マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の参戦で注目を集めたチェコ開催のMTB W杯第3戦。絶好調のクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)とモナ・ミッターウォールナー(オーストリア)が勝利し、クラッシュしたファンデルプールはDNFに終わった。

世界選手権優勝を目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が参戦。大きな注目を集めた photo:UCI

世界女王プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が参戦 photo:UCI 
ジェイコ・アルウラーでロードのワールドツアーデビューを果たし、MTBでもキャノンデールからジャイアントファクトリーレーシングに移籍した世界王者のアラン・ハザリー photo:UCI
4月のブラジル開幕2連戦を終えた「UCIマウンテンバイク・ワールドシリーズ」は、本場ヨーロッパへと帰還する。ワールドシリーズの定番コースであり、直近では2016年に世界選手権が開催されたチェコの名門コース「ノヴェ・メスト」で第3戦が開催された。

土曜日のXCCを制したプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:UCI 
XCCを制したクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ、スペシャライズドファクトリーレーシング) photo:UCI
今回の目玉は、春のロードシーズンに参戦するためブラジルラウンドをスキップしていた男女の世界王者、アラン・ハザリー(南アフリカ、ジャイアントファクトリーレーシング)とプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)、さらに世界タイトルを目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がMTB復帰したこと。会場は週末を通して集まった2万4千人の観客の熱気に包まれた。
女子エリート:ミッターウォールナーが接戦を制す、世界女王ピーテルセはパンクに泣く
フレーシュ・ワロンヌ優勝を筆頭に、出場した11戦で全てトップ10入りするという大成功のクラシックシーズンを終えたピーテルセは、土曜日のXCC(ショートトラック)で優勝。勢いに乗った日曜日の本戦XCO(クロスカントリーオリンピック)も序盤から飛ばしに飛ばして先頭グループを作ったものの、3周目のロックガーデンで痛恨のパンク。タイヤを引きずりながらピットインした世界女王は1分半ビハインドから追撃を続けたものの、最終的に優勝争いに復帰することは叶わなかった。

序盤リードしたプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)だったが、中盤のパンクで大きなロスを被った photo:UCI

先頭グループを抜け出したモナ・ミッターウォールナー(オーストリア、モンドレイカーファクトリーレーシングXC) photo:UCI
第2戦の勝者であるジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン、キャニオン・CLLCTV)は体調不良でレースを降り、ピーテルセが消えた先頭グループには後続勢が追いつきシャッフルが掛かる。モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、モンドレイカーファクトリーレーシングXC)がアタックを仕掛けたのは7周回中の5周目だった。
ミッターウォールナーのアタックに追従したのは、W杯リーダージャージを着るサマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム)。開幕戦勝者のマクスウェルは急勾配の上りロックガーデンで完全停止するミスから何とか復活したものの、最終周回の登坂勝負で脱落。そのリードを何とかフィニッシュまで守り切ったミッターウォールナーが勝利した。

接戦を制したモナ・ミッターウォールナー(オーストリア、モンドレイカーファクトリーレーシングXC) photo:UCI

XCO女子エリート表彰台 photo:UCI
2020年と2021年のジュニア世界選手権を制して鳴り物入りでデビューし、今年はキャノンデールからモンドレイカーに移籍、さらにヒューマンパワードヘルスに加わってロード挑戦と気持ちを入れ替えていたミッターウォールナー。「UCIワールドカップの表彰台に立つのは久しぶりで、しかもクロスカントリーの聖地ノヴェ・メストで実現できた。ずっと夢見てきたことなので、本当に信じらない。チームは本当に一生懸命働いてくれて、新しいプロジェクトを始めるのは決して簡単なことではなかったけれど、皆とてもやる気に満ちていました。とても楽しい時間を過ごせている」とチームへの感謝を綴っている。
男子エリート:絶好調ブレヴィンスが圧勝、激しく落車したファンデルプールはレースを降りる
ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベで勝利を収め、完璧なクラシックシーズンを過ごしたファンデルプールだったが、この日は忘れ去りたい一日を過ごした。
世界選手権に向けたコンディション調整を目標にしていたファンデルプールは、まずスタートの混戦で進路を誤ってネットに突っ込み、続け様に復帰した直後の下りセクションで大前転。88番手から追い上げを目指したもののペースを上げることはできず、3周目にリタイアを選択することとなった。

