留目夕陽も出場したアルデンヌクラシックの前哨戦ブラバンツ・ペイル。昨年12月の交通事故から今季初レースを迎えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が、一騎打ちでファンアールトを下し、劇的な復活勝利を挙げた。

長いリハビリを終え、今季初戦を迎えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
パリ〜ルーベが終了し、春のクラシックシーズンはフランドルからアルデンヌ地方に移行する。その舞台となるのは4月20日のアムステルゴールドレースから23日のラ・フレーシュ・ワロンヌを経て、27日のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向かう「アルデンヌ3連戦」。例年その前哨戦として位置づけられ、今年で65回目を迎えたのがブラバンツ・ペイル(UCI.Pro)だ。
今年は大幅な距離短縮が行われ、コースはベールセルから隣町オーベレルエイセに向かう162.6km(昨年は195.2km)。合計21カ所の丘がコース後半に密集し、最後は約20kmのコースを3周する、アルデンヌクラシックの足慣らしに相応しいレイアウトだ。
石畳クラシックを未勝利で終えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が優勝候補の一角に挙がるレースの最注目選手は、昨年12月の交通事故より復帰したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)。前回覇者が不在のためゼッケン1をつけ、パリ五輪2冠の元世界王者が「人生で最も辛かった」と語るリハビリを乗り越え、今シーズン初レースに臨んだ。

合計21カ所の丘を越えるブラバンツ・ペイルがスタート photo:CorVos
留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)も参戦したレースは、母国ベルギーを走るトゥール・デンス(フランダース・バロワーズ)など6名がエスケープ。しかしメイン集団は2分以上のリードを許さず、周回コースに入るとEFが先頭でペースを上げる。急坂ではティシュ・ベノート(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が積極的に牽引するシーンもあった。
そして逃げの姿を捉えた残り48km地点、ホルスハイデ(距離1km/平均5.3%)の最大勾配11.5%の区間でエヴェネプールが加速する。「脚の調子が良かったから」とレース後その理由を話したエヴェネプールに、追従できたのはファンアールトとジョセフ・ブラックモア(イギリス、イスラエル・プレミアテック)の2名だけ。ベルギーの2大スターにネオプロ(プロ1年目)の22歳を加えた先頭集団は、追いかけるプロトンに対し一気に50秒の差をつけた。

残り48km地点で仕掛けたエヴェネプールに、ファンアールトとブラックモアが追従した photo:CorVos

勝負はエヴェネプールとファンアールトの2名に絞られた photo:CorVos
3名はスムーズにローテーションを回しながら最終周回へ。残り16km地点でブラックモアが脱落すると、優勝候補の2名による協調態勢はフィニッシュまで続き、大観衆の待つ最終ストレートに突入。先頭のエヴェネプールが背後のファンアールトの様子を窺うように、マッチスプリントが幕を上げた。
先に腰を上げたのはエヴェネプールだった。コース右側から左側へと蛇行するように踏み込むエヴェネプールに対し、ファンアールトは追い抜くタイミングを窺う。しかし最後まで五輪金メダリストの前に出ることはできず、エヴェネプールがガッツポーズを作りながらフィニッシュラインを駆け抜けた。

スプリントでファンアールトを退け、今季初戦で勝利したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ファンアールトと健闘を称え合うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
フィニッシュ後にファンアールトと肩を組み健闘を称え合ったエヴェネプール。「ここ数日、調子の良さは感じていた。だが暫くレースを離れていたし、コースも決して僕に適してはいなかった。だからこそ、この勝利が嬉しいんだ。シーズン開幕戦で勝利を掴むことができて素晴らしいよ」と喜びを語った。
一方、惜しくも今季初勝利を逃したファンアールトは「良い状況に持ち込めたのだが、高強度のレースの最後にスプリントする脚が残っていなかった。特に最後の1時間はレムコに何度かプレッシャーをかけられ、徐々に消耗していった」とコメントして、ライバルの強さを称えた。
3位には後続集団でのスプリントを制したアントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が入り、留目はDNF(リタイア)となっている。

