)に入り、プロトンではレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが、総合7位(5分2秒遅れ)であるジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)のために牽引を開始。総合ジャンプアップに向け布石を打った。
コル・サン・パンタレオンの山頂に迫る頃に、逃げ集団は7名まで絞られる。その中にバーレーン・ヴィクトリアスはティベーリとペリョ・ビルバオ(スペイン)という強力なクライマー2名を送り込み、第15ステージに逃げ切り勝利したカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)も入る。頂上はニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)がトップで通過。これにより、逃げに乗れなかったロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)のマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)獲得も確定している。
17.2kmに及ぶ下りを経て、レッドブルKMを通過。そしていよいよレースは最後から2つ目の山岳にして、この日最大の勝負所である1級山岳コル・ド・ジュー(距離15.1km/平均6.9%)に突入する。その時点で3分14秒のリードを得た逃げ集団は、ベローナとティベーリ、そしてプロドムの3名に絞られた。

1級山岳コル・ド・ジューで絞られたプロトン photo:RCS Sport
一方、14名まで人数を減らしたプロトンは、総合3位サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)のためにウィルコ・ケルデルマン(オランダ)が先頭を引く。逃げグループでは頂上まで7.8km地点、フィニッシュまで28.3km地点でプロドムがアタック。ダンシングを混ぜながら軽快に進むプロドムが、今大会2度の5位入賞と好走しながらも逃し続けている勝利を目指し、踏み続けた。

残り28.3km地点で仕掛け、単独先頭に立ったニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:RCS Sport

カラパスのアタックに反応したサイモン・イェーツとデルトロ photo:CorVos
プロトンでは1級山岳コル・ド・ジューの頂上まで1km以上を残した地点で、先にカラパスが動く。その加速にはデルトロとイェーツがピッタリとマーク。そのためこの仕掛けは決まらず、ジロ後半戦に入ってからの活躍が目立つラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が前に出ると、プロトンは落ち着きを取り戻した。
そしてプロドムは単独先頭のまま1級山岳コル・ド・ジューの頂上を通過。2級山岳アンタニョー(距離9.5km/平均4.5%)に入ってもその快調なペースは変わらず、フランス北部レーグル出身の28歳が、プロ2勝目をジロの大舞台で手に入れた。

逃げ切り勝利を飾ったニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:CorVos
2021年にプロデビューし、今年4月のツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージでプロ初勝利を飾ったプロドム。3度目の出場で得たジロのステージ優勝について「素晴らしい。まだ完全にこれが現実だと受け入れることはできていない。勝利を確信したのはフィニッシュ手前の数百mだった。登りをこなすにつれて調子が上がり、コル・ド・ジューでも脚の感覚は良かった。僕には失うものがないので、自分のチャンスを信じて攻めた。最後の数kmはとても辛かったが、何とかフィニッシュまでたどり着くことができた」と、プロドムは勝利を振り返った。

最後にカラパスを交わし、区間2位に入ったイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport
総合争いは、2級山岳アンタニョーで再び仕掛けたカラパスから動き出す。このアタックにデルトロが反応した一方、イェーツはついていくことができない。頂上を通過した2名は下りを経て、最終コーナーの手前でデルトロが前に出る。スプリント力の差は歴然で、デルトロが58秒遅れの2位でフィニッシュ。マリアローザを堅守したデルトロはボーナスタイム6秒を得て、区間3位(4秒)のカラパスから2秒を奪い取った。
この結果総合上位の順位は変わらず、プロドムから1分22秒遅れ(デルトロとカラパスからは24秒遅れ)でフィニッシュした総合3位のイェーツは、デルトロに対し30秒を失った。

表彰台に上がったニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:CorVos

マリアローザを堅守したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos




イタリア語で「タッポーネ」と呼ばれるクイーンステージの獲得標高差は5,000mに迫る。最初の3級山岳はスタートの直後から始まり、平坦路を挟み登場するのは最大勾配15%の1級山岳コル・ツェコーレ(距離16km/平均7.7%)。そして中間スプリントを経て1級山岳コル・サン・パンタレオン(距離16.5km/平均7.2%)、1級コル・ド・ジュー(距離15.1km/平均6.9%)と立て続けに越えていく。
コル・ド・ジューの頂上がフィニッシュ地点ではなく、ダウンヒルを経て現れる2級山岳アンタニョーが最終山岳となる。登坂距離9.5kmと長いものの、平均勾配は4.5%と控えめ。しかし最大勾配11%から始まる残り6kmは平均勾配7.2%と厳しくなるため、そこでのアタックが期待される。フィニッシュ地点はそこから5km下った先にある。


