「ユイの壁」を越えるラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファムは、22歳のプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が金星。MTB世界王者がフォレリングら強豪下し、大舞台でプロ2勝目を手に入れた。

前回優勝者のカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) photo:A.S.O.

王者奪還を目指すデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) photo:A.S.O. 初開催が1998年と女子レースの中では歴史あるラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム(UCIワールドツアー)が開催された。男子と同じく「アルデンヌ3連戦(アムステル、フレーシュ、リエージュ)」の2つ目である本大会は、大幅に距離を伸ばした昨年から約5km短い140.7kmコースが舞台。後半は男子と同じコート・デレッフ(距離2.1km/平均5%)からコート・ド・シュラーブ(距離1.3m/平均8.1%)、そしてミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%)を巡るコースを2周する。
過去に7連覇(2015-21年)を達成し、今年現役復帰したアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)は体調不良のため直前で不出場。しかし前回覇者カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)はもちろん、デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)や世界王者のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)など役者が揃った。

単独先頭に立ったセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) photo:A.S.O.
2年連続の雨に見舞われたレースは、ジュリー・ファンデフェルデ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)ら4名が逃げを打つ。しかしスタートから50km地点で早くもメイン集団が引き戻す。その後はアンネ・クナイネンブルグ(オランダ、フォルカーヴェッセルズ・ウィメンズプロサイクリング)が飛び出し、遅れてセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール)が合流。ケルバオルはクナイネンブルグを引き離して単独先頭に立つと、1度目の「ユイの壁」を越え、残り37.2kmに設定された1度目のフィニッシュラインを通過した。
この時点でプロトンとの差は18秒。ここから23歳のケルバオルは粘りを見せ、リードを50秒まで拡大させる。一方、集団はフォレリングを擁するFDJスエズが牽引し、人数を絞っていった。

逃げを捉え、ミュール・ド・ユイに向かうプロトン photo:A.S.O.
ケルバオルは2度目のコート・デレッフを先頭で越えたものの、コート・ド・シュラーブに入った残り7km地点で吸収。その後はニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)をエースに据えるリドル・トレックがペースを作りながら、この日最後の「ユイの壁」へ。
フランス王者ジュリエット・ラブース(FDJスエズ)のリードアウトからフォレリングが加速し、先頭に立つ。その背後にはエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)やプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)など各チームのエースがつく。しかしハイケイデンスで踏み続けるフォレリングと後続との差は徐々に拡がっていき、唯一食らいつくピーテルセが、残り150mでダンシングに切り替えると、一気にフォレリングを抜き去った。
残り100mを前に先頭に立ったピーテルセは、フォレリングを引き離しフィニッシュに飛び込んだ。

フォレリングを抜き、先頭に立ったプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.

初優勝を飾ったプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
プロ初勝利となった昨年のツール・ド・フランス・ファム第4ステージと同じく、フォレリングを下し勝利したピーテルセ。「昨年ツール・ファムで勝ってはいるが、春のクラシックでの勝利の方が価値は高いかもしれない。ユイの壁には4か5番手で入り、デミ(フォレリング)の背後についた。その後は”自分も苦しいのだから相手も苦しいはずだ”と、仕掛けるタイミングを伺っていた」とレースを振り返った。
また「過去にアネミエク(ファンフルーテン)が走る姿を見て、コースの予習はしていた。そのため早めにアタックするのは、自分の特性から賢明ではないと思っていた」と、戦術から得られた勝利であることを強調した。

チームメイトと勝利を喜ぶプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.

大舞台でプロ2勝目を手に入れたプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
ピーテルセは昨年9月のMTB世界選手権を制した22歳。2022年にはシクロクロス世界選手権でU23王者にも輝き、ツール・ファムでの勝利に続き、ロードでもその才能を見せつけている。
また3位にはロンゴボルギーニが入り、表彰台に上がっている。


過去に7連覇(2015-21年)を達成し、今年現役復帰したアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)は体調不良のため直前で不出場。しかし前回覇者カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)はもちろん、デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)や世界王者のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)など役者が揃った。

2年連続の雨に見舞われたレースは、ジュリー・ファンデフェルデ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)ら4名が逃げを打つ。しかしスタートから50km地点で早くもメイン集団が引き戻す。その後はアンネ・クナイネンブルグ(オランダ、フォルカーヴェッセルズ・ウィメンズプロサイクリング)が飛び出し、遅れてセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール)が合流。ケルバオルはクナイネンブルグを引き離して単独先頭に立つと、1度目の「ユイの壁」を越え、残り37.2kmに設定された1度目のフィニッシュラインを通過した。
この時点でプロトンとの差は18秒。ここから23歳のケルバオルは粘りを見せ、リードを50秒まで拡大させる。一方、集団はフォレリングを擁するFDJスエズが牽引し、人数を絞っていった。

ケルバオルは2度目のコート・デレッフを先頭で越えたものの、コート・ド・シュラーブに入った残り7km地点で吸収。その後はニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)をエースに据えるリドル・トレックがペースを作りながら、この日最後の「ユイの壁」へ。
フランス王者ジュリエット・ラブース(FDJスエズ)のリードアウトからフォレリングが加速し、先頭に立つ。その背後にはエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)やプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)など各チームのエースがつく。しかしハイケイデンスで踏み続けるフォレリングと後続との差は徐々に拡がっていき、唯一食らいつくピーテルセが、残り150mでダンシングに切り替えると、一気にフォレリングを抜き去った。
残り100mを前に先頭に立ったピーテルセは、フォレリングを引き離しフィニッシュに飛び込んだ。


プロ初勝利となった昨年のツール・ド・フランス・ファム第4ステージと同じく、フォレリングを下し勝利したピーテルセ。「昨年ツール・ファムで勝ってはいるが、春のクラシックでの勝利の方が価値は高いかもしれない。ユイの壁には4か5番手で入り、デミ(フォレリング)の背後についた。その後は”自分も苦しいのだから相手も苦しいはずだ”と、仕掛けるタイミングを伺っていた」とレースを振り返った。
また「過去にアネミエク(ファンフルーテン)が走る姿を見て、コースの予習はしていた。そのため早めにアタックするのは、自分の特性から賢明ではないと思っていた」と、戦術から得られた勝利であることを強調した。


ピーテルセは昨年9月のMTB世界選手権を制した22歳。2022年にはシクロクロス世界選手権でU23王者にも輝き、ツール・ファムでの勝利に続き、ロードでもその才能を見せつけている。
また3位にはロンゴボルギーニが入り、表彰台に上がっている。
ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム2025結果
1位 | プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | 3:53:25 |
2位 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) | +0:02 |
3位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) | +0:06 |
4位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) | |
5位 | リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) | |
6位 | キンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル) | +0:11 |
7位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) | +0:14 |
8位 | ニンケ・フィンケ(オランダ、ピクニック・ポストNL) | |
9位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) | +0:20 |
10位 | マインチェ・フールツ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.
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