序盤戦には大人数の先頭グループが形成される photo:UCI

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は序盤に落車し、ペースを上げられずDNF photo:UCI
序盤にレースを引っ張ったのは、ジェイコ・アルウラーでロードのワールドツアーデビューを果たし、MTBでもキャノンデールからジャイアントファクトリーレーシングに移籍した世界王者のアラン・ハザリーだった。やがてペースダウンしたことで後続勢が追いつき、先頭グループは一時的に15名以上にまで膨れ上がった。
土曜日のXCCを制して波に乗るクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)やヴィクトル・コレツキー(フランス)などスペシャライズドファクトリーレーシング勢がペースを上げ、ラスト2周の登坂区間でブレヴィンスがアタック。今季W杯では初戦のXCC以外全勝中と、キャリアハイの絶好調を維持しているブレヴィンスに誰も追従することはできなかった。

圧倒的な走りで優勝したクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ、スペシャライズドファクトリーレーシング) photo:UCI

XCO男子エリート表彰台 photo:UCI
「ノヴェ・メストは僕にとって、そしてこのスポーツにとって、本当に大きな意味を持つ場所。失敗したジュニアレースの後に森の中で泣いたこともあるし、U23でのレースの失敗の後に泣いたこともある。その一方初めてワールドカップ優勝したり、あらゆる感情を味わったんだ。今日は素晴らしい日だ。本当に感謝している」と言うブレヴィンスが圧巻の独走。土曜日のXCCと併せて完全勝利をマークしている。
次回のUCI MTBワールドカップ(XCO)は6月5日から8日にかけてオーストリア・レオガングで開催される。



4月のブラジル開幕2連戦を終えた「UCIマウンテンバイク・ワールドシリーズ」は、本場ヨーロッパへと帰還する。ワールドシリーズの定番コースであり、直近では2016年に世界選手権が開催されたチェコの名門コース「ノヴェ・メスト」で第3戦が開催された。


今回の目玉は、春のロードシーズンに参戦するためブラジルラウンドをスキップしていた男女の世界王者、アラン・ハザリー(南アフリカ、ジャイアントファクトリーレーシング)とプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)、さらに世界タイトルを目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がMTB復帰したこと。会場は週末を通して集まった2万4千人の観客の熱気に包まれた。
女子エリート:ミッターウォールナーが接戦を制す、世界女王ピーテルセはパンクに泣く
フレーシュ・ワロンヌ優勝を筆頭に、出場した11戦で全てトップ10入りするという大成功のクラシックシーズンを終えたピーテルセは、土曜日のXCC(ショートトラック)で優勝。勢いに乗った日曜日の本戦XCO(クロスカントリーオリンピック)も序盤から飛ばしに飛ばして先頭グループを作ったものの、3周目のロックガーデンで痛恨のパンク。タイヤを引きずりながらピットインした世界女王は1分半ビハインドから追撃を続けたものの、最終的に優勝争いに復帰することは叶わなかった。


第2戦の勝者であるジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン、キャニオン・CLLCTV)は体調不良でレースを降り、ピーテルセが消えた先頭グループには後続勢が追いつきシャッフルが掛かる。モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、モンドレイカーファクトリーレーシングXC)がアタックを仕掛けたのは7周回中の5周目だった。
ミッターウォールナーのアタックに追従したのは、W杯リーダージャージを着るサマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム)。開幕戦勝者のマクスウェルは急勾配の上りロックガーデンで完全停止するミスから何とか復活したものの、最終周回の登坂勝負で脱落。そのリードを何とかフィニッシュまで守り切ったミッターウォールナーが勝利した。