表彰式で勝利を喜ぶレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

パリ〜ルーベが終了し、春のクラシックシーズンはフランドルからアルデンヌ地方に移行する。その舞台となるのは4月20日のアムステルゴールドレースから23日のラ・フレーシュ・ワロンヌを経て、27日のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向かう「アルデンヌ3連戦」。例年その前哨戦として位置づけられ、今年で65回目を迎えたのがブラバンツ・ペイル(UCI.Pro)だ。
今年は大幅な距離短縮が行われ、コースはベールセルから隣町オーベレルエイセに向かう162.6km(昨年は195.2km)。合計21カ所の丘がコース後半に密集し、最後は約20kmのコースを3周する、アルデンヌクラシックの足慣らしに相応しいレイアウトだ。
石畳クラシックを未勝利で終えたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が優勝候補の一角に挙がるレースの最注目選手は、昨年12月の交通事故より復帰したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)。前回覇者が不在のためゼッケン1をつけ、パリ五輪2冠の元世界王者が「人生で最も辛かった」と語るリハビリを乗り越え、今シーズン初レースに臨んだ。

留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)も参戦したレースは、母国ベルギーを走るトゥール・デンス(フランダース・バロワーズ)など6名がエスケープ。しかしメイン集団は2分以上のリードを許さず、周回コースに入るとEFが先頭でペースを上げる。急坂ではティシュ・ベノート(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が積極的に牽引するシーンもあった。
そして逃げの姿を捉えた残り48km地点、ホルスハイデ(距離1km/平均5.3%)の最大勾配11.5%の区間でエヴェネプールが加速する。「脚の調子が良かったから」とレース後その理由を話したエヴェネプールに、追従できたのはファンアールトとジョセフ・ブラックモア(イギリス、イスラエル・プレミアテック)の2名だけ。ベルギーの2大スターにネオプロ(プロ1年目)の22歳を加えた先頭集団は、追いかけるプロトンに対し一気に50秒の差をつけた。


3名はスムーズにローテーションを回しながら最終周回へ。残り16km地点でブラックモアが脱落すると、優勝候補の2名による協調態勢はフィニッシュまで続き、大観衆の待つ最終ストレートに突入。先頭のエヴェネプールが背後のファンアールトの様子を窺うように、マッチスプリントが幕を上げた。
先に腰を上げたのはエヴェネプールだった。コース右側から左側へと蛇行するように踏み込むエヴェネプールに対し、ファンアールトは追い抜くタイミングを窺う。しかし最後まで五輪金メダリストの前に出ることはできず、エヴェネプールがガッツポーズを作りながらフィニッシュラインを駆け抜けた。


フィニッシュ後にファンアールトと肩を組み健闘を称え合ったエヴェネプール。「ここ数日、調子の良さは感じていた。だが暫くレースを離れていたし、コースも決して僕に適してはいなかった。だからこそ、この勝利が嬉しいんだ。シーズン開幕戦で勝利を掴むことができて素晴らしいよ」と喜びを語った。
一方、惜しくも今季初勝利を逃したファンアールトは「良い状況に持ち込めたのだが、高強度のレースの最後にスプリントする脚が残っていなかった。特に最後の1時間はレムコに何度かプレッシャーをかけられ、徐々に消耗していった」とコメントして、ライバルの強さを称えた。
3位には後続集団でのスプリントを制したアントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が入り、留目はDNF(リタイア)となっている。

プラバンツ・ベイル2025結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 3:35:14 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | アントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +0:27 |
4位 | アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) | |
5位 | エデュアルド・プラデス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
6位 | ファビオ・クリステン(スイス、Q36.5プロサイクリング) | |
7位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | ギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、カハルラル・セグロスRGA) | |
9位 | ミラン・メンテン(ベルギー、ロット) | |
10位 | ティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
DNF | 留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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