東京都の大井埠頭で開催されたツアー・オブ・ジャパン最終日の第8ステージは、平均時速48.8kmというハイスピードレースが展開され、集団でのスプリント勝負をリアム・ウォルシュ(シーキャッシュXボディラップ)が制した。個人総合優勝はアレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)。中間スプリントポイントの取り合いとなったポイント賞争いは、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が逆転で獲得した。



ピーポ君登場 photo:Satoru Kato
黄色はステージ優勝、赤は山岳賞、青はポイント賞、緑が総合首位 photo:Satoru Kato


8日間に渡るツアー・オブ・ジャパンは、東京都の大井埠頭で千秋楽を迎えた。最後のステージは1周6.5kmの周回コースを16周する104kmのレース。1箇所ある折り返しのヘアピンコーナーを除けばコーナーでもスピードを落とさずに抜けられるため、ハイスピードなレース展開となる。

最終日のスタートラインに揃った4賞ジャージ photo:Satoru Kato

前日の第7ステージまでを終えて個人総合首位はアレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)。21秒差の2位にシモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO)、1分9秒差の3位にベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)がつける。実質的には3位のダイボールとの争いとなるが、トラブルなくフィニッシュすれば総合優勝が確定する。山岳賞は最終日には設定されないため、ニコロ・ガリッポ(JCL TEAM UKYO)の完走で確定する。

ツアー・オブ・ジャパン2025最終ステージ スタート photo:Satoru Kato

一方、ポイント賞争いは熾烈だ。第7ステージ優勝でポイント賞ジャージを着るベンジャミ・プラデス(VC福岡)以下、ファンチェル、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)ら4名が5ポイント差以内で続く。3回設定された中間スプリントポイントを全て先頭通過すれば15ポイント、ステージ優勝で25ポイント、計40ポイントを獲得できるため、16ポイント以上を持つ21名に逆転のチャンスがあることになる。

品川のビル群を背にハイスピードバトルが始まっていく photo:Satoru Kato

前夜から降った雨は朝方でやみ、水たまりのあった路面は午前11時のスタートまでに完全に乾いた。コース上空を通過する羽田空港を離陸した飛行機がすぐに見えなくなるほど低い雲が広がっていたが、時折雲間から陽が差して蒸し暑さを感じる中、最後のスタートが切られた。

序盤からハイスピードで進行。何度か少人数が先行する場面があるもののタイム差が広がらず、長く続く逃げにはならない。

ハイスピードで長く伸びる集団 photo:Satoru Kato

ポイント賞ジャージのベンジャミ・プラデス(VC福岡)は中間スプリントに絡まずフィニッシュに備える photo:Satoru Kato

平均時速50kmに迫る展開の中、中間スプリントポイント争いは1回目から激しさをみせる。岡が1回目を1位、2回目と3回目を3位で通過し、計7ポイントを獲得。対してスチュワートも1回目3位、2回目と3回目を2位通過して計7ポイントを加算し、岡との差を広げずに続く。総合首位の維持を優先したファンチェルと、前日のコメントでステージ優勝を狙いたいと話したプラデスは中間スプリントポイント争いに加わらず、この時点で岡がポイント賞首位に立つ。

前後をチームメイトに挟まれて走るリーダージャージのアレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

終盤に先行した5名 photo:Satoru Kato

レース終盤、宇都宮ブリッツェンが集団を牽引して先行集団を追走 photo:Satoru Kato

レース終盤、山田拓海(シマノレーシング)、織田聖(マトリックスパワータグ)らを含む5名の集団が先行。10秒以上まで差が広がったものの、宇都宮ブリッツェンが中心となって追走して最終周回を前に吸収。大集団でのスプリント勝負に持ち込まれた。

全ての逃げを吸収して最終周回へ photo:Satoru Kato

フェンス側からまくりにかかるリアム・ウォルシュ (シーキャッシュXボディラップ) photo:Satoru Kato

大集団スプリントを制したのはリアム・ウォルシュ (シーキャッシュXボディラップ) photo:Satoru Kato

残り300m、シマノレーシングと愛三工業レーシングチームが争う横から、リアム・ウォルシュ (シーキャッシュXボディラップ)が前に出る。残り150mからまくり切ったウォルシュが先着し、今年のツアー・オブ・ジャパン最後のステージ優勝を決めた。リーダージャージのファンチェルは集団中ほどでフィニッシュ。JCL TEAM UKYOが個人総合4連覇を達成した。

ポイント賞 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato

注目のポイント賞争いは、ポイント賞ジャージを着るプラデスが9位フィニッシュで10ポイントを加算して計55ポイントとしたのに対し、岡は10位フィニッシュで9ポイントを獲得し、中間スプリントで得た7ポイントとあわせて16ポイントを加算。計68ポイントとしてプラデスを3ポイント上回り、逆転でポイント賞ジャージを獲得した。

個人総合上位3名 左から、2位ベンジャミン・ダイボール、優勝アレッサンドロ・ファンチェル、2位シモーネ・ラッカーニ photo:Satoru Kato
ツアー・オブ・ジャパン2025 第8ステージ東京 結果(104km)
1位 リアム・ウォルシュ (オーストラリア、シーキャッシュXボディラップ) 2時間7分40秒
2位 キャメロン・スコット (オーストラリア、シーキャッシュXボディラップ) +0秒
3位 アンドレア・ダマト (イタリア、JCL TEAM UKYO)
4位 岡本 隼 (日本、愛三工業レーシングチーム)
5位 中井 唯晶 (日本、シマノレーシング)
6位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル (スペイン、VC福岡)
7位 岡 篤志 (日本、宇都宮ブリッツェン)
8位 メワエル・ギルマイ (エリトリア、ワンティ・NIPPO・リユーズ)
9位 ジョルジェ・ジュリッチ (セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
10位 ジャーメイン・ツェムケ (ドイツ、レンべ・ラド・ネット)
個人総合順位(第8ステージ終了時)
1位 アレッサンドロ・ファンチェル (イタリア、JCL TEAM UKYO) 18時間39分57秒
2位 シモーネ・ラッカーニ (イタリア、JCL TEAM UKYO) +21秒
3位 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島) +1分9秒
4位 マーク・スチュワート (イギリス、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +1分17秒
5位 マティアス・ブレンホイ (デンマーク、トレンガヌ・サイクリングチーム) +1分54秒
6位 レオネル・キンテロ・アルテアガ (ベネズエラ、ヴィクトワール広島) +2分7秒
7位 ヨハネス・アダミエツ(ドイツ、レンべ・ラド・ネット) +2分46秒
8位 アドネ・ヴィレムヤン・ファン・エングレン(オランダ、トレンガヌ・サイクリングチーム) 2分51秒
9位 マクサンス・プラス(ベルギー、ワンティ・NIPPO・リユーズ) +3分4秒
10位 金子 宗平 (日本、日本ナショナルチーム) +3分25秒
新人賞 マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ) photo:Satoru Kato
RTA賞は望月蓮(チームブッファーズ・ジェスチョンド・パトリモワンヌ) photo:Satoru Kato


ポイント賞 岡 篤志 (日本、宇都宮ブリッツェン)
山岳賞 ニコロ・ガリッボ (イタリア、JCL TEAM UKYO)
新人賞 マクサンス・プラス(ベルギー、ワンティ・NIPPO・リユーズ)
RTA賞 森田 叶夢(日本、日本ナショナルチーム)
チーム総合首位 JCL TEAM UKYO 56時間1分10秒

チーム総合優勝はJCL TEAM UKYO photo:Satoru Kato



text&photo:Satoru Kato

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