2020年と2021年のジュニア世界選手権を制して鳴り物入りでデビューし、今年はキャノンデールからモンドレイカーに移籍、さらにヒューマンパワードヘルスに加わってロード挑戦と気持ちを入れ替えていたミッターウォールナー。「UCIワールドカップの表彰台に立つのは久しぶりで、しかもクロスカントリーの聖地ノヴェ・メストで実現できた。ずっと夢見てきたことなので、本当に信じらない。チームは本当に一生懸命働いてくれて、新しいプロジェクトを始めるのは決して簡単なことではなかったけれど、皆とてもやる気に満ちていました。とても楽しい時間を過ごせている」とチームへの感謝を綴っている。
男子エリート:絶好調ブレヴィンスが圧勝、激しく落車したファンデルプールはレースを降りる
ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベで勝利を収め、完璧なクラシックシーズンを過ごしたファンデルプールだったが、この日は忘れ去りたい一日を過ごした。
世界選手権に向けたコンディション調整を目標にしていたファンデルプールは、まずスタートの混戦で進路を誤ってネットに突っ込み、続け様に復帰した直後の下りセクションで大前転。88番手から追い上げを目指したもののペースを上げることはできず、3周目にリタイアを選択することとなった。


序盤にレースを引っ張ったのは、ジェイコ・アルウラーでロードのワールドツアーデビューを果たし、MTBでもキャノンデールからジャイアントファクトリーレーシングに移籍した世界王者のアラン・ハザリーだった。やがてペースダウンしたことで後続勢が追いつき、先頭グループは一時的に15名以上にまで膨れ上がった。
土曜日のXCCを制して波に乗るクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)やヴィクトル・コレツキー(フランス)などスペシャライズドファクトリーレーシング勢がペースを上げ、ラスト2周の登坂区間でブレヴィンスがアタック。今季W杯では初戦のXCC以外全勝中と、キャリアハイの絶好調を維持しているブレヴィンスに誰も追従することはできなかった。


「ノヴェ・メストは僕にとって、そしてこのスポーツにとって、本当に大きな意味を持つ場所。失敗したジュニアレースの後に森の中で泣いたこともあるし、U23でのレースの失敗の後に泣いたこともある。その一方初めてワールドカップ優勝したり、あらゆる感情を味わったんだ。今日は素晴らしい日だ。本当に感謝している」と言うブレヴィンスが圧巻の独走。土曜日のXCCと併せて完全勝利をマークしている。
次回のUCI MTBワールドカップ(XCO)は6月5日から8日にかけてオーストリア・レオガングで開催される。
UCI MTBワールドカップ2025 第3戦 XCO女子エリート結果
1位 | モナ・ミッターウォールナー(オーストリア、モンドレイカーファクトリーレーシングXC) | 1:29:32 |
2位 | サマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム) | 1:29:32 |
3位 | キャンディス・リル(南アフリカ) | 1:29:57 |
4位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | 1:30:13 |
5位 | レベッカ・ヘンダーソン(オーストラリア、オルベア・フォックスファクトリーチーム) | 1:30:20 |
UCI MTBワールドカップ2025 第3戦 XCO男子エリート結果
1位 | クリストファー・ブレヴィンス(アメリカ、スペシャライズドファクトリーレーシング) | 1:26:00 |
2位 | マティス・アザロ(フランス、オリジンレーシングディビジョン) | 1:26:07 |
3位 | ラース・フォースター(スイス、トムス・マクソン) | 1:26:07 |
4位 | ヴィクトル・コレツキー(フランス、スペシャライズドファクトリーレーシング) | 1:26:07 |
5位 | ファビオ・プントナー(スイス) | 1:26:07 |
text:So Isobe
photo:UCI
photo:UCI
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