前日から続く晴天に加え、気温25度を超える暑さの中、レースは現地時間の午後12時半にスタート。それと同時にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)らが飛び出し、逃げ集団の形成を試みる。しかし1つ目の3級山岳でシャッフルされた結果、元オランダ空軍に所属していたバルト・レメン(ヴィスマ・リースアバイク)ら4名がエスケープした。
マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)も含む逃げは3級を越えて中間スプリントを通過する。僅か36秒後方のメイン集団ではマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が5位通過で1ポイントを獲得。その結果、ピーダスンは最終日ローマでのマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)獲得を確定させた。
そして3連続で登場する1級山岳の1つ目、コル・ツェコーレ(距離16km/平均7.7%)に入ると逃げの4名は、プロトンを飛び出した約30名の追走集団に吸収される。その中には前日勝者のニコ・デンツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、総合争いから脱落したアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)の姿も。一方のプロトンはリーダーチームであるUAEチームエミレーツXRGが牽引し、リーダーチームの責務を果たした。

コル・ツェコーレの頂上はクリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過し、山岳ポイントを40点加算。続いて1級山岳コル・サン・パンタレオン(距離16.5km/平均7.2%)に入り、プロトンではレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが、総合7位(5分2秒遅れ)であるジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)のために牽引を開始。総合ジャンプアップに向け布石を打った。
コル・サン・パンタレオンの山頂に迫る頃に、逃げ集団は7名まで絞られる。その中にバーレーン・ヴィクトリアスはティベーリとペリョ・ビルバオ(スペイン)という強力なクライマー2名を送り込み、第15ステージに逃げ切り勝利したカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)も入る。頂上はニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)がトップで通過。これにより、逃げに乗れなかったロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)のマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)獲得も確定している。
17.2kmに及ぶ下りを経て、レッドブルKMを通過。そしていよいよレースは最後から2つ目の山岳にして、この日最大の勝負所である1級山岳コル・ド・ジュー(距離15.1km/平均6.9%)に突入する。その時点で3分14秒のリードを得た逃げ集団は、ベローナとティベーリ、そしてプロドムの3名に絞られた。

一方、14名まで人数を減らしたプロトンは、総合3位サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)のためにウィルコ・ケルデルマン(オランダ)が先頭を引く。逃げグループでは頂上まで7.8km地点、フィニッシュまで28.3km地点でプロドムがアタック。ダンシングを混ぜながら軽快に進むプロドムが、今大会2度の5位入賞と好走しながらも逃し続けている勝利を目指し、踏み続けた。


プロトンでは1級山岳コル・ド・ジューの頂上まで1km以上を残した地点で、先にカラパスが動く。その加速にはデルトロとイェーツがピッタリとマーク。そのためこの仕掛けは決まらず、ジロ後半戦に入ってからの活躍が目立つラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が前に出ると、プロトンは落ち着きを取り戻した。
そしてプロドムは単独先頭のまま1級山岳コル・ド・ジューの頂上を通過。2級山岳アンタニョー(距離9.5km/平均4.5%)に入ってもその快調なペースは変わらず、フランス北部レーグル出身の28歳が、プロ2勝目をジロの大舞台で手に入れた。

2021年にプロデビューし、今年4月のツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージでプロ初勝利を飾ったプロドム。3度目の出場で得たジロのステージ優勝について「素晴らしい。まだ完全にこれが現実だと受け入れることはできていない。勝利を確信したのはフィニッシュ手前の数百mだった。登りをこなすにつれて調子が上がり、コル・ド・ジューでも脚の感覚は良かった。僕には失うものがないので、自分のチャンスを信じて攻めた。最後の数kmはとても辛かったが、何とかフィニッシュまでたどり着くことができた」と、プロドムは勝利を振り返った。

総合争いは、2級山岳アンタニョーで再び仕掛けたカラパスから動き出す。このアタックにデルトロが反応した一方、イェーツはついていくことができない。頂上を通過した2名は下りを経て、最終コーナーの手前でデルトロが前に出る。スプリント力の差は歴然で、デルトロが58秒遅れの2位でフィニッシュ。マリアローザを堅守したデルトロはボーナスタイム6秒を得て、区間3位(4秒)のカラパスから2秒を奪い取った。
この結果総合上位の順位は変わらず、プロドムから1分22秒遅れ(デルトロとカラパスからは24秒遅れ)でフィニッシュした総合3位のイェーツは、デルトロに対し30秒を失った。


ジロ・デ・イタリア2025第19ステージ結果
1位 | ニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | 4:50:35 |
2位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:58 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
5位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +1:22 |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | |
8位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG) | |
9位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 73:47:59 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:43 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:21 |
4位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +2:27 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:36 |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +5:13 |
7位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:32 |
8位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +6:39 |
9位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +9:11 |
10位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +9:33 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 277pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 135pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 107pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 355pts |
2位 | クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ) | 201pts |
3位 | ニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | 107pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 73:47:59 |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:32 |
3位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +14:44 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 221:31:03 |
2位 | XDSアスタナ | +43:58 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +1:08:56 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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