AGインシュランス・スーダルがシャリ・ボサイト(ベルギー)の加入と、6月14日以降のレース復帰を発表した。同選手は2022年トラック世界選手権のマディソンで優勝した24歳。2023年に禁止薬物レトロゾール検出による約2年3ヶ月の出場停止処分期間を経て、復帰を予定している。



2022年にコペッキーとマディソンで世界王者に輝いたシャリ・ボサイト(ベルギー) photo:CorVos

「新たなスタートの機会を与えられ、とても感謝している。レースのリズムやチームの一員であること、そして挑戦が恋しい。全力を尽くす準備はできている」と、ボサイトはチームのプレスリリースでそうコメントした。

ベルギー・コルトレイク出身のボサイトは24歳。2018年の国内選手権ジュニアカテゴリーでロードとタイムトライアルの2冠を達成し、2021年にはU23の国内TT王者に輝く。2022年にキャニオン・スラム・ゾンダクリプト加入後、同年の国内TT選手権の女子エリートでロッテ・コペッキーに次ぐ2位に入った実力者だ。

またその実力はトラックでも発揮され、2022年のトラック世界選手権ではコペッキーとペアを組み、臨んだマディソンで世界王者に輝いた。

2024年パリ五輪での金メダルも期待されていたボサイトだったが、2023年6月、検体(AサンプルとBサンプルの両方)から禁止薬物としてリスト登録されているレトロゾールが検出。そのため2023年3月17日から2025年6月13日までの約2年3ヶ月間の出場停止処分が課された。

AGインシュランス・スーダルへの加入が発表されたシャリ・ボサイト(ベルギー) photo:CorVos

ボサイトは当時、「私はドーパーではないし、1日でもドーピングをしようと考えたことはない。いつか全てが明らかになるまでこのことを主張し続ける」とドーピングを否定。しかし「告訴する機会はあるものの、その力も資金もない」と処分を受け入れ、「強くなって戻って来る」と語った。

レトロゾールは乳がんの治療薬や排卵誘発剤として使用される一方、テストステロンを上昇させ、マスキング剤としての用途もあることで知られている。2022年にシクロクロスのトップ選手であるトーン・アールツ(ベルギー)の検体からも検出され、2年の出場停止処分が下っている。

ボサイト獲得を発表したAGインシュランス・スーダルのCEOであるユルゲン・フォーレ氏は、「スタッフとの慎重な検討、そしてシャリ(ボサイト)本人およびマネジメントとの複数回にわたる話し合いを経て、彼女のキャリア再建をサポートすることに決めた。我々はシャリには素晴らしい未来が待っていると信じており、チームはそれを実現する完璧な環境を提供できる」とコメントしている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos